GREEN'S TALE

カテゴリ:花、園芸

GREEN'S TALE

おちゃのこネットさんには、お世話になりはじめて10年目になります。
問い合わせに丁寧に答えていただいて、いつもありがとうございます。
パソコンやECの経験や知識がないまま、今まで運営しています。
実店舗があるので、オンラインショップをご覧いただいたお客様が「ページを見ました」とおっしゃっていただいて来店くださることが多いのですが。
せっかくの通信販売なのに、北海道や東京、海外からもわざわざご来店くださるのです。
ボタンをポチっと押していただくだけで、玄関先まで届くにもかかわらず、交通費を出してまで、ご来店くださるのがずっと不思議で。
ブランドイメージを保ちながら、本当に使いやすく見やすいページができているのか、もし改善できることがあれば、がんばって改善していこうと思いっていますので、ぜひプロの目でご覧いただき、アドバイスをいただければうれしいです。

読者の皆さん、突然ですが誰かにお花を贈ったことはありますか?

ネット上のあるアンケートでは、女性の8割以上、男性でも6割近い方は誰かにお花を贈ったことがあるようです。

では…お花を送る際に意識したことは?
「相手の好みの色や、花言葉」
「とにかく相手が喜ぶようなアレンジやおしゃれなラッピング」
「気持ちが伝わるようなメッセージやシチュエーション」

と、相手の気持ち、心を意識するのは当然として…
「あまり、大きくなり過ぎないように(外で渡すので)」
「できるだけ大きくゴージャスに(ご自宅に送るので)」

などという大きさに関する意見もあれば…
「できるだけ長持ちするような花、アレンジを選んだ」
「数日でゴミになるので、できるだけ小さなものを選んだ」
「できるだけしおれたり色あせないような質の良い物を選んだ」

など、具体的な花の質や鮮度についての意見も多いようです。

では…
コンパクトでとても長持ちして何年も質や鮮度が保てるお花があれば?
贈った思いやその日の思い出を何年も維持し続けてくれるお花があれば?

さて本日のお店はそんな素晴らしいお花「プリザーブドフラワー」に特化したお花屋さんです。

参考まで…
*プリザーブドフラワー(Preserved flowers )とは…
生花を特殊な液体に漬けて脱水・脱色したものに好みの色の色素を加えた保存液を浸透させ、生花に近い質感と好みの色を表現することができる。湿気や直射日光を避けて飾れば数年間〜10年程度は美しさを保つことができる。例えるなら、ドライフラワーは花のミイラで、カサカサシワシワですがプリザーブドフラワーは花の剥製で、しっとり柔らか、生花に近い質感。

それでは、ダメ出し道場、始まり〜

第一印象:イメージ、ブランディングのしっかりしたお店


EC仙人 太田

とにかく第一印象は、とても商品や展示ディスプレイ、店舗インテリアなど全体的に写真クオリティが高く、洗練されている印象です。

ホームページの写真加工やバナー制作も、プロの仕事だろうな…と思わせる作りです。

本質である商品その物も洗練されていて、送り主にひと目で「これなら相手もきっと感動して喜ぶに違いない!」と思わせるような品々です。

それが故に、わざわざ遠方から来店下さるのだと思います。

ただ、ネット通販的に見ると…同じサイズのバラでも生花に比べると10倍以上の高額なお値段の花屋さんに見えてしまいます。
例:バラ1本で税込価格:4,320円。12本の花束で税込価格49,680円など

ですが、なぜそんなお値段なのか? どんな付加価値があるから高いのか? など、贈り主であるお客様の心理的抵抗感をすぐに解消できるような見出しやキャッチコピーが見当たらず、商品の特徴を理解する前に、価格リーズンだけで潜在的な顧客を気付かないうちに多く逃がしてしまっているかも知れません。

例え生花に比べてかなり高額でも、何年も花の美しさや柔らかな質感を保てるので、贈られた時の思い出や気持ちさえも色あせずに維持することができるといった大きな「付加価値」への価格でもあるはずですよね。

