> > ダメ出し道場バックナンバー
KUTANI JAPAN.

ショップの現状は、そろそろオープンして2年目になりますが、あまり売れていません。ebayでは売れているのですが、なかなか直接の購入はない状態です。まだ、1度しか売れてない状態です。
副業で行っているので時間をかけることができないため、情報が不足しているせいだとは思っています。ただ、どのような情報を掲載すれば海外の人が安心して購入できるようになるかわからない状態です。googleでの広告は出しているので、1日に数人はサイトに来ます。売れないのは、海外の人から見たら分かりにくいサイトになっているのかと思っています。何か良い改善方法はありませんでしょうか?

ご教授よろしくお願いいたします。

私だけの気のせいではないと思います。最近、テレビでも新聞、雑誌、ネットでも日本の良さを再認識する、させるような番組や企画が多いと感じませんか?

日本には、こんなに優れた技術がある! 優れた文化がある! 素晴らしい習慣や国民性がある!

その多くは私もなるほどな、そうだね、うんうん、確かにいい国だなぁ! と見ていて喜ばしく、またあらためて我が日本を誇らしく思えるモノです。

ただ、こうした番組や記事の制作者は心底、そう思って作っていれば良いのですが、ただ視聴率や購読率、販売数を上げるための、ちょっとしたテクニックやブーム便乗になっていなければ良いのですが…。

ITやバイオといったハイテク科学技術は依然として世界のトップレベルにあり、一方で陶磁器や漆器、織物、染物、和紙など伝統工芸に見られるような古よりの技術や和食、神楽や能や歌舞伎、茶道、華道、日本酒などの文化は、一部の世界遺産指定なども追い風となり、改めて海外からの評価を受けることで、我々も素晴らしいものなんだ! と再認識することは素晴らしいと思います。

またそういった技術や文化の遺産だけでなく、国際的なスポーツの大会などでゴミを拾ったり、震災報道でも見られた譲り合い、助け合う日本人のマナーや思いやりなどもここ数年報道などで頻繁に目にするようになりました。これも日本人として誇らしく喜ばしいことでもあります。

ただ、一方で、多くの日本人は実際にはこういった伝統工芸や文化について、それほど造詣も深くなく、外国人のお客様を実際に迎えた時に、自らの言葉で説明できる人はどれほどいるでしょうか?

茶道とは? 華道とは? 着物の着付けができる? 歌舞伎や能を少しでも舞える? 日本の神話や神様について説明できる? ワイン以上に日本酒のことを知っているの? ちゃんと日本食、日本料理を作れるの?

「うーん、一部はできるよ!」と言う方がいらっしゃっても、広く浅くでもこれら「日本の素晴らしきこと」をちゃんと身につけていたり、説明できる人は、実はかなり少数派なのではないでしょうか?

それだけじゃありません。マナーやルールを守る美しき日本人の心!? 本当ですか? 音楽イベントや夏祭り、花火大会、花見会場の後のゴミの散らかった光景は? タバコの吸殻、空き缶、コンビニ駐車場に食い散らかされた弁当やお菓子のゴミなども日常的な酷い光景ではないですか?

「お・も・て・な・し」の心!?
確かに飲食店やホテル旅館など商売の世界では、必要以上のサービス精神とマニュアル化で、丁寧で行き届いた接客対応は用意されているかもしれません。

でも一方では、京都・奈良の観光地でさえ、外国人観光客の感想で上位に入る不満は「英語が通じない」「英語の説明・解説がなく、何を見ているのかわからない」だそうです。本当のホスピタリティを想定するなら、ちゃんとわかるような英語の説明書きだけでも前もって用意しておくべきでしょうね。

お金の動く(貰える)ビジネスの世界だけの過剰サービス。これでは本当に「お・も・て・な・し」の心!? があるのか? と疑問に思ってしまいますね。

さて今回は、海外向けに金沢県加賀の伝統工芸「九谷焼」を販売する九谷焼専門の英語ショップサイトです。

私自身、「九谷焼」という名前は知っていても、もし「九谷焼って何?」と外国からのお客様に質問されたら、きっとWikipediaを検索して翻訳サイトで英訳するのがせいいっぱいだと思います(^^;)
今回をきっかけに少しだけ勉強させていただきました。

それでは「ダメ出し!道場」第99弾 スタートです!(^-^)

どんなお客様を想定しているのか?


