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毛束屋

年々少しずつ売り上げは伸びていますが、アクセス数を増やしたいです。
ヘアカラーテスト(毛染の色テスト)のための人毛という特異な商品のため、対象が美容師、毛髪化粧品メーカーと限られていますが、よいアドバイスがあればありがたいです。

アクセス数、クリック数、PV(ページビュー)、インプレッション(表示回数)など、いわゆるWebサイトにおけるアクセスの絶対数を示す数字は、ネット黎明期から指標として当然のようにもてはやされてきました。

それは多ければいいのでしょうか?

国における人口やGDP、テレビにおける視聴率、自動車における馬力、会社における年商などと同じように、規模や大きさを示す目安としては意味のある数字ではありますが…

人口が多ければ、GDPが大きければ国民にとって暮らしやすい良い国?
馬力が大きければ快適で運転しやすい良い車?
年商が大きければ顧客にとって満足度も高い良い会社?
…必ずしもそうではありませんね。

アクセス数やPVも同じです。
サイトの物理的なアクセス数は規模を示す数字ではありますが、それがユーザーにとって目的に合致した満足度の高い良いサイトであるとは限りませんね。

リアルのお店のわかりやすい例えで言えば…

自社が全国展開の回転寿司チェーンなら、一人当たりの客単価は1000円だとしても、絶対的なアクセス数(来客数)で総売上を最大化し、低い利益率でもトータルで十分な純利益を確保することは意味ありますが…

自社が銀座の高級寿司店なら? かっぱ巻き、鉄火巻きばかり注文する客単価の低い客がどっと押し寄せるより、自慢の高級ネタをお任せで注文してくれる客単価数万円のグルメ客や、接待利用の法人客が少数でもリピートしてくれるほうが自店の意図にマッチしていますよね。

大型チェーン店にとっては、交通量や集客数という規模の大きさを示す数字は重要度が高いわけですが、高級店にとってはそれよりも客単価やひょっとすると客の年収だったり接待利用度や予算だったりが重要な指標なわけですね。

つまり運営する側にとって、自社のビジネスモデルやスタイルにとって絶対的なアクセス数の大きさが重要度が高いのか? それとも少ないアクセス数でも他の指標となる数字や、なんらかの意味あるアクションを起こしてもらえる確率やその絶対数のほうが意味がある場合も多々あるということです。

実際にネットビジネスの世界でもPV、アクセス数という指標はもはや単なる目安程度で、あまり重要視されなくなっています。その先の滞在時間やスクロール深度(ページ内をどこまでちゃんと見てもらえているか)だったり、商品検索の利用度や問い合わせや見積もりフォームの実際の利用度や、いかに問い合わせ相談の電話をかけさせるか? など実際のアクションに至る率を指標にすることが重視されています。

その車の最高速度は?
その怪獣の身長は?
その星の大きさは?

などと同様に、絶対数の大きさだけを意識しているのは、いわば子供じみた発想なのです。

自社、自店にとって本当に大事な数字(指標)は何なのか?
単なるアクセス数やPV数ではない、本当に欲しい数字は何なのか?
そのためには何をしなければいけないのか?

一歩も二歩も踏み込んで考えることがネットショップ経営でも重要なのです。
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さて今回は、かなり市場の絞り込まれたプロ向けの専門店さんです。
それゆえ、このお店でもアクセス数よりも大事な指標や考え方がありそうですね!

「ダメ出し!道場」第114弾 スタートです!(^-^)

BtoBプロ向けの専門店…では顧客に何をさせたいのか?


EC仙人 太田

正直、今回は私もかなり悩みました。
まず、毛束という商品がこの世にあることも初めて知りましたし、知った上でも毛束を欲しい! 買いたい! と思う気持ちがまったく起きませんでしたので(^^;)

でも、オンラインショップコンサルティングの仕事では、こういうケース(自分ではまったく興味も欲求もない商品や業種)であっても、お客様の目線や立場になってサイトを見て、何が足りないのか? 何が欲しいのか? どうすれば喜ぶか?
を考えて行きます。

今回の毛束屋さんの想定するお客様は、「美容師さん」や「毛髪化粧品メーカーさん」と限られているとのことですが、その方々の立場に立って考えてみます。

「美容師さん」の場合
・自店で使うヘアカラーやブリーチ(脱色)剤をさまざまな条件(時間や濃度、温度など)でいろいろとテストして経験値をノウハウとして蓄えておきたい

・同様にシャンプーやトリートメントなどのテストでも?