特に、贈り主として普段はお花には疎い男性が多いようですので、早い段階でその価値や特徴を瞬時に理解させておくことは重要だと思います。

その他、よく読めば、個々の商品ページには
「プロポーズに使うと…
・プレゼントされたあと、彼女の希望にあわせてデザインを変更できる
・プロポーズの花で結婚式をあげることができる
・プロポーズに成功した後、彼女の希望にあわせてデザインを変更できる(有料)
・本物の花の高級感を楽しめる
・事前に準備ができる
・水が必要ないから、急きょ花瓶を用意しなくてすむ」
といった点が目立たないテキストで書かれているのですが…

お店のメインであるプリザーブドフラワーの大きな特徴で、重要なポイントですから、もっと目立つ形(見出しやバナーなどにして)、すべての来店客に瞬時に伝わる工夫が欲しいところです。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

店長(社長)の岡田さん(女性)は、元々インテリアデザインのお仕事をされておられた際に、インテリアにおける花や緑の植物の重要性に目覚め、その道を追求したくなって花の業界へ転職し、花のことを学んだそうです。

その後2年ほどしてその会社の経営が悪化したのをきっかけに退職し、花の仕事で独立しようとしたものの、生花を扱うには冷蔵設備など大きな設備投資もかかるため、そうした設備の要らないプリザーブドフラワーに特化したお店を始めようと考えたそうです。

ただ十分な資金があったわけではないので、他の会社に勤めながらおちゃのこネットでの販売を主にスタートされたのが2009年だそうです。

プリザーブドフラワーはすべてを自社で生花の仕入れから加工までを行うのではなく、一つ一つの素材として有力な加工卸業者が近隣にあったので、そこに直接仕入れ交渉をして在庫リスクを最小限に抑えつつ、アレンジを始めたそうです。

その後、神戸市の中心部(中央区元町)の実店舗を構え実店舗用の
https://greens-tale.com/
https://greenstale.com/
のサイトを立ち上げ、こちらではプリザーブド教室やブライダル向けのアレンジや地元企業への卸売り、生花のプリザーブド加工、パーティーや店舗などへの装飾ディスプレーなどの案内を行っておられます。(通販はおちゃのこだけ)

客層は一般的な花屋では6:4とか7:3 で女性客が多いのが業界の傾向のようですが、GREEN'S TALEさんでは8〜9割は男性客のギフト需要だそうです。

冬〜春先の繁忙期には教室のお弟子さんに手伝ってもらうこともあるようですが、それ以外はお一人ですべての業務をこなされているそうです。

ホームページに関してもほぼ独学・独力で制作・更新されているのは、そのクオリティの高さから私も驚きました。

ただ、そのベースにはある有名なブランドマーケティングのコンサルタントにお願いして、ブランドコンセプトやショップアイデンティティ、ロゴデザインなど、ブランディングの軸を作られ、それに基づいてショップ運営をされているとのことで、ブレがないようです。

現状はネットをご覧になって来店される方が多いのですが、売上の9割以上は実店舗なので、純粋なネット通販売り上げをどうやって伸ばせば良いかを模索中で、今回「ダメ出し!道場」にご応募されたようです。

自店の【強み】は何かとお尋ねしたら…
年に1〜2度はヨーロッパに行き、いろいろな国のフラワービジネスを見聞しては常に新しい情報や技術を学んでおられるので、こうした知識・情報経験については自信があるとのことでした。

一方で【弱み】はやはりたったお一人で何もかも…ですので、やりたいこと、やるべきことは山のようにあるけれど、なかなか手がついて行かない点であるようです。複数サイトの更新や、単純な事務作業などは、外注化やスタッフの採用、育成なども視野に入れて、社長の創造的業務への時間を作っていかないと、いずれ頭打ちになってしまうかもしれません。

ダメ出し改善案


EC仙人 太田

今回、インタビューでかなり長いお時間お話をさせていただきました。
その中で感じたのは、岡田社長のお花への愛情と、強い思い入れ、そしてプロ意識です。本当にお花が好きで、花と自社の商品を愛しておられますので、花や商品への知識も相当なものだとお見受けいたしました。

