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株式会社 箕輪漆行

漆屋です。なじみのない人にはまったくなじみのない商品ではあります。
そんな漆に携わる人をもっと増やし、すそ野を広げていきたい。
最近では陶器などの割れやヒビを漆で直す「金継ぎ」が一般の方にも少しずつ広まり、割れた食器を自分で修理する人も増えてきています。
弊社でも初心者向けの「金継ぎセット」の売り上げが伸びています。
そういった今まで漆のことを知らなかった人にも、漆のこと、漆器のことを発信していきたい。

たまたまでしょうか? 最近テレビや雑誌などで手作りやハンドメイドの特集番組や記事をよく見かけるような気がします。

昔から洋裁や手芸には一定のファン層がいて、「ハンドメイド市場」の中心だったとは思いますが、最近では服や縫い物系だけではなく、アクセサリーや雑貨から家具や工芸品まで、木材や革、金属や樹脂なども使った趣味を超えて「もはや職人さん!?」というレベルのものまでがハンドメイドで作られています。

また、それも趣味の範囲で自分で作って楽しむだけのレベルから、作った作品をネット上のいろいろな販売サービスサイトで売って稼ぐ人たちも増えているようですね。

販売手段としてのスマホとネットの普及によって、簡単に撮影してアップして販売できるアプリやサイトが増えたのはもちろん一因でしょうが、手作り・ハンドメイドそのものが盛んになったのは、スマホやネットのおかげで情報を得やすくなったことが理由としてあるかもしれません。

それ以前に、物があふれ、中国や途上国からの安価ではあるが粗悪で品質の低い大量生産品があふれている時代に、ほかにはない少し高くても一工夫ある気の利いた品としての「手作り・ハンドメイド」品が、そのこだわりや思いのこもった品として人々の心を惹きつけるのかも知れませんね。

今回は、そんなハンドメイド市場の中でも、日本伝統の「漆(うるし)」に関する専門店さんの登場です!

実は今回はダメ出しチェックをし始めたものの、あまりに専門的過ぎて1日ではダメ出し仕切れず、原稿の締め切りを数日延長させていただきました。
私は美術品や工芸品に詳しい方ではありませんが、日本の伝統や和の品には多少は興味もあって常識程度には知っていたつもりですし…漆器っていいなぁ、好きだなぁと思っておりましたが…
そんな私でも、今回のショップさんのサイトは専門用語や専門商品のオンパレードで「?????」クエスチョンマークの連続でした。

「ダメ出し!道場」第109弾 スタートです!(^-^)

第一印象はあくまでプロ向け専門店、初心者も狙うなら…


EC仙人 太田

第一印象は「漆関連商品常時2000点以上の品揃え!」「漆の精製量・販売量・取扱種類 日本一」と謳う、正に日本トップレベルの漆専門店さんで、プロショップだという印象です。

しかしながら今回のダメ出し道場のお申し込みコメントには
「漆に携わる人をもっと増やし、すそ野を広げていきたい」
「初心者向けの『金継ぎセット』の売り上げが伸びています」
「今まで漆のことを知らなかった人にも漆のこと、漆器のことを発信していきたい」
とあり、初心者を取り込んで裾野を広げたいとのことなので、今回はあえて「初心者目線」でダメ出ししていきたいと思います。

そういう観点では、残念ながら箕輪漆行さんはまだまだ初心者にはちんぷんかんぷんで、ハードル・敷居の高すぎるプロ向け・マニア向け専門店です。
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今までの「ダメ出し道場」でも何店舗かプロ向け、マニア向け専門店さんのダメ出しを行ってきましたが、その際にはいつも
・ターゲットをどこに置くか?
・プロやマニアだけで十分に経営が成り立つ売り上げや収益があるか?
・初心者もターゲットに取り込んで裾野を広げるか?
を考慮してお店の構成を作り上げなければならないと話してきました。

