kobe ''ネイルコレクション''

カテゴリ:美容、健康

kobe ''ネイルコレクション''

ネイルシールをオーダーメイドできるショップを運営しています。最近では類似するサイトもあるようですが、シールのクオリティはどこにも負けません。弊社シールを使ったアート作品の写真をインスタグラムにアップする連携もしております。フェイスブックはあまり活用していません。
現状は B to C がメインで B to B はあまりありません。会社取引の場合安価さを求められるケースが多く、現在の製品作成方法は安価を提供することは不向きなため、クオリティーと少ない枚数を求められる場合は決まることもあります。(過去に、イタリアのフェラーリや国内外のメジャーキャラクター、企業ロゴなど実績あり)B to Cではリピート率はほぼ100%ですが売り上げは伸びてきません。

ショップのコンセプトは「オーダーメイド」「ハンドメイド」「一点物」で今後は、ネイルシール以外にもコンセプトに沿った
こだわり製品も販売し、売り上げを伸ばしたいと考えています。これまでコンサルに色々相談しましたが、商品は国内に競争もなく面白いとは言われてきました。
アドバイスに沿ってインスタグラムとの連携もしました。
売り上げアップの為のアドバイスをお願いします。


おちゃのこネット以外のショップ:
Instagram
Facebook

皆さんは「美」にどのくらいのお金を使っていますか?
といっても美術品、工芸品などアートの話ではありません。
自分自身の「美しさ」、いわゆる「美容」のことです。

私のようなおっさんでも、シャンプーやボディーソープ、乾燥を防ぐ化粧水や整髪料くらいは使いますが、せいぜい年に数千円程度でしょうか。
あとは理髪店が年に数回程度。大した金額ではありません(^^;)

ところが身の回りの女性たちに話を聞けば…ドラッグストアに行くだけでヘアケア、肌ケア、コスメ類…なんやかんやで1万円なんてすぐ使っちゃう。ヘアサロンもおっさんと違って2〜3千円なんかじゃ済みません。
カラーもしてパーマもかけてなんてすればあっという間に1〜2万円!
髪のお次は、エステサロンにネイルサロンに…と女性の「美容」に対する欲求はとても大きなものですね。

日本での理美容業界の市場規模はなんと2兆円を超えるそうです!
男女比はざっと1:4だそうです。8割は女性の市場なんですね。

その中でも平成に急激に大きくなった市場が爪、ネイルの業界だそうで、ネイル業界だけで市場規模は2000億円超えだそうです!(私なんて人生で爪にかけたお金は爪切りを何回か買った程度ですが)

私が物心をついたころ(昭和後半)は、ネイルサロンなんてものはまだ世の中にはなく、せいぜい、母が爪に何やら薬品臭いマニキュアとかいう色のついた液体を筆で塗っているのを見ていた程度。

ネイルサロンというものができたのは昭和の終わりころだそうですが、日本で本格的に普及したのは90年代後半〜2000年代にかけてだそうです。

今や、ネイリストは小学生〜中高生の女の子たちの憧れの職業のひとつにまでなっていますし、身の回りにもネイルサロン、ネイリストさんは珍しくなくなっているのではないでしょうか?

でも一方で、店舗の増加や価格競争、少子化、人口減少などでネイルサロン業界も頭打ちで、伸び悩んでいるようです。

一方で、セルフネイル(サロンに行かず自分でするネイルアート)が道具やグッズ類も増えたことで一般的になり、右肩上がりの市場になっているようですね。

男性にはあまりなじみのないネイル業界ですが…
今回のお店は、そんなネイルの中でも簡易に細かい模様や文字などをシールとして販売しているお店です。
しかもオーダーメイドでお客様の名前やお店のロゴマークなどオリジナルのデザインのネイルシールを小ロットで作ってもらえるお店だそうです。
それではダメ出し!道場スタートです!(^^;)

第一印象……ネイルシールのお店だとは分かるが…ワクワク感が無い


EC仙人 太田

トップページの最上段のタイトルから、ひと目で「オーダーメイドネイルシール」の専門店であることはわかります。そこまでは良いのですが…

PCサイトでは中央の横スクロールするメインバナーの中で、ネイルとは関係のないお財布やランドセル、バッグのイメージカットが出てきたり、スマホサイトではトップページには商品サンプル写真がないので…
第一印象としては弱く、お客様の「もっと見てみたい!」という気持ちを十分に引き付けているとはいえません。もったいない。

