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アトリエ Ansan

アトリエAnsanです。2005年よりおちゃのこさんでガラス照明器具を販売しています。
ガラスも器具もほとんどの商品が国内産、手作り、豊富なバリエーション、切子の照明など、他店であまり扱っていない商品の取り扱いというのが店舗の特徴です。
シャンデリアも販売している関係で、スワロフスキーを中心のビーズ販売の別店舗もおちゃのこさんでしています。
開始から10年以上、少しずつでも売上が上がっていたのですが、どちらの店舗も昨年くらいから売上が伸び悩んでいます。アクセス数ももっと伸ばしたいところです。
ショップデザイン、SEO対策にあまりお金をかけられないので、自分なりに取り組んでいますが、改善点は多くあると思っています。
商品写真は古いものは撮り直して差し替え、ロゴも含めデザインも改良している最中です。
改善途中ですが、今のうちにダメ出しをしていただき、アドバイスを反映させたいと思い応募いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

「物が売れない時代」と言われます。
ここのところの「ダメ出し!道場」に登場してくださるお店の多くも、「何年か前から売上が落ちてきた」とおっしゃいます。

何も、おちゃのこネットのお店に限ったことではありません。
また、すべてのお店が売れなくなってきているわけでもありません。
それに、著しく不景気が進み、消費が完全に冷え込んでいるというわけでもありません。

でも、確実に多くのネットショップで売り上げが落ちているというのは事実です。

では、なぜ?

一つの答えは、意外と単純だと思います。

「ライバルが増えたことにより、1店舗当たりの売上が落ちた」
「価格競争が進み、知らず知らずの間に安い店、安い商品に客が流れた」

そしてその元にあるのは…そう、中国とAmazonの急成長です。

二十数年前、ネットショップ黎明期には、まだまだ安かろう悪かろうで大きな脅威ではなかった中国製品ですが、今や技術も品質も向上し、多くのジャンルで市場を席捲したりリードする存在になってきました。

Made in China は今や世界のスタンダード。
スーパーやアパレル、家電など、大手量販店に行けば売り場の過半数を中国製品が占有してきていますよね。

それが以前は安いだけで品質も相当に悪かったのですが、最近では標準機能、当たり前機能の範囲なら十分に使えるクオリティになってきました。
高級品やブランド品を求めるのでなく、一般的な家電や雑貨、家具、衣類、食品など「普通」のクラス、レベルの物なら、機能や品質だけでいえば日本製と遜色なくなってきました。

そして、それがいとも簡単に検索できて、しかも送料無料で簡単に注文できてしまうAmazonの成長。

「ネットで買う」が当たり前になってきた現代でもありますが、その半分くらいの消費行動は「Amazonでそこそこの中国製品を買う」という意味になってしまったともいえます。

話を戻しますが、つまりは工業を中心にした中国の産業の急成長により、そのプロダクト群と競合する国産商品を中心に扱っているお店が苦戦を強いられ、客を奪われているということです。

裏を返せば、それにうまく乗っかり中国製品のメリットを生かした業態で業績を伸ばして成長しているお店もまた多くあるともいえます。
しかし、大量生産、大量仕入れによる価格メリットや、高い不良率への対応などには資本力が必要です。
また、対中国業者への品質管理指導力、クレーム対応力なども求められるので、一定以上の規模やパワーを持った企業・事業者が有利な環境となってきます。
すなわち、中国製品はスモールショップには乗っかりにくいのです。

とはいえ、こうした傾向に陥らず、業績を伸ばしているスモールネットショップが存在するのも事実です。
それはどんなタイプのお店でしょうか?

