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田染荘

思うように売り上げが伸びず困っています。かといって専門スタッフを雇う余裕もないし。

おちゃのこネット以外のショップ:
自社サイト
http://www.owl.ne.jp/~tashibu/
ブログ
http://tashibunosho.junglekouen.com/
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https://www.facebook.com/sakaya.tasibunosho/
Instagram
https://www.instagram.com/sakaya_tashibunosho/
twitter
https://twitter.com/tashibunosho

皆さん、こんにちは!
五十肩の痛みが和らいで来て少し笑顔の太田です。(苦笑)

さて、読者の皆さんはどんな町にお住まいでしょうか?…

日本では3大都市圏(東京、大阪、名古屋とその周辺の都市部)の人口がなんと6600万人を超え、全人口の半分以上(約52%)にもなるそうです。

もう少し広げて、札幌、仙台、新潟、静岡、岡山〜広島、福岡、熊本、松山、鹿児島などの都市部人口を加えると…なんと9000万人弱! 実に全国民の70%にもなるそうです!

逆の見方をすれば、こういった都市部ではない地方の小市町村、いわゆる田舎町に住む人は3割程度しかいないということになります。

都市部の定義がなんたるか? はいろいろな見解があるとは思いますが…

まずまず、大きな駅や高速道路、バス路線など交通の便がある程度良く、マンションやビル、大型病院、学校や大型商業エリアがあって、ちょっと出かければひと通りの物は買える。景観はほとんど舗装された道路と建物。

一方で、田舎とは…交通の便が悪く、車やバイクなどがなければ、ちょっと買い物に行くのも徒歩では何時間もかかったり、食品や日用品以外を販売するようなお店もなく、大きな病院や学校などもなかったりするが、メイン道路を一本外れれば、田畑や、海、河川、山林や野原と自然も多く、広い土地、空間があって人口密度も低いエリア。

そんなイメージでしょうか。

おちゃのこネットのお店も、ほぼ日本の人口比率同様に、7割位は都市部のお店でしょうし、田舎のお店が3割くらいだろうと思います。

さて、ネット通販においては、全国どこにいても、同じく全国どこのお客様に対しても商品を受注販売できますが、ネット以外のリアルの商売のほうでは大きな差があります。

都市部のお店なら、実店舗のほうもそこそこの集客が見込めますので、商品の品揃え・在庫も両方でさばいていけますが…田舎のお店だと実店舗の商圏人口は少なく、ネット向きに多くの品揃え・在庫を積んでも、リアルのほうではほとんど売れないのでリスクは遥かに高いでしょう。

その他、運送会社の物流拠点からも遠く、時間やコストのハンディもあるかもしれません。スタッフを雇いたい! と思っても、ネット販売の業務ができるような人材を確保するのは、都市部のように簡単にはいきません。

都市部のお店に比べて多くのハンディがあるのです。

しかしながら、ネットに打って出なければ、それこそ実店舗の商圏は全国どこでもご多分に漏れず、過疎化、高齢化でジリ貧傾向です。

それでも幸いに日本はごく一部の離島を除けば、高速道路網や毎日の定期航路、航空路などで1日あれば都市部にアクセスできますし、インターネットや高速回線、スマホなどの普及のお陰で、今では全国の方々とリアルタイムでコミュニケーションが取れる、便利で恵まれた国ですよね。

「何をいまさら、そんな当たり前のことを!?」と思われる方も多いかもしれませんが…そういう不便な田舎の小さなお店こそ、ネットショップで都市部のお客さんを相手にしっかりと商売をして生き残っていけば、むしろ狭い都会で汲々として暮らすより、時間も、空間も、自然も豊かな田舎のお店は羨ましい存在かもしれません。

さて、今回はそんな田舎町で家族経営をしている小さな酒屋さんの登場です。

それではダメ出し!道場スタートです!(^^;)

