Audio Box

カテゴリ:自動車、オートバイ

Audio Box

おちゃのこネット以外のショップ:
価格.com 、Yahoo!ショッピング、ヤフオク
オンラインのトータル月商 数千万円、年商 数億円規模。

「ブランド」というと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?

ヴィトン、シャネル、プラダなどの、いわゆるブランド品といわれるヨーロッパの高級ブランドバッグなどは代表例だと思いますが…

例えば自動車ならベンツ、BMW、ポルシェ、トヨタ、LEXUSなどもブランドですし、普段買っている食品類、家電製品、文具、雑貨、それに紀州梅、夕張メロン、静岡茶、京野菜、などといった地名地域ブランドもたくさんありますね。

これら「ブランド」の共通点は…

ブランド名を聞けば多くの人が「ああ、知ってる! あそこの商品ね」と認知度が高いこと。そして「あのブランドの商品なら間違いない!」「きっと良い物に違いない!」と一定以上の品質やサービスを期待、信頼されることでしょう。

例えば…同じ値段の2択ならば…

500万円の無名スポーツカーと
500万円のポルシェ

3万円の無名メーカーのデジカメと
3万円のCanonのデジカメ

2万円の松阪牛ステーキ肉と
2万円の無名牛ステーキ肉

買うならどっち? 貰って嬉しいのは? 大切な人に贈るなら?

よほどこだわらない方、「名より実物で判断する!」という方ならまだしも、多くの方は同じ価格なら安心・信頼できるブランドのほうを選ぶのではないでしょうか?

また、上記無名のほうのスポーツカーやデジカメ、牛肉がポルシェやキヤノン、松阪牛と同等の品質を生み出したとしても、同等のブランドになるまでには何年かかるでしょうか?

昨日今日始めて一朝一夕には築けない信頼感を何年、何十年もかかって育て、築き上げていく。それがブランド力というものなんですね。
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さて、本日のお店は…ズバリ最初に言っておきます。
今回のお店は、勉強にはなっても、参考にはなりません!
というか、参考にして真似したくても、まず容易にはできないんです。

40年以上の経験、実績、ブランド力…

四国は徳島県という地方にありながら、カーオーディオやカーナビのトップブランドである KENWOOD の国内十数軒しかない代理店の一つで、その中でも唯一のKENWOODだけを専売する正に「KENWOOD専門店」さんです。

KENWOODというブランドと共に40年間走り続けたプロショップです。

それではダメ出し!道場スタートです!(^^;)

第一印象…え、このお店が年商数億円!?…


EC仙人 太田

まずはこちらのお店のページをご覧になってみてください。
http://www.audiobox.jp/

読者の皆さんもきっと感じられる通り、新しさも感じられず、スマホ対応もされていない。基本的なことはきっちり押さえられていますが…
これといって目立った特徴や目を引く仕掛けもない、むしろ、古臭ささえ感じますよね。

1977年創業のKENWOOD製品の専門店、老舗であることはすぐにわかりますが、これといって他に特徴はない。個人客目線で見れば「ワクワクするような魅力あふれるお店!」には決して見えないと思います。

私も率直にそう感じましたし、正直よく売れていそうなお店には見えませんでした…インタビューするまでは…

インタビューで浮き彫りになったこと…


EC仙人 太田

「正直、これ以上、売上はいらん!」
今回のインタビューで最も印象に残った店主 美馬さんの言葉です。

こんなことを言う店長、経営者はなかなかいるものではありません。(^^;)
はたして、その秘密は!?

今回は「浮き彫り」というよりも、インタビューしなければ決してわからなかったこと、驚きが目白押しでした!

まず、こちらの AudioBoxさん、1977年創業、今年で42年目になる業界でも有名な老舗で、小売店ではなく、国内に十数社しかないKENWOODの代理店(メーカー直仕入れの卸売り店)の一つです。

その中でも、他の代理店はKENWOOD以外のメーカーの製品も扱うところばかりなのに、当店はKENWOOD専売の国内唯一の代理店だそうです。
地元徳島県を中心に、四国地域ではKENWOOD製品の卸売業を本業とし、実店舗では個人客への小売販売はされていないそうです。

2006年頃からインターネットという手段を得て通信販売を始めたということで、全国の個人客、カーショップなどに直接販売もするようになったのですが、現在でも8割方の顧客はプロ(カーショップやディーラー)なので、おちゃのこカートだけでなく、メール、FAXなどでも注文、相談は多い。
むしろ個人客は、一定以上の取り付けなどの知識があって自己責任で取り付け施工などができる方にのみ販売するそうです。(正直、個人客にはあまり来て欲しくない)

代表の美馬さん(66歳)のご経歴は…学生時代から音楽がお好きだったので仕事も音楽やオーディオに関わる仕事がしたくてカーステレオの販売を始めたとのこと。当時は8トラックというごっついカセットテープのカーオーディオが主流で、最初はいろいろなメーカーの物を扱っていました。また、自動車無線も盛んな時代だったのでカーオーディオも自動車無線機も両方強かったKENWOODの前身であるTRIO(トリオ)社の製品にのみ絞って販売してみようと、KENWOODの専売店になり関係が始まったそうです。

それから40年以上、KENWOOD製品一筋に販売してきたことで、KENWOODの現在の幹部たちが地方の営業マンや営業所長だったころに強い信頼関係を築き、今でもKENWOODの社長を含め幹部の方たちと携帯電話でひょいっと連絡できるほどのツーカーの仲だそうです。

