ウィーブという言葉、ご存じですか?号

「やまさん」こと、おちゃのこ山崎です。

あれほど「暑い、暑い」と言っていた日々が嘘のように、あっという間に秋。彼岸花も咲き誇り、エアコンなしで過ごせるようになりました。もう熱中症の心配もありませんね。

先日、事務所のある町の町長と、隣町の町長と相次いでお話をする機会がありました。お二人とも人口減少や高齢化、若者の流出といった日本の地方が直面している課題を重要視しておられました。

一人の町長からは「町のSWOT分析」を依頼されました。もう一人からはAIを使った町の活性化プランを頼まれています。そうやって小さな町から活力を取り戻していかないと、日本復活の道は開けないと思います。

まもなく自民党の総裁選挙が行われ、この国の舵取り役が決まります。誰になるのか予断を許しませんが、誰になっても茨の道であることは間違いないでしょう。国民の一人として、注目していきたいと思います。

そんな日本復活の道ですが、意外なところからアイデアがやってきました。「日本大好きな外国人に救ってもらう」というものです。ウィーブというのは日本大好きなオタク的な外国人のことらしいですが、今回のオススメ参考書ではそんな本を取り上げます。

お知らせ 「商品一覧」画面のリニューアルに伴い「準備中商品一覧」画面を廃止します

デザインプラン
平素よりおちゃのこネットをご利用いただきありがとうございます。

9月29日(月)に「商品管理」>「商品一覧」画面のリニューアルを予定しております。
これに伴い、「準備中商品一覧」画面を廃止いたします。


【リニューアル後の主な変更点】
リニューアル後は、「商品一覧」画面にて以下3つのステータスをタブ切り替えでご確認いただけます。

陳列中商品:ショップに表示中の商品(稼働商品)
準備中商品:公開準備中で、ショップには表示されない商品
非表示商品:削除せず、将来的に再利用できる商品
※「準備中商品一覧」画面で「非表示になっている商品」は、リニューアル後は「非表示商品」としてご利用いただけます。

また、「準備中商品」から「陳列中商品」に切り替えた際の並び順が、カテゴリの先頭ではなく末尾に追加される仕様に変更となります。

【変更の背景】
これまで「準備中商品一覧」画面が独立していたことで、以下の課題がございました。
・「非表示商品」を「準備中商品」として運用されているケースが多い
・「準備中商品」で登録したまま気づかれず、お問い合わせをいただくケースがある

「準備中商品」は、管理者のみがショップの商品詳細画面を確認できたり、「商品一括登録・変更」画面にてCSV操作ができるといった利点がございます。
今回のリニューアルでは、3つのステータスをひとつの画面にまとめ、より分かりやすく管理していただけるよう改善いたします。

【あわせて行う機能改善】
リニューアルにあわせて以下の機能追加・改善も予定しております。
・URLを知っている方だけが閲覧できる「シークレット商品」設定
・「陳列期間設定」を改良し、期間外の商品表示を可能にする「期間限定販売」設定
今後も、より快適にご利用いただける管理画面の提供に努めてまいります。
何卒ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

ウィーブが日本を救う
日本大好きエコノミストの経済論

ノア・スミス・著/片岡宏仁+経済学101・訳/日経BP・刊

2,574円(キンドル版・税込)/2,860円(紙版・税込)

ちょっとつかみどころのないタイトルなので、本書にどんなことが書いてあるのか想像しにくいと思いますので、まず「序文」の「なぜ『WEEB ECONOMY』を提唱するのか」をくわしく見ていくことから始めたいと思います。

著者のノア・スミスはアメリカのエコノミストで、スタンフォード大学を卒業後、日本のストリート・ファッションを掲載した雑誌を目にして5秒後に日本への移住を決意しました。日本の2000年代のアングラ文化に魅せられたからです。そして大阪のアングラ文化にどっぷりはまり、JETRO大阪本部で仕事をしました。

それまで著者はバブル崩壊後の日本経済がひどいことになっていると耳にしていましたが、実際に自分の目で見た日本はうまくやっているように見えたといいます。1980年代の熱狂的なバブル経済の日々は過ぎ去っていましたが、日本株式会社は小泉首相の元で復活を遂げていました。

物質的な豊かさはわずかに下がってはいたものの、日本がもともと持ち合わせていた強みがその分を埋め合わせているように著者には思えました。安全な都市、素晴らしい交通機関、豊富な住居物件数、創造的な文化のおかげで、著者には大阪での生活がサンフランシスコのベイエリアと同等に見えたそうです。

