オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

昼メシは座って食べるな!

市村洋文 著 サンマーク出版 刊

1,470円 (税込)

「座って食べるな」ということは、「立って食え」または「昼メシは食うな」ということです。著者が野村證券に入社した時、成績がトップの営業マンに「どうすれば成績を上げることができるか」と聞いたところ、返ってきた答えが「昼メシは座って食べるな!」でした。そんな時間があったら、1人でも多くのお客さまを回れと。

立教大学に在学中、学生ビジネスで1億円を稼いだ著者は、厳しい環境に身を置こうと決意して、野村證券に入社します。さっそく1日200件の飛び込みと40枚の名刺収集がノルマとして課されますが、著者は新人ながら10億円を売り上げ、全国の新人でトップの成績を収めます。

そして20代の時、4年間で2000億円の預かり資産を集め、野村史上不滅の記録を打ち立てます。その後、最年少で支店長に抜擢され、全国でビリから2番目だった大森支店を1年で全国トップの支店に変貌させます。KOBE証券の社長に招聘されると、7年間業績を上げ続け、ついに上場までこぎ着けます。

そんな著者が今手がけている事業は、中小企業のオーナー経営者向けに特化したコンサルティングです。異業種の人同士を結びつけ、新たな価値を生み出すものです。著者はこの仕事のことを、ディスクジョッキーになぞらえて「マンジョッキー」と呼んでいます。ディスクジョッキーが曲と曲をうまくつないでいくのなら、自分たちは人と人を上手に結びつけていくというわけです。

そんな著者が書いた本書には、ありえない成果を上げるための働き方と考え方が詰まっています。その基本は、とにかくモーレツに働くこと。「30年間、朝6時に出社する」「非常階段から社長室に侵入して取り押さえられる」「毎日600通のDMを出す」「入社時にスーツを20着用意する」…。著者の半生記を読んでいると、「ありえないこと」のオンパレードです。だからこそ、ものすごい成績を上げられたのだなと納得できます。

しかし、それらは真似が不可能なことではありません。普通の人がやろうとしないだけで、やってみるなら誰にでもできます。たとえばDMについて、著者はこう説明しています。「DMのアンケートが戻ってくる確率は3~4%。タクシーを借り切って1日で訪問できる客数は20件。すると、毎日600通のDMを出せば、コンスタントに20件の客先を訪問できることになります。たしかに毎日600通の手紙を出すのは大変です。でも考えてみてください。手紙を出すのは誰にでもできます。そして、やれば必ず成果が出るのです」

入社時のスーツ20着については、著者はこう言っています。「初対面の人が相手をどう判断するかといえば、見た目。それしか判断材料がないのだから、服装がポイントです。野村證券の上得意になるのは富裕層の人々ですから、くたびれた貧相なスーツで行っては相手にされません。服装や格好は自分の好みで選ぶのではなく、相手からどう見えるか、相手の目線に合わせて選ぶべきです」

同様に、毎朝6時に出勤する理由は、1日を「3回転」させるため。朝6時から仕事をすれば、正午までの6時間で1日分の仕事がだいたい完了してしまいます。午後から夕方までは次のサイクルに移り、次の手を打ったり、新規のお客さんを開拓したりします。そして夜は会食や接待。お客さんに胸襟を開いてもらう時間です。こうして著者は1日を3倍にしてライバルに差をつけているわけです。

6時出社には、もうひとつ理由があります。それは、成功しても慢心しないためです。成功して「これくらい、いいや」と自分に甘くなれば、周囲はイエスマンだらけになり、必ずどこかにほころびが生まれます。だから著者は、「事業がうまくいかない」という社長に必ずこう問いかけます。「社長は、朝何時に出社されていますか?」と。

破天荒なビジネスマンの体験記ですが、読後感は爽やかです。ぜひ、お試しを。


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