オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

攻撃的な人・迷惑な人・「あの人」に 賢く「言い返す」技術
人に強くなるコミュニケーション

片田珠美・著/三笠書房・刊

1,401円(キンドル版・税込)/1,430円(紙版・税込)

口喧嘩に強い人と弱い人の差はどこにあるのでしょうか。一説によるとそれは「感情の強さ」で決まり、強い人は感情が揺らいでも思考が止まらず、怒りや焦りを「道具」として使うことができるのだといいます。

対して口喧嘩に弱い人は感情が出た瞬間に論理が崩れてしまい、声が震える、言葉が詰まるなどの身体的な反応が現れてしまいます。つまり、口喧嘩は感情を制御するゲームであるといえるわけです。

しかし、それが理解できていたとしても、いわゆる「口撃」を仕掛けてくる人というのは厄介です。何らかの理由でこちらをターゲットにしているのでしょうが、相手がお客さまであったり、関係を悪くしたくない人であったりするとさらに面倒です。

そこで今回紹介する本の出番というわけですが、タイトルにある通り、賢く言い返してこちらにダメージが残らない処理ができれば申し分ありません。よく「あんなやつ、相手にしなければいいんだ」という対処法がアドバイスされますが、一度ロックオンしてきた相手は、たいてい再び向かってくるものです。いつまでも無視し続けるというわけにもいかないでしょう。

本書の著者である片田珠美氏は精神科医。京都大学の非常勤講師で、フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学んだ人物です。精神科医として、現代の対人関係からくる悩みや心の病を抱えた人々に向き合う臨床実績に定評があります。

代表的な著書には、ベストセラーとなった『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)のほか、『プライドが高くて迷惑な人』(PHP新書)、『なぜ、「怒る」のをやめられないのか』(光文社新書)などがあります。

著者の勧める「言い返す技術」は、相手を言い負かすためのテクニックではなく、理不尽な口撃を空回りさせたり、意外な方向から反撃したりすることで、二度と繰り返させないようにする方法です。これがうまく身につけられれば、人間関係の悩みが軽減できるでしょう。

まず「はじめに」から見ていきましょう。
著者はここで、現代の社会に「言葉の暴力」が蔓延しており、多くの人が職場や家庭で傷ついていると述べています。相手からの口撃で傷つき、我慢を続けるうちに相手がエスカレートし、心身の不調に至る例もあるといいます。

「相手にしなければいい」「抵抗するからやられるんだ」と考えて無抵抗でいると、「相手にとって都合のいいサンドバッグにされてしまう」と著者は警告しています。

著者はここで読者に対して明言しています。
「心を踏みにじられても黙って耐えることは自分自身を大切にしないのと同じこと」

ではどうすればいいかが、本書の目的です。賢く言い返せばいいのです。
そのためには、相手の心理を理解したうえで、ケースバイケースの賢い言い返し方を学び、人間関係で被害を受けないようにする必要があります。本書はそのためのテクニック本であるわけです。

著者は言います。「言い返しの技術は武器であり、たとえ使わなくても持っているだけで心の余裕と防御力になる」と。

それでは本書の目次を紹介します。

・はじめに…「人との関係」は必ず変えることができる

・1章 言葉の暴力も“見えない圧力”も止められる
―「彼ら」はなぜ、攻撃せずにはいられないのか
まず、「攻撃する人ほど弱い人間」であると知る
その相手は、どのタイプか
1 「支配したい、思い通りにさせたい」……「王様」タイプ
2 「自分を認めさせたい」……「裸の王様」タイプ
3 「負けたくない」「うらやましい」……「羨望」タイプ
4 「何でも思い通りにならないとイヤ」……「お子ちゃま」タイプ
5 「私はかわいそうな人なの」……「悲劇のヒロイン」タイプ
6 「誰かに当たらずにはいられない」……「置き換え」タイプ
7 「自分と同じ恐怖を与えたい」……「トラウマ」タイプ
8 「傷つけるのが快感」……「サディスト」タイプ

・2章 たったひとつで"立場"は逆転する!
―どうすれば、相手の出方は変わるか
「同じ土俵」に立ってはいけない
◎ 相手を”上から見下ろす”視点を持つ
相手と自分の間にはっきり"境界線”を引く
◎ この線引きで、もう攻撃の手を侵入させない
我慢していればいつか解決する――は幻想
◎ 「超多重人格」ぐらいでちょうどいい
◎ それは「悪意のある攻撃」?「受け止めるべき指摘」?