しかし、著者の日本人の友人たちはそれほど幸せではありませんでした。会社の仕事文化が息苦しくて、非生産的なことが多いとに苛立っていました。多くの人たちはもっと大きな夢を望んで、キャリアアップの更なる機会を求めていましたが、それがどこにあるのかを知っている人はほぼいませんでした。

著者には日本がソフトウェア産業をないがしろにしているように見えていました。そして日本には、アメリカの大学に見られるようなテック系スタートアップの文化がまるで存在していませんでした。そんな状況を見て、著者は大学で学んだ物理学の世界から、経済学に転身しようと決意します。博士号を取って一目置かれる経済評論家になれば、日本経済復活の助けになれるのではないかと考えたからです。

そして著者はミシガン大学の大学院で経済学を学びました。そして博士号取得後、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の助教として働きますが、その間の2010年代、日本経済はますます停滞していきました。日本社会の高齢化、中国との競争、硬直化していく企業たち。それらが重く日本経済にのしかかっていたからです。

著者はその後、大学を辞めてブルームバーグに入社し、日本経済についてのさまざまなブログ記事を書きました。その一部は本書にも収録されています。ただ、自分の原稿について、著者は不満を覚えていました。今や第二の故郷と思っている日本の成長と進歩をよみがえらせるための骨太のアイデアを思いつけていなかった気がしたからです。

「日本の生活水準を絵空事でなく実質的に変えられる、実行可能で明快な助言は一体どういうものだろう」

それが閃いたのは2022年のことでした。台湾のTSMCが熊本に半導体工場を迅速かつ効率的に建設していくのを見て、「日本では今まで外国直接投資の威力が過小評価されていたのではないか」と気づいたのです。

外国人が日本でものを作って輸出するビジネスを考えるとき、日本は完璧な条件を揃えていました。日本には高技能労働力が豊富で、世界屈指の優れた教育制度を備えています。それでいて、豊かな国にしては労働コストが低く抑えられます。サプライヤーのネットワークも強固です。

アメリカのように行政が開発を邪魔することもなく、ヨーロッパと違って日本にはまだ成長への渇望があります。そして中国と違って日本は自由な社会です。

なにより著者が強調するのが、日本は教育水準の高い外国人たちが愛する場所であることです。著者の知人たちでアメリカや台湾のテック系産業に身を置く人たちのほぼ誰もが、日本に長期滞在するのを大いに喜んでいるのです。

これまで日本では、外国からの直接投資といえば企業買収ばかりでした。日本には輸出志向の外国直接投資がもたらす機会を理解する人が少なかったのです。日本に移住して企業や工場、支社を設立するのが意外に容易であることに気づく外国人が増えていけば、それを実行に移す人が多くなるだろうことは、著者には容易に想像できました。

こうして生まれたのが本書です。本書の第1章では、日本における従来の企業エコシステムに打撃を与えることなく、新しい輸出志向の外国直接投資部門を日本に加えることができるという主張が展開されています。そして、そのためには外国人たちが日本に抱いている愛着心に訴え、彼らを招き入れて日本国内に事業を構築してもらう必要があると著者は力説しています。

本書のタイトルにある「Weeb」は、アメリカのスラングで「日本に特別な興味と関心を抱いている人たち」を言い表す言葉です。直接的には熱烈な日本のアニメファンや日本のポップカルチャーに熱を上げているオタク的な人を指しますが、本書ではもう少し幅広く、著者のような日本に深い愛着心を抱いている人も包括しています。

著者は次のように語って序文を締めています。
***
2000年代中盤にはWeebなんて物珍しかったが、今や何百万、何千万にも増えた。そうしたWeebたちには、自分の才能や資本を持っている人も大勢いる。これが「Weebタレント」、「Weebキャピタル」だ。もちろん、Weeb起業家もいる。私はWeebの一人として、人生をこんなにも豊かでより良いものにしてくれた国に、ささやかな形でも、日本経済復活のアイデアでお返しができたらと願っている。
***

これで著者がどのような思いで本書を書いたのか、おおよそのバックグラウンドはつかめたと思います。ここで、本書の目次を紹介します。

・序文 なぜ「WEEB ECONOMY」を提唱するのか

・第1部 ウィーブ・エコノミー
第1章 日本よ、再び未来を取り戻せ
第2章 対日直接投資こそ、パズルの穴けたピース
第3章 なぜ誰もが日本を好きなの?
第4章 「助っ人」Weebがやって来る

