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ESS FACTORY 「海老龍」

素人が見様見真似で作ったサイトです。
商品(海老)には自信がありますが、なかなか売れ行きが伴いません。
ドンドンダメ出ししてやってください!

「なんか美味しいもの、食べに行きたいなぁ〜」
誰しもそんな気分のときってありますよね…

そんなとき皆さんは何を食べたくなりますか?
ステーキ?
お寿司?
焼肉?

私は海老なんです(^^;)
カニでもなく、海老!
大好物です。

海老のプリプリとした触感、甘味、旨味がなんともいえませんね!

中医学ではカニは体を冷やすといいますが、海老は体を温めてくれるそうで、体にも優しくて良いそうです。

でも、ひとくちに海老といっても、小さなシュリンプから大きな伊勢海老などまで、大きさも値段もさまざまですよね。
国産の車海老なら、17〜18cmの特大だと1匹1,000円以上もしますし、伊勢海老になれば、小さなものでも1匹2,000円、大きなものなら30cm以上で1万円越えも珍しくありません。

では、あなたのお店が海老を販売するお店だとして…
もしもたった2cm〜3cmの小さな小さな海老が、車海老や伊勢海老よりも高く、「1匹で3万円〜5万円で売れるよ!」なんて言われたら??

「そんな相場度外視の高値で売れるわけないよ!」
そう思ったあなたは先入観にとらわれ過ぎです!(^^;)

そう、今日のお店は、そんな海老販売の専門店さんなんですよ!
1匹数百円の安い海老から、1匹が数万円の超高級海老までを全国に販売されています!

それでは、ダメ出し道場、始まり〜

第一印象:観賞用海老の専門店だとはわかるが…


EC仙人 太田

はい、皆さん! ごめんなさい!
海老は海老でも食用ではなく、観賞用の希少な色柄を持った海老(ビーシュリンプ、シャドウシュリンプなど)の専門店さんでしたぁ〜〜〜〜!(笑)

でもお店のトップページを見るまで、てっきり食用海老のお店だと思い込んでいませんでしたか?
実は私も、今回は海老のお店と聞いて、最初はそう思っていました。(^^;)

それでちょっと皆さんに食用海老だと思い込ませるようなイタズラをしかけてみました。ごめんなさい!

なーんだ、観賞用の海老(シュリンプ)じゃん!
そう! 淡水の水槽で飼う、観賞用の海老の専門店さんなのです。

でもでも、驚きませんでしたか?
たった2〜3cmの小さな海老が、国産高級車海老や伊勢海老よりも高く、1匹何万円もの価格で売れるなんて!

しかもほとんどすべての海老を自社で産卵、繁殖させているので、餌代や電気、水代はかかりますが、海老そのものの仕入れコストはほとんどかかっていないそうで、かなり高い粗利率が期待できます!
スマホ、PCサイトともに、いろいろな海老や魚の写真が並び、なんとなく観賞用の海老や魚のお店なんだなぁというところはわかりますし、「海老龍のブリード直売」とあるので、上級者の方にはブリーダー(繁殖家)の専門店だというところまでわかると思います。

しかしながら、初心者や興味はあるものの、ほとんど知識のないレベルのお客様には、入門的なコンテンツ、つまり海老の種類や基本的な飼育環境(どんな種類があってどう違うのか? 何が最低限必要なのか?)、高い海老と安い海老の違いなども見当たらず…

左メニューの「エビはじめませんか? 初心者さま応援シュリンプ」以外はクリックしてもよくわかりません。
意図的にこのページに初心者を誘導する狙いなのかも知れませんが、かといってここに入っても初心者向けのいろいろな種類、色、サイズを混ぜた10匹セットがあるだけです。
道具やエサなどに関して説明も、誘導もありません。

再度トップページに戻り、眺めてみると「デリバリー立ち上げ」とか「殖えるエビ水槽の立ち上げ方」などのバナーが目に入ります。

素人にはなじみのない言葉ですが、「立ち上げ」という用語…おそらく最初の水槽の環境づくりだろうというメニューを見つけて中に入ります。

「デリバリー立ち上げ」の方は、出張してセットアップしてくれるサービスだとわかりますが、コストも高いので、自分でやりたい人はもう一つの「立ち上げ方」のコンテンツに入るでしょう。
https://ameblo.jp/tackyvaio/entry-12386111125.html

