OPP袋のワークアップ

カテゴリ:事務、店舗用品

OPP袋のワークアップ

「透明封筒・フィルム封筒の専門店パックジャパン」さん
https://www.pack-japan.jp/


「透明ブックカバーとOPP袋の通販」さん
https://www.opp-honpo.net/


「台紙販売のワークアップ」さん
https://www.dansai.jp/


「マスク製造のワークアップ」さん
https://www.anshinya.com/

皆さんは身の回りにある「あの便利な袋たち」をなんと呼びますか?

ビニール袋、ポリ袋、透明袋、昔のお年寄りはナイロン袋なんて呼ぶ人もいましたが…(笑)

私は実は大学時代は化学専攻だったので…少し化学的に説明すると…、
こうした袋類のほとんどは、ポリエチレン(略号PE)またはポリプロピレン(略号PP)という、炭素(C)と水素(H)だけの材質で作られており、正確にはビニールでもナイロンでもありません(^^;)

スーパーの買い物袋などは、ひと昔前まではPEより丈夫な塩化ビニル製のものが主流でしたのでビニール袋と呼ばれ、その呼び名が定着したのでしょうが、環境問題を優先するようになって、燃やすと有毒な塩素系のガスが発生する塩化ビニル製から、燃やしても二酸化炭素と水しか発生しないPE、PP製のものが主流になりました。

スーパーマーケットの手提げ袋や、野菜やお肉などを入れる小袋は、強度はほどほどで、透明性も低いですが、コストが安価なポリエチレン(PE)袋が使われています。

しかしながら、コストより見栄えを優先する商品のパッケージや包装資材としては、透明性や強度を優先してポリプロピレン(PP)が使われています。吊り下げて売られているボールペンなどの文具や雑貨類などが入ってる透明袋、郵送で送られて来るダイレクトメールなどが入れられている透明袋などは、ほとんどがOPPというポリプロピレンの一種です。

ポリプロピレン(PP)にも OPP、CPP、IPPなどその製法によって透明性や強度などの特徴が違う種類がありますが、

本日のお店は、これらPP、特に「OPP製の透明袋」を主力商品とする、おちゃのこネットだけで5店舗も運営する京都の包装資材(袋)屋さんです!

正確な数字は書けませんが(^^;)、全部合わせれば月間注文数は数千件、売上金額も月商で数千万円を超えるという、おちゃのこネットでもトップクラスのショップさんです!

読者の皆さんにも参考になることは多そうですよ!

それではダメ出し!道場スタートです!

第一印象…派手さは無いが強みに特化した完成度の高いお店


EC仙人 太田

5つのおちゃのこショップを経営されるワークアップさんですが、今回は主力の「OPP袋の激安通販」 https://www.fukuro.in/ を中心に見させていただきます。

パッと見た印象は、特に目を引くような派手さやライバルとの圧倒的差別化をするような商品やコンテンツも見当たらないのですが…

ひと目で「OPP袋」という透明な袋を安価に提供することに特化した通販サイトであることがわかります。

中央上部の横スクロールのバナーで自社の強みを瞬時に印象付けたり、最もニーズの多いであろう商品への導線を用意して客を逃さないといった工夫をしていますし、そのすぐ下には横4列×縦7段のバナーで商品分類を写真とキャッチコピーで一覧性よく並べ、目的の商品へ早くたどり着けるようになっています。

端的に必要十分な情報をバナーで、写真と必要最低限のキャッチコピーにより見せているので、なんらかの目的(用途)があって来たお客様なら探しやすく見つけやすいと思います。

またところどころににカッパのキャラクターが用いられており、同業他社の多い業種なので「あのカッパのお店」とサイトの印象付けにひと役買っているのも、細かな点ですが読者の皆さんにも参考になるかと思います。

こうしたバナーデザインや分類やキャラクター、キャッチコピー力など、個々のWEB制作テクニックもさることながら…

ワークアップさんの優れた点は「商品企画力・開発力」だと思います。
↓↓↓↓↓

ありそうで他には無い、痒い所に手が届く商品の数々


EC仙人 太田

DM(ダイレクトメール)用の透明封筒や商品パッケージなどで見慣れたPP袋ですが、それをお金を出して買って下さるお客様のニーズはどこにあるでしょうか?

