KAMOSHIKA Online SHOP

カテゴリ:スポーツ、レジャー

KAMOSHIKA Online SHOP

弊社はおちゃのこネット様にてオンラインショップを始めてから7年目を迎え、おかげさまで売上は年次で増加しております。 個別の製品ページやカテゴリのページにSEOを行い、ある程度売上を立てることができるようになった一方で、取り扱いのできる製品はひととおり掲載したため、販売製品のアイテム数を伸ばすことで売上を伸ばす方法に頭打ち感が出てまいりました。 また、カタログ的なサイト構成に偏重しているため、同業他社との差別化、商品の魅力を掘り下げた文章表現やお客様を引き付ける映像表現の必要性も感じております。 3年前よりヤフーショッピングも同時展開しておりますので、今後はモール展開とは別に、自社ECサイトのサービス展開や個性をどのように打ち出してゆくかが課題です。 この度機会をいただけるようでしたら、太田様よりご指摘・ご指導をいただけましたらありがたく思い応募させていただきます。 何卒、よろしくお願いを申し上げます。

唐突ですが、あなたの家にある物をざっと見まわしてみてください。

例えば今着ているその服、本棚に並んでいるたくさんの本、ペン立てに立っているペンや鉛筆。

どこのお店で買ったか覚えていますか?
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キッチンに並んでいる包丁、お玉、おろし金、皮むき器。
お醤油、お塩、お菓子、電池、花瓶、食器やタオル。
玄関の靴ベラ、スリッパ、お風呂の椅子、トイレのマット。

すべてどこのなんというお店で買ったか覚えていたら、あなたはスゴイ!
私なんて9割方は覚えていません(^^;)

特に家電製品や本、CDやDVDソフト、大手ブランドの洗剤や食品など、全国どこの量販店でも買えるような物は、ご近所にスーパーが何軒もあったり、家電店が何軒もあると、「えーっと、これはどこの店で買ったんだっけな? いや、ネットだっけな?」

皆さんもどこで買ったか覚えていない物が多いのではないでしょうか?
「いや、全部Amazonだから」なんて悲しいことを言う読者さんは、いないで欲しいですが…(笑)

はい。買い物、ショッピングにおいては、何を買うかは大事でも、どこで買うかは優先度が低く、コンビニや大手量販店で扱っているような商品ならば、何件かの候補のお店の中から「安い店」で買い、しばらく経てば、どこで買ったかは大して重要ではないことになってしまうものです。

でも、例えばそのお店にしかないオンリーワン商品だったり、そうではなくても、家や、保険や、車などの高額だったり、相談しながら納得しないと買えないような物は、単に安さだけでなく、多少高くともお店やスタッフの知識やノウハウや信頼感やアフターケアの安心感というような別の「価値」を魅力として「どこで買うか」も重要な要素になってきます。

さて…
あなたのお店は単に値段が魅力の「いくらで買えるか?」だけのお店か?「このお店だからこそ安心、信頼して買うんだ!」というお店か? いかがでしょうか?

本日のお店は、場合によっては命に関わるような商品も多く扱うお店です。値段だけではない「魅力」や「価値」が、「このお店で買うんだ!」にうまく繋がっているでしょうか?
それでは「ダメ出し!道場」、始まりです!

第一印象


EC仙人 太田

トップページを見ると、まずは目に飛び込んでくる大きなバナー画像の中の「雪山」や「山岳テント」、登山用品/クライミング用品のテキストなどで、すぐに「登山用品」の専門店さんなんだとひと目でわかります。

少し下にスクロールしていけば、左カテゴリーメニューや取り扱いブランドの多さから、かなり品揃え豊富なお店だということも容易に想像できます。

ただ、トップページにオススメ商品や特集コーナーなどの提案が見られないので、いわゆる自販機型のお店なのかなぁ…と。

Google などで カモシカさんを検索すると、当店の他に自社サイト、Yahoo店、Instagramなど、自前サイトだけでなく、登山関係のブログサイトや登山系の専門記事サイトなどが多くヒットし、業界ではかなり認知度やファンも多いショップなんだなぁというのがわかりました。

しかしながら、実店舗を知る方や登山用品に詳しい方には有名なお店なのかもしれませんが…
おちゃのこショップには業歴や実績などの自己紹介も見られず、ややアピールの弱い印象でもったいないです。