私も過去の人生で、何か新たな趣味を始めようと思った際に、専門店にグッズを見に行った際に感じたことがありますが…
(以下例)
・釣りに興味を持って釣具店に行ってみたものの、あまりの品揃えと商品名の専門用語に何から揃えたらいいのかわからない。お店の人に聞いてみようと思っても、常連さんらしきお客さんとマニアックな会話で盛り上がっていると声をかけるのもためらわれ…

・ゴルフを始めようとゴルフショップに行ってみたものの…以下同文

・○○を始めようと専門店に行ってみたものの…以下同文

趣味や専門のジャンルこそ違えど、皆さんも似たような経験はおありなのではないでしょうか?
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また、わかりやすい例として、初心者がちょっと中上級やマニアへの一歩として踏み込む専門商品の例として…

・車やバイクを自分でメンテナンス、チューンアップする人なら必ず持っている道具に「プラグレンチ」というものがあります。エンジンプラグを外したり付けたりする道具です。安いものなら1000円もしません。マニアにとっては持っていて当たり前、いまさらなんの道具か説明を聞くまでもない工具ですが、「エンジンなんて自分で触ることはない!」って方にはまったく無縁の商品ですし、「自分のバイクに合うかどうか?」「どう使うのか?」さえもまったくわからなければ、選んで買いようもない品ですね。

・キッチン用品(調理器具)…例えばパスタマシーン。料理番組などでは見たことがあっても、「パスタなんて市販の乾燥パスタで十分!」って方には一生、縁も買うこともない道具かもしれません。でも「粉から練って打ちたての自家製の生パスタを食べたい!」というレベルの料理マニアの方にとっては、ぜひ揃えておきたい道具の一つかも知れません。初心者がいざ「欲しい!」となったときに、どんな基準でどんなものを選べばいいのか、価格にもピンからキリまであってどう違うのかわからず選べない! 刃の切れ味などメンテナンスや部品の交換なども心配! 初心者にも親切にちゃんと教えてくれてメンテのことも相談できる専門店なのか、「ウチはあくまでプロ用機材を売るだけ! そんなことは面倒見られない、自分で勉強して!」というプロ向けショップかで、初心者さんが買ってくれるかそうでないか差が出ますよね。
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箕輪漆行さんでも刷毛や筆、器など素人でも必要だとわかる道具もあれば、例えば「くじらヘラ  6,480円 (税込)」
http://urushiya.ocnk.net/product/168
商品説明はわずかにひと言「鯨の髭から作られたヘラで、希少な逸品です」
なんのための道具? 木やステンレスのヘラとは何が違うの? 高いけどそれだけの意味があるの? など初心者にはまったく?????です。

刃物の一覧
http://urushiya.ocnk.net/product-list/16
切出し小刀? 蒟醤刀(キンマトウ)? 沈金刀? いったい何に使う刃物なのでしょうか?
さまざまな刃物が販売されていますが、ほとんど説明もありません…
まるで「プロならわかるだろ、わからんような奴はウチには来るな!」と言われているかのような暗黙のプレッシャーを初心者は感じるかもしれません。

下地材料
http://urushiya.ocnk.net/product-list/10
こくそわた(麻)? 綿白カンレーシャ(寒冷紗)?
などなど…要するに初心者さんにとっては「何のための道具なのか?」がわからない不明なアイテムが多すぎて、せっかく興味を持って来ても「あぁ、自分なんかが来てはいけないお店なんだ…」と心が折れるような印象になっているのです。
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貴社のスタッフさんや上級者・プロの職人さんたちには当たり前過ぎて、いまさら説明も要らないような商品であっても、「これから始めよう」「始めたばかりで勉強中!」なレベルのお客様たちにとっては、ひとつひとつ見る商品にちゃんとわかりやすい説明があれば、
「あぁ、なるほど! こんな加工をしたいからこの道具はぜひ欲しい!」
と購入に繋がりますが、まったく説明がなければ…おのずと売れませんね。