すると、おちゃのこショップを離れ、Amebloのブログに飛んで行くのですが…新規立ち上げではなく「リセット」という古い水槽の水や砂を替える説明だと気付きます。
長々と詳しくは書かれているのですが、あくまで長い文章で…結局はどの位の大きさの水槽に何がどれくらい必要なのかはよくわかりません。
水槽の大きさによっても必要な軽石や土壌(砂やソイル)などがどれほど必要なのかなど、具体的に何をどれだけ注文すればよいかよくわかりません。

初心者にはこのページに書いてあることをいきなり理解するだけの基礎知識がありません。つまりはせっかく初心者向けの商品、導線を用意しながら、そこに行くと、結局自分で何をどれだけ注文したらよいか判断できるほどにはよくわからず…行き詰まってしまうのです。

実店舗で対面であれば、こういう流れでの説明でも、その都度お客様は質問をして、個々に回答できますが、Webではダラダラと長い説明をすればするほど、途中で挫折したり面倒くさくなって逃げて行く方も増えてきます。(他にわかりやすいサイトがないか調べ始める)
問い合わせしてくれればよいのですが、そんな方はむしろ少数派でしょう。

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左メニュー、スマホメニューの「商品カテゴリー」を見ても、先ほどの「エビはじめませんか?」以外は「Mark-X」だの「ナナシー」だの「パンダ」だのと品種らしき専門用語が並び、一つずつクリックしなければそれがどんなものかもわかりませんし、クリックしてみたところで一つ一つの品種の細かな説明はなく、初心者には違いさえよくわかりません。

初心者応援シュリンプ
http://ebiryu.ocnk.net/product/135
は10匹セットで3,000円と初心者でも、「なるほどその位の値段なのか」と受け入れやすいのですが…

例えばそのすぐ下の「Mark-X」
http://ebiryu.ocnk.net/product-list/23
になると、「オープン価格」や1万9,800円だの1万8,000円だのと一気に6倍もの値段になるだけでなく、「これが1匹の値段なのか?」「先ほどと同じ10匹の値段なのか?」も記載がなく、不安に駆られます。

素人考えでは同じ10匹の価格だろうと推測したのですが、後のインタビューでこれは1匹の値段だと聞いてびっくりしました。当然私が初心者の客なら、怖くて買えません。

説明文も読んでも…「Nanacyをタイガー柄を基調に縦ライン、ドットを載せ」「Mark-2からは出にくいといわれているRedをも輩出」などもはや呪文のようで何の話をしているかさえちんぷんかんぷんです。

残念ながら恐らく多くのビギナーさんは、この時点でこの店は初心者向きではないなと感じて店を去るでしょう。「この店は上級者向けのお店だな」。それが素直な第一印象です。

 

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

いつものように、店長さんにお電話でいろいろとインタビューをさせていただきました。
店長の滝川さんは、じつはこの商売とはまったく別のかなりお堅いお仕事もされていらっしゃるのですが、10年前に趣味で飼っていた海老の繁殖を副業として始められ、Yahooオークションで販売したところ、反響があったので徐々に繁殖設備の規模を大きくされ、7年前におちゃのこに出店されたそうです。

現在はおちゃのこネットとYahooオークション、直接来店される方への販売をされておられるとのことです。新規客は検索とブログからと、Yahooオークションからの来店があるそうです。

ヤフオクは全品必ず1円スタート(最低落札価格を設定せず)されているとのことですが、それでも数千円では落札され、赤字にはなっていないそうです。(仕入れがないので経費・手間賃以上であれば利益は出る)

集客につながれば十分との思いでのヤフオクですが、十分に利益が出ているのは、きっと商品力の高さ(需要の高さ)を意味しているのでしょう。

ただ目標としては、できるだけ早くおちゃのこネットでの販売を今の5倍以上にして安定させ、その都度出品しなければならないヤフオクの比率を抑えたいそうです。

もう10年近く海老の専門店をなさっているためにリピーターも多く、特定の珍しい品種を開発されてきている信頼感から、「海老龍」には一定以上のブランド力があるようです。

初心者の私には、最初は1匹が数百円のものと、数万円もするものの差が「単なる希少性か?」程度しか想像つかなかったのですが…

滝川店長にお話を聞いているうちに、「安価なものは繁殖すると次世代で親と違う色柄になる確率が高いが、高価なものはその色柄の希少性に加え、繁殖した際にも次の世代、その次の世代に高い確率で同じ色柄が出てくる(種として固定化されている)ことに価値があるのだそうです。

