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宮城山形 産直マルシェ

差別化を計った商品の企画、提案をサイトでおこなうことが必要であると考える。

皆様、2021年 明けましておめでとうございます。
昨年はコロナ、コロナでどんより暗い年でしたが、今年はコロナを克服し復活の年に…

との年頭のご挨拶を考えていたのですが…これを書いている本日、政府より緊急事態宣言が発され、再び暗いムードに…
今はしんどい時ですが、医療機関の状況はひっ迫しているようです。
一人一人が少しでも感染リスクを抑える行動をしていきましょう。

私は医者でも、ウイルス学者でもないですが…
人がウイルスを運び、人から人に感染していく病気ですし、多くの方が気を付けていても、あまり気を付けない方も一定数必ずいて、知らず知らず感染を広げてしまうのも事実なので…

トータルで人の移動や接触の機会を減らし、統計的に確率や感染者数を減らすという決断をせざるを得ないのだと思います。

とはいえ、ワクチン、治療薬、対症治療法の進歩など、プラスのニュースや情報も出てきていますし、我々商売人にとっても新しい経済対策や助成金の期限の延長なども、ようやくですが議論され始めました。

コロナウイルスは政治家や人々の思いや決断だけでは消えてなくなりませんが、助成金や給付金、新商品開発や新たな販売方法など、政治家や経営者の気持一つ、意思決定一つでできることはたくさんあるはずです。
国や政治家にも頑張ってもらえることを期待しつつ、我々商売人も、マイナスを嘆くより、どうプラスを生み出すか!?
を少しでも考え、決断、実行していきましょう。
そのためにも先立つモノ(資金)はみんな欲しいですが。
お金をあまりかけずにできることもまだまだあるはずです!

こんな時だからこそ、自社の【強み】を見直し、それを少しでも生かした商売をしていきましょう!

ウィズコロナとかアフターコロナなんて言われ方もしていますが、コロナ以前から安くて良いモノさえ売れば売れる時代は終わりつつありました。
「価値を生む」企業が利益を出し生き残れる時代だと思います。

さて、今回のお店は宮城県の仙台市の北西20〜30分の距離の塩竃市(しおがまし)という町の地元ガス会社とケーブルテレビ局が、震災復興や地方の雇用創出補助事業を活用して2018年に立ち上げた、宮城県とお隣の山形県の地場産品を販売する産直ショップさんです。

今のコロナショックよりずっと前の震災ダメージから、長きに渡りマイナスを嘆くよりプラスを生み出す努力をされ続けている方々のお店です。

それではダメ出し道場、始まりです!

品数も豊富できれいに作りこまれた産直ショップ…だが…魅力は!?


EC仙人 太田

トップページの第一印象は、きっと皆さんも感じられる通り、商品写真のクオリティやバナー類のデザインもすっきり洗練されており、店名やキャッチコピーなどからもひと目で「宮城と山形の産直品の専門店なんだな!」とわかるお店です。

トップページの新着やオススメ商品などから、地元の地酒やワイン、地ビールなどからお肉や海産物、加工品、など豊富な品ぞろえで美味しそうなモノが目白押し。

高速道路のサービスエリアやおみやげ物店であったら、立ち寄ればいくつかお土産に買って帰りたくなりそうな品揃えです。

でも、ここはオンラインショップ。
そもそも、塩竃市や宮城や山形に縁もなく、特別な興味や好奇心がなければ、ふらっとアクセスして買おうというほどの魅力は感じません。

これは、このお店だけに限らず、多くの産直ショップに共通して言えることなのですが…

日本は島国で海に囲まれ、離島でなければ高速道路網、鉄道網は全国均一なレベルで整備され、地場産品はこうした交通網、物流網を通じて都市部に流通しやすい国です。
どこでも海が近ければ海産物の商品は豊富にあり、各地で日本酒や焼酎などの地酒、地ビールやワインも蔵元があり、農産品も高品質に加工され、美しい容器やパッケージで商品化されます。

つまり、産直品は全国に星の数ほどあるのです。

かといって、きっと塩竃の方が縁もゆかりも行ったこともない、例えば九州の地方都市の産直品をいきなり検索して買うこともないでしょうし逆もしかりです。

でも、なんらかのご縁があったら? きっかけがあったら?