例えば…ブランド力のある商品を扱うお店。
単にブランド品という意味ではなく、「知る人ぞ知る」、お客様が探してでも買いたい魅力ある商品を持っているお店ですね。

要するに多少価格が高くても、納得できるだけの理由や満足させられるこだわ りを持つ商品を、深い専門知識とともに販売するお店です。

でも、単に高級品を自動販売機的に陳列しているだけではダメなんです。
陳列しているだけならAmazonで十分ですからね。

手作りの工芸品、数量限定のオリジナルスイーツ、産直のブランドフルーツ、オーダーメイドのオンリーワン商品などなど。
クオリティが高く、高付加価値で、お値段もそれなり。
でも、専門性が高く、作り手の思いやこだわり、エピソードやストーリーを十分に伝えることができていて、さらに買う側のライフスタイル、知識欲や体験欲といった物欲・所有欲を超える心理を刺激してくるお店は、優良客が途切れません。

さて、本日のお店は…
日本製手作りのガラスシェードのライト(照明器具)の専門店さん。
商品は十分に専門性、クオリティ、こだわりの高いものが揃っていますが、ここ最近伸び悩んでおられるようです。
どこに問題があるのでしょうか?

それでは、「ダメ出し道場」、始まりで〜す!

第一印象:
日本製照明器具の専門店さんということはわかるが…


EC仙人 太田

トップページ中央の大きなペンダントライトの写真で、ひと目で照明器具のお店であろうことはわかります。

実は、先週初めて拝見した際には、写真だけで「手作りの温かみのある国産ガラスの…」という写真上の文言はなかったのですが、インタビューのお電話で「お店の強み、特徴を端的にアピールする言葉がないのがもったいない」と申し上げたら、早速に改善されたようです。(^^;)

こうした素早い対応はいいですね!

ただ…
まだまだ、「当店はどんなお店で、どんな経営者が、どんな思いで、何にこだわって運営しているのか? 当店で買うとどんな良いことがありそうなのか?」
こうした、いわゆる「ベネフィット」がほとんど思い浮かんできません。

また、漠然と「日本製」とはあるのですが…
「日本製だったら何が良いのか?」
ストレートに書けば、「どんなところがAmazonなどにあふれる中国製の安価な照明器具類と違うのか?」がわかりにくいです。

トップ下の「商品カテゴリー」のバナーと、その下の「おすすめ商品」や「New Item」の画像、左メニューのジャンルの多さなどで「品揃えも多そうだぞ」とは感じるのですが、商品がどの程度あるのか(品揃えの充実度、お店の奥行)も、ちょっとわかりません。

「藤本さんの切子」という何やらベテラン職人さんっぽいバナーはあるのですが、ひと言の見出しやキャッチフレーズもなく、謎。もったいない。

いうなれば、「見た目は専門店、プロショップっぽいのに、専門店らしさ、プロっぽさを感じられない、見た目だけおしゃれな自販機型ショップ」という印象です。

インタビューで浮き彫りになった事…


EC仙人 太田

Ansanは店主の長野さん(女性)がお一人で運営されているお店です。

2005年に勤めていた会社を辞めて次の仕事について考えていた際に、もともと知り合いであった照明器具の問屋の社長さんに声をかけられ、問屋直営の小売店さんの一部を間借りしつつ、無在庫で商品撮影をして委託販売方式でネットショップを始めたそうです。

長野さんご自身がそれ以前にインテリア関係の仕事も経験されていたり、こうしたオシャレな照明器具にも興味があったし、在庫リスクを負わず、また開業資金も投資してくださるという素晴らしい申し出に開業を決意されたとのことです。

また、ほぼ同時にシャンデリアに使っているガラスビーズの問屋さんも紹介され、ガラスビーズの販売も始められたそうです。(クラフトAnsan)

電気製品、照明器具には素人ながら、仕入れ先の実店舗で事業をスタートし、実店舗のスタッフさんから学びながら、また梱包や出荷なども手伝ってもらえたりと、ローリスクで順調な滑り出しだったようです。

一方で在庫なしの委託販売方式ゆえに、利益率が低いのと、別会社で仕入れ先とはいえ、実店舗の間借りをしていたり、実店舗のホームページからネット販売としてリンクしてもらっている関係上、販売価格は実店舗に合わせる必要もあり、価格の自由度、競争力はない状況です。