上級者、マニアになればなるほど、レアな種を繁殖させたかったり、自分の持っている別の色柄のものとかけ合わせることで新たな種を狙って意図的に生み出したりする楽しみがあるようです。

一方で、そんなコダワリはなく、単に水生ペットとしてどんな色柄でも長生きしてくれて、雑種でもなんでも繁殖すれば十分という方もいらっしゃるので、楽しみ方は人それぞれだそうです。

最近では女性の方が、インテリア性を重視してキレイな色柄の種を求めてこられることも増えているとか。
そうした傾向の強い方は、極論すれば難しい繁殖などもあまり考えず、購入した1世代が寿命が尽きたらまた新たに買うといった割り切った考え方をお持ちであることも少なくないようです。

海老龍さんは本来、その優れた繁殖力とレアな種を生み出したことで上級者・マニアに評価・人気の高いお店のようですが、最近ではこうしたユルいビギナーの客層にもすそ野を広げていきたいとのことです。

規模拡大とノウハウ


EC仙人 太田

どんな生き物も個々に適した育成環境があると思いますが、海老の場合、水のpH(水素イオン濃度→酸性・アルカリ性の状態)は中性である7よりも低い、そこそこ強い酸性のほうがよく、またミネラルや不純物の濃度などにも適性値があるそうです。

それが少しでも狂うと死ぬ場合もあり、死なないまでも大きく育たないとか、普通に1世代は生きるが繁殖はしないなど、なかなかシビアでデリケートなようです。

海老龍さんでは長年の試行錯誤で飼育・繁殖に最適な岐阜の湧き水を見つけ、砂や土などのソイル(土壌)、水を浄化するバクテリアの種類、有害な窒素酸化物やアンモニア、リン酸などを除去したり抑える水の改質剤など、独自のレシピの商品を開発されて競合他店との差別化をされています。

特に水の吟味にはあちこちの湧き水など試され、ベストな水源を見つけ、毎週タンク車で給水に行かれているとか。
自然の湧き水であるために湧出量も変化するので、湧出量が少ないときは満タンにするのに4時間も待つことがあるのだとか…

数百もあるという水槽の水替えや、出荷に使う水だけでもかなりの量なので、給水頻度も高くなり、大変そうでした。

水槽を並べた倉庫は24時間365日温度管理され、災害などのリスク分散のために、現状は3箇所に分けておられるとのこと。
すべてのメンテナンスと受注、出荷業務も現状は1人でこなしておられるとのことですが…

業績を伸ばす上で、どの分野からか、いずれはスタッフを採用し、育成していかないと、規模拡大の上で社長ご自身のキャパがボトルネックになると思われます。

「ダメ出し」改善案


EC仙人 太田

社長ご自身がおっしゃっているように、売上を伸ばして行く上では、やはり上級者・マニアだけでなく、ビギナー層や、品種のこだわり、繁殖が絶対ではない客層を増やしていくことが重要です。

その観点から見ると、サイト全体的に初心者向けのコンテンツや表現が少なく、改善の余地は大きいと思います。

まずは海老飼育の基本用語集、基礎知識集的コンテンツの準備0からの水槽立ち上げ手順書、必需品リストと水槽容量に合わせたセット提案(例えば20Lならソイルや軽石は何Kg、40Lなら何Kgと、それぞれに適量の資材・薬剤などのセット提案)

プロには当たり前過ぎる点も含めて初心者が不安、疑問に思うことを想定したマニュアル(軽石や砂は洗わなくてよいのか? とかカルキ抜きの方法や水の注ぎ方、届いた海老をどう水槽に移せばよいのか? などなど細かく具体的に)

飼育による制約やデメリット、心理的ハードルを早めに取るコンテンツ(水温管理を水槽用のヒーターやクーラーで行うための電気代概算とか、部屋全体をエアコンで1年中温度管理する必要があること、数日留守にしてエサをやれなくても旅行などに行けるのか? など)

お客様をタイプごとに分けて、適した商品を薦める。
1)純粋に観賞用に飼いたいだけの客層(品種や繁殖にこだわらない)
2)繁殖までは望まないがブランドや色柄にはこだわりたい
3)ブリードしたい、できたら売りたい
4)レアな種類を生み出したい、増やしたいマニアックな層
などを想定して、それに合わせたオススメ商品を用意するなど…