丈夫さ? 機能性? 見た目? などいろいろあるとは思いますが…
まずは何を入れるのか? 何に使うのか? ですよね。

何かを入れて何かをするために、袋をお金を出して買うのです。

チラシや資料を入れて郵送する、本やDVDなどを入れて陳列する、洋服を入れて陳列する、買った商品を持ち帰るための手提げ袋、ハガキや写真、名刺やカード類を入れて保管する、納品書や送り状を入れて貼る、送る…

ひと口に「袋」と言っても、いろいろな用途・目的によってサイズや形状、材質や強度などがそれぞれ違います。また、DM封入、商品梱包など、その用途によっては袋に入れたり出したりする頻度や開け閉め、繰り返しの有無、作業性などが求められることもあります。

例)https://www.fukuro.in/page/195
DM用封筒袋のノリテープが蓋側ではなく本体側に付いており、また粘着性を抑え、開閉自在にすることで出し入れしやすくなっている。

例)https://www.fukuro.in/page/237
サイズが多岐に渡る、書籍用のブックカバー。オークションや中古店など再販市場が広がり、コレクターの「ちゃんと見えながらも本を汚したくない、キレイに保管したい」という心理にマッチした商品。

例)https://www.fukuro.in/page/204
トレーディングカード、ゲームカードなどに特化したサイズの袋。

例)https://www.fukuro.in/page/276
https://www.fukuro.in/page/205
https://www.fukuro.in/page/327
その他、ハガキ、写真、名刺などに特化したサイズの袋。

単に「透明で中身が見える袋」というPP袋の「当たり前機能」だけでなく、出し入れしやすさや、強度、便利さなどの「付加機能」に特化したサイズ、仕様を企画することで差別化できるのです。

下記などは、もはやピンポイントな商品で、これを商品化し定番在庫化する決断と勇気に恐れ入りました(^^;)
例)https://www.fukuro.in/page/988
アイシングクッキー(お菓子作り)に特化したOPPの三角形のシート。

また、姉妹店の台紙専門店 https://www.dansai.jp/
にはこんな商品も!「お札勘定練習用の模擬紙幣」
例)https://www.dansai.jp/page/18
これなどは、元銀行マンだった社長ならではの発想で商品化したものですが、ニーズもあり評判も良いようです。

もう一つの姉妹店では「販促マスク」という特殊なジャンルの商品に特化して、新たな市場を切り開かれています。
例)https://www.anshinya.com/page/144
街頭での当たり前すぎて効果の薄くなった広告ティッシュ配りに取って代わる可能性のある「販促品」です。

さて、これら商品企画を見ていくと、ワークアップさんの商品開発には何もものすごいハイテクや特殊技術があるというわけではなく、それよりもPPフィルムや台紙をさまざまなサイズにカットしたり、袋成型したりできるという自社の「コアコンピタンス(中核能力)」を、お客様のニーズと効果的に結びつけつつアイデアで生かした、まさに「かゆいところに手の届く」商品開発だと言えると思います。

インタビューで浮き彫りになった事


EC仙人 太田

社長の遠藤周一さんにお電話にていろいろとお話を伺いました。

遠藤社長は、1994年大学卒業後、京都の銀行に就職し地道に銀行業務を経験した後、銀行内の研修制度を利用して他行の海外研修でタイのバンコクへ。いったん帰国後、また機会を得て別の銀行の上海支店で3年勤務。

帰国後間もなく退職され、2006年に独立。上海時代に修得した中国語を生かして中国からの雑貨等の輸入仕入れを行ってネット販売を手掛けたが、不良品、不具合で返品が相次ぎ、不良在庫を大量に抱え、3か月で撤退。

翌年に奥様のお父様がされていた包装資材卸業に参加することを決断し、包装資材に関する知識とノウハウを実戦で学び、2008年にその後身となるワークアップを設立し、社長に就任。

ネットショップを始める前は、京都中で飛び込み営業して回るものの上手くいかず、そこで「OPP袋をネット販売してみよう!」とネット立ち上げ。

手段は「おちゃのこネット」に絞ってネット販売に注力し、試行錯誤しながら事業・会社を成長させ、現在はおちゃのこネットで5店舗のほか、会社サイトとAmazon出品で8サイトを運営されています。

