突然ですが皆さん、「チョークバッグ」ってご存じですか?
チョークバッグとは、ボルダリングやロッククライミングなどのクライミングスポーツで使用される、手汗を抑えるための滑り止めの粉(チョーク)を入れておく小さなバッグのことです。クライマーは、手が滑らないよう、このチョークバッグに手を突っ込んでチョークをつけ、指先を乾かしてグリップを高めるのです。
一般的に、チョークバッグには腰に取り付けるタイプと、置いて使うタイプがあります。腰につけるタイプは軽量で、ロープを使って登るようなロッククライミングなど長時間のクライミングに向き、短時間で登れるボルダリングでは床に置いて使う自立型のバケットタイプが主流のようです。どちらも、手の出し入れのしやすさ、簡単に開け閉めできる設計や、中の粉が飛び散らないようなデザインの工夫が特徴のようです。
チョークバッグはカラフルでおしゃれなデザインのものが多く、小物を収納するのにも便利で、価格も数千円代からと比較的リーズナブルなのもあって、クライマーたちが複数持ちで普段使いとしても活用したりして、クライミング用品を超えた存在にもなっているようです。
SNSでお気に入りのチョークバッグを紹介したり、競技以外での活用方法の投稿も増えたりで、個性を表現する小物としても定着しつつあるようです。
2021年の東京2020オリンピックで「スポーツクライミング」が正式種目として採用されたのを契機に競技人口も一気に増え、現在では日本で愛好家を含めた競技人口は300万人前後とも! それに伴いシューズ、ウェア、バッグなどのアイテム市場も急成長していると思われます。
クライミングの必須アイテムとしてのチョークバッグの需要が増えただけでなく、再生素材や環境配慮のファブリックを用いたサステナブルな製品などメッセージ性の強い商品も登場し、自然環境を意識した、クライミングはしない客層にも支持を集め、新しいファッションアイテムとしての市場も広がっているようです。
さて、本日のお店「CXM(シーバイエム)」さんは、元クライマーさんであり、ファッション小物デザイナーさんでもあるオーナーさんが使いやすく自ら欲しくなるようなチョークバッグを作りたいと企画〜デザイン〜製造まで手掛けるチョークバッグの専門ブランドメーカー直営店です。
それでは、「ダメ出し!道場」始まり〜!

デザインや写真のクオリティも高く、メーカーブランドサイトとしては洗練されていてイメージはとても良いとは思いますが、直販ショップ(売り場)としては買う側の目線での痒いところに手の届く気が利いた見せ方、売り場、お店にはなっていません。
「あーこれいいなー、良さそうだなー、でも買うとなると…」
「よくわからない、大丈夫かなー?、不安…」
で決めきれない、といった印象です。
まずは、比較対象物がほとんど写ってないので、商品の大きさや容量がイメージできません。
また使用シーン、事例もまったくなく、バッグの内側や中を写した写真もほとんどないので、実際に使うシーンがイメージできません。
チョーク入れとして使う場合だけでなく、普段使いでの便利さや実用性を見せるように、スマホや財布や手帳、ハンカチ、コスメなど持ち歩くだろうアイテムを実際に入れて容量を見せたり、出し入れするショート動画を添えて、便利さや実用性のアピールが欲しいところです。
また生地や色、形状のバリエーションも豊富なので、ファッションとの相性、コーディネート提案などもして、お客様の「気付き」を促したいところです。
メーカーとしての商品一覧カタログにはなっていても、使用提案、コーディネート提案をする売り場にはなっていない、そんな第一印象です。もったいない!

オーナー店主で商品デザイナーでもある澁谷美予さんにいつものようにお電話でインタビューさせていただきました。
澁谷さんは自らもボルダリングを楽しむクライマーで、始めた当初、市販のチョークバッグが地味で可愛くなく、もっといい物が欲しいなーとあれこれ探しても見つからなかったそうで、もどかしく思ったそうです。
もともとファッションの専門学校で学び、フランス・パリにも留学経験を持ち、その後日本のアパレル企業で12年ほどアクセサリーや小物など服飾雑貨のデザイナーさんとしてのスキルと経験を持つ澁谷さん。探しても見つからないなら、「えーい、自分で作っちゃえ!」とオリジナルのチョークバッグを自作して使っていると、クライミング仲間から「それいい!」「可愛い!」「私も欲しい!」「作って〜!」との反響が!
