伝心堂

カテゴリ:その他

伝心堂

おちゃのこを利用させていただき、13年になります。 始めた2〜3年は目新しさもあり注文はありましたが、最近4〜5年はぱっとしない状況です。 ご教示宜しくお願い致します。

唐突ですが…自慢話する人ってイヤですよね(笑)
皆さんの周りにも一人くらいはいませんか?

「こないだ、銀座の高級すし店に行ってさー、1貫3,000円の大トロ食べてきたわー」とか。

直接ではなくとも、SNSなどにやたら高級店での食事の写真や高級外車と写る自分の写真、高級品を持っていること、高級リゾートで遊んでいる写真などを頻繁にアップするような「イタい」お知り合いいませんか?(笑)

本当の意味でのセレブ(有名であることがお仕事)である芸能人ならまぁ良いですが、たとえ高収入でリッチな方でも、単純にお金があることや贅沢をしていることを自慢するのは多くの方にマイナスの印象を与え、好感度や信頼感を下げてしまいますよね。

でも…例えば、
このたび、おかげ様で●●●大会において■■賞を受賞することができました。■位に入りました。優勝いたしました。

とか、そこまではできなくても、

長年の夢だった●●●をついに実現することができました!

長年取り組んできた●●●が、このたびようやく完成しました!

など、謙虚でありつつも、何かを成し遂げたと表現することは、決してイタい「自慢」ではなく、「自己PR」として受け止めてもらえます。

単に相手や周りより優越していることをひけらかす自慢ではなく、あくまで自身の努力や行動に基づいた「実績」や「受賞」などの自己アピールであれば、対面であれ、SNSであれ、「いいね!」と好感を持たれ、信頼や安心感を持っていただくことができますよね。

「自慢」とは自分の凄さや優位、優越感を相手に示すもの。

「自己アピール」は相手に純粋な実績、信頼感、安心感を示すもの。

オンラインショップにおいても同様で、「自慢」はNGですが、「自己アピール」「自店アピール」は大切です。

本日のお店(店主)さんは…?
自慢どころか、自己アピールもされていない…ちょっと控え目が過ぎるお店です(^^;)

それでは「ダメ出し!道場」、始まりです!

第一印象


EC仙人 太田

トップページの看板と店名こそ「車椅子のパーツ専門店」とあるので、「そうなんだなー」とは思うのですが、ビジュアルではトップページに一切車椅子の画像がありませんし、最も目立つ中央の画像がコンプレッサーと、「ライトニングキャスター」という謎の(?)商品のイラストだけ。

リピーターさんやベテランユーザーにはわかるのかも知れませんが、初心者さんには「???」。何のために何をする商品なのかもわからないと思います。

また、そもそも論としてどんな車椅子のどんなパーツ(どこの部分)が壊れやすかったり、消耗して時々交換すべき物なのか? またはドレスアップやチューニング(機能強化)すると良い物なのか? など…

最初に医療機関や自治体などからの薦めで購入した車椅子を、部品交換や、改造、チューニングして良いのか? できるのか? 他メーカーのパーツやネジ径などは合うものなのか?…

また、新たに競技にチャレンジしたいユーザーが競技用の車椅子とはどんなものなのか? どんなパーツを消耗交換したりチューニングしたりするものなのか? などなど、伝心堂さんの新規客になる際の「情報や知識のハードル」を超える手助けになるような情報コンテンツがまったく見当たらないのが気になります。

現状では、それなりに経験や知識を積んだベテランユーザーしか来ない、選べない、買えないお店になっているのではないでしょうか?


 

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

社長で店長の安達京三さんにお電話でお話を伺いました。
安達さんは、実業の車椅子のオーダーメイド、営業、オンラインショップの制作、撮影、受注業務、顧客対応から梱包出荷まで、すべてお一人でこなすスーパー社長さん。とてもお忙しく活動されています。

伝心堂さんは 島根県松江市で車椅子のオーダーメイドを本業とする会社で、島根県から鳥取県の自治体(市町村)に障害者への「補装具費支給」の対象業者として登録し、車椅子が必要なお客様に個々人の体や状態に合った車椅子を、さまざまなメーカーのいろいろな部品を組み合わせてオーダーメイド販売されている会社です。

そのパーツは国内だけでなく、海外のメーカーからも直接輸入したりしており、国内では伝心堂さんでしか買えないモノもあるようです。

また、日常生活面で障害を補い助ける目的の「補装具」としての車椅子だけでなく、スポーツのための車椅子やパーツの取り扱いも積極的に行われており、車椅子マラソン、バスケ、スキーなど各競技に合った車椅子の製造・メンテもされているようです。

安達さんご自身も40年以上の車椅子ユーザーで、伝心堂開業以前から、車椅子製造の会社に勤め、車椅子オーダーメイド歴38年の大ベテラン職人さんです。自らも若いころから車椅子マラソン、車椅子バスケ、車椅子スキーとスポーツにもいろいろと取り組んでこられているので、技術者としても、ユーザーとしてもかなりの経験や見識をお持ちのようです。

ただ残念なことに、これらの「実績」「自己PR」がショップ内にはまったく書かれていないのが実にもったいない!
これも、私がネット上で10年以上前の福祉関係のサイトでの伝心堂安達さんへのインタビュー記事を見つけて聞いてみて、初めてお話しいただけたほど…(^^;)

自らが大ベテランの車椅子ユーザーでもあり、競技者でもあり、技術者でもある。何十年もの豊富な経験や見識をお持ちであることこそが伝心堂さんの「コアコンピタンス」なのに、実にもったいない!

