> > ダメ出し道場バックナンバー
ビオの木ショップ

本業は千葉県内に3店舗を構え、従業員数も社員80名、パート・アルバイト100名のスーパーマーケットを経営する株式会社しげのやさんのネットショップ。ネットではマヌカハニーを初め、ビオ(BIO)=生命・健康をテーマに、スーパーでも取り扱っている添加物などの使用の少ないこだわり自然食品に特化したお店。

店長さん! 唐突ですが…
あなたは社長、役員など経営権のある立場ですか?
それとも担当者さんですか?

ひと言にネットショップと言っても…
社長や役員など経営者で意思決定権のある店長のお店と、会社組織の中で社員・スタッフ・一担当者が店長のお店では、いろいろな点で違いがあります。

社長や役員などオーナー店長ならば、お金や人や物が自分の意志で自由にできます。
新商品の仕入れ、資材の発注、バイトさんの募集、ネット広告費、パソコンやソフトの購入などが即決即断できますが…
担当者店長だと、そう簡単には行きませんね。

パソコンなど高価な機械設備はもちろん、たかだか2〜3万円のプリンターやデジカメ1台であっても、ギフト用の箱やリボン、シールなど、包装資材1つであっても、新たに発注・在庫したければ、その都度上司や社長に稟議を上げて決済を貰わなければ買えません。

まして、ネット広告費用だの、外注製作費だのとなれば、なぜそれが必要なのか、費用対効果は!? などとつっこまれ、長々クドクドと、説明するための資料作りや稟議書に悩まされます。

ちょっと大きな会社になれば、場合によっては関連部署の承認でいろいろな部課長のハンコが必要になったり、大企業では時間をとって会議室を予約し、忙しい経営陣のスケジュールを秘書さんに調整してもらって、何週間も先にようやくプレゼンしてから決定! なんてこともしょっちゅうです。←こんな大企業病の会社、何社も見てきました(苦笑)

ショップページの更新ひとつとっても、オーナー店長の店なら、思い付いた時に自分の判断でひょいっと変更や追記が可能ですが…

担当者店長のお店だと…
「こんなことを会社として書いて大丈夫だろうか?」
「責任は負えるか? 万一クレームになったら!?」
「お客さんはOKでも社内から反対意見や横やりが…」
などなど…

ホームページでの文言、表現ひとつにも、迷って悩んで時間がかかったりします。

私はネットショップコンサルタントとして約20年の間、かなりの数の企業やショップさんのお手伝いをしてきましたが…
担当者店長のお店では、商品やサービス・システム・担当者のスキルなどは十分素晴らしいのに、組織が大き過ぎたり、決済権を持つ上司や経営陣の理解が十分に得られずに、

・物事が決まらない、進まない
・決定にやたら時間がかかり時期やチャンスを逃す
・必要な費用(お金)がなかなか使えない
・人が動かない(関連部署や取引先の協力が得にくい)

などの弊害で、プロジェクト(ネットショップ)がうまくいかないケースを山ほど見てきました。

企業でのEC(e-commerce)プロジェクトにおいては、商品も大事ですが、それ以上にまずは経営陣や他部門の責任者たちもしっかりと巻き込んで、積極的に社内情報発信やコミュニケーションできる「風通しの良さ」が重要です。

そのためには、パソコンやITに詳しくホームページの更新ができるからというだけの若いスタッフに店長を任せっ放しにするのではなく、会社内の事情や商品・業務に精通し、社長、役員を含む関連部署、他部門の責任者とも自由に意思疎通、情報交換できるようなベテランスタッフさんを店長に据えて、全社をあげて取り組むことが大切です。

もちろん店長さんの「気合と覚悟」は最も重要です!

さて本日のお店も正にそんなベテラン社員の店長さん。

リアルの本業とはちょっと切り口の違う、今年2月におちゃのこネットでオープンしたての、ネットショップにあれこれと悩みながら運営されているようです。

それでは「ダメ出し!道場」スタートです!(^^;)

第一印象…テーマはわかるが抽象的過ぎて伝わりにくい


EC仙人 太田

トップページの看板やメイン画像には
「ビオ(BIO)には 生命の意味があります。人と木や植物は古来より深い関わりをもっており、又地球上には樹齢何千年もの長寿の木々があります。そのようなことから”ビオの木”それは”不思議な活力を備えた幸せの木”としてイメージし、ビオの木ショップと名付けました。
木は”気”の意味も含みます。皆様がビオという木を生活の思いの中で育てられ笑顔でより健康にお過ごしになれますよう少しのお手伝いでもできればと思います」

とお店のコンセプトが明記されてはいるのですが…
なんせ、抽象的でわかりにくい。
「ん? で、何のお店?」となってしまいますね。

会社名を検索して、スーパーマーケットを3店舗も経営されている会社だとわからなければ、「なんだか思想じみててちょっと怪しい」とまで感じてしまう人もいるかも知れません。