第一印象…スタンダードな良きお店だが…


EC仙人 太田

まずは、店舗名「田染荘」が読めませんでした。(苦笑)
「なんて読むんだ?」が先で、商品やカテゴリーなどを見る前に、お店の読みがなを探してしまいました。
「たしぶのしょう」と読むそうです。

読めたうえでも、この変わった名前、ちょっと気になりますよね。
どういう意味なの? 店名の由来は? などちょっと探してしまいました。

右下の店長の自己紹介欄でようやく、大分県豊後高田市の田染荘という地名だとわかりました。お店にとっては何十年も当たり前のことですが、初来店のお客様はきっと私と同じように「田染荘」はなんて読むんだ? から始まっているのではないでしょうか?(^^;)

そのうえで…
最上部に「大分県の日本酒や焼酎をメインに厳撰した全国の地酒、そしてワインを取り揃えて販売しています」とあるように、地元、大分県の酒を中心にしつつも、他府県の酒やワインも扱う酒屋さんの通販ショップとして、必要十分に作りこまれたお店という印象です。

店主の津田さんは「日本ソムリエ協会認定“SAKE DIPLOMA”と“SOMMELIER”の両方を取得しています」ということで、お酒やワインの素人の私には詳しいことはわかりませんが、なんとなくでも一定水準以上の目利き、商品選定がされているであろう印象も受けます。

右端のランキングや左のカテゴリー、その下のバナーのメニューや特集をざっと見ると、焼酎が多く、焼酎で有名な大分県ということもあって、品揃え的にも焼酎が多いのかなぁ…という印象は受けますね。

焼酎に詳しい人はズバリ銘柄で検索してきての指名買いが多いんだろうなという想像も働きますが…一方で、銘柄まではあまり詳しくないお客様にとっては、どんな基準でどんなお酒を買おうか? 買えば良いか? はあまり浮かび上がってこず…

リピーターや良く知っている人向きで、初心者にはちょっと敷居の高いお店のように感じるかもしれません。

お店にとっては実店舗での取り扱い商品を同じようなウェイトで陳列し販売しているというごくごく自然体なのかもしれませんが…

ネットを通じて来店されるお客様は明らかに違う期待をされているのではないでしょうか?
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店名や地名もそうですが、お店にとっては当たり前のことであっても、全国からアクセスして下さる多くの都市部に住むお客様が、わざわざネットの大分県の酒屋さんにきて期待することは、お店にとっての当たり前(県外の酒やワイン、洋酒なども売る)とはやや違うと思います。

大分県の焼酎や日本酒を多く品揃えしていることは、まぁ当たり前なのですが…
逆に、大分の酒屋で青森の日本酒? フランスのワイン? は期待していないどころか、むしろ大分のネットショップには邪魔にさえ感じられます。

リピーターさんになれば、ついで買いでワインも…なんてこともあり得ますが、お店の構成、印象上は隠しておきたいくらいですね。

一方で、他府県であっても、同じ九州の福岡、長崎、佐賀、熊本、宮崎、鹿児島、南西諸島の酒は、扱っていてもごく自然で期待される商品カテゴリーだと思います。

このあたりのコンセプトの割切りや自店のセルフプロデュースは、今一度考え直してみる必要があるのではないでしょうか?

見た目の課題スマホ(レスポンシブ)対応を早急に!


EC仙人 太田

現状は、古いタイプのスマホサイトになっており、スマホトップページは文字だけのメニューで、見栄えも使い勝手も悪い状態です。
【スマホURL】 http://tashibu.ocnk.net/phone/

早急にレスポンシブ対応のテンプレートに変更して、ビジュアルでオススメやランキング商品をわかりやすく見せるのと、店舗内検索がしやすい環境にしましょう。詳しくはおちゃのこサポートへお問合せください。

インタビューで浮き彫りになったこと…


EC仙人 太田

上記のような印象と感想を持ちつつ、店主の津田様にお電話でインタビューをさせていただきました。津田さんは61歳のベテランで、奥様と2人の息子さんとの4人でお店を経営されているそうです。