「ぶっちゃけ、なぜおちゃのこネットを選ばれたのですか?」とストレートにお聞きしてみたところ…

「安かったから(笑)」

最初は本当にコストが安かったからというのが理由だったそうですが、大手モールなどのルールや制約に縛られるのが嫌だったし、とりあえず自分の考えだけで自由に好きに運営できそうだったから、というのもおちゃのこネットを選んだ理由だそうです。実際に使い始めてからも、「悪ければいつでもやめよう」と思っていたが、「シンプルで簡単に使えたし、日々機能が増えたり改善されたりと使い勝手も良くなっていったので、おちゃのこネットを選んだのは本当に正解だったと思います」とのこと。

5店舗の中では3店舗がOPP袋をベースとした商品のショップですが、なぜ3店舗も展開しているのか?

→主力は「OPP袋の専門店」
(1) https://www.fukuro.in/
OPP袋という素材、材料から検索する顧客を狙ったサイトですが、

「透明封筒・フィルム封筒の専門店パックジャパン」
(2) https://www.pack-japan.jp/

「透明ブックカバーとOPP袋の通販」
(3) https://www.opp-honpo.net/
は用途、目的からの切り口のお客様を狙ったサイトになっています。

言い換えれば、素材の切り口、用途・品目の切り口、いずれからも検索して見つけてもらいやすいように露出を増やしたり、SEO対策としてもサイトを分けているようです。

実際に「OPP袋」で検索すると、(1)が1位に、「透明封筒」「透明ブックカバー」で検索しても(2)、(3)がいずれも上位5番目以内に入っていることで、その効果は目的を達しているといえそうです。

他の店舗
「台紙販売のワークアップ」
(4) https://www.dansai.jp/
に関しては、OPP袋販売から始めて運営していく中で、袋に資料や商品を詰める際に、下地になる台紙を求められるお客様が多いことから、台紙に特化した専門店を立ち上げれば一定の売上が見込めそうだと始め…

「マスク製造のワークアップ」
(5) https://www.anshinya.com/
に関しては、中国で知り合った信頼できる友人でありビジネスパートナーが、新型インフルエンザ流行の時期に、中国でのマスク製造事業を立ち上げたいと求められ、それに応じて出資、協力したのがきっかけだったそうです。
当初は箱詰めの大量お買い得品を主力に卸販売していましたが、次第にインフルエンザ騒ぎも収まってきて大量の在庫を抱えるにいたり、苦肉の策として販促用のポケットティッシュにヒントを得て「販促マスク」として仕掛けてみたらヒットして現在に至る…とのこと。

読者の皆さんに意識していただきたいのは、最初から複数店舗、復数事業を立ち上げようとしていたわけではなく、主力を軸に運営していく中で、お客様とのやりとりからヒントを得たり、外部環境の様子(SEOや流行等)に応じてそれに対応する商品や販売方法を考えて来たことで、今の5店舗につながっているという点です。

また、思いついたとしても、それを実現するためのスタッフのスキルや労力、体制を築くことができる経営判断や資金調達力も大切です。

遠藤社長に「貴社の強みは?」とお聞きすると、「在庫です!」とのお答え。多くの製造業が市場ニーズの多様化に伴って多品種、小ロットを優先して、できるだけ在庫を積まない方向に進んでいる時代に、あえて在庫をしっかり積んで、即日出荷、即納体制を築くことで、急いでいるお客様を確実に捕まえて売上につなげていくという戦略を選んでいるのです。

しかしながら、「在庫を積む」とは、いわば現金を商品に変えて倉庫に積み上げることでもあるわけですから、十分な資金力とそれを確実に回して利益を生み出して行く体制や仕組みを作る自信がなければ、容易に取れる戦略ではありません。

個人事業〜小さな包装資材ベンチャーから始めたワークアップさんが「在庫を積む!」という戦略を取れた背景には、遠藤社長の12年間の銀行での経験とノウハウで「資金調達」(融資)をすることができたからということがあるようです。銀行さんが見るポイント、気にするポイントは手に取るようにわかるので、融資交渉に関して不安に思ったことはないそうです。

でも、お金の面だけではありません。
「この5店舗+会社サイト+Amazonを運営するのに従事しているスタッフの体制は?」とお聞きしたところ、なんとたったの2名!
デザイン面とプログラムやシステムを見るスタッフのお2人だそうです。

