オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

ムカつく相手を一発で黙らせるオトナの対話術

バルバラ・ベルクハン 著 小川捷子 訳 阪急コミュニケーションズ刊

1,575円 (税込)

タイトルを読めば、もう「どんな本か」がわかってしまいますが、これはこの著者の本に共通した手法です。ほかにどんなタイトルがあるかというと、『アタマにくる一言へのとっさの対応術』『グサリとくる一言をはね返す心の護身術』『嫌なものは嫌ときっぱり伝える対話術』『いつもバタバタしている人の気持ちの切り替え術』などがあります。

著者は1957年生まれ。ハンブルク大学で教育学と心理学を専攻したのち、20年以上にわたってコミュニケーションのトレーナーとして活躍している人物です。「自信を持って人とうまく気持ちを通わせるコミュニケーション術」を提唱していて、著書は次々とベストセラーになっています。日本でもシリーズ全体で120万部が売れているそうです。

「いきなり誰かに不愉快なことや無礼なことを言われた」というのは、ネットショップではありがちなことです。たとえ原因があったにせよ、「そんな言い方をしなくても」と思ってしまいますね。そこでカッとして言い返せば泥仕合になるし、胸の内にショックを収めようとすると気分が落ち着きません。

本書はそんなときでも悠然とした態度でいるための参考書です。相手がレベルの低い発言をぶつけてきても、本書を読んでいれば巻き込まれずに済みます。そして、にっこりと微笑みながら余裕たっぷりに反応することができるようになります。やり返さず、逃げ出さず、戦わないで勝つための「秘策」がここにあります。

著者はそのための会話術の極意を、「合気道」から導入しています。「言葉による返し技」を磨き抜き、誰もが簡単に覚えられるように洗練させました。ただし、「攻撃」のための技はふくまれていません。著者の教える言葉の返し技は、あくまでも自分の身を守るためのものなのです。

最初に登場する技は「やまびこトーク」です。相手から不愉快な言葉を投げつけられたとき、その不愉快な部分を抜き出して、相手に返します。ただし、あくまでも落ち着いて、冷静に。こうすることで、誤解の可能性を減らし、対話に持ち込むことができます。
「あなたのメールはいつも乱暴ね」
「乱暴って、どんなところが?」

「またそうやって責任逃れをしようとする!」
「責任逃れって、どういう意味ですか?」

次の技は「沈黙」です。「対話術」の本なのに沈黙とは矛盾するように思えますが、著者は沈黙も立派な対話なのだといいます。相手の話の中で、自分を傷つける部分にだけ、わざと反応しないのです。こうすることで、相手の言葉を宙ぶらりんにしてしまいます。
「あなたは子どもたちにとって、最悪のお手本だね」
「……」

「なんてノロマなんだ! 早くしろ!」
「……」

挑発してくる相手にとって、反応することは成功を意味します。だから、相手の言葉が何の効果もないことを示せば勝ちです。「やまびこトーク」も「沈黙」も、そういう意味では同じことです。著者はさらに、「あ、そうなんだ」「へえ」「まあね」「どうも」といった、意味のない返答も有効だといいます。

ここまで、「第1章」の内容の一部をご紹介しました。本書にはさらに「第2章」と「第3章」があり、「誉め言葉」「迂回トーク」「場違いなことわざ」「相手を認める」「相手に尋ねる」といった返し技が紹介されています。興味を持ったら、ぜひ手に取ってみてください。


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