デザイナーズ家具 通販専門店 【ユーデザイナーズ】U-designer's

カテゴリ:住まい、インテリア

デザイナーズ家具 通販専門店 【ユーデザイナーズ】U-designer's

B to CのECサイトという体裁ながら、法人様からの大規模なご発注を期待しているのですが、法人需要は喚起できているものの、まだまだ、オフィス全体のコーディネートなど、法人様からの大規模なご注文の件数が少ないのが課題です。

健康であまり医薬品に縁のない皆さんでも、テレビのCMなどで「ジェネリック医薬品」という言葉をお聞きになったことがあるかと思います。
先発薬(最初に開発された薬)の特許が切れて独占販売期間が過ぎた後に、同一有効成分で安価に作られる薬のことですね。

循環器系に持病を持つ私は、何種類かの薬を常用しておりまして…(^^;)
その中のひとつに、血液をサラサラにして血栓を作りにくくする薬があるのですが、先発薬は1錠が168円もします。

それがジェネリックなら1錠37円ほどで済むんです。実にその差131円!
30日なら3,930円。1年365日ならなんと4万7,815円も薬代が削減できるんです!
1種類の薬でこの差ですから、何種類もとなるとかなりの節約になります。

もちろん、「ジェネリックはイヤだ! 高くても先発薬がいい!」という患者さんもおられるでしょうし、その選択は自由です。

このジェネリックという言葉は元々、「一般的な」「汎用の」といった意味ですが、このジェネリック医薬品になぞらえて…

特許権、著作権や意匠権などの切れたオリジナル家具を元に再生産した家具を「ジェネリック家具」と呼ぶそうです。

特に20世紀半ばの欧米のインダストリアルデザイナーたちがデザインした、いわゆる「デザイナーズ家具」は、オリジナル品は数十万円〜数百万円するようなものも珍しくなく大変高価でした。
一方、権利の切れたオリジナルの家具をベースに再生産したものは、オリジナル品と同等か、場合によっては新しい素材などを用いて強度や耐久性などを向上させた高品質なものもありながら、価格はオリジナルより安価になっており、単なる模造品・コピー品を超えてかなりの人気と存在感の認知がされているようです。

今回のお店は東京都内にあり、このジェネリック家具の中でも高品質にこだわったお店なのですが、その運営形態はなんと「ドロップシッピング」。
しかもお店の成り立ちもちょっと変わっています。

それではダメ出し道場、始まりです!

第一印象
一見ではネット家具店にありがちな無在庫店…


EC仙人 太田

トップページを見ると、全体的にクオリティの高い商品画像やバナー画像が整然と並べられ、洗練された印象です。ですが…

私も四半世紀もネット通販業界に関わっていると、ひと目で
「あ、この店は在庫持ってないな。写真はメーカーからの提供画像で撮影もしてないな。いわゆるドロップシッピングのお店だな」
とわかります。(^^;)

「ドロップシッピング」とは、一般的に、販売店が在庫を持たずに、メーカーや問屋が提供する商品カタログや画像、商品情報を元にネットショップに商品陳列して販売し、受注した品物だけを仕入れ先に発注し、顧客に直送してもらう形式の無在庫、受注発注方式のネットショップ運営形態。

在庫投資が不要でリスクは少なく、その分粗利率は一般的には低いが、あくまで顧客に対する販売責任は自店にあります。紹介や誘導マージンだけを得るいわゆるアフィリエイトとは異なります。

ドロップシッピングや、無在庫が悪いというわけではないのですが、ゼロから事業を起こすことに比べればはるかに参入のハードルが低く、極端ないい方をすれば、商品(家具)のプロでなくてもホームページを美しく作るスキルさえあれば見栄えの良いお店が作れちゃうがために、商品知識や、きめ細かいサービス、信頼できる保証や対応が期待できない、いい加減なお店が多いのも事実です。

なぜなら、ほとんどその商品の実物を見たことも触ったこともない人がホームページだけ上手に作って売ってるんですよ! 信頼できますか? って話です。

なので、私は基本的にドロップシッピングのお店は嫌いですし、なかなか信用信頼できないので買い物もしません。

と、ここまでは、あくまでサイトの第一印象として、私の25年の経験が直感でそう書かせたのですが…(笑)

いざ、店長さんにお電話でインタビューしてみると…

その認識はかなり変わることになりました!

