オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

この国を出よ

大前研一・柳井正 著 小学館 刊

1,470円 (税込)

日本を代表する論客の大前氏と、ユニクロの柳井社長。二人の「大物」が斜陽ニッポンでのビジネスを語った刺激的な本です。帯のコピーである「誰が日本をダメにしたのか? ユニクロはなぜ世界に出るのか? そして、ビジネスマンと企業はグローバル社会でどう戦えばいいのか」が本書の内容をストレートに要約しています。

本書の前提は厳しいものです。「やがて日本は消えてなくなる--次の飛躍は"大いなる悲観"から始まる」。それに続いて「今や世界は『日本破綻』に備え始めている」「『将来は暗い』だなんて、言い訳にならない」「『次世代リーダーは外国人』の可能性も」といったコピーが並びます。気弱な人には、ちょっとつらい内容かもしれません。

第1章では「現状分析」として、今の日本と日本人を二人が切り捨てます。タイトルは「絶望的状況なのに脳天気な日本人」。「失われた20年」に国民の財産300兆円が失われた(大前)、「まだ大丈夫」という錯覚はどこから生まれるのか(柳井)、今の日本は「ミッドウェー後」とそっくり(大前)、急成長アジアでは「もう日本は敵じゃない」(柳井)といった項目が並びます。

第2章では「誰がこの国をダメにしたのか?」と題して、政治家と官僚の罪を暴きます。発言がブレても許されるのは日本の政治家だけ(柳井)、過去の失敗に学ぼうとしない不思議の国(大前)、役所から保護されなかった企業ほど成長する(柳井)、民主党がマニフェストを実現できない理由(大前)などを読むと、頭の中がすっきりと整理されてきます。

第3章では日本の企業と個人が犯した失敗を列挙します。タイトルは「変化を嫌う若者だらけの国を『日本病』と呼ぶ」。なぜ日本人は成長する国や企業に学ばないのか(大前)、「サラリーマン根性」の蔓延とともに日本経済は衰退した(柳井)などの項目から、日本の「敗因」が見えてきます。

第4章はこれからのビジネスマンに対するアドバイスです。タイトルは「『理想の仕事』探しより『自力で食える』人間になれ」。大前氏は「『基本』を学ばない"丸腰"社員が多すぎる」と現代日本のビジネスマンを批判した上で、「最も求められるのは『問題の本質を探る力』」であると説きます。

第5章「21世紀のビジネスに『ホーム』も『アウェー』もない」では、柳井氏が「グローバル化は最大のビジネスチャンスだ」と主張し、「世界が相手なら、チャンスは50倍に広がる」とユニクロの世界戦略を解説します。

最後の第6章では、二人が日本への「処方箋」を示します。所得税・法人税ゼロで海外からの投資を呼び込め(大前)、「費用対効果」も考えない政府は、もっと小さく!(柳井)、「政治家育成」「一院制」「官僚リストラ」の三大改革(大前)、「何も決められない」政治家が官僚をダメにする(柳井)などの主張は、政局に夢中で迷走を続けている政治家たちにぜひ読んでもらいたい部分です。

日本で商売をしているすべての人が一度は目を通しておくべき本だと思います。


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