自社サイト(https://kamoshika.co.jp/)によれば、実店舗が
高田馬場本店(東京都)
横浜店(神奈川県)
松本店(長野県)

にあり、オンラインショップは横浜店にあるようです。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

今回の「ダメ出し!道場」への申し込みは、オンラインショップ担当である横浜店の橋本さんと、責任者で横浜店の店長さんでもある菅沼さんからということで、お二人に電話でお話を伺いました。

カモシカさんは1964年創業で、業歴58年目の老舗。
創業者の高橋和之さんは登山家としても有名な方で、ヒマラヤ、アルプス、アフリカ、南極など海外の難しい山への登頂も数多く、著書も多数出されているようです。
21歳でカモシカスポーツを起業。
2019年に引退され、現在は佐藤日出雄社長があとを継がれ社長に。

現在3軒の実店舗+オンラインショップで38名のスタッフで運営されているようです。

ネットショップは2015年 からおちゃのこネットでスタート。
現在はおちゃのこの他はYahooショッピング店もありますが、売上比率は7:3程度。Yahoo店は検索で買う自販機ショップ的な購入がほとんどのようです。

テント、シュラフ(寝袋)、シューズ、ウェアなどに一部カモシカスポーツオリジナル商品もあるようですが、ほとんどは仕入れメーカー品なので、ネット上にも同じ商品を扱うライバル店は多く、差別化が難しく価格競争になっている商品もかなりありそうです。

今まではとにかく取扱商品をネットにアップして品数を増やすことと、この2年間はコロナ環境下でアウトドアや登山する人やネット購入者増加でネット販売の売上も増えてきましたが、そろそろ頭打ちなので、今後の取り組みについて考えるきっかけになればと、「ダメ出し!道場」へ応募してこられたそうです。

登山用品という一丁目一番地の得意ジャンルだけでなく、そこから派生した高所作業用品(ハーネスやロープ、カラビナなどの金具や道具類)として登山用品応用の新市場が伸びているので、実店舗に専門コーナーを設け、品揃えも充実し、情報やノウハウも蓄積できているので、今後に期待できそうです。

オンラインショップ事業は会社のトップダウンで始めたのではなく、横浜店の菅沼店長のチャレンジ精神と、IT業界からの転職でネットの知識やスキルのあった橋本さんがいたことからスタートし、横浜店のスタッフ達と試行錯誤しながらできることをコツコツとやってきて現在に至っているので、会社として明確に確固たる戦略や方向性があって進めていけているわけではなさそうです。

人員や労力、かけられるコストにもあまり余裕や先行投資が十分にあるわけではなさそうなので、今後どうしていくか、新たなチャレンジや増強となると、経営陣や他店も含めて全社的な合意や協力、投資も必要になってくると思われます。

例)ネット発ユーザー参加型の企画商品やイベント、SNSで実店舗が遠いエリアのファン獲得やコラボ
Youtube での動画活用型の商品レビュー情報発信やYoutuberとのコラボによるカモシカ認知度アップやカモシカブランドロイヤリティの向上
高所作業用品の専門店(オンラインショップ)の分離立ち上げや法人窓口、営業担当者の増員や育成、セミナーなどの企画などなど

菅沼さん、橋本さんの横浜店だけでは意思決定的にも、予算や労力的にも決められない「経営レベル」の判断や専門部署、専門担当者の支援もいろいろと必要になる段階だと思います。(物流投資、システム投資、人材投資、外注費投資、新商品開発費など)

具体的なダメ出し…


EC仙人 太田

いくつか初心者目線で気になったり、よくわからないページをダメ出ししてみます。

・EXPED エクスペド DownMat HL Winter M
https://www.kamoshikasports.com/product/4344

Downとあるがダウン(羽毛)が入っているの?
テーパード型とかグリップスキンハニカムパターンコーティングとかシュノッツェルポンプバッグとか仕様や説明文にカタカナが多く、すべてのお客様がひと目で意味や部位や機能や形状がわかるとは思えません。

お店やスタッフ、上級者にとっては当たり前の専門用語を、初心者を無視しているかのように補足説明もなく使うことは、お店の敷居を高くしてしまいます。初心者にとっては、とっつきにくい入りにくいお店の典型になってしまいます。