それはテレビでたまたまタレントさんが名物を紹介していたとか、旅番組でその街を紹介していたとか、ご本人が旅行で行ったことがあるとか、その地域出身の友人、知人の勧めとか。

何かの「きっかけ、ご縁」と、そこから広がる物語やエピソードだったり、商品の魅力や価値があって、初めて、興味や好奇心、そして「食べてみたい!」「買ってみたい!」につながるのではないでしょうか。

そのあたりの、商品にまつわるエピソードや物語、魅力をアピールしたような商品が、トップページをざっと拝見するだけでは目に飛び込んできません。

ただただ、全国によくある物産品店、土産物店といった「平凡な」お店にしか見えないのが第一印象です。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

冒頭にも書きましたが、宮城山形産直マルシェさんは、元から食の産直品を商売としていた会社ではなく、まったくの畑違いのガス会社(塩釜ガスさん)とその関連会社である地元のケーブルテレビ局(宮城ケーブルテレビさん)が2018年に立ち上げた比較的新しい事業です。

店長の設楽さんは塩釜ガスの社員さんで、ガス会社のお仕事もされながら、もう1名のスタッフさんと2人だけで店舗ページの作成や商品撮影などは元より、商品の開拓や企画、仕入れから受注、手配までこなされているとのことです。

設楽店長は生粋の塩竃育ちで、もちろん宮城県産品にもお強いですが、ご両親は山形出身とのことで山形県ともご縁がお有りです。

多くの商品は仕入れ先メーカーさんや生産者さんからの直送産直ですが、お酒など一部の商品は事務所に在庫も持ち梱包出荷もされているそうです。

現在のサイトもまったく外注をせず、2人で独学でセミナーなど受けながらコツコツと商品撮影からページ制作までされているとのこと。
たった2年でこのクオリティの制作運営ができるのは大したものだと思います。

また、むしろ驚くべきは、山形県から宮城県の各仕入先さんを直接回って交渉し、取り扱い商品を増やしてきたことです。
食品バイヤーのプロでもなくガス会社の社員さんが短い期間でここまで品揃えできたというのも、なかなか容易なことではありません。

何時間かお電話でお話ししただけですが、私の印象では設楽さんはプライベートで民生委員さんもなさったり、とにかく地元愛、郷土愛もお強い方で、塩竃を、宮城を、ご両親のルーツである山形を愛し、少しでも地元活性に貢献したいとの思いもあって、この事業にも取り組まれているような熱い方でした。

会社は地元では誰もが知る安定した経営基盤のガス会社という母体ではありますが、広告宣伝費などほとんどかけずに地道にtwitter、Facebook、InstagramのSNSを使って情報発信を行っておられるのも素晴らしいと思います。

また聞いていて感心したのは、東日本大震災を経験して、いざという時の情報発信、収集、伝達のツールとして、SNSの重要性、特にtwitterの拡散力のすごさを身に染みて経験しわかっているから、早くから twitterに力を入れてきたとのこと。

今まで多くのお店のインタビューをしてきましたが、なんとなく時流にのってSNS、特にInstagramやFacebookをやっていても、このtwitterの拡散力のポテンシャルに気付いているお店は非常に稀でした。
ここは商売以前に、震災での実経験が生かされた、身体でつかんだノウハウなんだなぁと感じました。

特に広告宣伝費をかけずとも、大きなモールやAmazonなどに出店したりもせず、このおちゃのこショップだけで2年で月商100万円を超えるレベルに事業を育ててこられているのは素晴らしいと思います。

目立った全国的に超有名な人気商品はないですが、知る人ぞ知る銘酒やグルメなら、知っている品はいくつかあるようで、昨年もコロナ下の自家需要の増加で、運よく全国ネットのテレビで著名な出演者が気に入っていると取り上げられたある加工品に集中的に注文が殺到した際も、メーカーさんとの信頼関係でメーカーさんが当店を取扱販売店として告知してくださり、大きな売り上げになったりしたそうです。