・3章 どんな相手も怖くなくなる「7つの武器」
―この"切り返し"をされたらかなわない
いかなる攻撃にも"対応の仕方"がある
1 相手の"裏の心理”を突く
2 別の話題に誘導する
3 矛先をそらす
4 "一段上”に立つ
5 周囲を味方につける
6 あえて、"無防備”になる
7 筋違いの期待を、"裏切る”

・4章 職場で
この一言で、「気持ち」も「仕事の進み」もスッキリ!
難しい上下関係間でも解決策はある
1 いやみ……「オウム返し」作戦で、戸惑わせる
2 ひがみ……「のんきな一言」で、相手の気を抜かせる
3 あからさまなライバル意識……"ほめ返し"で煙に巻く
4 上から目線……"とんちんかんな切り返し"で面食らわせる
5 憂うつをばらまく……"構ってほしがる相手”には、構ってやらない
6 難癖をつけられる……「面倒くさいやつ」と思わせる
7 説教を装ったののしり……「一度は賛成」して、肩すかしさせる
8 デリカシーのない上司……"ユーモアのセンス"で反撃する
9 延々と自慢をする上司……"先回り"して切り上げる
10 説教大好き上司……「ターゲットを間違えてませんか?」
11 すぐに感情的になる上司……この"一言"で、勢いをそぐ
12 パワハラ上司……"ブーメラン返し"を狙う

・5章 友人・グループづきあいで
"やっかいなあの人"を、巧みに遠ざける法
私生活での面倒なつきあいに
13 陰口……「こちらは気づいているんだぞ」とアピールする
14 悪口を聞かされる……この切り上げる技術が効果的
15 ひどい侮辱……明るく"はね返す"と立つ瀬がなくなる
16 仕切る人……「ほめちぎり」作戦で、恥じ入らせる
17 しつこい相手……ぴしゃりと"シャットアウト”するには
18 人前で恥をかかされる……まわりを巻き込めば形勢は逆転
19 マウンティング……"序列づけ”から降りていることを示す
20 グチを聞かされる……自分が話したいことを話す
21 すぐに被害者ぶる……"加害者扱い”だけはされないように
22 友情を装った攻撃……同じ攻撃を二度とさせない

・6章 家族・パートナーへ
近くて遠い相手と、もっとわかりあうために
"大切に思っていること”を伝えあうには
23 母のきつい言葉……「傷ついている」と正面から伝える
24 親からの過干渉……支配から逃れる一言
25 姑のいやみ……相手の負け惜しみだとすると
26 義母と夫の間で……「男は全員マザコン」と知り、対応すべし
27 プライバシーの侵害……踏み込ませない一線を、こちらから引く
28 パートナーからの暴言……"欲求不満”をどう吐き出させるか
29 パートナーに見下される……「やりきれない思い」をしなくていい

・7章 もう「あんな人」に絶対左右されない
―「強い自分」をつくるために大切なこと
「ターゲットにされやすい人・されにくい人」はどこが違うか
◎「おとなしくて反撃しない人」と思われないように
”他者の欲望”を満たそうとしない
◎相手の要求を呑まなくたって嫌われはしない
”つけこまれるスキ"は、こんなところに
◎自己評価を低くしていないか
自分の"弱さ”を隠さない人が、一番強い
◎「ちょっとしんどい」と漏らしてみるだけでいい
"わかりあえなさ”を受け入れる
◎この世の中には「理想的な人」なんていないのだから

・おわりに……図太く、したたかに生きる

目次の次の見開きには「どんな関係にも"対処法"がある!」として、フキダシに囲まれたさまざまな言葉が並べられています。
人前で恥をかかされる
悪口を聞かされる
延々と自慢をする上司
パートナーからの暴言
あからさまなライバル意識
義母と夫の間で
しつこい相手
姑のいやみ
母のきつい言葉
説教を装ったののしり
マウンティング
グチを聞かされる
すぐに感情的になる上司
ひがみ
友情を装った攻撃
憂うつをばらまく
難癖をつけられる
デリカシーのない上司
説教大好き上司
パワハラ上司
プライバシーの侵害
いやみ
ひどい侮辱
親からの過干渉
すぐに被害者ぶる
陰口
上から目線
仕切る人
パートナーに見下される

この中にいくつか該当するものがあれば、本書はあなたの役に立つということです。

それでは本書の内容に入っていきましょう。まず1章の「彼らはなぜ攻撃せずにはいられないのか」から。

ここで著者は最初に、大事なことをさらりと述べています。それは、
「攻撃するほど弱い人間である」
ということです。

相手からの言葉の暴力に悩まされているとき、まず「ああ、この人は弱い人なんだ」と自己確認することで、自分のメンタルを守ることができます。

攻撃的な言動をする人はモンスターなどではなく、実は強い恐れや不安を抱えた「弱い立場の人」であるということです。言葉による攻撃を受けると、ついショックで動けなくなりがちですが、相手の心理を理解することで対抗策が取れます。

攻撃する人ほど内面がもろく、その弱さ故に他者を攻撃せずにはいられないという原理を知ってしまえば、不必要にメンタルを削られてしまうこともないでしょう。

まず相手の心理を知ること。これができれば、適切に対応したり、効果的な言い返しを準備することができるようになります。

そして攻撃的な人は職場や友人関係など、どこにでも存在しますが、その行動には共通する心理パターンがあります。たとえ見た目や性格が違っていても、心理的特徴から見ると攻撃してくる人は大きく分けて次の8つのタイプに分類できると著者は言います。