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

個人経営、家族経営、家業などの多いおちゃのこショップの中では、このお店の成り立ちも、店長(社長)の森さんもかなり珍しいタイプ。

森さんはこのお店を運営する株式会社ソルティアーツの社長でありながら、もともとは親会社であるムサシノ広告社という広告代理店の役員さんとして、現役で広告のお仕事もされています。

森さんのご経歴は…
新聞社や、大手電機メーカーの広報宣伝部、大手広告代理店とキャリアアップされながら、広告マーケティングのプロとして親会社に入られました。

そこでの新規プロジェクトとして、富裕層向けにクルーザーやボート、ヨットなど中古船舶の販売事業として今の会社を立ち上げられ、同様に富裕層向けの事業として何かないかと探しているうちに、比較的高額なデザイナーズ家具を扱う当ネットショップ「U-designer's」を発見。

もともと前オーナーがドロップシッピングで運営していた、このおちゃのこショップを、7年前になんとサイトごと事業買収をされたのだそうです!
…という、なかなか珍しいお店なんです。

ネットショップを丸ごと買い取るというような話はときどき聞くのですが、それを7年間も潰さずに利益を出して経営を続けるというのが本当に珍しく、素晴らしいことです。

でも、その秘密はもともとのこのショップにあったというより、現経営者の森さんの姿勢と取り組みにありそうです。

家具にも、ネットショップにも詳しいわけではなかった森さんですが(ここはお話を聞いた中での私の勝手な憶測ですが)、キャリアの中で培ったビジネスセンスと行動力で、仕入れ先である地方の家具メーカーさんに出向き、きちんと信頼関係を築き、商品知識も学んできたそうです。

現物の確認やお客様への展示では、都内にあるこのメーカーのショールームとも連携しました。家具において重要なデリバリー(配達・搬入の手配)に関しては、お客様に直接お電話して相談や打ち合わせをしたり、大口顧客の場合は現場に出向いて搬入に立ち会うことまでしています。

このように、リアルでアナログなきめ細かいサービスで、お客様と仕入れ先双方の信頼を得ておられるとのことです。

このあたりは、一般的な(私の嫌いな)薄っぺらいドロップシッピングの家具ショップサイトとは一線を画すところだとわかりました。

実際の販売も、必ずしもおちゃのこのカートだけでなく、メールや電話での問い合わせ対応からの注文も多いそうです。
当店をきっかけにしながら、アナログやリアルでの接客や営業活動を大事にされているからこそ、生き残り成長されているのだと思いました。

また、現在の商品の大半は、国内の老舗の家具メーカーが仕掛ける、世界的な一流のホテルチェーンで採用されるような業界でも信頼されるジェネリックデザイナーズ家具が占めています。

そのほとんどは中国のレベルの高い工場で低コストで製造しつつも、しっかりと考えつくされたリプロダクト(オリジナル品よりも優れた現代の素材や技術を用いた再生産品)で、製造管理、検品、運送など品質管理も徹底しておられるようです。

つまり、安かろう悪かろうのデザインだけのコピー品とはまったく別物ということです。

まずは、信頼感が得られる強みを明示する!


EC仙人 太田

上記のように、表からの見た目だけでなく、サービスや対応面など、裏の本質的な部分でもしっかりとしたお店であるようなのですが…

商品の品質に関するアピールだけはありながら、残念なことにショップページではその本質部分の強みのアピールがほとんど見られなかったり、十分なアピールがされていません。

また、ジェネリック家具のイメージや認識も、まだまだコピー品、模造品などと良くない印象で見ている層がいるのも事実ですし、著作権、意匠権、不正競争防止法など、日本の法律上で違法とはいえないまでも、元の海外の個々のブランドや商標権を持つデザイナーや会社との関係性などにグレーな部分もあって、悪意や敵意を持って批判や攻撃をしてくる者が出てくる可能性も十分にあり得ますし、そうした意見の持ち主のブログやSNSでの書き込みに悪影響を受けるお客様もいると考えられます。

粗悪なコピー品と違って品質は高そうである旨のコンテンツはあるのですが、このあたりの権利面などの不安や懸念を拭い去るような、法的にクリアで安心して買える商品であることのアピールや説明コンテンツをきちんと用意しておく必要もあると思います。

協力していただける弁護士さんや弁理士さんのコメントなどがあればベストですが、すぐにそれが無理であっても、まずはせめてメーカーの正式コメントなどが掲載できれば、より多くのお客様が安心して買うことができると思います。

「いわゆるブランド品の偽物や模造品とは違うのだ」「違法性はないのだ」「当店の扱うジェネリック家具は確立されたものなのだ」という部分はぜひとも用意して、粗悪な他店との差別化を図っていただきたいと思います。

具体的なダメ出し…


EC仙人 太田

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一般的な家具店であれば、
「各商品ページにモデルさんが写っている写真がなく、商品の大きさや使い勝手など実用面をイメージできる写真がないので、そういう写真を用意しましょう!」
とダメ出しするところですが…

一般的な家具店と違って、当店に来られるお客様は、便利でリーズナブルな家具を探しているのではなく、ほとんどの場合、明確に好きなデザイナーブランドや明確に欲しいシリーズ・商品が既に決まっていて、あとは価格、配送などの段取りで悩んでいたり迷っている方だと思います。