ゆえに、法人さんから数のまとまった商談が入っても、一切値引きには応じていないとのことです。

トップページにある「藤本さんの切子」というジャンルは、御歳90歳の超ベテラン切子職人の藤本幸治さんの作る切子のランプシェードシリーズで、藤本さんを取材されるマスメディアも多いらしく、メディア掲載、出演などがあると短期間に集中して藤本さん商品が売れるとのことです。

具体的なダメ出し…


EC仙人 太田

左メニュー中段以降の「シェードバリエーション」に、「1001」「2001」「9901」「9906」など謎の数字が並んでいるのですが、素人であるお客様には意味がまったくわかりません。

第一印象でも触れましたがトップページの「藤本さんの切子」というバナーですが、ひと言の見出しやキャッチフレーズもなく、謎。もったいない限りです。

少なくとも「切子職人歴70年の大ベテラン!」などの見出しはほしいですね。
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ガラス製ランプシェードの魅力の一つに、その模様によって壁や天井に映し出される陰影や影絵のようなシルエットがあると思いますが…

商品写真が器具の大写しばかりで背景の陰影があまり写っておらず、このライトを取り付けた部屋や空間がイメージできません。

例)ポンポン花切子タマゴ型ペンダントライトクリア
https://ansan.ocnk.net/product/1069
ハス切子200ブラケットライト
https://ansan.ocnk.net/product/1133

もっと引きで撮ったら、部屋の印象も感じられるでしょうに…

照明器具といっても、当店のライトは単に明かりのためだけのものでは決してないはずです。当店の器具を使うことで得られるメリットは「明るさ」でも、ベネフィットは「空間をおしゃれに演出」だったり、もっといえば「心を和ませる」だったり…その価値のためにお客様は通常より高い照明器具を買っておられるはずです。

「空間演出」という付加価値をイメージできるような商品写真を、ぜひ工夫して掲載していきましょう。
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家電製品としてはローテクで比較的難しくないものではありますが、それでも電気製品に疎いお客様にとっては…

例えば電球の口金の規格(E26とかE17とか)や、ワット数と、明るさ(ルーメン)の関係などはわかりにくいものです。

また既存のシーリングライトなどの入れ替えをしたくても、
「自分一人でもできるかしら?」
「家のソケット、ブラケットに合うのかな?」
といった不安が購入の障害になってあきらめているかもしれません。

一応、説明ページはあるのですが…
https://ansan.ocnk.net/page/3

ただ小さな写真が並んでいるだけで、既存のものを取り外し、付け替えるときの説明などはまったくありません。
「知ってて当たり前、誰でもできるだろう」では、逃しているお客様がきっといます。

実際の付け替えの説明ステップ写真を用意したり、できれば動画での説明も用意して全商品ページからリンクしたり、ご注文確認メールでもリンクするなど、きめ細かい案内があれば、ハードルはうんと下がり、顧客満足度も高まると思います。

「あ、このライト素敵!」と思っても、「家のライトと簡単に交換できるかしら?」「私にでもできるかしら?」の心理的ハードルを取り除いてあげなければ、「よし買おう!」に至りません。

「もの」としてのライトを売るだけでなく、ライトを取り付けて点灯させた時の素敵な部屋・空間とそれによって得られるであろう心地良さや満足度を売っているという意識をぜひ持ちましょう。

総評

「ものではなく、ベネフィット、満足を売る」
「不安や懸念はできるだけ取り除いておく」
は専門店の基本中の基本です。

例えば「わが家のカバー付きシーリングライトをペンダントライトに替えたいが、明るさが暗くなると思うので2灯〜3灯と付けたいがどうしたら良いか?」「パーツなどは売っていないのか?」
だったり、

「電気代や電球の消耗などコストも気になる。長寿命のLED電球に替えたいが、おすすめのLEDは売ってないのか?」
「卓上型のスタンド、ランプなどはないのか?」

などなど、「照明器具の専門店」として見た際には、まだまだ問題解決力や提案力に乏しく、専門店に達していない点もあるといわざるを得ません。

ニュートラルなお客様目線で「何が足りないか?」「何が(どんな情報やコンテンツが)欲しいか?」を探ることがとにかく大切です。

慣れ過ぎたプロの目線をいったんOFFにしてみて、今一度お店を見直しましょう。
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また、デザイン性や品質が高い製品だけに、飲食店など店舗向けや、内装業者、工務店、設計事務所など法人向けの引き合いは取りたいところですね。

