> > ダメ出し道場バックナンバー
オーダーメイド&手作りワンコ服のしっぽ屋さん

宣伝がどうしたら上手く出来るのか?宣伝に費用をかけるとお客様に 今の料金ではお作り出来なくなります かと言って 一度に大量の注文を受ける事も私1人で作ってるので対応出来なくなります  どうやって 宣伝するのが良いのか分かりませんと言うのが現状です。

先日たまたまテレビのチャンネルを変えていると、大きな和紙に墨で何かを書いている男性の姿を見て、「何を書くのだろうか?」と気になって見入ってしまいました。

すると「初心不可忘」(初心忘るべからず)と書いたその方は、能楽師観世宗家の観世清和さんでした。

このいろいろなところでよく目に、耳にする「初心忘るべからず」という言葉は、「能」を大成した観阿弥・世阿弥の世阿弥の言葉だそうです。

ただ、意味は今一般的に思われている(ことわざ辞典に載っている)「物事を始めた頃の最初の思いや志を忘れずに励みなさい!」と言う意味(初志)ではありません。

世阿弥の言う「初心」とは…
世阿弥の著書「花鏡」の中に

是非の初心忘るべからず
時々の初心忘るべからず
老後の初心忘るべからず

と3つの初心として書かれています。

「是非の初心」は最初の頃の未熟さ、失敗した経験、その時の心。
「時々の初心」はその時々にあった乗り越え方、心。
「老後の初心」はベテランになっても初めて出遭った事を乗り越える心。

それぞれの初体験をワクワクして乗り越えようとする心=「初心」を忘れるな! ということのようです。

老いて行くことさえも誰にとっても初めての経験、それを楽しみながら乗り越えて行く心があれば無限の可能性がある! という人生への挑戦メッセージのようですね。
───────────────────────
さて、今回のショップさんは、すでに年金受給のシニア世代のオーナーさんが個人事業として運営するお店。お話を聞いていくうちに私がいかに未熟な常識にとらわれていたか気付かされました。

定年退職してから第二の人生でネットショップを始めたとか、ガムシャラではなくのんびり楽しみながら趣味や生きがいとしてほどほどにネットショップを楽しみたい! といった個人事業のオーナーさんたちには参考になるのではないでしょうか。

いつものアグレッシブに右肩上がりを目指すためのダメ出しとはちょっと違った回になりそうです。

それではダメ出し!道場スタートです!(^^;)

第一印象……古き良きスモールショップ……


EC仙人 太田

インターネットショッピング初期の頃に見かけた、独学で手作りのひたむきで一生懸命な雰囲気が感じられる古き良きスモールショップというのが第一印象です。

ただ、今となってはサムネイル画像が小さい、ランキングサイトのバナーがある、スマホ対応できていないなど古臭く感じられます。

これもお店の個性や演出であれば、決して悪いというわけではありません。

個人経営のスモールショップが無理をして、見栄えだけ大手企業のような洗練されたデザインであっても、中身が伴わない店も増えた中では、むしろ店長個人の個性や息遣いが感じられる小さな専門店にホッとされるお客様もいらっしゃると思います。

特に、薄利多売の量販をするような業種ではなく、1点ずつオーダーメイドの服屋さんですので、ドライでビジネスライクにやりとりされるより、しっかりと対話をしながら手作りしてくれる雰囲気は悪くないと思います。

ただ、それには店長の顔を出せないまでも、せめてプロフィールをもう少し充実させて、人柄や考えをトップページ第一印象で感じられれば良いのになぁと感じました。

具体的なダメ出し!