ですので、あえて一般的な家具店のようなモデル写真はかえってイメージダウンにもなりかねないので必要ないと思います。

漠然と一般的な家具を探している客は、当店ではなくIKEAや総合家具店のサイトに行くでしょう。

ということは、優先度としては、ソファ、チェア、テーブル等の商品カテゴリーよりも、デザイナー名を優先して商品閲覧する可能性が高いのではないでしょうか。

現状は左メニュー上部に商品カテゴリー、その下の方にデザイナーの分類がありますが、可能ならこれは入れ替えるか、いっそ、デザイナー一覧をトップページ上部センターにも設置して…

コルビジェが好きな人、イームズが好きな人、イサム・ノグチが好きな人に向けて、来店したらそれぞれの売り場に即、直行できる客導線を1画面目に設けるのが良いと思います。

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ただ、商品ページに関しては…
例えば、フローレンス ケース 6T [EC-SD9236]
https://www.u-designers.com/product/774

というチェストは、素材(木目)がホワイトオークとウォールナットと選べますが、商品写真はウォールナットだけでホワイトオークの写真はありません。

同様に、例えば下記の革のソファなども
https://www.u-designers.com/product/299

革の色を選べる商品なのですが、それぞれの素材の色は見本写真で見ることはできても、実際のソファ全体の各色の写真は用意されておらず、なかなかイメージできません。

これはメーカーさんで写真を用意できないのでしょうか?
「素材色見本が確認できればいいじゃん」ではダメです。
何十万円もの商品を選ぶのに、それは大きな心理的な障壁になります。

なんとかメーカーさんにお願いして、できるだけ多くの色や素材バリエーションの完成商品写真を用意してもらい、掲載するようにしましょう。

自動車のカタログなどでも、カラーバリエーションは色見本だけでなく、車全体写真の全色一覧が必ずあるのと同様です。
これは基本中の基本事項だと思います。

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【法人注文を増やしたい! について…】

ダメ出し!道場申込時のコメントにあった
「法人様からの大規模なご発注を期待しているのですが、法人需要は喚起できているものの、まだまだ、オフィス全体のコーディネートなど、法人様からの大規模なご注文の件数が少ないのが課題です」について。

法人注文を増やしたいとの件ですが…
現状、トップページでそれを感じさせるのは唯一
「法人様向け販売窓口のご案内…詳しくはこちらから」
というバナーのみで、アピールといえるほどのものでもありません。

そのページに行けば、
https://www.u-designers.com/page/32

こんな企業様にオススメですという箇条書きと、ほんの少しの事例写真があるだけで、法人向けの提案や商談が得意という印象は感じられません。

せっかく箇条書きで
・設計事務所・ハウスメーカー・工務店に従事されている方
・モデルハウス・ショールームなどに携わる方( 1脚・1台単位でOKです。)
・建築事務所・住宅メーカー・マンション販社に従事されている方
・施工物件単位で設備のコーディネーションに携わる方
・店舗・施設の設備導入ご担当の方
・ホテル・マンション・各種施設などの家具を検討される方
・部屋・建物単位での各種家具のコーディネーションに携わる方
・店舗・大型商業施設・各種建築物内の設備ご導入に携わる方
・その他、店舗(複数の場合)内で使用する什器・備品の導入に携わる方

と個々の業種ごとに書かれているのであれば、いっそ、それぞれの業種ごとの事例紹介ページを用意しておくなど、もう一歩、二歩と踏み込んで法人対応が得意であることを感じさせるようなコンテンツが必要だと思います。

その上で、トップページにも単に「法人問い合わせはコチラ」ではなく、
「業種、広さ、間取り、座席数などに応じてデザイナー家具を用いたトータルコーディネートで建物や空間のイメージアップをご提案します!」

など、単に家具というモノを売るだけの店ではなく、法人がインテリアコーディネートや空間演出を相談したくなるような提案力を感じさせるバナーを作ってトップページセンターに配置する必要があると思います。(あくまで中身の充実や、提案力が先ですが)

総評

商品やサービスのクオリティ、お店・会社の信頼度は高そうなのに、肝心の強みを直感的に感じられず、もったいない限りです。

また、別事業のボート販売の事業とは、高所得者層という客層はある程度重なるでしょうから、なんらかの連携したアプローチは可能なのではないかと思います。(今後の課題)

また森さんが役員を務められる親会社の広告事業の中には、
WEBソリューションとして
https://www.musashino-ad.co.jp/media/web/solution.html

法人ターゲットのサービスもあるようですので、それを当店の法人需要開拓に活用されていけば、大きく飛躍される可能性が高いのではないでしょうか?
(インタビューでは特に活用していないとのことだったので…)

また、テレビ、ラジオ、雑誌などのCMに関しても得意とされているようですので、例えば首都圏富裕層や法人にターゲットを絞り、都内にあるメーカーのショールームを活かしたプロモーションなども考えられるのではないでしょうか?

これも、自社、グループの強みを活用しておられず、もったいない限りです。

いずれにせよ、大きなポテンシャルをお持ちの会社なので、今後に大きく期待です。

今後の戦略立案の際にはぜひご相談頂ければお役に立てることもあると思います。ぜひお気軽にご連絡ください。

以上、ダメ出し!道場 でした。(^^;)

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。