EC仙人 太田

冒頭のコラムでも触れましたが…多くの日本人でさえ「九谷焼」と聞いて名前くらいは知っていても、どこの焼き物でいつごろ始まったのかさえ知らない方が多いと思います。
それ以前に、陶器と磁器の違いさえ知らない方がほとんどではないでしょうか?

店長の南村様がどんな経歴の方かはわかりませんが、九谷の窯元で生まれ育ったような方でなければ、きっと最初は同じような状況からスタートされたと思います。

日本語であれば「九谷焼」「九谷焼とは」と検索すれば、複数のサイトで概要や常識を比較して学び知ることもできるでしょうが、英語となると詳細な解説が得られるサイトも少ないと思います。

本当の「おもてなし」の心で、まずはその辺りのコンテンツを充実させることで、少なくとも「KUTANI」のキーワードで検索する海外の方を強く引き寄せることが可能になると思います。

ご自身でも気付かれているように、圧倒的な情報不足だと思います。海外からKUTANIどころか焼き物さえまったく知らない友人を招いたときに、「南村さんの仕事は何なのか?」「お店は何のお店なのか?」「何を売っているのか?」「そもそも焼き物とは? 陶器とは? 磁器とは?」

陶芸、焼き物、磁器、陶器、絵付け、釉薬、ろくろ…etcなど、友だちを本気でもてなすなら、何時間もかけて一つ一つ説明していくのではないでしょうか?

これらの一般的な用語もキチンと説明した英語コンテンツを用意できれば、KUTANI以外の日本の陶磁器全般に興味のある海外ユーザーの着地点(入り口)とすることだって夢ではないと思います。

磁器に限って見ても、日本の有田(伊万里)、砥部、瀬戸だけでなく、ヨーロッパのマイセンやリモージュ、ロイヤルコペンハーゲンやウェッジウッドなどの説明や比較などもコンテンツとして用意すれば、世界中の陶磁器ファンの中でKUTANIの認知を高めることもできるかもしれません。

いずれにせよ、「KUTANI specialty store」=「九谷焼専門店」という割には、「九谷焼」「磁器」についての説明コンテンツがほとんどないのは残念ですし、物足りません。

また、海外サイトではあまり必要ないかも知れませんが…日本においてはできれば店長の経歴、この専門店を立ち上げるに至った経緯や熱い思いなども欲しいところです。

また、他の多くの九谷焼関連の施設さん(美術館や工芸館など)のサイトにはよく見られる「九谷焼のできるまで」とか「九谷焼の作り方」などのコンテンツも、ぜひ英語版で用意して、海外からのお客様のKUTANIに関する「知識欲」も満たしてあげて欲しいところです。

日本語であれ海外向けサイトであれ、「専門店」=「Speciality Store」には、この「知識欲」を満たす部分が必ず必要です。

SpecはあってもSales talkがない


EC仙人 太田

実際の商品ページをいくつか見てみると…
http://kutanijapan.ocnk.net/product/311
http://kutanijapan.ocnk.net/product/314
http://kutanijapan.ocnk.net/product/320

品名、サイズ、重量など商品の仕様(Spec、Description)は最低限あっても、この絵柄はどんな特徴ですとか、九谷伝統の五彩を用いた典型的な古九谷らしい器ですとか、最初の一品にオススメですとか…お店としてのオススメトーク、Sales talk がまったく見受けられません。

また細かなことですが、伝統工芸品の場合は「いつごろの製造か?」もお客様の商品選定の条件の一つになると思います。

近年の新しい製品中心であっても何年作、何年製造はわかる範囲でできるだけ詳しく明記しましょう。

・Sake Bottle
http://kutanijapan.ocnk.net/product-list/9
お酒を燗するためのいわゆる徳利(とっくり)のようですが、「Sake Bottle(酒ボトル)」とだけ表記されています。

