ALuvous

カテゴリ:ファッション

ALuvous

実店舗もあるが、オンラインだけで成り立つぐらいに売上をもっと上げたいので、客観的な意見を頂戴したい。

おちゃのこショップの皆さんは売り手側ですが、店長さんたち、スタッフさんたちも個人の場合はネットで買い手側にもなると思います。

買い手側の視点で見るとき、買いやすいもの、買いにくいものってありますよね。

人によって違うとは思いますが…。
例えば家電製品などメーカー、品番型番が決まっているものは検索して最安値ショップで買う。ほとんど価格で買う店も決まってしまいますが、品薄の商品ならお店によって納期の差や、大型商品ではお届け設置、古いものの引き取りなどのサービス面で価格が高くても選ぶ場合もあるかと思います。とにかく明確な違いで選びやすい商品だと思います。

冷蔵庫や洗濯機などは実店舗に見に行っても、材質の触感以外は実際に電源を入れて稼働させて比較することができないので、Web上でのスペック比較で充分なので、ネット購入しやすい商品と言えます。
書籍やCD、DVDソフト類なども同様ですね。

一方、衣服や靴などはブランドや品番が決まっていても、サイズ、生地の質感や肌触り、デザインと個人個人の体形の差による「着心地」などがありますので、どうしてもリアル店で試着して決めたいと言う客層も一定数いらっしゃいます。

ブランドが違っても類似デザインの商品があれば、より比較して選びにくい…つまり服はネット通販ではやや買いにくい商品と言えます。

ただ、最近では、生地の質感や、着心地感も動画で動きを見せることで写真だけだった「服の通販」の頃に比べると生地の厚みや質感、軽さ、重さの感じもぐっと伝わりやすくなってきています。

また、サイズが合わない、イメージ違いなどがあっても無償交換や返品送料無料などのサービスで「失敗」のリスク・ハードルを下げたショップも増えてきたので、昔よりは買いやすくなってきていると思います。

これらは「ネット販売」というより紙カタログやチラシの頃からの「通信販売」の買いにくさだったのですね。

服を販売されているショップの皆さん、スマホカメラ+動画というもはや誰もが持ている道具を使いこなして、ぜひ「買いにくさ」のハードルを下げましょう。

さて本日のショップさんは、シンプル・簡潔な動画で服の着心地感、質感のイメージを上手に掲載・陳列されている洋服のセレクトショップさんです。このお店の商品説明動画はホントにシンプルで手間をかけず作られていて参考になります!

それでは「ダメ出し!道場」、始まりです!

第一印象:コンセプト、ターゲット、特徴のわかりにくいお店


EC仙人 太田

おちゃのこショップにアクセスすると、一瞬で服屋さんであることはわかるのですが、「ALuvous」という店名さえも初見ではどう読めばよいかわかりません(^^;)

また、どんな客層をターゲット(年齢・性別・ジャンルなど)にしたお店なのか? どんなコンセプトや特長・強みを持ったお店なのか?
キャッチコピーやサブタイトルなどもないため、よくわかりません。

一方で商品ページではほとんどの商品で店長自らがモデルさんとして、1分程度のYoutube動画で着たり脱いだりめくったりポケットの位置や前後左右、ボタンやファスナーの開け閉めなどを動きの中で着回し姿を見せているので、静止画では伝わらない生地の重さ・軽さや質感、アレンジ、生地の色味の角度変化などが端的に伝わっていて、とても良いと思います。

https://www.aluvous.com/product/4974
↑↑↑↑↑これなどは着回しアレンジが静止画ではなかなか伝わらないですが、この動画を見れば「おぉ〜、これいい! 面白い!」となるのではないでしょうか。

すべての動画はNoナレーション、No字幕でありながら、必要十分な文字では伝わりにくい服の特徴が伝わっています。これなら慣れれば1日で30〜50商品でも動画を用意できるのではないでしょうか。
省エネ、低コスト、低労力での服屋さんの動画説明としては、「お手本」にしたいくらいです。
頑張り過ぎない丁度良い商品説明動画だと思います。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

お電話でのインタビューでお聞きすると、実店舗もネットショップも合わせて谷川店長お一人ですべての業務をこなされているとのこと。先に紹介した動画撮影も、商品撮影もすべてお一人でなさっているとのこと! 頭が下がります。

10年目ということでルーチン業務は慣れていらっしゃるとはいえ、実店舗の接客もしながらモデルと撮影、画像や動画編集までお一人というのはかなり大変だと思います。相当にスキルフルで勤勉な店長さんだと思います。

この2年はコロナで実店舗での来客・売上が減っていたようですが、最近はようやく戻ってきたとのこと。

店舗のある大阪市中崎町はレトロな街並みにこだわりのあるオーナーの飲食店・カフェ・洋服屋・雑貨屋などが並ぶ関西を代表するおしゃれな街でもあり、おしゃれ感度の高い若い客層で賑わう町。
コロナ禍からの復活も早いのかも知れませんね。