EC仙人 太田

まず、「ワンコ服のしっぽ屋」さんですが、ワンコ、わんこという表現は日本人であれば誰しもが犬のことだと理解はできるのですが、検索での来店を期待するならば「犬の服」「犬服」といった表現も、店名や店舗の説明としてトップページに欲しいところですね。

現状はランキングサイトの名前に「犬の服」とあるだけで、自店についてはトップページに「犬」という文字すらありません。

そして実際に犬が服を着たビジュアル(写真)がトップページに1枚もないのは、ちょっと残念です。
店長の愛犬さんが着た写真や、お客様から掲載許可を頂いて実際にしっぽ屋さんの服を着た犬の写真をぜひイメージカットとしてページの上のほうに掲載したいところです。

─────────
特定商取引法表示、会社概要、店舗情報など、どこのネットショップに行ってもあるべき情報の表記がトップページに見当たりません。
実際には左メニューの「御注文の前にお読み下さい」がそれに当たるのですが、できれば「特定商取引法表示」としておきましょう。

むしろ「御注文の前にお読み下さい」では、店長やお店の自己紹介として信念やポリシー、犬服についての考え方、ご注文からお届けまでの流れなどを箇条書きや流れ図のような形で整理して表記されると、お客様にとってよりわかりやすくなるのではないでしょうか。
─────────
サムネイル画像を大きく!
トップページでも分類ページでも、商品一覧の際に表示されているサムネイル画像が現状は80×60ピクセルと小さいのですが…これもお店ができた12年前であれば、まだ多くのパソコンの解像度も低く、ネット回線のスピードも遅かったので致し方なかったのですが、2019年の今となっては小さ過ぎて、高解像度のパソコンでは見えにくいですし、スマホでアクセスしてくる方にもスマホ対応していないためにものすごく小さくてよく見えません。

理想的には早めにスマホ用、レスポンシブ対応のページに移行すべきですが、まずはサムネイル画像だけでも大きく変更したいところです。

インタビューで浮き彫りになった事…


EC仙人 太田

今回も店長の小島さんにお電話でインタビューさせていただきました。

小島さんは60代の女性で、ご本人も旦那様もご病気があったり、愛犬もかなりの高齢犬で介護が必要だったり、またご夫婦ともすでに年金受給されていたりもあって、それほど必死で仕事をして儲けようというのではなく、趣味、ライフワークとして好きな犬や洋裁に関連したことで人とつながり喜んでいただけることを優先して考えておられる店長さんです。

もともと、若いころはアパレルのメーカーでベビー服のデザインのお仕事をされていたこともあって、服作りに関しての知識や経験、仕入れのネットワークなどもお持ちだったり、しっぽ屋の前から今の自宅で地元の方を対象にキルト、パッチワークの教室を運営なさっているそうです。

もともとはご自身の愛犬の服を注文していた他のオーダーメイドのお店があったのですが、そこが閉店してしまったので「じゃぁ自分で作っちゃおう!」と、犬服作りを勉強して作ったのがしっぽ屋さん開業のきっかけだそうです。

キルトの教室のホームページを独学で作っていたので、犬服のホームページも作ろうとネット検索していておちゃのこネットを見つけ、ホームページのつもりがお店サイトとして運営していくことになったそうです。

驚くのはおちゃのこに申し込んでアカウントができると、ネットショップの右も左もわからず、HTMLタグなんてまったく知らないまま、ほんの1〜2日で一気にページを作りこんでオープンさせたそうです!

小島さんはいまだにHTMLはよくわからず、HTMLタグが必要なところだけは別の会社にお勤めでPCやネットに多少詳しい娘さんが実家に帰った際にちょっと手伝ってもらうだけなのだとか。

意欲とその行動力、「失敗してもいいからまずやってみよう!」という志も、正に古き良きスモールネットショップの店長さんです!

ただ、ここ数年はご主人やご本人、老犬の病気や介護とパッチワーク教室の運営でかなり手一杯で、しっぽ屋さんのほうに多くの時間をかけて手直しなどができない状況とのこと。とはいえ、月に数件はリピーターさんを中心にメールでお問合わせが入り、オーダーメイドをお受けしているのでちょうど良いペースだそうです。

スマホ対応もできていないし、ショップにはSNSのリンクなどもないですが、小島さんご自身は個人的にはスマホも使いこなしているし、FacebookもInstagramもTwitterもアカウントをお持ちだそうです。

ただ前述のとおり、そんなにガツガツと注文を増やしたいわけではないので、SNSはのんびりと個人的な楽しみの延長で十分だそうですが…

それほどスキルや見栄えも気にせずに手軽にできるtwitterくらいでお店のSNSもやってみてはいかがでしょうか?