・第2部 変容する日本社会
第5章 実は、日本は様変わりしている
第6章 東京は新しいパリだ

・第3部 ノーベル賞受賞者から見た経済学の現在
第7章 信頼性革命と経済学の変容
第8章 素晴らしい女性経済学者たち

第1章には「日本よ、再び未来を取り戻せ」という副題がついています。日本人が書くと、少々恥ずかしいタイトルですが、ウィーブである著者だから真正面からそう言い切れるのでしょう。

最初の項目は「日本が未来を失ったのは2008年。1990年ではない」というものです。冒頭はこんな文章から始まります。

***
私が日本に住んでいた2000年代半ば、日本はまだ、「未来」のような場所だった。3G折りたたみ携帯電話はまだカメラの画素こそ粗かったが、アメリカで手にするどんな機種よりもはるかに先進的だった。
大半のアメリカ人がまだ旧式のブラウン管テレビを使っていたのに、日本の家庭には、液晶ディスプレイやプラズマテレビが置かれていた。台所には、自動炊飯器をはじめ、見たこともない家電がいろいろあった。
日本製のノートパソコンは、アメリカで自分が使っていたものより高性能ではるかに耐久性に優れていた。ウォシュレット付きのトイレはまるで宇宙船の設備みたいだったし、デジタルビデオカメラは映画品質の動画を撮影できた。「こんなことができたら」と夢にも思わなかった、奇跡に近いテクノロジーに溢れていた。
***

日本人なら誰でも恥ずかしくなるような手放しの礼賛はまだ続きます。つまり著者は21世紀が幕を開けた最初の10年間は、アメリカがまだ20世紀を引きずっていたのに対して、日本はもう新世紀に突き進んでいたと言いたいのです。

しかもそれはバブル時代の日本ではありません。バブル経済崩壊から10年以上経過した日本だったのです。1990年から2007年までの間に、日本の1人あたり国民所得は20%増という伸びを見せていました。

著者はこの時代の日本を肌で感じています。かつて「ウサギ小屋」と揶揄された住宅は西欧並みに大きくなり、食のシーンでは世界最良のレストランが生まれるだけでなく、大手スーパーの半調理済み食品によって家庭での調理に革命がもたらされていました。

スポーツジムやカフェなど誰もが利用できる場所は質と量の両面を向上させていて、日本は文化面でも最先端を走っていました。活気に溢れたストリート・ファッションシーン、アニメ・マンガの黄金時代、ニコニコ動画をはじめとするネット文化の爆発がそこにはありました。

著者が示したグラフには、1990年から2007年までの先進諸国の労働生産性の伸び率が示されています。日本はそれらの真ん中にあり、イギリスとフランスに挟まれていました。この時代までは、日本は堂々たる先進国だったことがわかります。

しかし、著者にとっての「夢の国」である日本は、2008年から急速な陰りを見せます。2008年から2022年にかけての日本の生活水準の上昇は6.5%。なぜこんなにも急激なブレーキがかかったのか、著者には原因がわからないといいます。

グローバル金融危機、東日本大震災と原発事故、原子力発電所の停止、急速な高齢化、ベビーブーマー世代の退職、中国との競争激化。考えられる理由はいろいろありますが、もしかするとそれらすべてが組み合わさって日本の停滞を招いたのかもしれません。

ともかく、日本の転換点が2008年にあったことは明らかです。もちろん、そこですべてが停滞してしまったわけではなく、日本の大都市は発展を続けていましたし、レストランや店舗の改善も続いていました。しかし著者の目から見ると、2008年以前に感じた未来志向の活力が日本から失われていたといいます。

日本製のコンシューマー向け電子機器はもう最先端ではなくなり、アップルや海外ブランドに追い抜かれてしまいました。中国をはじめとする新興勢力が、いろいろな分野で日本のお家芸を脅かし、市場を奪っていきました。

アメリカの家庭用機器も日本製品に追いつき、追い越しました。いまやアメリカの住宅はマルチ電気圧力鍋、ノンフライヤー、低温調理器、モニター付きドアホン、スマートスピーカーなど先端商品を備えています。一方で日本の住宅は2007年ごろから変わっていないように見えます。そして、日本人の平均実質賃金は1996年からずっと下がり続けているのです。