・直毛、くせ毛、太い毛、細い毛など毛質による違いのテスト

・経験の少ない若手美容師のトレーニング、練習、訓練のために使いたい

「毛髪化粧品メーカーさん」の場合
・自社製品のテスト用。毛質、状態の違いによるテスト

素人の私の想像だと、こんなニーズの想定が精一杯ですが、いかがでしょうか?

毛束屋さんにとっては当たり前のお客様のタイプやニーズかもしれませんが、現状のサイト、商品は「わかっていて当たり前」「知っている人だけがさくっと選んで買えば良い」といった状況です。

http://www.ketabaya.com/info
特定商取引法表示 の
「※お電話によるご注文・問合せは受け付けておりませんのでご了承ください」
といった表記は、別の言い方、見方をすれば、プロの美容師とメーカー以外の人にとっては「わからん奴は買うな、来るな、面倒なことは聞くな」と言われているようにさえ見えるほど「敷居の高いお店」になっています。

プロ用の品やマニアックな商品を扱う専門店では、電話による煩雑なやり取りを嫌って「電話によるご注文・問合せは受け付けておりません」はよく見かけるのですが…

これは本来は、「電話で聞かれなくても詳しい情報、ウンチク、ノウハウなどあなたの知りたいことは山盛りのコンテンツとしてこのサイトの中にアップしてあるので、よくよく隅々まで見てくださいね!」

というネット黎明期のカリスマ専門店の店長さんたちが始めた名残なのですが…今となっては大した情報も載せてないのに「面倒だから電話は受け付けない」と逃げているように見えるお店が多くなったのは嘆かわしいことです。

自ら、「ウチはサービスレベルが低く、顧客対応は悪いです」と宣言しているようなものです。プロショップ、専門店であるほど、商品そのものの専門性も高いだけじゃなく、その商品をどう扱うのが良いのか? どのように利用、活用すればより良さが引き出されるのか? といった使い方のノウハウが重要なのに…

ハードウェアとソフトウェアを結びつけるユースウェアの部分のコンサルティングができるからこそ、リピーターがついて固定客が増えるのです。

相手も美容師やメーカーの人であれば、既に他のどこかの業者から毛束も購入、調達しているはずですよね? それを裏切らせて当店に乗り換えてもらうためには、他の既存業者が知らない情報やノウハウを提供したり、やらないことをやるか、それが面倒であるのなら絶対的・圧倒的な価格優位性(とにかくべらぼうに安い!)が必要です。

やってみたい!作ってみたい!を刺激する


EC仙人 太田

素材としての毛束を個々に販売されているのですが、気になったのが下記商品です。

マイカラーチャート台紙
http://www.ketabaya.com/product/13

http://www.ketabaya.com/data/ketaba-ya/product/20130910_379808.jpg

門外漢で素人の私には、プロの美容師さんがどのくらいの確率でこういったカラーチャートを自分専用で作って持っているのかはわかりませんが…

こういったカラーバリエーションのサンプルは、いろいろな業種のプロの間でも自分のノウハウとして作って持っておくことは多いので、イメージできます。

現状はこのカラーチャートについては控え目なアピールですが、むしろプロの美容師さんたちに、自分ならではのオリジナルの「マイカラーチャート」を作ることを、もっとアピール提案するようなコンテンツページを用意して、チャート台紙+染色用毛束のセット販売を押し出すのが良いかと思います。

先輩ベテラン美容師さんたちがどんなマイカラーチャートを作っている
か? とか、どんな利用をしているのか? など情報を取材して紹介すれば、「自分もやってみたい!」「作ってみたい!」「マイカラーチャート欲しい!」と刺激できると思います。

毛束屋さんに限らず、専門店では商品単品そのものをアピールするだけでなく、上級者やベテランさんのコレクションや活用法を紹介したりすることで、「やってみたい!」「作ってみたい!」を刺激することが有効です。