わかるお客様には不要な説明であっても読み飛ばせばいいことですが、わからないお客様には何もなければ何も買えないのです。

箕輪漆行さんに限らず、専門店さんにありがちなことですが、
「社内の常識は世間の常識にあらず!」
初めて見る初心者さんが見たらどう見えるか? どう感じるか? を常に意識して、自店の商品やページを見直す必要があります。

ちょっと観点を変えれば、漆という塗料を扱うお店という見方もできますので、例えばペンキや塗料関係の専門店さんで初心者向けの道具なども含めて、ペンキの塗り方ノウハウなどを上手に見せているお店を参考にしてみるのも良いかも知れませんね。

売れていそうなお店は、単にペンキの品揃えだけがたくさんあるお店では決してないと思います。屋外、屋内、壁、床、コンクリ、雑貨など、何を塗るのかどんな用途で塗るのか、どんな場所を塗るのかなどなど、目的やシチュエーションに応じてどんなペンキや刷毛や道具を選べばいいのかにいたるまで、初心者教育的なコンテンツまで用意して販売されている専門店さんも少なくありません。

全国で多数あるペンキ屋さん塗装屋さんのサイトでもそうなのですから、「日本一!?」を誇る貴店がそういった「How to」のコンテンツを用意しないのはもったいないですし、名実ともに日本一の「漆塗り」のオンラインショップを目指していただきたいと思います。

初心者向け漆工材料・教材セット


EC仙人 太田

トップページ下部の方に入門ビデオの紹介と漆工材料・教材セットの説明があるのですが、残念ながら教材セットはまだカートで買えるパッケージされた商品にはなっておらず「お問い合わせください」止まり。

いろいろなニーズや条件や事情があるのはお察ししますが、まずはプロショップとして、提案する初心者向けセットを構成し作り上げて売り出してみることをお勧めいたします。

1つに絞れないなら初心者向けセットA、B、Cでも松、竹、梅でも良いので、予算別や目的別にセット組みしておけば、そこから入る方も増えるでしょうし、それで過不足がある方は、そのセットをベースにアレンジできないか? とご相談を受けていくのも良いでしょう。

「なんでもできます!」よりも、「例えばこんなパターン、こんなパターンから始めてみましょう!」のほうが初心者さんたちにはイメージしやすいですね。

また、そうした漆塗り、漆行教室さんや、専門学校や大学の講師の方など、教える側の方々を取り込みやすい商品企画、サービス企画なども有効だと思います。(初心者さんはいきなり自分で商品を選ぶのは難しい場合は、自分が信頼する身近な先生や先輩の薦めるものを選ぶ傾向があるので)

初心者向けセットや教材セットは裾野を広げるキーになる商品だと思います。

狙いは悪くないのに…キャラクターひとつ取ってもからまわり…


EC仙人 太田

トップページ最下部にこんな可愛いイメージキャラクター(ゆるきゃら?)がいました(^^;) うるしかきくま
http://urushiya.ocnk.net/data/urushiya/product/urukuma_kanban-2.jpg

企業が自社ブランドイメージのためにキャラクターをデザインして使うことはよくありますし、私もこうしたキャラクター戦略は肯定派です。

箕輪漆行さんのような漢字の堅苦しい名前やなじみの無い用語の企業さんにおいては、企業名は覚えてもらいにくくても、イメージキャラクターを掲載することで、比較的短期間にブランドイメージが認知・定着して行きます。

サイトや企業名は覚えてなくても、この可愛いクマさんの姿やポーズは、一度見れば次に見た際も、「あぁ、このクマ前も見た!」と「あの会社だ!」と認識されるからです。

しかしながら、本当に自社のイメージキャラクター! であるならば、トップページの最下部に申し訳程度に載せておくだけでは全然ダメです!