とはいえ、日本は相変わらず住むのに良い場所であり、豊かな国であり続けていると著者は言います。特に、外国人が日本で暮らしながら、リモートで働いてアメリカ人並みの給料を得ているなら、日本はまさに楽園と感じられるそうです。

このような状況で、日本には今までなかった強みと利点が生まれてきていると著者は指摘します。それは、各種の産業でトップランナーではなくなったことにより、新製品や新技術を開発する苦労を他の国々に担ってもらえるという点です。

戦後の日本は発展途上国としてアメリカをキャッチアップしようと模倣やライセンスの取得を繰り返し、成長してきました。もう一度それをやればいいと著者は言うのです。最前線を開拓するよりキャッチアップするほうが、いつの時代も簡単だからです。

そして、長い間賃金が伸び悩み、円安も長く続いたことにより、日本には発展途上国としての利点が生まれています。それは生産に必要なコストが下がったことです。低コストは世界中から投資を集め、輸出を増やすチャンスになります。

「Nikkei Asia」の2024年5月版には次のような記事があります。
***
円安が進むなかで、日本は化粧品などの製造拠点として再び魅力を増しつつある。また、輸出業者にとってコストが下がったことで、日本産のコメは海外で競争力を高めている。(中略)韓国の化粧品受託製造会社コスマックスは、日本で初となる工場の建設計画を立てている。
***

つまり、日本は世界最先端の地位を他国に譲ったことで、V字回復するチャンスを得たということです。

ここで著者は簡単な計算を示しています。フランスの労働生産性は日本より61%高く、2009年から2019年にかけて年率1.26%で伸びています。日本がこれから30年かけて生産性水準と生産性伸び率の両方でフランスに追いつくことができたとしたら、生活水準が年率2.86%で伸びることになります。それはバブル期の1980年代に匹敵する数字です。

この伸びを実感できたなら、今の日本を長い期間覆ってきた沈滞ムードは消え去り、かつての楽観主義的な感覚を取り戻すことができるはずです。そうなれば、著者をはじめとするウィーブたちの大好きな日本がよみがえることでしょう。

著者は日本の経済分析がすぐに「何がいけなかったのか」という話になりがちなことを批判しています。それよりも「どうすれば、今の日本をもっと豊かにできるのか」という問いをするべきだそうです。著者によれば、経済成長は「明日が今日より良くなるように」と喉から手が出るような思いで求めるものだからです。

ここから第2章に入ります。第2章のサブタイトルは「対日直接投資こそ、パズルの欠けたピース」です。そして序文で著者が触れていたTSMCの熊本工場建設の話が最初に述べられます。見出しは「『熊本の奇跡』が未来への道標」です。

TSMCは世界最大の半導体メーカーです。他社が設計した半導体チップを高効率で製造することで、台湾を半導体製造大国の座に押し上げました。そのTSMCが2021年、日本に子会社を設立して熊本県に2つの半導体工場を建設し始めました。

この子会社にはソニーとデンソーが少数株主として参加するほか、日本政府も最大1兆2080億円の補助金を出すほか、人材確保とインフラ面での支援を約束しています。

熊本第1工場は2024年2月に開所し、第2工場も2025年に開所します。現在、TSMCは第3工場の2030年開所を検討しているそうです。そしてTSMCだけでなく、アメリカのマイクロンは広島に工場を建設中で、サムスンは横浜に半導体開発センターを建設しています。これらの動きにより、日本の半導体産業に大きな弾みがつくはずと著者は見ています。

日本に支社や工場を作る外国企業が増えることにより、日本が有望な投資先であることが世界に知れ渡れば、日本人のポケットには海外からお金が入ってきます。そして日本人の働き口も増えます。それによって地域経済が刺激されます。すでに熊本では好景気が到来しているといいます。

まだまだ本書の初めの部分を紹介したのみですが、本書がユニークな日本経済論であることはおわかりいただけたかと思います。ぜひご一読をお勧めします。


 

EC仙人のダメ出し!道場

 

EC仙人
太田哲生

突然ですが皆さん、「チョークバッグ」ってご存じですか?