これら専門用語や馴染みのない用語をわかりやすい言葉に翻訳したり、説明してあげたりしてこその本物のプロショップだと思います。

また、ページにはせっかくのYoutube動画での解説がありますが、海外メーカーの方? の完全英語での説明で、字幕も解説文もありません。なので意味も100%は伝わりませんし、6分と長いので、すべてを見てもらえるとも思えません。

ダイジェストのサムネイル画像を抜き出して補足説明をしたり、一番見て欲しい部分だけを抜き出したショート動画を用意するなど、プロ販売店としてよりわかりやすさが求められます。

例えばこの動画なら、1:15〜2:15 あたりを見てもらえばひと目で大きな特徴と魅力も伝わり、キャッチになると思います。

・カモシカオリジナルシュラフ ヨセミテ 380 yosemite 380
https://www.kamoshikasports.com/product/1404

例えば これらシュラフのお手入れ(洗濯や清掃)方法は?
FP:770 って何?
使用温度目安:3℃ 〜 -2℃ とあるが、もっと温かい春〜夏 では暑すぎる?

・SEA TO SUMMIT SILK LINER シートゥーサミット シルクライナー
https://www.kamoshikasports.com/product/2875

シュラフ(寝袋)の中で使うシルクのシーツのようですが、これは袋状なのか? 足元は開放できるのか? 筒状なのか? 一枚布なのか? 表地と裏地の二重なのか? など不明。

シュラフの一覧ページ
https://www.kamoshikasports.com/product-list/131

一覧ページの段階でサムネイル画像に共通の 温度帯マークや適用シーズンマーク、サイズ(身長)マークなどひと目でわかる共通の表記があれば、一つずつクリックしていかなくても検討しやすくなると思います。

https://www.kamoshikasports.com/product-list/99
ピッケルの一覧ページ
https://www.kamoshikasports.com/product-list/113
アイゼンの一覧ページ
など、上級者なら「これ!」というこだわりや好みがあってすぐに違いがわかるのかもしれませんが、初心者には種類・選択肢・価格の幅が多くなり過ぎると、何がどう違うのかわからず選べません。

大手家電量販店のパソコンコーナーによくあるような、各メーカー横断型の比較表や、どんな方にはどんな観点からどう選べば良いか? →選び方ガイドみたいなコンテンツが欲しいところです。

どんな業種の専門店でも言えることですが、上級者が後輩の初心者に紹介したくなるようなコンテンツや商品説明のある店として認めてもらえると、
「カモシカさんの このページにわかりやすく載ってるよ!」
とお店のページコンテンツをリンク引用して紹介されやすくなるので、新規客獲得増加に繋がります。
今は残念ながらそういうレベルのページやコンテンツが見当たりません。

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全般的に商品説明に関しては、現状はメーカーカタログを見ればわかるような「自販機レベル」と言わざるを得ません。

カモシカさんならではの上級クライマー、プロショップ店員としての使用感や解説、かゆいところに手の届く気の利いた説明が、ぜひとも欲しいところです。

参考になるのは…
大手メーカーの家電製品などをよく売っている、あの某有名テレビ通販会社のプレゼンターの方のように、商品の機能や特長を自分の言葉や動きで見せるような、メーカーを超えた商品説明があってこその専門店。

カモシカさんならではのプレゼンをぜひしていただきたいです。

きっと全国の実店舗では接客時にそれぞれのスタッフさん達が工夫しながら自分の言葉や動作でプレゼンをされているのではないかと想像いたします。

総評

カモシカさんの自社サイトにある「創業者のメッセージ」
https://kamoshika.co.jp/message

に創業者の高橋和之さんの言葉が載っています。

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「原点は初心者にも親切な登山用品店を」

「私が山を始めた頃は、山の経験の多い少ないで人間関係の上下をつけるような風潮が強く残っている時代でした。17歳の時、初めて冬山の装備を登山用品店に買いに行った時、私は見下したような冷たい態度の接客を受けてしまったんです。それがとても悔しくて、その時に、『私なら初心者にも親切な店を作る』と思ったのがこの仕事を始めるきっかけでした」
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この創業の初心こそ、カモシカさんのオンラインショップに最も必要な「ダメ出し」です。

