FreeStrain

カテゴリ:ファッション

FreeStrain

初めまして。診断よろしくお願い致します。
2007年からおちゃのこネットを始めて、3年ほど前からようやく理想の売上を達成できるようになってきました。
常に進化しているネット通販についていくため、できる範囲で手直し等やってきましたが、専門的な知識がなく、これ以上どこを修正すればさらに良くなるか、わからなくなってきていましたので、一度診断していただきたいと思っております。
店舗も構えておりますが、こちらは年々来店数が減少しているように思います。
今後の理想としては、サイトを観て実店舗にも興味を持ってもらい、来店につながればと思っております。
その半面、実店舗とサイトを結びつけず、レスポンスの速いサイトをさらに強化するべきか悩んでおります。

今回は平成最後の 「ダメ出し!道場」ですね。
平成ってどんな時代だったかなぁ〜
そんな番組や企画をたくさんあちらこちらで目にしていますが…

おちゃのこネットの「ダメ出し!道場」ですので、商売の平成についてちょっとだけふり返ってみると…

ありきたりな言い方をすれば、多くの店が「デフレ」の中での商売だったなぁ。
とにかく「安くて良い物を便利に買える」を皆が求め追求してきた時代。

バブル〜バブル末期、そしてバブル崩壊から平成は始まって、消費者(買う側)は物と物欲に浸り慣らされたバブル時代から、一気に不景気に突き落とされたので…

「物は欲しいが、お金はできるだけ使いたくない」というムードが国中に広がりました。

そんな中でサプライヤー(売る側)は「安くて良い物を便利に!」をお題目のように、価格競争に明け暮れ、物の値段はどんどん安く。

途中で何度か「デフレ脱却したか!?」と報道されることはありましたが、消費者の実感としては、結局平成最後まで、ずーーーーーーーーっと「デフレ」だったなぁ。

最近でこそ、野菜・果物など食品の価格は上がってきていますが、これは需要が増えてのインフレではなく、燃料や電気代、コストが上がってのインフレなので、危険な兆候ですよねぇ(汗)

基本的には、今も安くしないと売れない傾向は根強く残っているので、まだまだデフレ継続中ではないかと思います。
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さて、このメルマガの読者さんは、ほとんどがおちゃのこネットのユーザーさんです。(バックナンバーを読む一般読者さんもいらっしゃいますが)

またほとんどのユーザーさんは「営利目的」のショップで、何かを売ってお金を儲けるのが目的だという共通点があると思います。

ではそれぞれのショップのお客様は何にお金を払うのでしょうか?

こんな言い方をすると「人は何にお金を払うのか?」という哲学的な問答のようになってしまいますが、そうではなくシンプルに考えてみましょう。

税金や年金、保険料など、仕方なく払わざるを得ないお金もありますが、少なくともおちゃのこネットのお店でお金を払う方々は、なんらかの商品の対価としてお金を払っていますね。

「商品」や「サービス」、「価値」にお金を払う。

そして、その理由は!?

「欲しい」「食べたい」「着たい」「使いたい」「見たい」「聞きたい」「快適にしたい」「知りたい」「美しくなりたい」「カッコよく見られたい」「楽しみたい」「喜ばせたい」「健康でいたい」「楽したい」「安心したい」「助けたい」…

などなどさまざまですが…

「○○したい」という「欲」がその源になっているのではないでしょうか?(たとえ自分ではなく人のためであっても)

つまり「○○したい!」と思わせなければお客様はお金を使わないし、「○○したい!」を自店の商品、サービスに上手に結びつけると、買って、お金を払ってくれるようになるのです。

でも、お客様も日々の生活の中で、いろいろな場面、シチュエーションにおいて「○○したい!」は発生しており、日々、どこかでお金を払ってしまっているのです。あなたの店にたどり着く前に。

残念ながらお財布や通帳の中身は有限です。
限られた中でお客様は多くの「〇〇したい」の優先度を常に入れ替えながらお金を払い続けている(消費行動している)のです。

だったら、何でも安いほうがいいんじゃない?
じゃあ「安くて良い物を便利に!」

あらら、また「デフレ」思考になっちゃいました。

でも、先日ある消費者調査を目にしたのですが…
「こだわりのあるジャンルには高くてもお金をかける」と答えた消費者が75%を超えていました。

多くの読者さん、店長さんたちも、「そりゃそうでしょ!」と納得されるのではないでしょうか?

「景気が良い!」「自分は余裕がある!」と思う方が75%もいるとはまだまだ思えませんが、それでも、好きな物、こだわっていることならちょっとくらいの贅沢はしたい! できる! という人はかなり多いということが言えそうですね。

売る側の視点から見れば、こだわらない部分で「安くて良い物を便利に!」を追求して消耗戦を続けるか、「高くてもお金をかける」こだわりのある客層を狙って儲けるか。

資本力のある会社は規模を大きくして前者の戦略も良いですが、多くのおちゃのこショップさんは小規模ですから、後者の戦略で勝てるところで勝つのが定石だと思います。(高くても買う層に向けた戦略)

このお客様の「こだわりのある点」の最たるものが「ブランド」です。
好きなブランドの商品なら、ノーブランドの物よりかなり高くても買う!