「Sake Tokkuri」、「Sake Tokuri」、「Nihonshu」などの外国人が音の読みで検索するであろう品名も必ず合わせて表記しておきましょう。

また、盲点ですが、「日本酒、酒、徳利」などの日本語表記もあったほうが良いと思います。なんでも英語翻訳さえしていれば良いというものではないと思います。

・Fuchin
http://kutanijapan.ocnk.net/product-list/12
Fuchin? ふちん? 浮沈? 風鎮!
恥ずかしながら、Fuchin とは何なのか? 私は知りませんでした。
もちろん偉大なGoogle様のおかげで、Fuchin=風鎮 ということも、それが掛け軸を吊るす際に掛け軸の両端にかけて風にあおられたりしないための重りとして使うものだと知りました。

せめて、どうやって使うものなのか? 使っている写真を載せるなどの解説はほしいところですね。また海外で実用的にカーテンタッセルとして使うなどの新提案もあると面白いかも知れませんね(^^;)

BOX & PACKAGE Exampleどうせ載せるなら丁寧に!


EC仙人 太田

貴店は ebay でも海外向けに販売されており、そちらでは丁寧な梱包や迅速な配送での評価も高いようですね。
http://stores.ebay.com/kutanijapan/

せっかくのトップページのBOX & PACKAGE Example の写真ですが、クリックすると http://kutanijapan.com/ にリンクされているだけで、肝心の箱やパッケージサンプルの写真が拡大しませんし、画像も小さく暗く、床の上で撮ったピンボケで手抜き感が否めません。

日本では当たり前の梱包や包材も海外基準から見れば十分に強み・魅力と写るのですから、どうせ掲載するならキレイな写真でキレイに見せましょう。

またギフト包装などのサービスも提案できればより付加価値となるのではないでしょうか?

総評

KUTANI-ware vending machine =九谷焼自販機 止まりになっています。
カタログさえあって、ホームページ制作さえできれば、誰にでも同じレベルのショップは作れてしまいますね。それでは専門店とは言えないと思います。

「とりあえずお店は作ったものの、これで良いのだろうか?」そんな不安感がにじみ出ているのは、この辺りに理由があるのではないかと思います。

南村店長がどんな観点、視点でその商品をセレクトし、どんな点をオススメしているのか? そこまで語ってこその「セレクトショップ」です。

先日の家具店さんもそうでしたが、他のメーカー、製造者があってそこから「製品」を仕入れ、「商品」として販売する専門店やセレクトショップを経営するならば、少なくともご自身はお客様より多く、深く知識を勉強し、分類し、その中でなんらかの視点や選択条件のフィルターにかけてお客様にオススメしなければお店の付加価値はありません。

それなしでは利益を乗っける、儲けを得る資格はないと思います。
ご自身が当たり前のようになさっている商品選定の説明をキチンと表現し、納得いくまでお客様に伝えるようにしてみましょう!

写真や説明文、見せ方といった基礎的な改善はもとより、お店の強み作りといった本質的な部分について、ぜひ一度ご相談にいらっしゃることをオススメいたします。

また、これは貴店に限らず、いわゆる伝統工芸品の業種においての海外での成功事例の共通項だと思うのですが…単に古き良き伝統品をそのまま説明するだけで多くの方に受け入れられ売れるというものではありません。

古き良き伝統的な技術や手法を用いつつ、新しい現代人や海外のお客様にも受け入れられやすい斬新なデザインや新技法、新手法も取り入れているものが海外で評価され、日本に逆輸入されて新たに評価されていく。

現時点では KUTANI JAPAN さんが窯元メーカーとどの程度のネットワークや取引があるのかはわかりませんが、専門店と名乗るのであれば、「これぞKUTANI JAPANの代名詞!」と言われるようなオリジナルデザインの九谷焼商品を企画して、まずは海外でヒットさせ、日本でも再評価! というようなことを仕掛けてみるのも面白いと思います!

例)海外でも有名なアニメの絵柄の九谷焼シリーズ展開とか…
海外でも著名なデザイナーさんとコラボで九谷焼で完全に洋食の食器デザインシリーズを展開するとか… シロウト考えですが(^^;)

古き技術・文化と新しいアイデアの融合は勝ちパターンの一つです。

ブレストにぜひ一度お越しください(^^;)

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。