紀州南高梅 梅光園

カテゴリ:食品、飲料

紀州南高梅 梅光園

梅干しの競争が激しくて売り上げが上がりません。

先週の「限定マーケティング」に引き続き「悪い」マーケティングの話を…。

「こだわりマーケティング」

「当店のこだわり!」「職人のこだわり」「シェフのこだわり」「こだわりメニュー」「こだわりレシピ」「こだわりの素材」「こだわりの一品」…

あげくのはてに店名や会社名まで、こだわり屋、こだわり本舗、こだわり館など、あまりに「こだわり」という言葉があふれていて、消費者もマヒしてきていますね(^^;)

【こだわる】とは本来は良い意味ではなく、悪い意味で用いられた言葉です。辞書を調べてみても…

三省堂『大辞林』によると、
(1)心が何かにとらわれて,自由に考えることができなくなる。気にしなくてもいいようなことを気にする。拘泥する。
(2)物事がとどこおる。障る。
(3)他人からの働きかけをこばむ。なんくせをつける。
(4)普通は軽視されがちなことにまで好みを主張する。

念のためもう一つ
小学館『日本国語大辞典』によると…
(1)すらすらと行かないで、ひっかかったりつかえたりする。
(2)気にしなくてもいいようなことが心にかかる。気持がとらわれる。拘泥する。
(3)故障をいいたてる。わずかのことに理屈をつけて文句をいう。なんくせをいう。
(4)((2)から転じて)ある物事に強く執着して、そのことだけは譲れないという気持を持つ。「本物の味にこだわる」

最近ではもっぱら(4)の意味で、しかも商売の道具として使われる「こだわる」「こだわり」がすっかり浸透してしまいました。

今のように使われ始めたのは…私の感覚では、バブル経済のころにとんでもなく高価な商品を売るために、ある物事に執着してそのことだけは譲れない! という作り手である職人気質を強調・演出するために使われたのがきっかけじゃないかと思います。

本当に、深い造詣・専門知識とそれを追求する強い思いがあって、長い歳月・苦労を乗り越えて本当に高品質な素材や材料や製法で作られた品であれば、本物の「こだわり」を持った商品・製品であると言って良いと思いますし、それをしっかりと説明しつくせば、決して悪いマーケティングだとは言いません。

しかし、あえて「こだわりマーケティング」を「悪いマーケティング」に入れたのは、それほどの造詣も専門的な説明もなく、なんとなく「こだわって作ってますよ〜!」という小手先の演出テクニックとしての「こだわり」を掲げている商品やお店が多過ぎるからです。

もはや中途半端なこだわりはすぐに消費者に見透かされ、「大したこだわりじゃないじゃん!」と、かえってマイナスな印象も与えかねません。

★注意:本当に良いこだわりの品を販売するお店もあると思います。実在するこれらの名前のお店を全て批判するものでは決してありません。

申し上げたいのは、「こだわり」を安易に使うな、使うなら本物と言えるこだわりをキチンと説明し尽くし、消費者・お客様に「なるほどなぁ、さすがだわ!」と言わしめるほど徹底してやらなければダメ! だということです。

皆さんのお店にも「こだわりの…」があれば、もう一度本物のこだわりか否か? を吟味しなおしてみてください。

先週の繰り返しになりますが…
「良いマーケティング」は
「顧客も企業側も満足し良い関係が続く」

「悪いマーケティング」は
「顧客不満足であっても企業側の利益優先で売ったもん勝ち」

いい加減な中途半端なこだわりは、お客様をガッカリさせて関係が断たれるのです。この基本に立ち返って考えてみましょう!
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さて今回のお店も、トップページに「こだわりの」が光る紀州和歌山の梅干し専門店さんのようです。厳しい目で「こだわり」も追求しつつ…!?(^^;)

では「ダメ出し!道場」第116弾 スタートです!(^-^)

パッと見は良いがすぐボロが出る…肝心の「こだわり」は?