優秀なスタッフさんたちですね!→「本当にスタッフには恵まれています」とのお答え。良いスタッフを採用し、育て、気持ちよく働いてもらえる環境を作るのも、経営者の重要な仕事ですね。

現在、製造や販売、事務など全スタッフは14名で、5店舗7サイトを運営されているとのこと。はたから見れば小さな中小企業ですが、その中身はまぎれもない優良企業だと思います。

私はネットショップのコンサル業を始めた2000年以来、「テクニックより中身!」「ITより商売そのもの!」と言い続けてきましたが、ワークアップさんはまさにそんな企業(お店)。

ほかのおちゃのこショップさんたちにもぜひ見習っていただきたいと思いました。

おちゃのこネットが大好きで、徹底的に使いこなし、商品とコンテンツを充実させることで成長してきたワークアップさんですが…

集客に関してはおちゃのこネットだから有利に働くわけでは決してありません。遠藤社長も特別にSEOを意識して作り込んだりチューニングするよりも、「とにかくお客様にとってどうすれば分かりやすく使いやすく、買い物しやすくなるだろうか?」を日々考えてコツコツと手を入れて来た結果だとおっしゃっていました。

サイトの中身、商品やサービスが充実していないのに、SEOばかり意識している店長さんもよくいらっしゃいますが、良くないサイトを一生懸命に目立たせ露出しても、注文につながるどころか恥を必死にアピールしているようなものです。

まずはワークアップさんを見習い、「中身」「本質」の向上に努めましょう!

その他、気づいた点、アイデア、要望など


EC仙人 太田

ダメ出しではありませんが、一顧客目線で気づいた点、こんなのあったら良いのになぁという点。

インクジェットプリンターで印刷できるPP袋や台紙もあれば、ユーザーサイドでアレンジできるのでいいなと思うのですが…

四角形(長方形)以外の形状(円形、楕円形、台形、変形など)は、技術的、コスト的には難しいのでしょうか? そんなこともできるという事例があれば、新たなニーズも掘り起こせるのではないかと感じました。

本来、PPは食品衛生上、食品に触れても問題のない素材ですので、「食品用」というカテゴリーがあってもいいような気がします。

食品用とせずとも、まずは密封性、防湿性、ヒートシール対応、ガスバリア性などの機能表示はできないでしょうか?
ぐっと市場が広がるような気がします。

総評

特別な技術やすごいテクニック、奇をてらうことなどがなく、また、専門ショップにありがちな敷居の高さを感じさせることもなく、初めてのお客様や初心者にも分かりやすくきちんと当たり前のことが当たり前にできている、正にオンラインショップのお手本ともいえるようなお店だと思います。

インターネットの、とかネットショップの、といったWEBのテクニック論よりも、「商品」のプロとしてそれを求めているお客様のニーズ(要望)や疑問、不安、悩むポイントなどをキッチリと想定して、商品説明文だけでなく、商品理解のための動画や漫画コンテンツを用意していたり、商品そのものもさまざまなサイズ、仕様と目的に応じた種類を企画開発しており、しかもそれをできるだけお待たせすることなく、即納できるように在庫を用意し、迅速に出荷できるだけの資金と物流体制まで…

ヒト+モノ+カネ+情報+ノウハウという経営資源を巧みに組み合わせて、稼げる仕組み=ビジネスモデルをちゃんと作り上げている点が素晴らしいと思います。

私の気持ち的には総評:100点!
「おちゃのこネットショップの理想形!」と言いたいくらいの勢いですが…(^^;)

ワークアップさんには、まだまだ未知のポテンシャル、伸びしろがうんと隠れていそうなので、その期待を込めて90点とさせていただきました。

「とにかく私は袋が好きで、ネットの袋業界でNo.1を目指す!」
とおっしゃっていた遠藤社長ですが、ネットと言わず、「袋業界」でNo.1も夢ではないでしょうし、自社のコアコンピタンス(中核能力)を見つめ直せば、ひょっとすると袋を作る以外の業界にも可能性は大きくあるのではないかと思います。

今回は5つのショップで、見て歩くのもいつもの何倍も時間がかかり、正直大変でしたが、私もいつもの何倍も気づきを得たり勉強させていただきました。遠藤社長にはぜひ一度お会いして、じっくり今後の可能性についてブレストしてみたいですね!

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。