ビジネス文章5ステップ上達法

堀内伸浩 著 合同フォレスト 刊
1,470円 (税込)
世の中に「文章読本」の類は星の数ほどあり、その内容も千差万別です。そして「文章がうまくなりたい」と思って書店に出かける人もたくさんいますが、運良くいい本に巡り会える人はそれほど多くないようです。
なぜそうなるかというと、文章上達のツボは人によって異なるのに、個別のツボを刺激してくれる本は意外と少ないからです。「文章の下手な人の気持ち」や「どんな部分で失敗するか」を著者が良く理解していないと、読者にとって役に立つ本にはなりません。
本書の著者は最初から文章のプロではありませんでした。25歳のときに食品メーカーから編集プロダクションに転職した、いわば「中途入社の文章のプロ」です。入社してから半年は、書く原稿すべてが真っ赤に添削され、ショックを受けたそうです。
しかし、その経験が本書を読みやすく、役に立つガイドにしているといえます。達人からの辛口な「ダメだし!」を受け続けたおかげで、素人の文章のどこが問題かを身を持って知ることができ、また文章が上達していくことの喜びを体感することができたからです。
よく「天才に教わるのは難しい」といいます。凡人たちがどこで引っかかるのか、何がわからないのかを天才たちは知らないために、「ツボ」をスルーしてしまうからです。だから、教わるなら天才よりも秀才がいいことになります。
本書は文章の上達を5段階に分け、ステップごとに練習をしていこうというものです。そのステップは、以下のようになります。
【ステップ1】基本ルールを覚える
【ステップ2】読み方を変える
【ステップ3】文章ノートを作る
【ステップ4】書き方を知り、書く訓練をする
【ステップ5】推敲と校閲の仕方を知る
よく見かける「文章上達術」の内容は、すべて「ステップ1」に入っています。
・丁寧語、謙譲語の使い方
・接続詞の使い方と使い分け
・カッコの使い方と使い分け
・文体の統一
・係り受けを正確に
・1文の長さは60字以内
・1文1義
・同音異義語のチェック
・能動態と受動態の使い分け
・句読点の打ち方
・漢字か仮名か
・話し言葉と書き言葉
・「てにをは」の正確な使い方
・修飾語と被修飾語
・文意が伝わらない理由
「ステップ2」では、他人の書いた文章を「自分が書くつもりで」読む方法が解説されています。
・文章のリズムはどうか
・文末の結び方はどうか
・どんな書き出しで始まっているか
・どんな結末でまとめているか
・四字熟語や知らない漢字はないか
といった点に注意しながら、「ステップ3」の「文章ノート」に記入していきます。
これは「あら探し」ではなく、「自分だったらどう書くか」「この文章をもっと良くできないか」といった視点で進めます。
以下は省略しますが、帯についている「読者の声」が本書の性格をよく表していると思いますので、いくつかご紹介します。
・「自分の文章はなぜ伝わらないのか?」の疑問が解決しました。
・文章を書くのが苦痛でしたが、「5ステップ」で書きやすくなりました。
・「6W3H文章作成法」と「自分宛にメール送信法」をすぐに試してみました。
・今までトラウマだった文章が、楽しいものだと気づかされました。
「あとがき」で著者は、文章には思いやりが必要だと語っています。相手の立場を思いやる心が、相手に伝わりやすい文章を生み出すということです。 |