EC仙人 太田

トップページの第一印象は「紀州南高梅 梅光園」という店名もロゴも赤基調のイメージカラーも専門店であることを一瞬で感じさせ、中央には「梅干しへのこだわり」梅光園の梅干しができるまで…と社長自らの梅林での収穫写真まであって、その「こだわり」への期待感を高めるのですが…

いざクリックしようとしてもできない、他に「できるまで」のコンテンツページは見当たらない

何をどんな風にこだわっているのか?
どんな製造過程で作られているのか?
原材料などの情報も見当たらない…

きっと本当に良い意味で「こだわって」作られているのでしょうが、現状では単なるこだわってる演出の悪いマーケティングになってしまっています。

肝心の「こだわり」を説明するコンテンツが皆無!
こだわってますよという写真だけのポーズでは、目の肥えているネット消費者はごまかされません。

とくに梅干しのような競合の激しい業種では、もはや当たり前レベルの情報だけでは生き残りにくいのです。
こだわるなら徹底して素材、調味料、水、畑や土、手入れなどまで情報開示しないと、目の肥えた消費者には認めてもらいにくいと思います。

しかもネットショップだけでないカタログ通販、テレビ通販、そしてデパートや近所のスーパーマーケットなどとの競争もあるのですから。

家電ならネットのほうが容易に安いものにありつけますが、梅干しだとお客様の近所のリアル店のほうが確率が高いのですから…

わざわざ送料をかけて、高価な梅干しを買う客層が納得するだけの「こだわり」情報を出さなければ、ご注文はいただけませんよ!

商品への思い入れが足りない!デザイン業者任せの典型!?


EC仙人 太田

梅干し以外の多くの商品に内容量、内容表示、詳細説明がありません(汗)
今時ここまでの手抜きは珍しい自販機型ショップです…

デザイン業者さんに丸投げなのか? 担当者が総務やシステム担当者で、営業マインド、販売マインドを持ってないのか?

店長さん、ご自分が個人的に何かを買おうと他のネットショップを訪れたとして、品名とパッケージ写真だけで「よし買おう!」と思えるでしょうか?

例)ドレッシングセット
http://www.worldshoukai.com/product/43
それぞれの内容量も原材料も何の説明もなし(泣)
盛りつけたサラダにかけた写真もないですし、美味しさもまったく感じられません(泣)
本当に売る気あります? というほどの手抜き加減です。(辛辣でゴメンなさい!)

例)
紀州南高梅 > 贈答用
http://www.worldshoukai.com/product-list/37
品名にも内容量を入れておきましょう。わざわざ一つずつクリックして商品ページに入らないと、一覧の時点では量もわからないのでは、ギフト商品を選ぶのに適していません。その他商品も品名に
「つぶれ梅(うす塩)【塩分8%】500g」
のように重量、内容量表記は入れておきましょう!

しそ梅肉ねり梅
http://www.worldshoukai.com/product-list/42

梅ほし昆布
http://www.worldshoukai.com/product-list/55

商品ページに入っても小さなパッケージ写真だけ。
内容表示、原材料表記、産地表示など商品詳細説明がありませんし、パッケージ写真だけでは美味しそう! とも思えません。
中身をお皿に盛った写真、人が食べている写真など、いわゆる「シズル感」を演出する写真は欲しいところです。最近ではYouTubeなどを使って動画と音声で見せるお店も増えてきました。商品によってはそれを検討されても良いと思います。

カリカリ梅
http://www.worldshoukai.com/product-list/44

梅あめ
http://www.worldshoukai.com/product-list/47

これに至っては商品写真すらない…買う人がいるでしょうか?
まだ製作途中ならひと言「商品写真準備中」「近日UP予定」など添えて、せめて文字での商品説明は充実させてください。
こういう商品ページが1点でもあるだけで、お客様はお店のやる気のなさ、いい加減さを敏感に感じ取るものです。

とにかく…商品説明がないページ多過ぎです!
現物を見ることも試食することもできないオンラインショップでは、写真や説明文に手抜きをしたらまず売れません!