トップページの看板に目立つように載せるのが当たり前。サイト内いたるところに登場させ、店内ガイドさせたり、サイトやチラシ、ポスター会社案内や各種パンフレット、販促品そして商品にも統一して使っていかなければ意味がありません。

「イメージキャラクターを作って載せてみる!」という狙いは決して悪くないのに、中途半端ではからまわり! です。やるならぜひ全社をあげて徹底的にやってみましょう!

担当者だけの責任じゃない、会社としての取り組みが重要


EC仙人 太田

http://urushiya.ocnk.net/
トップページの上部「新着情報」を見ると…
・2016-02-03 新商品
2015-12-29 新商品
と寂しく「新商品」とリンクが張ってあるだけ…

うーん、辛らつながら、この感覚というか気の利かなさというか、良い意味で田舎の職人気質な素朴で朴訥な悪意のない不親切さ…(^^;)
これがサイト全体の印象に繋がっていると思います。

社員紹介のページによると…
http://urushiya.ocnk.net/page/4
このオンラインショップホームページのご担当者さんは営業スタッフさんではなく、製造スタッフの副工場長さんのようです…
勝手な想像ながら、まじめな技術者、職人さんなのでしょう。

しかしながら営業的、販売的、顧客サポート的な観点からは言葉足らずですし、かゆいところに手が届いていません。キツイ言い方をすれば気が利いていません。
でも、誤解なきようにお願いします!
これは決して副工場長さんを責めているのではありません!

そうではなく、オンラインショップには、自社商品を説明し販売しお客様とのやりとりを通じて市場のニーズを感じ取ったり、お客様を啓蒙・教育することさえできる、市場を育てる意味もある重要な一面があるのです。

経営者さんやマーケティングの責任者さん、営業責任者さん、顧客サポートの責任者さんたちが常にウォッチしながら会社のプロジェクトとして運営し、日々改善していかなければなりません。

単に「パソコンやインターネットに詳しいから、君がオンラインショップの担当者ね!」でなにもかもまかせっきりにしていてはダメ! なのです。

私どもは過去18年くらいオンライショップやネット販売のコンサルティングを何千社も行って参りましたが、このような「パソコン・ネットに詳しいから担当者に任せっきり!」な会社で成功した例は見たことがありません!

なぜならオンライショップやネット販売はビジネスであり、店舗経営だからです。パソコンスキルやネット知識だけで商売や経営ができるわけはないのです。商品戦略、販売戦略、広告宣伝、物流や人事、もろもろ経営全般、マーケティング全般のことを日々軌道修正、意思決定していく権限を持った責任者が積極的に関わっていなければ、絶対に成功なんてできないのです。

「あー、ウチもそうだわぁ…担当者の自分任せで社長や部長は『ネットはわからんから任せた!』だわぁ」という読者さんがいたら、いますぐこのメルマガをプリントして、マーカー引いて責任者さんに読ませてください!(^^;)

総評

漆の専門企業としての歴史、伝統、技術、ブランド力など、一朝一夕には得られない素晴らしい要素をほとんどお持ちの会社だと思います。
それだけにまだまだ手探り状態で、確固たる戦略やノウハウのないオンライン事業にはとても「もったいない!」と感じます。
ぜひともお手伝いしたい! と思える数少ないお店です。
ポテンシャル、伸びしろがとても大きな会社さんだと思います!

箕輪漆行さんにおかれましては、どこまで社長や役員、営業の責任者さんたちがこのオンラインショップやホームページ事業に関心や積極的な関わりをお持ちかはわかりませんが…
少なくとも…
「初心者もターゲットに裾野を広げていく!」というのが会社の戦略であるならば、ぜひすぐに社長・役員・部長さんたちを集めてこのメルマガを読ませてみてください。

その上で、会社の戦略に準じて打つべき手として、サイトのリニューアルや改善をする手段を講じたり、そのための予算や人員を確保する意思決定を得なければならないと思います。

担当者一人で悩んでいる…など、ご相談をなさりたいときはまずはお電話でもお気軽にご相談ください!ぜひお助けお手伝いしたいですね!

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。