ブランドといっても「ヴィトン」や「シャネル」のような高級ブランドのことだけを言っているわけではありません。カップヌードルやPlayStation、おーいお茶、CocaCola、SK-II、ビオレ、NIKE…などなど安価な競合品やノーブランドもたくさんありながら、それぞれのジャンルではブランド名を目にするだけで品質、デザイン、サービス、印象、コンセプト、有名、信頼、流行、希少性、安心感…などなど、いちいち説明せずとも感じてもらえる。それこそが「ブランド」というものですね。

さて、今回のお店は、長崎のいわゆるファッションのセレクトショップのお店ですが、取り扱う「ブランド」でデフレの平成の時代の中で2001年から18年間、一定の業績、成果を上げ、経営を続けてきたお店のようです。令和を前に「ダメ出し!道場」で新しいステップに踏み出せるでしょうか?

第一印象 スッキリしたブランド依存の典型的セレクトショップ


EC仙人 太田

白基調でスッキリ・シンプルなお店のデザイン、取り扱いブランドが整理され、店頭(トップページ)では常に新入荷の商品が陳列されており、取り扱いブランドのブランド力とその品揃えによって成り立っているであろうお店、という印象です。

店長さんの「ダメ出し!道場」申し込みコメントから、3年前から目標、理想の売り上げを達成できているとのことは素晴らしいことです!

しかしながら、取り扱いブランドをまったく知らない私の目線でネットショップの一般的なノウハウ論から見てみると…

商品説明における細部を十分に説明するだけの写真点数も少なくて、数万円する商品単価を見ると、
「お客様はよくこれだけの情報でこの価格の物が買えるなぁ!?」
というのが率直な印象です。

それだけに、客層も良く、取り扱いブランドの人気度や魅力、ブランド力と店長の商品の目利き、品揃えなどが優れているお店なんだろうな! ということが想像できますね。

インタビュー&ディスカッション…


EC仙人 太田

アパレルのお店、特にブランド依存のセレクトショップに関しては、ブランドを知らない人にとってはデザインや機能と価格のバランスだけで衝動買いというのは実店舗ならともかく、ネットショップではなかなか起きないのが実情です。

にもかかわらず、一定の成果を上げているFreeStrainさんなので、まずはお電話でお話を聞いてみることにしました。

店長の村上さんは、現在41歳で、若いころ5年ほど古着屋さんで働いている間にいろいろとアパレルやブランドについて学び、18年前、20代前半の若さで長崎で独立開業! 少しずつ取り扱いブランドや商品を増やしながら試行錯誤しつつ2007年におちゃのこネットでネット販売も開始。

実店舗、ネットとも少しずつ増えて来たリピーターさんと、取り扱いブランドのファン、中間層のセール狙いの方々などバランスを取りながらなんとか上手く経営を続けているが、自身も客層も年齢を重ねてきて、今は次に何をするべきかを考えている時期だとのことです。

幸いに、取り扱いのブランド力と、その2万円〜の価格帯、利益率、値崩れ価格競争しないメーカーの統制などで、激しい価格競争には巻き込まれずにきていますが、ZOZOTOWN、Amazonの隆盛やフリマアプリの普及など、逆風が強くなっている面もあるので、少し先を見据えて打てる手はないかと悩んでおられるようです。

取り扱いブランドは20以上もあるようですが、主力は3ブランドほどで、その中の1つはブランド名検索でもGoogleトップ表示。

同じブランドを取り扱うネット上のライバル店も多いものの、心がけておられるのは、とにかく入荷から商品UPまでのスピード感。
アパレルではシーズン毎に半年の前倒しでメーカーさんに発注し、新商品が出てくるので、半年前の発注の時点で売れ筋と販売数の予測(目標)を立てますが、そこを見極めておかなければ、入荷してから追加注文をしてもほぼ品切れで、再入荷の可能性はないとのこと。
1日でも早くアップして正価で売り切ることで利益を確保しつつ、シーズン終わりには大手流通の動きを見ながら、普段は許されないセール(値引き販売)がスタートし、売り残さぬように現金化するルーチンは業界の暗黙の了解とか。
でも最初から値引販売すると、取引停止などのペナルティもあり得る業界だそうです。

この正価販売とセール販売のさじ加減を上手く回していかないと、アパレル店は在庫の山で経営難に陥ってしまいます。

FreeStrain さんが18年間も人口の少ない地方で経営を続けてこられたのは、村上店長の目利きと商才(さじ加減)の証しだと思います。

ただ、先にも述べましたが、ZOZOTOWNやAmazon、フリマサイトなど、直接のライバルではないかもしれませんが、新たな勢力が逆風となる状況も出現しているということも不安要素です。

従来のアパレル店の発想だけで、 新商品正価販売→シーズン終わりにセール→売れ残りを最終処分だけを繰り返していると、上客とセール目当ての客層とが混在し、本来お店にとって最も重要で多くの利益を落としてくれる客層に悪い印象や、不満足を与えてしまいかねません。

正価販売とシーズン終わりの節度ある範囲でのセールまでは良いですが、最終処分のような叩き売りや、難あり、ワケアリ商品などは、このお店ではなく、別ルートでフリマなどを使って現金化し、あくまで当店はセレクトショップとしてブランド価値やステイタスを維持する戦略が良さそうですね!