ALuvous(アルブ)と言う店名は造語で【樹木】を意味するとのことです。中崎町に一本の樹を立て、その樹の葉を「服」と捉え、葉や緑が生い茂るかのごとくファッションを楽しみ、そこに集う人々が交流を持ち、価値観を共有していく。
そんな思いをこめた店舗名だそうです。

また過去のネットメディアからの取材時のお店紹介では、「ショップに並ぶのは、ジェンダーレスでボーダレスなアイテムたち。トレンドはさておき、国内ブランドを中心としたバイヤーの感性に委ねたセレクトがウリ。レイヤードされたデニムジャケットなど、ひとクセあるアイテムも並ぶので見ごたえあること間違いナシ!
いつもの服に飽きたら覗きに行こう!」
と紹介されています。

つまりお店の特徴・強みは、「ジェンダーレスなアイテム 国内ブランド」
「トレンドよりもバイヤーの感性優先のセレクト&コーデ提案力」
「関西のおしゃれタウンである中崎町発信」
ではないかと感じました。

また Google Mapの「Google ビジネスプロフィール」でのお客様レビューに
https://g.co/kgs/7Tq5sD

「ゆっくり見れて何度試着しても嫌な顔されません。入りづらい雰囲気はありますがぜひ入ってみてください」
とのコメントがありました。実際、谷川さんとお電話でお話ししても、とても感じの良い店長さんです。きっと実店舗での接客でも谷川さんを信頼してあれこれ相談したいファンの方が多くいらっしゃるのが思い浮かびます。

これをネットでも展開できれば、着実にお客様は増えると思います。

具体的なダメ出し


EC仙人 太田

第一印象にも書きましたが、最大のダメ出しは「何をウリ・強み にしているお店なのか? が不明瞭だ」ということ。

まずは、「ALuvous とはこんなお店」
「店長のプロフ(経歴やスキルやライフスタイルのこだわりなど)」
などのタイトルで、ひと目でわかる自店の自己紹介ページを作って、自店の特徴(どんなお店)なのかをわかりやすくしましょう。

特定商取引法表示のページを充実させて、自己紹介ページにしても良いと思います。
いずれにせよ第三者にまず知ってもらいたい ALuvous と谷川さんの自己アピールが必要です。

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トップページ 最上部は 店名 ALuvous だけでなく
「ユニセックス・ジェンダーレス セレクトショップ」
とか
「あなたの個性派コーデを気軽に相談できるお店」
など 店の特徴をキャッチも付けて掲載しましょう。
SEO対策上も有効です。

ブランド名(商品)依存だけでは同じものを扱う他店との差別化はできず、健全経営に必須のリピーターは獲得できません。

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今は谷川店長のモデル写真がメインですが…
ジェンダーレスやユニセックスを具現化するような女性や中性的なモデルさんの着用写真なども盛り込んでいけば、女性客や新たな客層の来店も増えると思います。

お客さんや友人、知人で協力してくださるような方に、少ないギャラやボランティア、粗品でお願いしたり、ファッション系の学生さんをスカウトしたりして、全商品は無理でも最初はシーズンごとのイメージカットだけでも店長と違うタイプのモデルさん写真があると、客層のイメージも広がると思います。

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SNS活用について…
現状のALuvous(アルブ)さんのSNSを拝見する限り、Twitter、Facebookともフォロワー数は3桁止まり、Instagramはフォロワー1600人強ですが、どのSNSも投稿への反応は、いいねが1桁程度で十分に情報が届いているとは言えない状況です。

ハッシュタグ #aluvous で検索しても、ほとんど自店の投稿ばかりで、お客様発信の投稿は見当たらず、せっかくおしゃれな街である中崎町に実店舗を持ちながら、それを活かせていない現状がもったいなく感じます。

SNSでは自店舗からの発信だけでなく、この強みをユーザー達も認めてクチコミ(SNS)発信してくれているという演出が新規顧客獲得には重要です。

具体策としては…
↓↓↓↓↓
自店舗発信の商品情報ばかりのSNS活用ではなく、実店舗に来てくれるお客様が どんどんSNS投稿したくなる仕掛けをしていくことです。

実店舗での来店者にPOPやポスターで「商品や試着写真の撮影大歓迎!」と顧客に撮影しやすくさせる。
「#aluvous付きでの投稿で、プレゼントやお値引き等のキャンペーン」と積極的に投稿の背中を押す具体策。

などなどユーザーが発信してくれた ALuvous情報をもっとネット上に溢れさせる工夫をしていきましょう。

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商品の品揃えアピールや一覧性
3500を超える登録商品数がありながら、トップページから見る限りでは新着アイテムが数十アイテム一覧できるだけなので、こんなにたくさんの商品があることに気づいてもらえていない可能性が高いと思います。