チョークバッグとは、ボルダリングやロッククライミングなどのクライミングスポーツで使用される、手汗を抑えるための滑り止めの粉(チョーク)を入れておく小さなバッグのことです。クライマーは、手が滑らないよう、このチョークバッグに手を突っ込んでチョークをつけ、指先を乾かしてグリップを高めるのです。

一般的に、チョークバッグには腰に取り付けるタイプと、置いて使うタイプがあります。腰につけるタイプは軽量で、ロープを使って登るようなロッククライミングなど長時間のクライミングに向き、短時間で登れるボルダリングでは床に置いて使う自立型のバケットタイプが主流のようです。どちらも、手の出し入れのしやすさ、簡単に開け閉めできる設計や、中の粉が飛び散らないようなデザインの工夫が特徴のようです。

チョークバッグはカラフルでおしゃれなデザインのものが多く、小物を収納するのにも便利で、価格も数千円代からと比較的リーズナブルなのもあって、クライマーたちが複数持ちで普段使いとしても活用したりして、クライミング用品を超えた存在にもなっているようです。

SNSでお気に入りのチョークバッグを紹介したり、競技以外での活用方法の投稿も増えたりで、個性を表現する小物としても定着しつつあるようです。

2021年の東京2020オリンピックで「スポーツクライミング」が正式種目として採用されたのを契機に競技人口も一気に増え、現在では日本で愛好家を含めた競技人口は300万人前後とも! それに伴いシューズ、ウェア、バッグなどのアイテム市場も急成長していると思われます。

クライミングの必須アイテムとしてのチョークバッグの需要が増えただけでなく、再生素材や環境配慮のファブリックを用いたサステナブルな製品などメッセージ性の強い商品も登場し、自然環境を意識した、クライミングはしない客層にも支持を集め、新しいファッションアイテムとしての市場も広がっているようです。

さて、本日のお店「CXM(シーバイエム)」さんは、元クライマーさんであり、ファッション小物デザイナーさんでもあるオーナーさんが使いやすく自ら欲しくなるようなチョークバッグを作りたいと企画~デザイン~製造まで手掛けるチョークバッグの専門ブランドメーカー直営店です。

それでは、「ダメ出し!道場」始まり~!

ダメ出し!依頼ショップ
CXM

ショップ名 :
CXM

サイトURL:
https://cxm-cbym.ocnk.net/

海外サイトURL:
https://www.cxm-cbym.com/

ここで、商品企画へのアイデアとヒントです!

現在、上記ショップと海外向けサイト( https://www.cxm-cbym.com/ )の2サイトを運営しております。
すべての業務を1人で運営していており、オンラインの他にポップアップショプ等の出店も行っております。
そのため、細かな部分にまで手が回っていないとわかりつつ、そのままにしている状態です。
海外からの購入も3割程度あるので英語サイトが必要とは思っていますが、2サイト運営は2倍の時間を要することもあり、他の方法はないかと思案しています。
また、カスタムオーダーをメインに運営しているため、一般的なサイトに比べると成約率が低いのも悩みの一つです。
よろしくお願いいたします。

第一印象:ブランドサイトとしてはクオリティ高いが…

デザインや写真のクオリティも高く、メーカーブランドサイトとしては洗練されていてイメージはとても良いとは思いますが、直販ショップ(売り場)としては買う側の目線での痒いところに手の届く気が利いた見せ方、売り場、お店にはなっていません。

「あーこれいいなー、良さそうだなー、でも買うとなると…」
「よくわからない、大丈夫かなー?、不安…」

で決めきれない、といった印象です。

まずは、比較対象物がほとんど写ってないので、商品の大きさや容量がイメージできません。

また使用シーン、事例もまったくなく、バッグの内側や中を写した写真もほとんどないので、実際に使うシーンがイメージできません。
チョーク入れとして使う場合だけでなく、普段使いでの便利さや実用性を見せるように、スマホや財布や手帳、ハンカチ、コスメなど持ち歩くだろうアイテムを実際に入れて容量を見せたり、出し入れするショート動画を添えて、便利さや実用性のアピールが欲しいところです。

また生地や色、形状のバリエーションも豊富なので、ファッションとの相性、コーディネート提案などもして、お客様の「気付き」を促したいところです。

メーカーとしての商品一覧カタログにはなっていても、使用提案、コーディネート提案をする売り場にはなっていない、そんな第一印象です。もったいない!