これはニーズがある? 商売になるかも? と一念発起し起業。
CLIMBING x MODE=CXM というチョークバッグの専門ブランドとして事業を始めたそうです。
その後2021年の東京2020オリンピックで「スポーツクライミング」が正式種目として採用されたのを契機に、ニーズ、市場も拡大。
既製品を販売するメーカーもブランドも増えましたが、よりデザイン性や素材などへのこだわりを持つ客層も増え、明確なコンセプトや理念、メッセージのあるCXMさんは着実にファンを増やしているようです。
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CXMについて
https://cxm-cbym.ocnk.net/page/5
「ジェンダーや国境を超えた、型にとらわれないボーダレスなブランドを目指しています」
「裁断、ペイントや染色、縫製、仕上げまで100%ハンドメイドで製作」
「ただ見た目がカッコいいものや使いやすいものをデザイン、制作をするのではなく、物作りをする上で大切にしていることがあります。
→『すべての人の幸せな未来のために』CXMとして何ができるのか。これからも模索し、取り組んでいきます」
「ただ新しいものを作るということだけではなく、いかにして廃棄するものを減らせるか」
「できる限り無駄をなくすことのできる受注生産での製作」
「小さなビジネスですが、小さなビジネスだからこそできることがある」
「シンプルを追求したデザインは、機能としての意味もありますが、型紙の数を減らすことにより、生地を裁断する時の捨てる部分を減らすことにも繋がります」
「見た目、機能、そして環境に配慮するため無駄をなくすこと」
「これらのバランスが取れたデザインを追求していくことが今日のデザイナーの使命」
「ほつれや破損などが起きた場合は、可能な限りお修理に対応致します。ご購入から何年経過していても大丈夫」
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これらの理念、コンセプト、メッセージを読んでちょっとサイトへの見方が変わりました。商品のデザインや機能性などのスペックだけではなく、ブランドとしての「CXM」の魅力に惹かれるお客様は多いのではないでしょうか。

上にも書きましたが、CXMのバッグ類はそのデザイン性や競技アイテムとしての機能性のあるバッグというだけでなく、まずはそのコンセプトや理念、作り手のメッセージが重要な商品だと思います。
この21世紀の大量生産で物が溢れ、それに伴って廃棄物や無駄なエネルギー消費、環境汚染など、物品製造の恩恵だけでなく弊害も意識していかねばならない時代。
澁谷さん & CXM のそういう思いこそ、まずはドーンと知っていただいて、それに共感できるお客様に買っていただきたい!
という点を最優先でトップページに明示するべきだと思います。
単に、製品としての「バッグ類」というのであれば、大量生産、大量在庫で注文すればもっと安く、早く手に入るバッグ類は世の中にゴマンとあります。
それでも、少し高くて、オーダーメイドで注文の手間がかかり、手元に届くのにも日数がかかる CXM で買いたい! と思えるお客様に響き、刺さることで、ファン&リピーターになっていただける確率も高まり、買っていただいた商品も長く大切にしていただけ、その持つメッセージが再び拡散して次のお客様に繋がり広がっていくと思います。(それを狙わなければいけない)
ですが、現状はトップページをパッと見ただけではそのコンセプトも理念もメッセージも伝わらず、単に「カスタムメイドのチョークバッグとその他バッグの小売店」にしか見えません。ブランド、メーカー直営店ということさえなかなか感じられません。
まずはトップページの看板画像からわかるように下記のようなメッセージを明記されてはいかがでしょうか?
案1)
私たちCXMの理念は「すべての人の幸せな未来のために」
ジェンダーや国境に縛られないボーダレスなデザインを提案します。100%ハンドメイドで生み出されるアイテムは、シンプルながらも機能・デザイン性と環境配慮を両立。廃棄物を減らし無駄を出さない受注生産の作り手の想いが詰まった未来志向のブランドです。
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案2)
CXM はクライミング用のチョークバッグから始まった小さなメーカー。
環境配慮で廃棄物を出す大量生産はせず、無駄なく丁寧に実用性とファッション性を両立させた個性的なバッグを一点一点カスタムオーダーでハンドメイドする Made in JAPAN のブランドです。
私たちの理念・コンセプト・アイテムに共感いただけるお客様のライフスタイルは、きっと世界の未来を変えていくメッセージになると信じています!
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こんな感じで、まずは澁谷さん & CXM のメッセージを!