地域としての田染荘は、世界農業遺産にも認定された田園風景の広がるところで、お店の周辺数Kmでも人口は1000人程度の、まさに田舎町です。
↓↓↓↓↓ とても美しい田園風景ですね。
豊後高田市公式観光サイト
https://www.showanomachi.com/special/tashibu.html

そんな町でのほとんど個人客相手の酒屋さんですから、実店舗では大きな集客UPや売上増は見込めませんし、今後の伸びも期待できません。

それゆえか、インターネットへの取り組みは早く、1999年にはホームページを開設され、おちゃのこネットへの出店は8年前からだそうです。

もともと、大分は九州の中でもどちらかというと日本酒文化でしたが、有名な「いいちこ」や「二階堂」が麦焼酎ブームの牽引役となって、全国的に大分名物=大分焼酎というイメージができたそうです。

その中で田染荘さんでは「兼八」「特蒸泰明」という大分の麦焼酎がそれぞれ蔵元との関係も太く、また都市部でも比較的手に入りやすい他の酒と違って、生産供給量が限られているので、検索によって指名買いが圧倒的に多いそうです(売上の半分以上はこれら大分の焼酎)。

一方で、日本酒は東京などにも多く出荷されており、比較的手に入りやすいのと、日本酒の場合は要冷蔵も多く、クール便代がかかるので、焼酎ほど売れないとのことでした。

インタビューの中で、日本酒ではどんな銘柄をもっと売りたいか? オススメしたいですかと質問したところ、意外や、青森の酒や栃木の酒の名前が…

酒のプロがゆえに、「美味しいいい酒をオススメしたい!」ということのお気持ちは理解できますし…実店舗で地元のお客様へは全国の美味しいお酒を案内するのもごく当たり前なのだとは思いますが…

ネットショップにおいては、東京や大阪のお客様がわざわざ大分の酒屋から青森や栃木の酒を買う理由はなかなかないと思います。

ヘビーなリピーターになれば、津田店長の目利き、セレクトを信頼して大分以外の酒でも購入してくれるようになるとは思いますが…

やはり新規のお客様は「大分の」や「九州の」を期待し、そこの品揃えや知識を【強み】と感じて来店される方がほとんどだと思います。

また、現状は「幻の麦焼酎」との呼び声も高い「兼八」という麦焼酎をGoogle検索すれば、3位に田染荘さんの自社サイトが表示されます。
1位は情報サイト、2位は蔵元のサイトですから、ネットショップとしては田染荘さんがトップに表示されているので、大変優位にあるといえますが…

単品だけなら Amazonや楽天でも買える店がいくつかあるので、楽天会員やAmazon会員はかなりで購入していると思います。
希少品のためプレミアム価格で高く売っている店ばかりですが…

田染荘さんは良心的に正価販売されていますので、兼八の商品ページでもそれをもっとアピールされるのが良いと思います。

「兼八は全国的に品薄なので値段を吊り上げ足元を見るような販売をしているお店もあるのでご注意ください。当店は蔵元から直接仕入れで鮮度の高い兼八を正価で販売しています!」

のような表現を入れることで、安さだけでなく、誠実さ、鮮度、信頼感を同時にアピールできると思います。

今後の可能性、展開のアイデア…


EC仙人 太田

酒販小売店は全国的に見ても、メーカーの定価のある商品の仕入れ販売ですし、もともと粗利率の高い商品ではないので、どこのお店も低い利益率で苦しんでいる業種です。

また、大手チェーンの酒販店やスーパーマーケットの安売り競争で、町の小さな酒販店はますます苦しくなっています。

都市部で生き残れるお店は、なんらかの付加価値、粗利率の高いオリジナル品や酒以外の食品類で利益率を高めています。

田染荘さんにおいては、大分の特産品などとの組み合わせでのギフトセットや、300mlなどの小瓶の飲み比べセットギフトなど、全国にいる大分県出身者をターゲットにしたギフトセットの展開なども一案だと思います。