インタビューでわかったこと、気づいた点

オーナー店主で商品デザイナーでもある澁谷美予さんにいつものようにお電話でインタビューさせていただきました。

澁谷さんは自らもボルダリングを楽しむクライマーで、始めた当初、市販のチョークバッグが地味で可愛くなく、もっといい物が欲しいなーとあれこれ探しても見つからなかったそうで、もどかしく思ったそうです。

もともとファッションの専門学校で学び、フランス・パリにも留学経験を持ち、その後日本のアパレル企業で12年ほどアクセサリーや小物など服飾雑貨のデザイナーさんとしてのスキルと経験を持つ澁谷さん。探しても見つからないなら、「えーい、自分で作っちゃえ!」とオリジナルのチョークバッグを自作して使っていると、クライミング仲間から「それいい!」「可愛い!」「私も欲しい!」「作って~!」との反響が!

これはニーズがある? 商売になるかも? と一念発起し起業。
CLIMBING x MODE=CXM というチョークバッグの専門ブランドとして事業を始めたそうです。

その後2021年の東京2020オリンピックで「スポーツクライミング」が正式種目として採用されたのを契機に、ニーズ、市場も拡大。
既製品を販売するメーカーもブランドも増えましたが、よりデザイン性や素材などへのこだわりを持つ客層も増え、明確なコンセプトや理念、メッセージのあるCXMさんは着実にファンを増やしているようです。
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CXMについて
https://cxm-cbym.ocnk.net/page/5

「ジェンダーや国境を超えた、型にとらわれないボーダレスなブランドを目指しています」

「裁断、ペイントや染色、縫製、仕上げまで100%ハンドメイドで製作」

「ただ見た目がカッコいいものや使いやすいものをデザイン、制作をするのではなく、物作りをする上で大切にしていることがあります。
→『すべての人の幸せな未来のために』CXMとして何ができるのか。これからも模索し、取り組んでいきます」

「ただ新しいものを作るということだけではなく、いかにして廃棄するものを減らせるか」

「できる限り無駄をなくすことのできる受注生産での製作」

「小さなビジネスですが、小さなビジネスだからこそできることがある」

「シンプルを追求したデザインは、機能としての意味もありますが、型紙の数を減らすことにより、生地を裁断する時の捨てる部分を減らすことにも繋がります」

「見た目、機能、そして環境に配慮するため無駄をなくすこと」

「これらのバランスが取れたデザインを追求していくことが今日のデザイナーの使命」

「ほつれや破損などが起きた場合は、可能な限りお修理に対応致します。ご購入から何年経過していても大丈夫」

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これらの理念、コンセプト、メッセージを読んでちょっとサイトへの見方が変わりました。商品のデザインや機能性などのスペックだけではなく、ブランドとしての「CXM」の魅力に惹かれるお客様は多いのではないでしょうか。

具体的なダメ出し&改善策

上にも書きましたが、CXMのバッグ類はそのデザイン性や競技アイテムとしての機能性のあるバッグというだけでなく、まずはそのコンセプトや理念、作り手のメッセージが重要な商品だと思います。

この21世紀の大量生産で物が溢れ、それに伴って廃棄物や無駄なエネルギー消費、環境汚染など、物品製造の恩恵だけでなく弊害も意識していかねばならない時代。

澁谷さん & CXM のそういう思いこそ、まずはドーンと知っていただいて、それに共感できるお客様に買っていただきたい!

という点を最優先でトップページに明示するべきだと思います。

単に、製品としての「バッグ類」というのであれば、大量生産、大量在庫で注文すればもっと安く、早く手に入るバッグ類は世の中にゴマンとあります。

それでも、少し高くて、オーダーメイドで注文の手間がかかり、手元に届くのにも日数がかかる CXM で買いたい! と思えるお客様に響き、刺さることで、ファン&リピーターになっていただける確率も高まり、買っていただいた商品も長く大切にしていただけ、その持つメッセージが再び拡散して次のお客様に繋がり広がっていくと思います。(それを狙わなければいけない)

ですが、現状はトップページをパッと見ただけではそのコンセプトも理念もメッセージも伝わらず、単に「カスタムメイドのチョークバッグとその他バッグの小売店」にしか見えません。ブランド、メーカー直営店ということさえなかなか感じられません。

まずはトップページの看板画像からわかるように下記のようなメッセージを明記されてはいかがでしょうか?