それにはやはり、数量がまとまった際の多少の値引きはビジネス習慣上と気持ちよく契約していただく上で、ぜひともほしいところです。

10個、20個買うのに、「1円も引けません!」はちょっと頑な過ぎて印象が悪く、満足度も高まりません。
「藤本さんの切子」だけは値引き不可でも良いと思いますが、量産品に関しては、仕入れ先さんに交渉してでも数量値引きの余地、余力は持っておくべきではないでしょうか。

「法人からの問い合わせ、ご相談歓迎!」の姿勢も、トップページやメニューに別枠で用意するなどして、わかりやすく表示しておくのが良いと思います。

商品のクオリティは高く、ポテンシャルは十分に高いお店だと思います。
しかしながらお一人での運営、経営は悩みがループしてしまって、なかなか突破口やアイデアが出てこないことも多いと思います。
そういう時は(お近くですし)、ぜひ相談会にお越しください。

以上、ダメ出し!道場はここまで。

↓↓↓↓↓以下、今回はあとがきコラム有り。
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最後に…冒頭のコラムで書いた「ものが売れない時代」のもう一つの理由ですが…

日本全体の都会化が進み、都市部のマンションなど集合住宅で暮らす人が増え、住居中心の地域のコミュニティや繋がりが希薄になってきたり、会社中心の人間関係が敬遠されるようになってきて、人口の多いところに住みながらも孤独感を感じる人が増えています。

そのため、学生時代の仲間やネットを通じて共通の趣味やエンターテイメントでの繋がりを求める人が増えました。
その分、消費も「もの」を所有するところから、人と繋がるため、繋がりを維持するための通信費を筆頭に、飲み会、食事会など外食費だったり、移動費、交通費、会費、参加費だったりという「こと」に使う消費が増えているようです。
これらを別名「繋がりコスト」というそうです。

裏を返せば、そうした共通の趣味や活動、体験によって人と繋がるきっかけになったり、繋がりを維持したりすることに関係する「もの」であれば、「もの」でも売れる、売れているということでもあります。

例えば、スポーツ用品、楽器、旅行用品、ITCネットワーク関連品、習いごと、お稽古ごと関連商品など、誰かと何かを体験するために必要なものは良く売れているんですよね。

では、「そうじゃない商品のお店はもうダメなのか?」というと、まだまだ工夫の余地はあると思います。

例えば、ギフト化。
誰かに気持ちを伝えるためのギフトに向いた商品構成やセット組、包装や演出も含めたマーチャンダイジングを考えてギフトに使ってもらえるお店にしていくのです。

そして誕生日や記念日などの大き目なイベントギフトだけでなく、日常でのちょっとしたお礼や感謝でのギフトをどんどん提案していくと、「繋がりコスト」としてあなたのお店を利用してくれる人が増えるのです。

また、人に見せたくなる、見せたら話のネタになる、誰かと一緒に体験したくなるような商品や映える商品にアレンジしていく。

例えば、マカロンやもなかが人気のお菓子屋さんなら、完成品だけを売るのではなくて、皮と中のクリームやあんこを別々にして「自分で作るマカロンセット」「自分で挟むもなかセット」のように、簡易な手作り体験を提案することで、一人で買って食べるだけでなく、誰かと一緒に楽しむ、会社のティータイムにみんなで楽しむなどの新たな需要を掘り起こせるかもしれませんよね。

自店の商品を単なる「もの」から何かを体験できる「こと」にしていくことで、人と繋がったり、繋がりを豊かにするというベネフィットを創造し、チャンスを広げていけるということです。

皆さんのお店の商品も「もの」から「こと」へ。
ぜひ考えてみてください!

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。