その商品だけでなく、お店全体の信頼性をなくすことにもつながりますから、コツコツと各商品ページを充実させていきましょう。
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また全体として、各商品の食品の容器の裏に貼ってあるラベルシール、いわゆる「内容表示」に相当する表記は、オンラインショップ上でも必ず行うべきです。

現在、まだ法律ではインターネット販売における内容表示義務はないのですが、むしろ、インターネットでは、パッケージの表示面積が限られているために詳細まで説明しきれない、より詳しい情報を掲載するくらいでちょうどよいと思うべきです。

口に入る商品は、インターネットであっても内容表示は必須です。
まして、容器のラベル以下の内容では、ネット通販に慣れた客のメガネにはかないません。

添加物や調味料など、個人個人の知りたい欲を十分に満たさねば、買っていただけません。

食品アレルギーを心配するお客様も少なくありませんし、原材料の産地表記や添加物表記
なども気にするお客様もいらっしゃるわけですから、「こだわる」お店ならばしっかりと明記して、納得の上お買い上げいただけるようにしましょう。

法令レベルの最低限の情報だけでなく、製造過程や原材料まで、本物の「こだわり」を見せてこそのネット直販です。

それを見なくても知らなくてもそこそこの情報で良い客は、近所のスーパーで買える梅干し、梅商品で十分満足するので、わざわざ送料かけてまでインターネットでは買わないのですから…。

お届け後の不満やクレーム、返品を避ける意味でも、詳細は明記したほうが良いですし、スーパーや量販店などのバイヤーさんたちも「本物のこだわり商品」を常に探してこられるかもしれません。そうした土俵に上がり、引き合いビジネスチャンスを掴むためにも、詳細な商品説明は必須です。

今回最も気になった商品がこれです!


EC仙人 太田

黒糖干し梅
http://www.worldshoukai.com/product/100

梅光園さんではこの商品が唯一だと思うのですが、[原材料] 梅(中国産)の表記がありました。

明記されていますので、決して産地偽装など悪質なものではありませんし、実店舗や卸ビジネス上、どうしても取り扱わなければならない商品なのかもしれませんが、紀州南高梅ブランドを大々的に謳った梅光園さんにおいては、たった1点でも「中国産」梅を使った商品があると、そのせいで他の原材料表記のない梅商品の原産地まで、すべて疑わしく思われかねません。(ねり梅や梅あめ、ケーキ、ドレッシングなど加工品すべて)
せっかくの紀州南高梅ブランド価値を下げてしまうことになっています。

少なくともこの梅光園オンラインショップにおいては、
「紀州南高梅だけを使った商品」
という部分だけは正に「こだわって」いただきたいものですし、せっかく高品質で高価な紀州南高梅を原材料に使った商品はすべて商品説明にしっかりと[原材料] 梅(紀州産南高梅)と明記してアピールしていきましょう!

当ネット店だけでも
「全品、紀州南高梅だけを使っています宣言!」

とかできると、よりブランド力UPにつながると思います。

魅力的な商品もあるのに…もったいない…


EC仙人 太田

梅ロールケーキなどロールケーキ類
http://www.worldshoukai.com/product-list/48

これなどは「狙い目」の良い商品だと思いますが…
先ほどの梅の原産地が? なので、買いたい意欲が削がれてしまいます。
黒糖干し梅の中国産を見たせいで、すべてが疑わしくなってしまっています。
見ていなくとも、アレルギー表記、原材料表記、産地表示などはぜひしましょう。

太古のええ塩梅 シリーズ
http://www.worldshoukai.com/product-list/36

ネーミングはいいし、温泉水や特別配合の塩など狙い目は良い商品だと思うのですが、
なぜ「太古」なのか? 肝心のその「塩」はどんな塩(配合や製法)でどこ産なのか? などまだ詰めの甘さを感じます。まさか海外産の塩ではないですよね?(^^;)

紀州路の梅宝(黒江漆器入)
http://www.worldshoukai.com/product/36

これなどは正に「紀州ブランド」にこだわった商品だと思うのですが、
「黒江漆器」のことは何も書いてない! (残念!)魅力半減です。実にもったいない!

せめて↓↓↓↓↓くらいの説明は添えておきましょう。
「紀州漆器(黒江漆器)は和歌山県海南市黒江を産地の中心とする日本三大漆器にも数えられる伝統工芸品」(参照:Wikipedia)

せっかくの魅力的な良い商品も、キチンとスポットライトを浴びせて輝かせてあげなければ、埋もれて日の目を見ることができず可哀想です。しっかりとアピールしてあげましょう!