「健康」を謳うお店の場合は、胡散臭いお店も多いので、まずは「怪しくないちゃんとしたお店、ちゃんとした会社ですよ! いいかげんな健康食品などは売ってませんよ!」ということを瞬時にイメージさせるようなトップページの印象が大切です。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「BIOの木SHOP」は千葉県内に3店舗のスーパーマーケットを経営する株式会社しげのやが運営する「こだわり自然食品」のお店です。
食品のプロであるベテランバイヤー達の目利きで日本全国・海外から安心安全な素材・原料を用い、リスクのある添加物の不使用にこだわった信頼できるメーカーさんの商品をセレクトした「食のセレクトショップ」です。
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

こんな感じのお店紹介が必要ではないでしょうか?

インタビューで浮き彫りになった事


EC仙人 太田

店長の関根さんは株式会社しげのやさんに勤続30年、60代のベテランさんで、しげのやさん本部でマーケティングや販促の企画などを行っておられるそうです。

しげのやさんは昭和10年(1935年)創業の老舗で、千葉県市原市と千葉市で地元で愛される食品スーパーさん。全国区の大手NB商品だけでなく、地方の小規模だけど素材や原料にこだわったメーカーさんの食品を多く扱い、大手スーパーとは一線を画す自然志向の強いお店のようです。

2003年にご縁があってニュージーランドのワイルドハニー社さんのマヌカハニー(マヌカという木の森林地帯で養蜂し、マヌカの花からのみ採取したハチミツ)を直接輸入するようになり、自社サイトでネット販売を始められましたが、今年2月から、会社サイトから分離する形でおちゃのこネットでハチミツ以外も含めてネット販売するための「ビオの木SHOP」をオープンされました。

梱包・出荷などの物流を除く、受注処理、メール対応、ショップページの制作、更新などはすべて関根店長さん一人でなさっているそうです。

会長、社長の「ネット販売を進めよう!」との方針の元、関根店長に任されたネットショップですが、実店舗に比べればまだまだ小さな売上実績で、全社での理解や認知は低く、ネット向きの販売方法や商品企画などはまだまだ手探りで、どうして行こうか、実務面(商品企画、情報収集、ページ作り、販促や広告宣伝など)は人手労力不足で思うように進まないなど悩みも多いようでした。

出店費用、ランニングコストが安いからと、とりあえずで「おちゃのこネット」でお店をオープンしたものの…

アクセス数、集客もなかなか伸びず、自社サイト販売時代のリピーターさんたち(特にマヌカハニーのお客様)が買ってくれているが、それ以外の商品はあまり売れていない。今後どうやって売れるようにしたら良いか考え中とのこと。

具体的なダメ出しポイント(抜粋)


EC仙人 太田

主力のマヌカハニーですが
https://bionoki.ocnk.net/product-group/10

上記カテゴリーページに入ってきても
・マヌカハニーとは何ぞや?
・4種類ある商品の違いは?(MG100、MG200、MG300,MG400)
・Wild Honey社の強み、特徴、説明

など、まずは初めてのお客様が知りたいであろう情報の概要がないので、一瞬(数十秒〜1分程度)では当店でのマヌカハニーの特徴がわかりません。リピーターさんには理解済みでもう不要な情報かも知れませんが、お店にとってこれから獲得したいもっともっと多くの新規のお客様には、当店のマヌカハニーが何が良いのか? どれをどんな基準で選べ
ば良いのか? がとてもわかりにくい状況です。

上記カテゴリーページ上部に概要や、商品比較表、用語説明と下記、「マヌカハニーとは」の詳細説明ページへのリンクなどを
https://bionoki.ocnk.net/page/2
わかりやすく列記してお客様をナビゲートしましょう。

─────────────
頓所食品 特選そば 200g
https://bionoki.ocnk.net/product/49
商品説明が乏しく、原材料や容量がわかる程度…
商品パッケージの画質も悪く、せっかく背面のメーカー情報や
内容成分表示の写真も文字が読めません。回線スピードも高速、大容量になった現在では、ここまで画質や画像サイズを落とす必要はありません。
文字がはっきり読めるくらいの画質の写真を使いましょう。

─────────────
遠州屋 黒わらび餅 2個入り
https://bionoki.ocnk.net/product/301

これも商品説明が乏しく、またせっかくの「黒」にこだわった黒糖蜜、黒米、黒豆、黒胡麻、黒松の実、黒かりんを使ったわらび餅なので、それぞれの素材の写真や、黒わらび餅自体をちゃんとお皿に盛り付けて「美味しそうな」シズル感のある写真も用意しましょう。