また、少し広げて、東京や大阪から見れば「九州」の酒屋さんですから、九州各地の焼酎、日本酒の一覧性を良くしたり、比較飲み比べのセット企画などをして、ネット上で「九州の酒の通販なら田染荘にお任せ!」のような展開も一案かと思います。最初は焼酎からだけでも良いと思います。

蔵元の協力も必要なこともあるでしょうが、津田さんは下記ブログで…
http://www.owl.ne.jp/~tashibu/report.html
170回も各地の蔵元を探訪されているようですが…
九州のだけでもかなりの数の蔵元と直接お話ができるのではないでしょうか。こういったプロの酒屋と蔵元の関係だからこそのアイデアや企画が期待されますね。(^-^)

ただ、実店舗はともかく…ネットショップにおいては欲張りすぎず、まずは九州以外の酒やワインなどはページから無くしてでも、大分の酒、九州の酒という絞り込みをもっと明確な【強み】にして、ブランディングしていくのが良いと思います。

具体的には下記「大分県内焼酎蔵元」のようなコンテンツを
http://tashibu.ocnk.net/page/5

九州各県別に日本酒蔵元、焼酎蔵元と作りこんだり、その中から月替わりや特集でいろいろな組合せでセット組提案したり、各地の旬の特産品をスポットで仕入れて、「セットで大分を味わう」「熊本を味わう」とか…

もっと細かく、「豊後国東半島周辺を味わう」「有明海周辺を味わう」のような企画も可能かと思います。

自社だけでできない場合は、各地の特産品ネットショップさんに声をかけてコラボできないかなども検討の余地ありではないでしょうか。
お酒とセットにすることで付加価値の高まる特産品も少なくないと思いますし、酒販免許がなくて、お酒が売りたくても売れない特産品ショップも多いと思いますよ。

総評

当たり前レベルのことは必要十分にできているお店です。しかしながら、仕入れ販売のみの小売店のままではジリ貧は避けられません。

田染荘さんでは長年のリピーターのお客様にメルマガを配信して、一定の売上を確保されているようですが、それも少しずつ減ってきていたり、新たな顧客の開拓には苦戦されているようです。

スマホやLINE、SNSの普及で、若い客層にはメルマガが疎まれたり、また情報(口コミ)の伝達の経路も、メールよりSNSが中心になってきましたので、その活用が拡販のカギだと思います。

田染荘さんでもFacebook、インスタグラム、twitterをされているようですが、自社からの発信だけでは大きな伸び、新規客獲得には繋がりにくいと思います。

まずはメルマガのリピーターさんたち、実店舗や試飲会などでの直接のお客様方にも協力いただいて、共通のハッシュタグを付けてどんどん投稿してもらったり、拡散してもらえるようなイベントを行ったりが必要だと思います。

また、お酒の場合は、ネット上にも酒専門のライターさん、利き酒師などの方も多くいらっしゃるので、そういういわゆる「インフルエンサー」となるような方々に積極的にコンタクトしてみて、なんらかの協力やコラボができないかなどもチャレンジしてみる必要があるかと思います。

いずれにせよ、何もせずだと、いくら良い酒を扱う良いお店でも地方の小さな小売店ではジリ貧になっていくことは避けられません。

蔵元さんに信頼される良い関係があるうちに、田染荘さんの確固たる地位を築いておく必要があると思いますし、それができるお店、店主さんだと思いました。

具体的には、自社サイトとおちゃのこショップの統合なども視野に入れて「大分の酒屋 田染荘」もしくは「九州の酒屋 田染荘」のブランディング、戦略立案をしていくべきだと思いますが…

今後の戦略、方針を考える際にはぜひお声がけください。

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。