総評

率直に結論を申し上げると、紀州南高梅通販事業を本気で軌道に乗せたいのであれば、会社事業全体のホームページと梅光園オンラインショップは明確に分け、オンラインショップ&通販に特化した商品企画も含めての改革が必要だと思います。

現在のサイトは、商品や通販業のことをわかっていない、商品に思い入れのない単なる作業者としての職業WEBデザイナーに作らせたホームページであると見えます。
仮にプロ意識の高いデザイナーさんであっても、十分に商品のことや販売戦略のことを打ち合わせして聞き出せていなければ同様です。

戦略があいまいといえばこの商品…
↓↓↓↓↓
「韓流」という商品カテゴリーがあり
http://www.worldshoukai.com/product-list/26
http://www.worldshoukai.com/product-list/32

大阪鶴橋コリアタウンのキムチや韓国茶を売っているのは、どういう脈絡でしょうか?
社長さんが韓流・韓国好きなのかもしれませんが…
「紀州南高梅専門店」で韓国食材を売っている理由や説明を、お客様が理解できるように説明した上で販売しなければ、「意味がよくわからない、なんだか怪しい」という印象になってしまいます。

これも紀州南高梅と無関係で、ブランド価値をピンボケさせていると言わざるを得ません。
欲張りすぎては本末顛倒。せっかく決めた「紀州南高梅専門店」という基本コンセプトは、ぶれないようにするのが良いと思います。

リンク集
http://www.worldshoukai.com/link

無意味なリンク集もしかり。なぜリンクを貼ったのか?
紀州和歌山のお店や企業へのリンクならまだしも、栃木や長野の会社もありますし、既にリンク切れしていたり無関係なページにリンクされているものも見受けられます。

その意味や脈絡を説明しなければ、単にアクセス稼ぎ、SEO対策のためのリンクとみなされて評価も下がりかねませんし、お客様の印象も下がります。
小手先のテクニック論に振り回されず、素直に本質を追求しましょう。

またそもそもURL(worldshoukai.com)からしても、トップページ右下のホテルやウィークリーマンション事業などグループ事業へのリンクからしても、当サイトは企業サイトの色合いが強く、「紀州南高梅専門店」オンラインショップとしては最適とは言えません。

会社案内として企業活動を広く浅く広報するPRが目的ならば、それなりの構成にしたほうが良いでしょうし、ネットショップとして通販事業を重視するなら、ドメインや構成もそれに合わせて分けるほうが良いです。
現状のままでは梅商品以外の情報がかえって邪魔(気を反らす)で、なかなか売れにくいだろうと思います。

今のままでは売れないばかりか、企業サイトとしても中途半端で、マイナス効果も感じられます。
基本戦略のないまま、「せっかくだからなんでも載せたい! あれもこれも!」と欲張って思いつきで載せていった結果が、現在のゴチャゴチャしたサイトになってしまっていると思います。
そろそろ全体の見直しをして、キチンと戦略を立てて本気で取り組む時期ではないでしょうか?

前回も申し上げましたが、キレイでカッコイイホームページではなく、商売(ビジネスモデル)を作っていかなければ、とくに競合の激しい梅干し通販業界では生き残れません。

梅光園ワールド商会株式会社さんは、会社の実業自体は事業規模もあり、ネット販売も本気で取り組むならば、まだかけられる人員や予算も余裕があると思えますが、現状のおざなりのホームページ内容では…

「宝の持ち腐れ…あぁ…もったいないなぁ」という状況です。

商品による差別化も重要です。
日本で唯一オンリーワンの商品があれば理想ですが、そこまでではなくとも、身近なスーパーやデパートにはあまり置いてないような、ひと味違った商品で引き付ける(例:貴店でいえば刻印梅や梅ロールケーキなど)。もっとアピールすることも重要ですし、もっとそういった光る商品を開発していかなければ生き残れないでしょう。

こういうポテンシャルのある企業さんのもったいないサイトを見ると、なんとかしてあげたいなぁ…といつももどかしく感じます。

ご担当者さんが一人でお悩みのようであれば、社長を説得するお手伝いもいたします!

今まで何度も熱意ある担当者さんの思いを社長さんにお伝えして、リニューアルプロジェクトをスタートさせ、お店を軌道に乗せるお手伝いをしてきました!

どうぞお気軽にお電話でのご連絡、ご相談にお越しください。(^-^)

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。