─────────────
若山商店 栗蒸し羊羹110g
https://bionoki.ocnk.net/product/134

ざっと見た中で一番ひどかったのでこれを選びましたが…
このパッケージ写真だけで「わぁ、美味しそう! 食べたい!」となりますか? むしろ、この写真がせっかくの商品の魅力を殺してしまっていますよね。
─────────────

この3点だけでなく、ほとんどの商品について言えるのですが…
・メーカーの説明がない
→地方のこだわりの小規模メーカーならではの良さがまったく伝わらない。むしろ情報不足で無名の怪しいメーカーになってしまっている。

・パッケージ写真だけ
→食品の魅力である「美味しさ」がほとんど感じられない。温かさ、冷たさ、匂い立つ香り、艶やかさ、鮮度など、通販・ネットでは伝えにくい「感覚」を想像させるのは、ビジュアル(写真や動画)が生命線です。

・商品説明がスペック説明のみ
→メーカーのパッケージ以下の情報しかない。なぜこの商品をセレクトしたのか? オススメするのか? バイヤーさんの生の声、思い、オススメコメントが欲しい。

総じて言えば、パッケージを単品陳列するスーパーの売り方なのです。
とにかく大勢のお客さんが来店し、多売するスーパーなら、パッケージだけの情報でセルフで選んでもらうしかないのですが…
ネットショップは「通信販売業」なのです! ←毎回言ってます(^^;)

パッケージ以上の情報や、なぜその商品をセレクトしたのか、お勧めしたいのかという思いや、こう調理したらもっと美味しく食べられるとか、こう組み合わせたら子供に喜ばれる、お年寄りにも食べやすいなど、いろいろな提案も「通販セレクトショップ」には期待されるところです。

時間も手間もかかりますが、一つ一つの商品とそのメーカーの特徴や強みを見直して、またできるだけ盛り付け写真も撮影、用意して、商品ページに手を入れて行ってください。

売れている食品「通販」ショップの研究・勉強が必要だと思います。

総評

おちゃのこでは今年オープンのお店ですし、お一人での作業だったので、今まではまずは商品登録や基本情報の作りこみで精一杯だったのだと思われます。

しかしながら、これから本気で注文、売上を伸ばして行かれたいのであれば、上記でご指摘させていただいたような「通販」としての情報の充実や施策は必須です。

また、品数豊富で単品売りも良いのですが、多いがゆえにお客様が迷い、選びきれないということも起り得ます。特に初心者、初めてのお客様は、選択肢が多過ぎると逆に選べないことになりがちです。

初めてのお客様には、お店からのオススメセットや特集をいろいろ用意して、選ぶヒントやお手伝いをしてあげることも必要かと思います。

例)
・夏の冷たいスイーツセット
・麺類食べ比べセット
・ヘルシー志向調味料セット
・バイヤーオススメメーカーコーナー
・防災非常食・常備食セット
などなど…

一度にやらなくても、少しずつ増やしていったり、週替わりや月替わりのコーナーなどでも良いと思います。

いずれにせよ、通販では送料もかかりますので、送料をかけても損した感じがしない程度のセット組みをするのが基本です。

------------------------------------------------------------
また、現状は単品売りばかりなので、「ギフト贈答」でのお客様を得にくいと思います。汎用ギフト箱やギフト包装(キレイな袋にリボン掛けしたものを箱に緩衝材と共に詰めて先様にお届けなど)も対応を用意してアピールしていけば、リピーターさんたちが家族や親戚・友人にギフトというニーズも掘り起こせると思います。

・健康ギフトセット
・お孫さんへ安心できる食品を! ギフトセット
・ヘルシーお料理応援セット(食用油、調味料、乾物)

などなど、「組合せ提案」こそがビオの木セレクトショップの付加価値になるかと思います!

------------------------------------------------------------
また…
主力のマヌカハニーに関しては輸入元で産地メーカーとの強いパイプがあり、情報や協力を得やすい点、日本仕様、通販向きな少量安価なお試しサイズや逆にヘビーユーザー向けの大容量お買い得サイズなどの企画など、貴社の【強み】を活かした戦略も取り得るのではないでしょうか?

関根さんもお電話でおっしゃっておられましたが、「マヌカハニー」はただの食品の「ハチミツ」としてではなく、なんらかの健康効果を期待しての「健康食品」として探して買い求めるお客様がほとんどだと思いますので、そのための情報コンテンツの充実や、買いやすい商品サイズ、商品形態の企画開発、また健康食品の通信販売の戦略や方法論の研究が必要だと感じます。

冒頭のコラムでも触れましたが、企業ECにおいては経営陣の巻き込みや他部門の理解と協力が必要です。また今まではお一人で実務面もなさってこられていましたが、「事業」として成長させるには、新たなアシスタント人材の確保や育成も必要だと思います。
社内プロジェクトとして飛躍させる際には、ぜひ戦略作り、体制作りのご相談にいらしてください。(^-^) しげのやさんのポテンシャルはかなり大きいと感じます。

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。