お目当ての好きなブランドが明確なお客様は、メニューからブランドごとに入って見てくれるのでしょうが、それ以外のお客様にとっては一覧性が悪く、商品との出会いがしにくい(階層が深く分岐が多い)ように感じます。

またSOLD OUT 商品も多く、これも一覧性を悪くしていると思います。
再入荷不可、取り寄せ注文不可なものは削除して、買い物するお客様の利便性を優先しましょう。逆に再入荷可能、お取り寄せ可能なSOLD OUT品があるならば、それがひと目でわかるようなアイコンやマークを掲載しましょう。

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その他細かな点…
サイズ表記は↓↓↓↓下記のようにALuvousさん独自の記載方法です。
https://www.aluvous.com/data/aluvous/product/size202001.jpg
↑↑↑↑↑

ゆったり目で重ね着できそうなアイテムが多いALuvousさんですので、私個人的には 袖口(そでの巾、そで周りの大きさ)は気になりました。パンツの裾巾同様にぜひ袖口サイズも記載があるとより良いと思います。

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SISE /ベルト [BELT[22AW-AC-301]]
https://www.aluvous.com/product/5379

ベルトの全長サイズはあるが、着用ウエストサイズ(最小〜最大)がないので、試着せずに買うのは難しいです。ぜひ着用サイズ範囲を記載ください。

総評

ネットショップとしての商品撮影やページ作りなどの基本スキルは十分にお持ちの「ベテラン店舗」さんと言えると思います。

ただ、少しずつ高齢化して減って行くリピーターさんを補う新規顧客獲得や客単価アップの具体策などがないので、ゆっくりと下降線というリスクのあるお店とも言えます。

店長(バイヤー)の年齢が増すと同様に客層も歳をとり、それでも下から新たな客層が増えてくれればよいのですが、ファッション業においてはバイヤーと新規客層の年齢ギャップが趣味嗜好のギャップにもなり得るので要注意です。

新規客を若い層だけに絞らず、店長と同世代や上の世代も獲得できないか? 一度に多くではなくSNSを活用し新規客を一人ずつ獲得するアイデアや策は?

とチャレンジしていくことが大切だと思います。

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アイデア…
以前に、北海道の片田舎の書店さんがやって大ブレイクしている「一万円選書」というものをこのメルマガでもご紹介したことがあります。
(お客様にアンケートに回答頂き、お客様の趣味・嗜好などに合わせて店主が1万円で本を選びお届けするサービス。現在も注文できる方を毎月抽選で選ぶほどの大盛況とのこと)

これの洋服バージョンとして…
ALuvous 10万円セレクト、15万円セレクト、20万円セレクトのように、お客様の色の好みやファッションの嗜好をインタビューした上で、予算帯でコーデをお任せいただくようなサービスなども可能ではないでしょうか?

予算はあるけど、時間や自分で選ぶセンスがないからALuvousの全アイテムの中からコーデをお任せしたい!
というような客層にアプローチするアイデアです。

かならずしも100%お任せでなくとも、提案をベースにアイテムチェンジ可能にするとか、10万円で11万円分買えるとか、追加アイテムはお値引き価格で買えるとか。
オマケ特典やお値引き特典など付加価値を付けたサービスです。
客単価がグッと高くなるので特典も付けやすいのではないでしょうか。

お店にとっては在庫処分・福袋的な意味合いもありますが、あくまで個々のお客様に合わせたセットコーディネート提案として、満足度の高いサービスにすることが重要だと思います。

ネットだけでなく実店舗でも可能でしょうし、ネットで申し込み、実店舗で最終試着の上お持ち帰りなど複合サービスも有りですね。

富裕層、ファッションコストに余裕のある客層を掴まえられるかもしれませんし、実際に注文がどれほどくるかはともかく、話題にもなりやすいと思います。(取材・メディア露出の可能性)

いずれにせよ、話題作り、強み(コーディネート力)を活かす、客単価を上げる、新規客の興味や好奇心をそそる、今まで相談しにくかった客層と話すきっかけを作るなど、強みを生かして新たな突破口を得るようなアクションプランが必要だということです。

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今後の展開などで悩まれましたらいつでもお気軽にご相談ください。
(^-^)

以上、「ダメ出し!道場」でした。

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【あとがき】
以前にも述べましたが、実店舗のあるお店ではGoogle Map の「Googleビジネスプロフィール」は無料でお店の紹介・アピールができるとても有効なツールです。

ぜひ皆様も Googleビジネスプロフィール 登録・情報の追加・更新をお忘れなく! 新商品写真とかもどんどん入れ替えると良いですよ!

「Google ビジネスプロフィール」
https://www.google.com/intl/ja_jp/business/
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※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。