本書ではその8つのタイプを紹介し、続いてそれぞれのタイプの分析と、それに合った言い返しのパターンを掲載しています。ここが本書のキモと言えます。

(1)王様タイプ
周囲の人間に対して命令するような高圧的な口調で話すのが特徴です。「自分はお前たちとは違うんだぞ」と言わんばかりの態度で威張り散らし、自分に従わせようとします。

(2)裸の王様タイプ
自分についての話ばかりします。過去に自分が成し遂げたこと、評価されたことの自慢話を延々と繰り返し、少しでも相手と違う意見をこちらが口にすると、過剰に反応して批判してきます。

(3)羨望タイプ
グサッと胸に刺さるような鋭いいやみや批判を言います。あるいは無視したりわざと冷たく接したりと、積極的ではないものの、じわじわとダメージを与えるような攻撃をしてきます。友人や同僚など、対等と思われている関係によくいます。

(4)お子ちゃまタイプ
思い通りにならないことがあると、子どものように怒ったり、すねたり、文句を言ったりします。あるいは「言うことを聞かないお前が悪い」とこちらを悪者扱いしてきます。こちらが相手の要求や希望を呑むまで納得しません。

(5)悲劇のヒロインタイプ
グチやネガティブなことばかり言い、「不幸な私」をアピールしてきます。それに対して適切なアドバイスをしても、聞く耳を持ちません。ちょっとしたことにも過剰反応して被害者ぶります。それが相手を疲れさせていることには気づきません。

(6)置き換えタイプ
他人のごく小さな失敗や取るに足らないレベルのミスが許せず、過剰に怒ります。怒りの沸点が異常に低く、普通の感覚では「なぜそんなことでここまで怒るのか」というほどで、こちらを悪者にして責め立ててきます。

(7)トラウマタイプ
こちらにまったく非がないことや、身に覚えのないことに対して理不尽に怒ってきます。何の脈絡もない攻撃をしてくるので、こちらはなぜそのように怒ったり、冷たい態度を取ったり、つらく当たってくるのかが理解できません。

(8)サディストタイプ
ひたすら暴力的な言動をとり、相手が傷ついている反応を見せるまで攻撃の手を弛めません。場合によっては手を上げたり、ものに当たったりします。

続いて、この8つのタイプを詳しく解説し、隠された心理を具体的に明らかにしていきます。

(1)の王様タイプは職場の上司に多く見られる性格です。特に今の立場に就任したばかりで、実績と経験に自信のない人にこの傾向が多く見られるといいます。恐怖と不安から虚勢を張り、他人を攻撃・支配することで自分を守っているというのが本質です。

(2)の裸の王様タイプは、「自分は認められていないのではないか」という不安や自信のなさからくるものです。自分に自信のある人はわざわざ自慢する必要がないため、そのような振る舞いはしません。ただし、実害がそれほどないのもこのタイプの特徴です。

(3)の羨望タイプは、他人への嫉妬や劣等感を抱えていながら、それを表に出さずに陰湿に攻撃する人です。常に自分と他人を比べ、序列の中で自分の位置を確認しています。本質的に自分の価値を他人との比較でしか測れない不安定さがあります。

(4)のお子ちゃまタイプは、幼児的な万能感と強い特権意識を持った人物です。プライドと自己愛が強いあまりに、いつも「自分は悪くない」という態度を取ります。背景には甘やかされて育った幼少期の経験が見え、努力や挫折に弱い傾向があります。

(5)の悲劇のヒロインタイプは女性に多いタイプで、常に自分を「かわいそうな被害者」として演出し、裏で他人を攻撃する傾向があります。相手が反論しにくい状況を作りながら攻撃してくるところが厄介です。

(6)の置き換えタイプは、家庭や職場などで溜まった不満やストレスを、無関係で立場の弱い人にぶつけて発散する傾向があります。慢性的なフラストレーションが背景にあり、攻撃を「はけ口」としています。

(7)のトラウマタイプは過去に受けた強い恐怖や屈辱、無力感を処理できず、それと同じ体験を自分より弱い相手に与えることで心のバランスを取ろうとしている人です。攻撃しながらも本人は弱さや恐怖を抱えたままで、放置すれば攻撃の連鎖が続いていきます。

(8)のサディストタイプは、相手が怯えたり動揺したり泣いたりする様子を見ることで満足感を得るもので、攻撃行動に罪悪感がありません。このタイプは説得して改善することがほとんどないため、距離を取って関わらないことが現実的な対処法です。

まだまだ本書の序盤で、これから「言い返し」の実例がたくさん出てくるのですが、興味を持ったらぜひ本書を眺めてみてください。キンドルのアンリミテッドに登録している人は、現在なら無料で読むことができます。


 

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