また、こうしたコンテンツそのものがSEO対策としても効果的です。

ただし、アクセスして来た人たちに質問や相談依頼をさせるなど、目的をもったアクションをさせることも合わせて重要です。

FAQよくある質問の意義を考える…


EC仙人 太田

http://www.ketabaya.com/page/1

Q&A や FAQ、よくある質問 ページを用意しておくことは専門店としては大事なことですが…

毛束屋さんでの Q&Aページを拝見すると…

人毛毛束「白毛」は天然の人毛白髪ですか?
→天然の白髪ではありませんのでご注意ください。

ブリーチ毛のレベル(明度)を教えてください。
→当店では明確なレベル表示をしておりません。

キューティクルの向きはそろっていますか?
→申し訳ありませんがキューティクルの向きはそろっていません。

などなど…お客様の期待感に対して「出来ません」「違います」的なマイナス表現でのQ&Aが多く、印象的に良くありません。

同じ内容を回答するにしても、マイナス表現で終えるのではなく、例えば
「天然の白髪ではありませんが、白髪と比較して遜色はありません」
とか、
「キューティクルの向きはそろっていませんのでカット練習には不向きですが、染毛に関しては差はありません。また価格を安く抑えております」

など、メリット面も記してプラスの印象で文章を終える工夫をしましょう。

Q&A集は決してクレーム防止や言い訳のためだけのコンテンツではありません。プロショップとしての専門知識による信頼感を得るコンテンツにしなければもったいないです。

そういう意味ではもっともっとプラスのQ&Aを増やすことも、意味あるSEO対策、アクセスアップのコンテンツになるはずです。

確認…ちょっと気になったので下記ご確認ください。

馬毛毛束 [白毛]
http://www.ketabaya.com/product/5

カテゴリー「人毛テスト毛束」の中にあるのですが…人毛? 馬毛?

商品説明にも
人毛毛束 馬毛白1g 10cm (1袋 20本入り)

とあり、人の毛なのか? 馬の毛なのか? よくわかりません。

総評

プロが見ればわかる!? のかも知れませんが、少なくとも私の目からは現状の「毛束屋」さんにどんなアドバンテージ(強み)があるのか? 競合他社にはない情報やノウハウがあるのか? がまったく見えてきませんでした。

ターゲットがプロであれば、既に取引のある毛束業者があるでしょうし、また、カットやカラーの練習用のウィッグやマネキンも3千円〜数千円台で販売しているオンラインショップも検索すればすぐに見つけられますよね。これらと差別化をするための、専門サイトならではのコンテンツやノウハウを絡めた商品・サービス、そして相談できる、相談しやすい体制を作ることが大切だと思います。

「ダメ出し!道場」お申し込み時のコメントに「アクセス数を増やしたい」とありましたが、冒頭のコラムでも申し上げましたように、ただアクセス数やPV数を追い求めても無意味です。

むしろ、電話での相談やSNS(FBやLINE)などを使った生の問い合わせを歓迎したり、どんなことをするにはどんな毛束が良いとか、カラーやブリーチと毛質に関するノウハウなどのアドバイスとか…

毛のプロとして見込み客に対して信頼感を売り込むことで固定客を増やし、リピート購入を増やして行くような戦略が必要なのではないでしょうか?

「お電話受け付けません!」の姿勢は、はっきり申し上げてオススメできません。

また素人のアイデアレベルですが、新規市場、見込み客層として…
「美容・理容系専門学校の教材(法人購入・斡旋購入)」
「同学生の練習用の個人的な需要(個人購入)」
「リアルなフィギュアなど創作系のアーティストなどのニーズ」
など、美容師とメーカー以外のその他の見込み客層は考えられないでしょうか? そういう潜在需要を掘り起こすような商品企画やサービス企画、イベントなどを行うこともネットだからこそできるアイデアです。

既存市場だけで十分に忙しく儲かるのであれば考えなくとも良いですが…もし新規市場や新規顧客を増やしたいのであれば…

プロ用専門店だからと狭い常識や自らの意識の壁に閉ざされると、アクセスも、真のユーザーとの出会いも増えません。
本当に意味ある数字を増やすためには、何らかの新しいチャレンジやアクションを起こし、情報発信していくことが重要です。

アイデアは発想に煮詰まったらいつでも相談会にお越しください。 (^-^)

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。