ご本人曰く、「昔の人間なもので、アピールするのが恥ずかしくて」と。

謙虚さにもほどがあります!(笑)

何十年も競技用も含めていろいろなタイプの車椅子を使ってきただけでも、初心者や一般の車椅子ユーザーから見れば多くの情報や経験をお持ちだろうなぁと見えるのに、オーダーメイド車椅子の製造・技術者のプロとして自らも使いながら、身体の状態や個々の競技に合わせたアレンジやチューニングができることは、他の車椅子ユーザーや車椅子競技者ではない方が経営する補装具店や介護用品店とは比べ物にならないほどの「説得力」や「信頼度」がありますよね。

例えるなら、
料理の作れない厨房器具屋さんとプロ料理人が経営する厨房器具屋さん、どっちが安心・信頼できますか?

ただの釣り好きの経営する釣具屋さんとプロの釣り師の経営する釣具屋さん、どちらで買いたいですか?

飛行機の操縦ができない飛行機屋さんと操縦できる飛行機屋さん。どっちが薦める飛行機に乗りたいですか?

信頼に足る実績・経験・知識・ノウハウ・キャリアがあるのですから、ぜひお客様の安心感・信頼感のためにも、ぜひ自己PRなさってください!

具体的なダメ出し…


EC仙人 太田

いくつか気付いた細かな点をダメ出しします。
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今、トップページに出ているオススメ商品が5つありますが…

Passion(持運びタイプ)
スーパーライト アウトリガー
Corima Rear 4スポークホイール
インドア用ハイパフォーマンスキャスター
IRC EXERACER PRO

サムネイル画像1枚ずつと商品名だけでは、いったい何をするためのどこの部品なのかが一つもわかりませんでした。

車椅子ユーザーなら誰でも、どれを見ても、何のためのパーツかがわかるものなのでしょうか? そうではないと思います。

せめて、レース用、スキー用、汎用ドレスアップ用などを商品名に入れ込んだり、サムネイル画像に、車椅子本体に付けた場合のイメージ画像を小さく入れたりなど、ひと目でどこに取り付ける何のた
めのパーツかをわかりやすくして差し上げる、プロショップならではの「優しさ」が欲しいところです。

商品ページでもできるだけ車椅子本体のどこに取り付けるのか? 取り付け前と取り付け後のビフォー・アフターが比較できる画像もできるだけ用意すると、ドレスアップパーツなどはより魅力が伝わりやすくなり、購入意欲をそそると思います。

また、機能性のパーツはできるだけわかりやすく、初見のお客さまでもすぐに理解してもらえるような画像や解説が欲しいところです。

「わかるだろう」「わかって当たり前」が専門店の落とし穴です。

業歴40年近い安達社長だからこそ、もはや当たり前になっていることが多いのは理解できますが、今一度、初心に返ってみて、初心者にもわかるだろうか? 現物を見たことがない方にもわかるだろうか? どうすればわかってもらいやすいだろうか? と、お客様目線での見せ方を意識して、撮影や画像への文字入れなどをしてみてください。

また、「在庫切れ」表示の商品が多く、初めて来た方にはなんだか寂しい、やる気のないお店に見えかねません。

在庫を持たず、受注発注の商品も多いのだとは思いますが、「在庫切れ」にしてお問い合わせさせるのではなく、システム上は在庫数を0にはせず、「在庫切れ」表示は避けて注文はできるようにしておいて、商品説明文の中で「この商品はお取り寄せなので通常納期●日程度」などの目安を書いて機会損失を避けるのと、お客様の手間を減らすような手順に改善しましょう。

いつも「在庫切れ」ばかりのお店では、お客様も離れてしまいますし、お問い合わせして返事をもらってから再度注文に来るのは面倒くさいものです。

在庫切れになっていなければ、数日待っても良いから、今注文はしておきたいお客様は1回で完結します。

家庭日用品や食品店ではないので、すへての商品が即出荷、即納でなくても良いと思います。商品毎に目安納期を書いて、注文が入れば納期の連絡と確認を迅速に行う運用で、お客様を逃さずつなぎ止めましょう。

総評

すでにご指摘させていただいた通り、伝心堂さんの最大の強みは社長の安達さん自らが大ベテランの車椅子ユーザーであり、競技者でもあり、技術者でもあり、何十年もの豊富な経験や見識をお持ちであることです。

まずは、そこを「伝心堂について」とか「伝心堂にできること」などの自己紹介ページを作ってまとめたり、アピールしてみることから始めましょう。

それだけで、初めて来店されたお客様の信頼感がグッと変わると思います。

次に、ここ数年の低迷の原因の一つでもあると考えられるスマホ対応。
これは単に「ページをレスポンシブ対応してスマホ画面に最適化しましょう!」ということだけではなく、スマホ文化の定着でユーザーがSNSやYouTubeで情報収集やコミュニケーションしていることを意識して、伝心堂さんでもこれらの取り組みにチャレンジしていきましょうということです。

お一人では労力的にできることは限られますし、新しいことを学ぶには時間や、スキル的な問題もあると思いますので、なんでもかんでも一人で独学で! と無理なさっても続きません。

例えば、街のパソコン教室や、スマホ教室で「Facebookの使い方」とか「Instagramを始めてみよう!」「Youtuber講座」みたいなものに参加してみるとか、ココナラやクラウドワークスみたいなクラウドソーシング系のサイトで外部の人材に気軽に部分単位や作業単位で動画やバナー制作などの外注を依頼するなども、安価で簡単にできる時代です。

今後の戦略や具体策などを立てられる際は、またぜひご相談ください。

以上、「ダメ出し!道場」でした。

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。