しかし、それが故に、岡田社長にはもはや当たり前過ぎることが多く、一方で主要客層である男性はお花そのものにも、プリザーブドフラワーにもほとんど基礎知識がないままに来店されているため…ど素人のお客様にとってはまだまだ「?」が多いと思います。

例えば個々の花の種類、名前とそれぞれの色ごとに持っている花言葉や意味合いについての解説はほとんど見られません。

お店での接客では会話の中でそんな点にも触れられたりするかと思いますが、「花という物体」ではなく、「花に込められた思い」を贈りたいわけですから、通販ページにおいても、花の種類と色ごとの花言葉や意味は商品選びにおいて重要な要素だと思います。

Googleで検索すればすぐにわかる情報ではありますが、それをお客様にさせてしまうと、その情報の掲載がある競合他店に客が逃げていく確率も高まります。

せっかく来て下さったお客様には、自店舗内で完結していただくよう、購入決定に必要な情報は整理して掲載しておきましょう。

また、GREEN'S TALEさんのオリジナルアレンジの商品だけでなく、花時計や写真立てなどは仕入れ商品(メーカー既製品)だと思われますが、こうした商品は同じ品、類似品をAmazonや楽天などでもすぐに見つけられる可能性も高いので、なんらかの差別化を考えたり、それが無理なら価格競争力を付けなければ、1クリックで他店に行けてしまうネットショップでは購入には至りません。

岡田さんは競合店は見ないようにしているとおっしゃっていたのですが…
既製品に関しては競合調査をして差別化や対応の必要があると思います。

商品写真へのキャプション


EC仙人 太田

それぞれの商品ページの各商品写真は、ただいろいろなカットが並べてあるだけなのですが…

例えば人気No.1商品の「シンプルなバラの花」ですが…
https://hanamame.ocnk.net/product/418

恐らくは1本が黒いボックスに入った商品なのだとは思うのですが、3枚目の写真では花瓶に生けられた5本のバラが写っています。
初来店でプリザーブドフラワーの相場観がないお客様だと、「5本(5箱)で4,000円?」と、生花で1本800円でも高価なので、そう勘違いされる可能性があります。お電話でお聞きしたら、この写真の意図は毎年1本ずつプレゼントされたものを生けているイメージ(5年分)だとおっしゃっていましたが、そういう説明が写真に添えられていなければ、残念ながら岡田さんの意図している風には理解できません。

また専用ボックスは、説明文を読んでいけば別売りとなっているのですが、1枚目の写真のキャプションにも「箱代+1000円」と表記しておけばわかりやすいと思います。

いずれにせよ、その他の商品に関しても、個々の写真で何を見て欲しいのか、何を伝えたいのか、写真はすべて見直しされることをおすすめいたします。

通販においては個々の写真がとても重要です。痒い所に手の届く、気配りのある商品ページにしておかなければ、「よし買おう!」と決断できないかと思います。

総評

全体的なブランドイメージやデザイン性のクオリティはとても高いのですが、ややイメージを重視し過ぎて、「売り場」としての気の利いた見出しやコピー、説明などがまだまだ不足しているため、「決定力不足」を感じます。お客様の背中を押すようなセールストークを添えていけば、レベルは一段上がると思います。

また、今後の一つの課題として、プリザーブドフラワーの質感や光による見え方など、静止画だけでなく、動画と音声での説明を加えての見せ方をすれば、よりプリザーブドの良さが容易に伝えられると思います。

ひと昔前ならビデオカメラと映像の編集加工ソフトなど必要でしたが、今はスマホ1台で容易に動画撮影と編集もできる時代ですので…
ぜひチャレンジなさってみてください。

同時に、スマホ中心、SNS利用度の高いライフスタイルですので、実店舗への来店者にはどんどん店内や商品の撮影を促し、お店指定のハッシュタグを付けて投稿させるなどすれば、徐々にSNS効果が出てくることも期待されます。

お店からの情報発信は、ビジュアルが美しいInstagramは良いのですが、情報拡散力は弱いので、拡散力の高い twitter と組み合わせるなど工夫をしていきましょう。

以上 「ダメ出し!道場」でした。

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。