オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック 文章力の基本

阿部紘久 著 日本実業出版社

1,365円 (税込)

「文章力」を扱った本なのに、この本は左開き。つまり、横組みで書かれています。日本語の正統は縦書きだと思っている人には、新鮮な驚きでしょう。

本書は「ビジネス文書の書き方」や「上手なエッセイの書き方」といった、具体的な目的のある本ではありません。あらゆる文章の土台となる、文章力の基礎を高めることをテーマにしたものです。

著者は帝人で要職を歴任した後、米国系IT企業のCEOを経験した人物。現在は昭和女子大学で文章指導をしているそうですが、およそ「文章」とは縁の遠そうなキャリアの持ち主です。

しかし、本書の「はじめに」で、著者は「実社会における、簡潔・明瞭な文章表現とは」を生涯のテーマにしてきたと語っています。産業人だからこそ感じてきた実用的な日本語文章能力の必要性を、わかりやすい形でまとめ上げたのが本書ということになります。

どんなことが書かれているかをつかんでもらうために、少し拾い読みをしてみましょう。
「短く言い切る勇気を持つ」(第1章)
「文の形をシンプルにする」(第2章)
「列挙するときは品詞をそろえる」(第2章)
「話し言葉の影響を避ける」(第2章)
「骨子を組み立て、段落に分ける」(第3章)
「同じ話はまとめて書く」(第3章)
「読み手に頭を使わせない」(第4章)
「読点は意味の切れ目に打つ」(第4章)
「箇条書きを活用する」(第4章)
「いきなり核心に入る」(第5章)
「余分なつなぎ語を削る」(第5章)
「具体的なエピソードから入る」(第6章)
「読み手の期待を裏切らない」(第6章)
「カッコと句読点を適切に使う」(第7章)
「ノイズの少ない文章を作る」(第7章)

第1章の「短く言い切り勇気を持つ」では、たくさんの「悪文」の例を添削しながら、文章をムダに長くすることの弊害を説いています。そして著者はこのように言います。 「文章には幹があり、そこに枝葉がついています。枝葉ばかりが見えて、幹がなかなか見えない文章は、明快な文章とは言えません」

また、第6章の「読み手の期待を裏切らない」では、このように説明しています。 「文章を書く作業とは、相手(読み手)が今立っている所にともに立ち、それから自分(書き手)が目指す所まで、道案内をしながら一緒に行く旅のようなものだと私は考えています。そして、句点がくるたびに「なるほど、そうか。わかった。それで?」と思ってもらいながら、ともに歩むのが良い文章です」

「文章がもっと上手に書けるようになりたい」と願うすべての人に、必ず役に立つヒントが満載のやさしいガイドブックです。


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