テレビ特需はたまにあるラッキーヒットではありますが、そんな時にきちんと商品を確保できるような信頼関係を供給元、仕入れ先と築いておく商品調達力は大変重要ですね。

具体的なダメ出し…


EC仙人 太田

せっかくの十分なクオリティのショップページ制作スキルをお持ちなのに商品写真がパッケージ写真止まりなものも多く、産直グルメなのに美味しさを感じられない、伝わらないモノがあるのはもったいないです。
撮影用に、1パック開封して盛り付けるくらいのコストは惜しまず、多くの注文を得るためのコストだと割り切って、ぜひ美味しそうな写真は用意してください。
それができないなら、仕入先さんにお願いして良い写真は入手しておきましょう。
ここを手抜きすると食品はなかなか売れません。

美味しそうな調理盛り付け写真は「食品販売の基本」です。

伊達の一(海鮮粕漬け)
https://www.miyagi-yamagata-sanchoku.com/product-list/76
パッケージのみで中身がまったくわかりません。

仙台牡蠣鍋
https://www.miyagi-yamagata-sanchoku.com/product/951
きっと美味しいんでしょうが、まったく美味しそうな写真がありません。

鮮冷(魚介類煮つけ・アヒージョ)
https://www.miyagi-yamagata-sanchoku.com/product-list/97

パッケージばかりで美味しさを想像すらできません。

総評

せっかくの品揃え、取り扱い、仕入れ、メーカー、生産者の豊富さなのに、単に右から左、メーカーが用意したケース売り、パッケージ売りばかりで、小売店としての「価値」がほとんど感じられない。
単なる紹介者、ドロップシッピングになってしまっている。

「差別化を計った商品の企画、提案をサイトでおこなうことが必要であると考える」
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ダメ出し道場、お申込み時の相談内容でも書かれているように、同じ商品を扱う他の宮城や山形の産直ショップと差別化を本気で考えるならば、当店ならではの組み合わせやセット組などから始めてオリジナル感を演出したり、実際にお客様のあれこれ試して比べてみたい欲求やニーズを反映した商品を企画するべきです。

具体的には
例1)複数の蔵元の日本酒の小瓶(300ML)だけをセット組にした「宮城〜山形の地酒飲み比べセット」であるとか

例2)複数の加工食品をセット組した「酒の肴セット」とか

例3)宮城〜山形の「各種調味料の詰め合わせ食べ比べセット」とか

例4)1社の加工品でも1ケース売りでは量を持て余すので、複数の商品の少量ずつのセット
例えば下記みうら食品さんの麺類も1種10パック(20食入り)はなかなか買うのに勇気がいりますし、飽きてしまいます。
2パックずつ5種類で10パックなら食べ比べる楽しみという商品価値も生み出し、提供することができます。
メーカーさんがやってくれないなら、自社で5種をケース仕入れしてセット組するとか
https://www.miyagi-yamagata-sanchoku.com/product-list/116

などなど、物流で小売店としての付加価値を生み出すなどは商品企画の基本で、比較的簡単に差別化できると思います。

もっと販売力が付けば、いずれは産直マルシェさん専用商品をメーカーも作ってくれるようになると思いますが、まずはメーカー横断的、仕入れ先串刺し的な商品企画から取り組んでみましょう。

また自社の強みという点では、ケーブルテレビ事業を持っているので、きっと地元のローカルな産品や生産者を取材したコンテンツや情報がきっと社内に埋もれていると思います。
レポーターやナレーション、アナウンスなど声や姿を見せて表現できるスタッフさんもいらっしゃることでしょう。
動画の撮影や編集の機材やスキルをもったスタッフさんもいらっしゃるでしょう。

SNSも単にtwitter、Facebook、Instagram の静止画だけでなく、動画コンテンツを制作し、YouTube や各SNSでの動画での情報発信で生産者や商品にスポットライトを浴びせてアピールするようなことも他社に比べれば比較的容易にできるのではないでしょうか。

静止画と違って、動画での商品アピールは多くのネットショップにとってハードルが高いのです。実現できれば大いに武器になると思います。

安くて良いモノを売れば売れる時代は終わりました。
自社ならではの【強み】を活かして「価値を生む」店が利益を出し生き残れる時代だと思います。

ぜひポテンシャルを活かしてください!

以上、ダメ出し!道場 でした。(^^;)

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。