私がネイルシールに十分な基礎知識や予備知識がないので余計にわからないのかもしれませんが…(女性なら誰でもわかるのでしょうか?)
ネイルシールとはどんなもので、どう使うのか?
シートの中の一部分をどうカットして、どう爪に載せて貼り付けるのか?
一つ一つのパーツの大きさや個々の縁取りの幅や色なども不明なので、出来上がりイメージが想像しにくく、味気なくつまらないという印象も受けました。

要するに「美」を演出するお店なのに、ワクワク感がないのです。

一般的にコスメや美容の業界全般にいえることですが…
リップスティックは「唇を赤くする」という機能だけを売っているのではなく、上手に塗ることによって美しくなった自分のイメージやそれによって得られる満足感(心や気持ち)を売らなければならない…のです。

ネイルシールは手描きで描くには細か過ぎる模様や、同じ文字の繰り返しになるような場合に、シールでパーツを貼って使うというネイルアートの機能を提供するグッズかもしれませんが、あくまで「美」を提供する一部ですので、最低限、それを使ったら最終的にはこうなる! というイメージカットはもっと多く用意して欲しいところですね。

それが増えるだけで、お店全体のイメージはもっと華やかで女性がワクワクするお店になると思います。

具体的なダメ出し!


EC仙人 太田

例えば… プチオーダーシリーズ(絵柄カスタマイズ)の「水彩Vintage-roses」という商品のページ
https://nail-colection.ocnk.net/product/151

このページだけを見て、ネイルアートのお店だと思いますか?
「いや、ネイルシールの絵柄がわかればいいじゃん」…
そうかもしれませんが、花の絵柄が並んでいるだけの画像で実際にネイルに施して完成形をイメージできる人は、かなりの上級者やアートの才能のある方だけだと思います。

また、よく読めば、これら(1)〜(9)の絵柄の中から好きなものを好きな大きさで自由に選んでレイアウトできると書いてあるのですが…
初めてのお客様にはとても不安や疑問が多くて、「よし、注文してみよう!」という心理的なハードルを越えるのには、結構な積極性の持ち主でなければならないと感じます。
言い換えれば慎重なタイプのお客様には注文しにくい不親切なページです。

また同様に…例えばプチオーダーシリーズ(絵柄カスタマイズ)の「和装花柄」という商品は黒い背景ですが…
https://nail-colection.ocnk.net/product/147

一つの花をパーツとして使う際に…そもそも自分でハサミやカッターでカットする必要があるのか? それともカットされているのか?
されているとしたら縁取りの幅は? 縁取りも黒いのか? などはまったく不明です。

実は店長インタビューで「絵柄はすでにカットされている」と聞いたのですが…今の商品ページ、商品写真ではわかりません。
こんなことも、実際にシールのシートからパーツを剥がして爪に載せて貼り付けようとしている写真の1カットでもあれば、ひと目で大きさや縁取り、背景の透け感や不透明度なども伝わり、お客様の不安感や勘違いもなくなりますね。

もう少し、初見のお客さまの立場で考えてみて、必要なサンプル写真を用意して、お客様の痒いところに手の届く商品ページにすることで、購入確率、転換率が高まると思います。

その他、気づいた点…絵柄の検索キーワード…


EC仙人 太田

「大きめペーズリー」という商品がありますが…
https://nail-colection.ocnk.net/product/28
ペーズリーと書く人もいればペイズリーと書く人もいます。

また「レースのライン(2)」という商品がありますが、
https://nail-colection.ocnk.net/product/9
蝶々(バタフライ)柄がありますが、商品名にも説明にも蝶やバタフライなどのキーワードがないので、店舗内検索してもこの商品はヒットしません。

デザインもののお店では、好きなモチーフで検索する方は少なくありません。

個々の商品デザインのモチーフはできるだけキーワードとトするように、文字で入れておきましょう。ペーズリー、ペイズリーなどの表記の揺れにして検索ヒッ対応するために、両方を入れておきましょう。