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【その他 気になったダメ出し】
バッグ=物を収納するアイテム なので、何がどのくらいどんな風に入るのか? を一瞬で伝えることが大事です。
文字通りクライミング用のチョークを入れるだけなら、まあ今のままでも事足りるかも知れませんが。
それであっても、実際に使うシーン、手の出し入れや粉の付けやすさ、腰への装着性、クライミング時の安定性、置いて使う際は周りを汚しにくい、洗いやすさや乾きやすさなど、機能性や形状、デザイン性も気になるところです
また、せっかくのCXMのデザイン性の良さは、クライミング用途以外での普段使いへの提案もぜひぜひ見せたいところ。
クライマーさん以外の一般客は、その大きさや質感(固さ、柔らかさ、ハリ、自立性)などもまったくわからないと思われますので…
まずはサムネイル一覧画像の段階で大きさがわかるような見せ方(人の手やスマホなど誰もが大きさがわかるような比較物を写す)や、多くの人が入れるであろうもの(スマホ、小銭入れ、モバイルバッテリー、イヤホン、コスメ、手帳、ペン、カード類、名刺入れ、大き目バッグならペットボトルや折り畳み傘なども)を入れてある写真や動画も用意していきましょう。
使っているシーンをちゃんとイメージさせることで、単に「物が欲しい」→「こんな風に私も使いたい!」に昇格します。
また、バッグ類は一人がいくつか持っていても良い物ですので、服装に合わせてコーディネート、着替え(取り換え)やクライミングをしている友人や家族へのプレゼントにも最適であることのアピールをすれば、購入見込み客も広がります。
腰に身に付け、大きく動いても中身が落ちない、手を出し入れしやすいなどの特徴を生かした提案は、ゴルフやトレッキング、自転車やジョギングなどの他のスポーツ、アウトドアシーンにも合うと思いますので、提案次第で客層はまだまだ広がると思います。
装着のしやすさ、取り外しのしやすさなども動画が欲しいところですね。
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オーダーのわかりにくさ
https://cxm-cbym.ocnk.net/product/839
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例)BELL BAG / SPLASHED PAINT / custom order
まずはサイズ。
size S: H13、W13、D8cm
size L: H16、W15、W8.5cm
とはありますが、モデルさん着用写真だとどれがSサイズでどれがLサイズなのか? 13cmとか16cmとか言われても現物を見たことのない人にとってはパッとイメージできないものです。
次に選べる部分(生地やコードなど)の名称が、バッグのどの部分のことを言っているのか素人には分かりにくいです。
写真なりイラストなりに矢印付きで、ここが(1)Edge、ここが(2)Code、ここが(5)Nylon、ここが(6)Lining のように写真の上で番号をつけて明示しましょう。
特にNylon、Liningはどこのことなのか、すぐにはわかりませんでした。
また「備考欄」を設けてお客様が気になる点、不安な点、確認したい点など書けるようにしておいた方が相談もしやすく勘違いや思い込みによる後のトラブルを防げると思います。
またこの商品写真の3番目
https://cxm-cbym.ocnk.net/data/cxm-cbym/product/PHOTO_bell/3.jpeg
のような本体前面とサイド面の色生地が違うものは、どのようにオーダーすれば良いのでしょうか? わかりません。
お店にとっては当たり前の「部位」や「生地」や「色」の名称も、お客様にとっては初めて見聞きするものなので、とにかく写真やイラストなどに番号や矢印をつけて初見でも3秒でわかるような工夫をしていきましょう!
成約率の低さ は オーダーのしやすさ、わかりやすさの改善でお客様の面倒くささと不安や懸念をなくせば向上すると思われます。
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メーカー、ブランドとしての BtoB 提案
下記 WHOLESALEのページには説明はあるのですが…
https://cxm-cbym.ocnk.net/page/17
階層が深いため見つけられにくいと思います。
トップページのメニューに「卸売りについて」とか、「小売バイヤーさまへ」と目立つように設定して、とにかく引き合いの問い合わせがくるように仕掛けていきましょう。
具体的な中身はあまり具体的に細かく書かず、きてからケースバイケースで対応すれば良いと思います。まずは問い合わせがしやすいようにしておきましょう。
お電話でお話を聞くまでは、何から何までお一人でされているとは思いませんでした。商品そのものの縫製やクオリティの高さもですが、写真の質や、サイトのデザイン性も高く、プロの手によるものだと思っていました。それほどクオリティの高いサイトですが…
逆に何でも自分で器用にレベル高くこなせるからこそ、なかなか外注やスタッフを雇って任せることができず、自分のキャパ限界=ビジネスの限界 となって「低め安定」してしまいがちになります。
早い段階から「これだけは譲れない自分にしかできないこと」と「数や量が増えれば人に任せられること」を仕分けしておいて、早めに任せられる人材の採用や育成、もしくは固定費ではなく変動費で依頼できる外部業者や外注スタッフを探して契約していきましょう。
例えば英語サイトは、英語のできる外注デザイナーに、とにかく日本語サイトに更新があったら、翻訳して同じように更新してもらう! と単純作業化すれば、手間や労力は減らせるのではないでしょうか。
「デザインと機能と品質の高い商品をゼロから生み出せる」
CXMさんの最大の強みはそこにあると思います。
いかに、それを適量・適時・最適生産していける仕組みを作るか、苦手な接客・販売・梱包出荷・代金回収・経理などを外注化できないか? 卸売りに特化できないか? 縫製の中の単純作業部分など他の人でも教えればできることを洗い出し、できる手段を見つけることで、何より澁谷さんにしかできない商品開発に使える時間を増やすことが今後のビジネスの成長のための最優先の重要事項だと思います。
今後の経営戦略次第では大きく成長も、疲弊して頭打ち…もどちらもあり得ます。
今後、一人であれこれ悩んでしまった際には、またお気軽にご相談ください。
読者の皆様もあれこれ悩まれた際にはお気軽にご相談ください!
メルマガには出たくないお店も個別のダメ出し、やってます。
以上。「ダメ出し!道場」でした!
現在、上記ショップと海外向けサイト( https://www.cxm-cbym.com/ )の2サイトを運営しております。
すべての業務を1人で運営していており、オンラインの他にポップアップショプ等の出店も行っております。
そのため、細かな部分にまで手が回っていないとわかりつつ、そのままにしている状態です。
海外からの購入も3割程度あるので英語サイトが必要とは思っていますが、2サイト運営は2倍の時間を要することもあり、他の方法はないかと思案しています。
また、カスタムオーダーをメインに運営しているため、一般的なサイトに比べると成約率が低いのも悩みの一つです。
よろしくお願いいたします。