スタッフの皆さんが熟練、ベテラン、上級者になり過ぎて、山や登山やグッズ類についての知識や情報や用語も当たり前になり過ぎてしまっている。

上級者のお客様ばかりで十分売れる、十分儲かる、初心者はめんどくさいから来なくてよい! という経営方針ならそれでも良いのですが、創業者の思いも、橋本さんや菅沼さんの思いも決してそうではありません。

お電話で質問したりお話いただいた話し方や内容も、初心者である私にもとても丁寧で誠実で好印象でした。

でも残念ながら、ショップサイト内の説明文や用語は、メーカーのカタログのコピペや直訳のような「仕様・スペック説明」がほとんどで、山や登山や登山家や道具類を愛するプロショップのスタッフとしての思いや、自らの言葉でその良さを伝えようとする姿勢が感じられません。

今までは、まずは商品アップを優先して「登録作業」をされてきた段階だと思いますが、それだけでは安売り他店と差別化もできません。それが一段落されたこれからは、「作業」を「プロの仕事」に変えて、商品の仕様だけでなく、上手な使い方やメンテの仕方、他の商品との組み合わせや山の現場での実用的な使用感などをぜひぜひ加えていってください。

「これ、どこで買ったかなぁ〜?」 ではなく、「これ、カモシカのスタッフさんが薦めてたから買ったんだ!」
と言っていただけるように「価値」を高めて行きましょう。

カモシカさんには全国のお店に、かなり熟練の登山経験豊富なスタッフさんがたくさんいらっしゃるようですし、同じく高いレベルのお客様(ファン・リピーター)もたくさんいらっしゃるようです。

●●店スタッフの〇〇が 剣岳に登頂しました!
その時使ったグッズをご紹介!
とか、

エベレスト登頂に成功された●●店の常連客のA様!
オススメのピッケルはこちら!
とか、

店長オススメ、冬山仕様の極暖インナーはこれだ!
とか、

全店のスタッフやお客様のエピソード、体験やオススメなどを盛り込んでいけば、ひと目で初心者にも「このお店はスゴイな!」
「この人たちが薦めるアイテムなら使ってみたいな!」
のように魅力に映りますし、ただ価格訴求しかできない他店との差別化につながると思います。

カモシカさんの魅力は、ただ業歴が長く、仕入先や品揃えが豊富という「商品」だけではありません。皆さんが当たり前に思ってしまっているスタッフさん達のユーザーとしての命がけの登山経験、実体験、実用ノウハウこそ最大の魅力ではないでしょうか。

今後は、サイトのコンテンツの充実はもとより、SNS=特に拡散・口コミ性の高いtwitterやFacebook とYoutubeによる商品の実際の使用感や現場・山・フィールドでの使用感などの動画説明などが戦略的に求められると思います。

横浜店の菅沼店長と橋本さんの努力と工夫だけでなんとかなってきた段階から、全社的に経営陣や他店も含めて幹部スタッフ、全社的な体制を築いて情報や経験・ノウハウやコンテンツ制作に取り組んでいく段階に入っているのではないでしょうか。

また、新たな市場として伸びている「高所作業用品」のジャンルは、SEO的にも独立して別ショップにしても良いと思います。
個人の消費よりも業務用として、法人や団体の費用での購入が多いでしょうし、個々のパーツを時間をかけて選ばせるより、まとめて購入・導入というニーズも掘り起こせると思いますので、基本的なスタートキット(最初に用意すべき基本の一式)などを用意して、セミナーや動画コンテンツで提案していくのも有りなのではないでしょうか。

法人様向けおまとめ購入の相談・お見積り窓口や専用問い合わせフォームを用意したり、消耗品や定期交換品などの会員割引価格の設定などは、おちゃのこネットの機能を活用してできると思います。
カモシカさんにとって今後の成長ジャンルだと思います。

いずれにしても、物流投資、システム投資、人材投資、外注費投資、新商品開発費など、いろいろな投資も含めた経営的判断が必要になる段階だと思います。

ぜひこの「ダメ出し!道場」が経営陣と協議される機会になれば幸いです。今後の戦略や具体策などを立てられる際は、またぜひご相談ください。

以上、「ダメ出し!道場」でした。

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。