オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

現代ビジネスブック
Twitterの神々
新聞・テレビの時代は終わった

田原総一朗 著 講談社 刊

1,575円 (税込)

本書は、当代きってのインタビューの名手がネットメディア「現代ビジネス」に発表した対談と座談会を書籍化したものです。タイトルに「神々」とありますが、登場する人物を神格化したものではありません。時代の旗手である彼らが、タブーを恐れずに現代社会の真相を明かす姿を象徴したのかもしれません

第1章は対談ではなく、著者のモノローグです。ここで著者はTwitterに出会った興奮を、若き日にTVの現場で感じたものと同質であると語っています。「自由で、いい加減で、縛りがない」と。それに対して、今の新聞やテレビは縛りが多くなりすぎて、不自由なメディアとなってしまった、というわけです。

第2章からはさまざまなゲストとの対談です。タイトルに「Twitter」とあるためか、すべての対談相手のTwitter IDが扉に記載されているところがユニークです。トップバッターは楽天の三木谷浩史会長兼社長で、三木谷氏は今の日本を「パラダイス鎖国」ときめつけます。韓国や台湾と違って、日本は人口が1億人以上いるから国内市場だけでそこそこ食えてしまう。そこが不幸だ、と。そしてこれからの世界では、「国力=IT力」になると予言しています。

次にはITジャーナリストの佐々木俊尚氏が登場します。佐々木氏は新しいメディアの形として「ニュースアグリケーション」というものを紹介しています。ヤフーやグーグルのニュースメニューに、専門家によるニュースの分析がついたような形です。IT業界がこれを始めたら、既存の新聞社やテレビ局は太刀打ちできないだろうという予測です。

3番目のゲストは、メディアジャーナリストの津田大介氏。Twitterで「tsudaる」という言葉を流行させた張本人です。津田氏はTwitterの可能性について、「昔は大資本でなければ実現できなかった情報の送り手という立場に、今では誰もがなれる」という言い回しで表現しています。

その次が政治ジャーナリストの上杉隆氏。上杉氏は記者クラブ問題で時の人となった有名人ですが、かつては鳩山邦夫氏の秘書を務めていました。その時代にメディアの要人たちに袖の下を配る仕事をしていたそうで、その原資は「鳩山家の子ども手当」だったと語っています。

5番目がホリエモンこと堀江貴文氏。堀江氏との間で著者は、どうすればネットでお金儲けができるかを話題にしています。話はライブドア事件の裏事情からテレビ局の電波利権に展開し、いかにテレビ局が既得権益をむさぼる存在であるかを明らかにします。

対談のラストは、かつてNTTドコモでiモードを成功させた夏野剛氏。ここでのテーマは「ガラパゴス日本をどうするか」です。なぜ日本企業の技術がガラパゴス化するのか、日本企業をどう変えれば世界に通用する存在になるのか論じられます。夏野氏は「日本にはカネ、人、技術がそろっていて、ないのはマネジメントだけ。だからそこだけなんとかすれば簡単に世界標準が取れる」と豪語しています。

第3章は座談会で、佐々木氏、津田氏に加えて東京新聞・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が登場します。「Twitter激論」をテーマに、ネットメディアと既存メディア、現代の政治、これからの日本に求められるものが語られます。

日本の今と近未来を知るには絶好の参考書です。


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