と店長にインタビューしながらディスカッションし、一定の方向性が見えてきました。(インタビューから気付きを得て、新たな方針や戦略が浮かび上がることはよくあります)

すぐ改善出来る ダメ出し


EC仙人 太田

たとえば下記、販売価格: 51,840円のジャケット
http://freestrain.ocnk.net/product/4820
はすでにSOLD OUTですが、商品ページを見ても、正直、たったこれだけの写真と簡易な説明で5万超えのジャケットがよく売れたな!?というレベル。

しかし、それだけ当店がこのブランドに強く、ヘビーな顧客層を持っているからこそ、入荷してアップさえすれば売れるという表れだと思います。

一方で、入荷即アップしてもなかなか売れて行かない商品もきっとあるでしょう。

そういう商品は、たとえばアップ後、1週間なり一定期間が経過したら、商品ページを見直して、店長のオススメトーク(実店舗での接客トークのような生の言葉)を足していくというようなテコ入れをすれば、セール(値引き)を待たずに、正価の間に売れるものも増えるかと思います。

放っておいても売れる人気品は今のように商品ページアップに手間をかけず、一方で売れなかった商品はすかさずテコ入れし、スポットライトを浴びせたり、伝えきれていない魅力を伝える努力をすることは、ぜひやっていただきたいですね。

SNS活用度が低い…


EC仙人 太田

おちゃのこネット以外のSNSは Instagram、twitter、Facebookと一応やってはいらっしゃるのですが…

Instagram https://www.instagram.com/freestrain_official/
twitter https://twitter.com/freestrain
Facebook https://www.facebook.com/freestrain

いずれもブランド名の英語表記のハッシュタグと商品名がある程度で、これではメーカーのカタログと変わりません。また拡散性の乏しいInstagramとFacebookの弱点を、拡散性のあるtwitterでカバーしたいところですが、肝心のtwitterがフォロワー数も少なく、リツイートしたくなるような気の利いたツイートもなく、活かされていません。

SNSをとりあえずやっていれば良いというお茶濁し程度ではなく、それぞれのSNSの特性に合った内容で活用していかないと効果は得られず、もったいないと思います。

地方とはいえ、実店舗があるので、店頭にPOP看板、ポスターなど用意し、「店内撮影&SNS投稿歓迎!(お店の独自のハッシュタグを付けて)抽選でプレゼントが当たる!」などの企画で促せば、お客様が情報発信してくれるようにできます。

SNSの活用はお店からだけの情報発信ではなく、お客様を上手く促すことがポイントです。(中には多数のフォロワーや影響力のあるインフルエンサーと呼ばれる人がいます)

twitter は待ち受けてフォローしてもらうだけでなく、取り扱いブランド名でツイートしている人を見つけて、お店からフォローしていくプッシュ型の活用も可能です。

またいずれのSNSでも、最近は文字や静止画だけでなく、動画投稿もできますので、ちょっとしたプチ動画で注目度や情報量を増やし、よりバズる(拡散する)ようしかけていきましょう。

英語表記だけでカッコ良さを優先するよりも、商売ですのでお客様にわかりやすく、見つけてもらいやすくするのも大事です。
ブランド名のカタカナ読みなどもハッシュタグやテキストに入れる努力はしておきましょう。

いずれにせよSNS活用のポテンシャルはまだまだ大きいと感じました。

総評

業歴も長く、知識や経験、業界での人脈も積み重ねてこられている店長さんですので、それぞれのメーカーやデザイナーさんとも、他店よりも深く強いところもあるようです。

ただ、通常商品を右から左に仕入れて売るだけではなく、個々のブランドやデザイナーさんとのつながりの中で、レアな情報を得たり、プレミアムな販促品をゲットする、ひいては、限定品を共同企画してもらうなどもできる相手がいるかもしれません。

またお店のオリジナルとして、服飾雑貨やアクセサリー類など個々のブランドと競合せず、むしろテイストや方向性がマッチしたアイテムを自店のセレクトショップブランドとして持つなども、利益率向上、客単価向上のアイデアの一つではないでしょうか?

これは何度もメルマガで書いてきましたが、生き残るネットショップは必ずと言って良いほど、オリジナル商品を企画し持っています。
工場を持たなくても、さまざまなアウトソーシングでオリジナル商品が小ロットで作れる時代です。村上店長の長年の経験とセンスで、大きなリスクを負わずともヒットする商品が生み出せるのではないでしょうか。

FreeStrainさんは取扱店から本物のプロセレクトショップへのステップアップが可能ですし、これからの飛躍のキーになると感じました。

以上、FreeStrain さんの「ダメ出し!道場」でした。


※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。