案1)
私たちCXMの理念は「すべての人の幸せな未来のために」

ジェンダーや国境に縛られないボーダレスなデザインを提案します。100%ハンドメイドで生み出されるアイテムは、シンプルながらも機能・デザイン性と環境配慮を両立。廃棄物を減らし無駄を出さない受注生産の作り手の想いが詰まった未来志向のブランドです。

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案2)
CXM はクライミング用のチョークバッグから始まった小さなメーカー。

環境配慮で廃棄物を出す大量生産はせず、無駄なく丁寧に実用性とファッション性を両立させた個性的なバッグを一点一点カスタムオーダーでハンドメイドする Made in JAPAN のブランドです。

私たちの理念・コンセプト・アイテムに共感いただけるお客様のライフスタイルは、きっと世界の未来を変えていくメッセージになると信じています!

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こんな感じで、まずは澁谷さん & CXM のメッセージを!

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【その他 気になったダメ出し】

バッグ=物を収納するアイテム なので、何がどのくらいどんな風に入るのか? を一瞬で伝えることが大事です。

文字通りクライミング用のチョークを入れるだけなら、まあ今のままでも事足りるかも知れませんが。

それであっても、実際に使うシーン、手の出し入れや粉の付けやすさ、腰への装着性、クライミング時の安定性、置いて使う際は周りを汚しにくい、洗いやすさや乾きやすさなど、機能性や形状、デザイン性も気になるところです

また、せっかくのCXMのデザイン性の良さは、クライミング用途以外での普段使いへの提案もぜひぜひ見せたいところ。

クライマーさん以外の一般客は、その大きさや質感(固さ、柔らかさ、ハリ、自立性)などもまったくわからないと思われますので…

まずはサムネイル一覧画像の段階で大きさがわかるような見せ方(人の手やスマホなど誰もが大きさがわかるような比較物を写す)や、多くの人が入れるであろうもの(スマホ、小銭入れ、モバイルバッテリー、イヤホン、コスメ、手帳、ペン、カード類、名刺入れ、大き目バッグならペットボトルや折り畳み傘なども)を入れてある写真や動画も用意していきましょう。

使っているシーンをちゃんとイメージさせることで、単に「物が欲しい」→「こんな風に私も使いたい!」に昇格します。

また、バッグ類は一人がいくつか持っていても良い物ですので、服装に合わせてコーディネート、着替え(取り換え)やクライミングをしている友人や家族へのプレゼントにも最適であることのアピールをすれば、購入見込み客も広がります。

腰に身に付け、大きく動いても中身が落ちない、手を出し入れしやすいなどの特徴を生かした提案は、ゴルフやトレッキング、自転車やジョギングなどの他のスポーツ、アウトドアシーンにも合うと思いますので、提案次第で客層はまだまだ広がると思います。

装着のしやすさ、取り外しのしやすさなども動画が欲しいところですね。
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オーダーのわかりにくさ
https://cxm-cbym.ocnk.net/product/839
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例)BELL BAG / SPLASHED PAINT / custom order

まずはサイズ。
size S: H13、W13、D8cm
size L: H16、W15、W8.5cm
とはありますが、モデルさん着用写真だとどれがSサイズでどれがLサイズなのか? 13cmとか16cmとか言われても現物を見たことのない人にとってはパッとイメージできないものです。

次に選べる部分(生地やコードなど)の名称が、バッグのどの部分のことを言っているのか素人には分かりにくいです。

写真なりイラストなりに矢印付きで、ここが(1)Edge、ここが(2)Code、ここが(5)Nylon、ここが(6)Lining のように写真の上で番号をつけて明示しましょう。
特にNylon、Liningはどこのことなのか、すぐにはわかりませんでした。

また「備考欄」を設けてお客様が気になる点、不安な点、確認したい点など書けるようにしておいた方が相談もしやすく勘違いや思い込みによる後のトラブルを防げると思います。

またこの商品写真の3番目
https://cxm-cbym.ocnk.net/data/cxm-cbym/product/PHOTO_bell/3.jpeg
のような本体前面とサイド面の色生地が違うものは、どのようにオーダーすれば良いのでしょうか? わかりません。

お店にとっては当たり前の「部位」や「生地」や「色」の名称も、お客様にとっては初めて見聞きするものなので、とにかく写真やイラストなどに番号や矢印をつけて初見でも3秒でわかるような工夫をしていきましょう!