どんな業界でも製造業ではメーカーが直販をするのは販売ルート戦略上一般的ではないのですが、KENWOOD製品に関してもメーカー直販(通販)はなく、このAudioBoxさんがKENWOODの通販部門の代わりのような役割で全国のカーショップ、カーディーラーなど、KENWOODと直接取引がないショップさんたちへの直販を担っているのだとか。

ゆえに、正規ルートではない、横流し品を安売りしているようなお店が現れた際は、AudioBoxさんがそういうお店に赤字覚悟でも徹底対抗したり、情報をメーカーにフィードバックするなど非常に強い信頼と協力関係が築かれているそうです。それゆえ、KENWOOD側からも特別の待遇、対応をして頂けるのだとか。(これ以上詳しいことは企業秘密になるのでここには書けませんが…)

単なる仕入れ先メーカーと一代理店という関係よりはるかに強いWin-win な関係を築かれています。いうなればメーカーKENWOODに最も近い位置にいる代理店。

幸いに、KENWOODブランドは、カーオーディオ、カーナビなどの主力製品で業界シェアもそこそこ高く、ここ1〜2年で人気、注目の高まっているドライブレコーダーでも絶好調。カーナビなど業界全体はスマホやタブレットの普及で市場がやや縮小気味な面もあれど、むしろKENWOODはシェアも業績も伸ばしているという追い風で、ほとんどの製品が常に品薄で、受注残を抱えるという嬉しい悲鳴状態だそうです。

これらをもって、
「これ以上、売上はいらん!」と代表に言わしめるんですね。

ウハウハ言うほど、嬉しい悲鳴を上げるほど売れるなんて、商売人なら誰しもが憧れる状況ですよね。

スマホ対応?SEO対策?広告宣伝?強みはどこに?


EC仙人 太田

では、ネットショップとして見てみると、こちらのお店は?

レスポンシブ対応も携帯、スマホ対応もなされていません。

また検索対策も、Google などで 「カーナビ」「カーオーディオ」「ドライブレコーダー」などで検索してもかすりもしませんし、得意とされているはずの「KENWOOD カーオーディオ」「KENWOOD カーナビ」などでも上位表示はされません。つまりSEO対策はほぼなされていないといえそうです。

ネット広告も特に出されてはいません。

いわゆるネットマーケティングのテクニックは何もされていないのです。

では強みは?
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その1)KENWOOD というブランド力と製品の品質に加え、40年以上国内唯一の KENWOOD専売の代理店を続けている、業界内での(カーショップに対しての)お店のブランド力、安心感、信頼感→KENWOOD製品販売で対抗できるお店は他にはないということ。
業界では有名だからSEOも広告も不要。プロが来る店だからスマホ対応も不要。過剰な見せ方や演出も不要。「必要な情報をシンプルに!」で十分。
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その2)価格競争力も常に国内最安値! 価格徹底抗戦!
メーカーとの近さ、太いつながりで常に最安値で戦える仕入れ競争力。そして、価格.com 最安値の店を自動的に常にチェックし反映させるシステムを組んでいるとのこと。
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その3)情報力。メーカーのリリース情報もいち早く入手できるのはもちろんのこと、機種ごとの在庫や販売状況、営業面での販促や支援策なども、強い関係で有利に運用できる政治力ともいえる美馬代表の力。
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実にITやネットのテクニックなどとは無縁のこれらアナログでベタなビジネス能力、経営力、商売人の力量といえる部分こそがAudioBoxさんの強みなのです。

具体的なダメ出し…


EC仙人 太田

それでも、新規の販売先カーショップなどを増やすとか、販売先のスタッフたちの世代交代に対応したいならば、スマホ対応や、トップページのアピールポイントの改善などはしても良いかと思うのですが…と申し上げたら…

「新規客(販売店)獲得も考えていない、むしろ増やしたくない。正直、これ以上売上はいらんのですよ!」と言われてしまいました。

(^^;)言ってみてぇ〜(笑)

というわけで、今回は「ダメ出し!なし!」にしておきます。

総評

一般論で見れば、サイトにはもっともっと改善できる表現方法や、時代に合わせた対応(スマホ対応)などもあるのですが…
ビジネス目的を達成することがオンラインショップの目的であるとするならば、現状で十分どころか十二分に目的、目標を達成しているAudioBoxさんにおいては100点満点を付けても良いのだと思います。

が、あえてネットショップコンサルタントとしてマイナス1点分を申し上げるならば…

最大の強みは実は「美馬代表のKENWOODさんとの強い関係」にあるので、仮に今後、代表が引退される日が来ても、後継者である娘さんやスタッフの方々が同じように強い関係を維持できるような体制を確固たるものにしていくのが当面の最大のテーマだと思います。

また、当面は心配する必要はないのかもしれませんが、EV(電気自動車)や自動運転の普及など自動車を取り巻く環境も、スマホやタブレットの進化や低価格化などの環境も激変していますので、KENWOOD依存度100%の貴店の命運はKENWOOD次第であることも事実だと思います。(KENWOODが最大の強みであり最大のリスクでもある)

むしろメーカーよりも市場を知り市場の近くにいる立場から、逆に今後のKENWOODさんの製品開発に影響を与えて、自店の命運が少しでも上向きになるように働きかけられることが重要だと思います。

いずれにしても、市場開放、自由競争化、グローバルスタンダード化は世界の流れです。メーカーに守られた販路やメーカー指導の価格統制は、ほとんどの業界で崩れ去りました。

施工、取り付けが必要ゆえ、量販店での価格競争になりにくかったカーナビやカーオーディオ、自動車家電の世界も、今後どうなるかはわかりません。将来に備えて準備だけは怠らず備えておきたいですね。

今回は、「ダメ出し!道場」というより 成功店事例紹介となりました。

ありがとうございました。


※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。