総評

従来の「ダメ出し! 道場」のモノサシで言えば、ネットショップとして改善点はたくさんあるし、もう少し点数は低くてもおかしくないのですが…

今回は実際にお話を聞いて、おちゃのこネットにお店を開いた目的や、お店の存在意義が必ずしも高い売上や利益という商売人のモノサシではなく、趣味や生きがい、人とのつながりによる喜びという、いつもと違ったものであることに、私も目からウロコでした。

出店料やコストが高い楽天やトランザクションの多いAmazonなどでの収益最優先のネットショップ運営だけが理想的なわけではなく、こんな小さな個人店があっても良いのだ! とあらためて感じます。

家賃や経費の高い実店舗ではなく、コストの安いおちゃのこネットだからこそ個人の趣味や副業的なスモールショップが赤字にならずに成り立ち、金銭的には小さな満足度でもやりがい、生きがいとしては十分な満足度を得られる。

スマホの普及、フリマアプリの登場で個人間の売り買いも当たり前にはなりましたが、きちんとお店を構えて所在や素性を明らかにし、自分のこだわりや考え方を詳らかにすることで共感、共鳴してくれるお客様とつながり、常連さん・リピーターさんになってくれる。

それがフリマとおちゃのこネットでのお店との違いだとあらためて気づかせてもらえるようなお店です。

流行遅れ(スマホ対応)に関しては、これから追い付いていけば良いと思います。それよりも、一人一人のお客様とメールで会話しながら個々のお客様のワンちゃんの様子を聞き、実測のヌードサイズと犬種や体格によって服のサイズを微調整しながら作って行く小島さんの、本当にワンコを愛する優しさと職人技が感じられるお店です。

多少ページがダサくとも、こういう焦らないのんびりとした質の良いお店も、おちゃのこネットにはもっと増えて欲しいですね〜。
──────────────────────────────
商品を見ていると…服以外のこんな商品を見つけました。

ワンコ用ペットスリング(抱っこ紐)
http://wanko-tezukuri.ocnk.net/product/96

オーナーさんの愛犬の病気をきっかけに作ってみたところ便利だったので商品にされたとのことですが…これなら服と違ってオーダーメイドでなくともサイズは大・中・小くらいに既成品化できるのでは?

もっとトップページでアピールすれば良いのになぁ…と、いつもの私はつい考えてしまうのですが…しっぽ屋さんでは注文が多くなり過ぎると服の製作ができなくなってしまうので…嬉しくないんですよね(^^;)

でも、多くのお客様の要望があれば…それにお応えするのもやりがいでしょうから…既製品化できそうなのであれば、これなどは外注化してある程度は量産化してしまうという発想もありかと思います。

また、お客様の要望で犬服だけでなく猫服を作ることもあるそうです。
ただ、猫は自分で毛づくろいをする生き物なので服を着せることに小島さんが抵抗があると…あえて表記していないのだそうです。

でもずっと着せるのではなく、ちょっと可愛い服を着せて写真を撮ったり、短いお出かけの間だけ着せたいという飼い主さんも少なくないのでしょうから、
「猫ちゃんの服も作れます! まずはメールで気軽にご相談ください!」
と書いておくだけでも違うと思うのですが…(^^;)
ついつい、欲張って考えてしまいます。

商売とは常に右肩上がり、売上UP、収益UPが当たり前と考えてしまいがちですが…収益優先の発想ではなく、そんなにリスクを負わずに細〜く、長〜く、のんびり、楽し〜くを優先した個人事業主さんのスモールショップという発想も有りなんですよね〜!

高齢化社会、定年後に生活のためというより、生きがいのために、こういうお店は増えるかもしれませんね!

人生「初心不可忘」! これから出遭う新しいことを楽しんで乗り越えて行きたいものですね!


※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。