成約率の低さ は オーダーのしやすさ、わかりやすさの改善でお客様の面倒くささと不安や懸念をなくせば向上すると思われます。

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メーカー、ブランドとしての BtoB 提案
下記 WHOLESALEのページには説明はあるのですが…
https://cxm-cbym.ocnk.net/page/17

階層が深いため見つけられにくいと思います。
トップページのメニューに「卸売りについて」とか、「小売バイヤーさまへ」と目立つように設定して、とにかく引き合いの問い合わせがくるように仕掛けていきましょう。
具体的な中身はあまり具体的に細かく書かず、きてからケースバイケースで対応すれば良いと思います。まずは問い合わせがしやすいようにしておきましょう。

70点
総評

お電話でお話を聞くまでは、何から何までお一人でされているとは思いませんでした。商品そのものの縫製やクオリティの高さもですが、写真の質や、サイトのデザイン性も高く、プロの手によるものだと思っていました。それほどクオリティの高いサイトですが…

逆に何でも自分で器用にレベル高くこなせるからこそ、なかなか外注やスタッフを雇って任せることができず、自分のキャパ限界=ビジネスの限界 となって「低め安定」してしまいがちになります。

早い段階から「これだけは譲れない自分にしかできないこと」と「数や量が増えれば人に任せられること」を仕分けしておいて、早めに任せられる人材の採用や育成、もしくは固定費ではなく変動費で依頼できる外部業者や外注スタッフを探して契約していきましょう。

例えば英語サイトは、英語のできる外注デザイナーに、とにかく日本語サイトに更新があったら、翻訳して同じように更新してもらう! と単純作業化すれば、手間や労力は減らせるのではないでしょうか。

「デザインと機能と品質の高い商品をゼロから生み出せる」
CXMさんの最大の強みはそこにあると思います。

いかに、それを適量・適時・最適生産していける仕組みを作るか、苦手な接客・販売・梱包出荷・代金回収・経理などを外注化できないか? 卸売りに特化できないか? 縫製の中の単純作業部分など他の人でも教えればできることを洗い出し、できる手段を見つけることで、何より澁谷さんにしかできない商品開発に使える時間を増やすことが今後のビジネスの成長のための最優先の重要事項だと思います。

今後の経営戦略次第では大きく成長も、疲弊して頭打ち…もどちらもあり得ます。

今後、一人であれこれ悩んでしまった際には、またお気軽にご相談ください。

読者の皆様もあれこれ悩まれた際にはお気軽にご相談ください!
メルマガには出たくないお店も個別のダメ出し、やってます。

以上。「ダメ出し!道場」でした!



ダメ出し道場登場ショップ募集中
申し込みはこちら

さて…
オンラインショップの本質は表のホームページからだけでは見えない接客や、梱包、配送、そして商品そのもの等、「裏」の強みや弱み、そして個別の事情によるのが当たり前です。
実際に、「売れる・儲かる」という部分は、実はこの見えないところにこそ本質的な秘密や課題があるものです。
この「ダメ出し!道場」の企画は、公開という性質上、あくまで表から見たお店の印象や、そこから類推できる範囲の改善点をお客様目線でご指摘するものですので、ご理解ください。


このコーナーでは、テンプレートのカスタマイズについて、実際のサンプルページを元に紹介していきます。

皆さん、こんにちは。おちゃのこネットの刑部です。

今回のデザイン道場は、商品詳細ページ画像をスライドにしてる場合に表示される左右スライドの矢印アイコンを小さくする方法をご紹介します。






スタイルシートを編集する

デザイン管理→スタイルシートの編集から下記指定をコピーして貼り付けてください。
※貼り付け位置は、最下部にお願いします。
横幅840px以下(タブレット、スマートフォン)の場合は、左右アイコンは表示されませんので、横幅840px以上(※パソコン表示)で適用される指定となります。

widthとheightがアイコン全体の横幅、 background-sizeが>アイコン画像サイズで、横幅、縦幅の順に指定します。


@media screen and (min-width: 840px) {
.main_photo_slide .has_outside_controller .upper_slider_controller .swiper-button-prev,
.main_photo_slide .has_outside_controller .upper_slider_controller .swiper-button-next {
width: 15px;
height: 40px;
padding: 10px;
background-size: 12px 27px;
}
}

 

なお、お問い合わせは下記ページからお願い致します。

https://www.ocnk.net/contact/index.php

編集後記

前号から、書評の執筆に2画面体制をとっています。メインのデスクトップに本のキンドル画面を出し、ノートPCをスレーブのサブ画面として原稿を表示しています。キーボードとマウスは共通なので、とても効率良く作業ができています。
(おちゃのこ山崎)

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