関連の無い商品の販売にはストーリーが必要


EC仙人 太田

トップページのお財布やバッグなどは、知り合いの方の商品をとりあえず出してみたとのことですが…会社として新規事業の取り組みは良いと思うのですが、このサイトとしては異質であり、中核のネイルシールとの脈絡がないので、ここまで目立たせると「いったい何のお店?」と胡散臭くなってしまうので、少なくとも中央バナーからは削除すべきでしょう。

どうしても販売したいなら、別にコーナーとフリーページで紹介ページをちゃんと作り、「店長のお友達の工房の商品です!」とちゃんと説明しましょう。

直接ネイルに関連性がない商品を販売するには、商品説明だけではなく、「なぜそれを売っているのか?」のストーリーが重要なのです。

インタビューで浮き彫りになった事…


EC仙人 太田

今回もお電話でお話を伺いました。
店長(社長)の横山さんは私より年上の60代の男性だそうで、元々から美容やネイル業界にいらした方ではありませんでした。

元々はイベント企画制作の事業が本業で、さまざまな業種の企業の販促などに携わっておられ、その中のある印刷業の会社さんで、紫外線でインクが硬化するUVプリントの機械の使い道について相談を受けたことがきっかけでネイルシールのアイデアを思いつき、その印刷屋さんやイラストなどのデザイナー、ネイリストさんたちとコラボして発案からなんと半年程度でネイルシールを商品化・販売開始したそうです。そのアイデアと何より実行力には頭が下がります。

元々のお仕事であるアメリカのアニメキャラクターデザインのライセンスに絡んだことから、そのキャラクターのネイルシールをライセンス元に売り込むことに成功し、そこから日本で有名な「くまモン」のネイルシールや、デザイナーさんたちとのコラボ商品を企画製造し展開されたとのこと。

開業当初はネイルシールのオリジナルオーダーメイドのお店は他にはなく独壇場だったが、最近はボチボチライバルも出てきたり、また既成デザインシールも安価でバリエーションも増え、100円ショップなどにも出回ってきているので逆風となっている。

現状はリピーターの方々を中心にいろいろなデザインのオーダーメイドを受注されているそうですが、新規客の伸び悩みや法人や大口需要の獲得ができないか検討中とのこと。

過去にも海外有名企業のロゴデザインのネイルシールの大口注文もあったりしたが、事例紹介はできないなどもどかしい思いもされているようです。

また、そもそもが、ネイル業からのスタートではなく、特殊なUVプリンターで小ロットでネイルアートのような盛り上がった印刷ができるという技術スタートだったことから…「ネイル業以外での展開はお考えではないのですか?」と聞いてみたところ、案の定!(^^;)

QRコードや点字などの2次元コードを視覚障害者向けの触ってわかる印刷としてさまざまなチラシや媒体に印刷応用できないかを考えて実用新案を取得されたとのことです。平成28年施行の「障害者差別解消法」によって、今後の自治体での障害者サポート助成などに期待ができそうだとのことでした。

総評

上記でも述べましたが、既存商品に関してはまだ説明不足で不親切な面も多いので、写真や動画などでもっとすぐに用途や使い方、大きさなどがイメージできるコンテンツを充実させましょう。

また安価な既製品の種類の増加、競合店の登場などネイルシール業界の逆風もありますし、新規客が増えないと価格競争も戦えません。

法人客や大ロットの客からの引き合いをゲットするためのコンテンツ(事例紹介や事例、用途、業種を想定したサンプル試作品の掲載や見積り問い合わせページ)を用意して、大口注文ウェルカム! の姿勢をアピールすることも大事だと思います。

Instagramなどで積極的に情報発信はされていますが、自社からの発信だけよりも、有名な美容系インフルエンサーさんなどを活用できないかも検討して、上手くコラボできればバズる(ブレイクする)可能性はまだまだあると思います。

一方でインタビューの中で横山社長と盛り上がった話題は、今後のネイル業界でもネイルシールの新商品でもなく、そもそもの「強み」であるUVプリントで小ロットの盛り上がったシール印刷ができるということでした。

ネイルシールショップとしての商品拡充は図案絵柄を増やすことくらいですが、ネイルショップではなく会社の事業として見たときにはまったく違う市場、商品展開が可能ですし、ポテンシャルも大きいと感じました。

これはまたあらためてお会いしてディスカッションしましょう! ということになりました。

表から見たネイルシールショップというだけではない別の顔、可能性を秘めている会社だと強く感じました。


※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。