また全商品、商品ごとに「上級者向け」「中級者向け」「初心者向け」のようなインジケーター(マーク)を作ってサムネイル画像に貼っておけば、ひと目でわかるようになりますね。

各商品ページの説明文、用語なども見直して、初心者がわからない表現や用語は解説を入れる、用語集へのリンクを張るなど、かゆいところに手の届くサイトに改善していく

などが必要だと思います。

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その他、ショップ戦略の一つとして、スマホとSNSを重視する必要があると思います。

スマホ対応は遅れ気味です。
まだひと昔前の携帯サイトのみで、レスポンシブ対応に移行できていないので、まずはレスポンシブ対応に移行しましょう。

SNSはAmeblo中心で、一応はInstagramとFacebookはやってみているものの、そこから集客にはつながっていないようですし、趣味的ジャンルに最も向いているSNSである twitter をされておらず、もったいないですね。

「ダメ出し!道場」でも何度も言っていますが、Instagram は実店舗のあるお店でお客様発信が期待できる業種なら効果が高いのですが、単にお店発信では拡散もできません。
一方、twitterはリツイートの機能があるのと、おしゃれさや「映え」よりも、実用的であったり意味のあるツイートが評価、歓迎されるとそれをリツイートして人に伝えたくなるので、趣味的傾向の強いお店ほど効果が期待できるSNSです。

ぜひtwitterをオススメしたいと思います。

twitter と Youtube での情報発信は、ぜひ工夫しながら取り組まれることをオススメします。

Youtube も個人アカウントで5年間で8動画
https://www.youtube.com/user/tackyvaio/videos
海老龍チャンネルで2動画
https://www.youtube.com/channel/UCIg9KMKGnqZr6CmVqpVJjhw
試された痕跡はあるのですが…

それも短い無声で画質の悪い動画だけで、ほとんど集客につながってはいないようです。単に生体を見せるというだけでなく、立ち上げ手順の説明や、届いたときの開梱から水槽へ馴染ませて移す方法など、動画の活用は特に有効なタイプのお店だと思うので、今後の課題でしょう。

Youtube は、視聴してもらうにはサムネイル画像での文字載せ(キャッチコピー)がショップのバナー同様に重要です。
iPhone、Androidとも Youtube Studio という無料の公式アプリでYoutube動画のサムネイル画像の設定ができますので、ぜひお使い下さい。

総評

商売のコアな部分(品種、商品の開発、繁殖、実績)は十分! ですが、従来の上級者やマニアのターゲットだけでは売上規模が伸びにくく、最近から初心者層にすそ野を拡大する方針に変えたばかりですが、その対応、改善がまだほとんどできていない様子。

マニアショップとしてはまぁ合格点ですが、初心者向けショップとしては不十分なので、今後の期待を込めて60点としました。

店長の頭の中、ブログには豊富なコンテンツが言葉としては山ほどあるので、それをいかに簡素にまとめたり、小冊子化、映像化することができるか?

それができればとても魅力的なショップになるのではないでしょうか。

実はお電話ではこの辺も少し一緒にブレストしたのですが…
フリーのライターさんやクリエイターさんに依頼して、膨大なブログコンテンツの中から育成や繁殖、水槽づくりなどのノウハウを抽出・編集できれば、HowTo小冊子やHowTo映像として新たな価値を生み出せると思います。

まだまだポテンシャルの大きなお店だと感じます。

今回は触れませんでしたが、海老以外の新ジャンルとして「ベタ」という魚の繁殖にも取り組まれているようですので、今後に期待もできますが…

その分、店長はより忙しく、ページに手を入れるなど改善の時間が取れなくなることが心配でもあります。

「滝川店長でなければ絶対にできないこと」と、「店長でなくても(バイトでも)できること」に仕事・業務の整理をして、店長のしたい・すべき新しいことをやる時間を確保するようにしなければ、店長のキャパがお店のキャパで止まってしまいます。
人への投資(採用・育成)は時間もかかるので、早め早めに計画していきましょう。

個人の「商売」から法人の「事業」への、ちょうどよい転換期なのではないでしょうか?

以上 「ダメ出し!道場」でした。

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。