きもの和總

カテゴリ:ファッション

きもの和總

販売商品は主にリサイクル着物や和装品小物です。 悩みは、現状売り上げがほとんどない状況となっていることです。 楽天市場・YAHOOショッピングでも販売しておりますが、今後はもう少しおちゃのこネットでの売り上げを改善したく、ダメ出し道場の太田仙人さんよりご指導いただくために応募しました。 よろしくお願い申し上げます。

突然ですが 漢字テストです!
「悉く」

読めましたでしょうか?
正解は…「ことごとく」でした。

私は、「悉」なんて漢字は人生で一度も使ったことはありませんし、もちろん読めませんでした(^^;)

「尽く」と書く場合もあるようですが、意味はどちらも「全て、残らず全部」で、どちらを使ってもよいようです。

悉皆成仏(しっかいじょうぶつ=命あるものもないものもことごとく全て成仏できるという仏教の考え方)や、仏陀の本名ゴータマ・シッダルタを漢字で表す際の当て字「悉達多」などに使われる文字なので、仏教的影響のある言葉なのかもしれません(勝手な個人的憶測です)。

では「悉皆」(しっかい)というお仕事はご存じでしょうか?
あるご商売の方にとっては日常的で当たり前の言葉のようです。

いったいどんなお仕事!?

正解は…着物のメンテナンス全てを引き受けるお仕事のことです。
仕立て誂え(あつらえ)、染め替え、シミ抜き、クリーニング、洗い張り、仕立て直し、胴足し(丈を伸ばす)、着物から帯を作る、大人用着物を子供用に作り変えるなどのリフォーム等々。

とにかくありとあらゆる着物に関する事を「ことごとく全て」相談できる、正に「着物のエキスパート」なお仕事なんですねー。

着物が日常着であった江戸時代には、糸をつむぎ、染め、織って反物にしてお店で販売し、サイズに合わせて仕立てるだけでなく、クリーニングや修理、染め直しやリフォームなど、着物に関するさまざまな職人・職種が分業することで成り立っていました。

それら全てを把握して分業のコントロールを行う、いわば着物アドバイザー、着物コンシェルジュ的なお仕事が「悉皆」(しっかい)という仕事なんですね。

意味からすると「ことごとく・みな」ですから、「何でもできます! できないことはありません!」的なプロフェッショナル・エキスパートなお仕事ですね。

みずから「ことごとくみな」と名乗るくらいですから、着物に関することは本当になんでも知っているという自信とプライドの表れなんでしょうね。
このプロ意識には本当に頭が下がります。すごい!

昔は大手の呉服問屋の中で悉皆屋も兼業したり、町の小さな呉服店でも悉皆屋に取り次いだりは当たり前だったようですが、現代では「悉皆」の看板を大きく掲げている着物店は少ないようです。

さて、今回のお店は神奈川県横浜のきもの屋さん。
ネットではリサイクルきものを中心にご商売されていますが、実店舗はもうすぐ創業50年を迎え、町のお客様に愛され、着物に関するあれこれについて長きにわたってご相談を受けててきたプロの「きもの専門店」さんです。

それでは「ダメ出し!道場」、始まりです!

第一印象:おちゃのこ店だけ見ると…中古きもの自販機…


EC仙人 太田

ズラッと並ぶ中古、リサイクルの文字のついた着物の数々。
商品数4000超えは大したものだと思いますが…

単価は1,500円〜3万円程度でかなりリーズナブル。

中古ですからほとんど全て一点物で、写真もマネキンに着せるか置き撮りで着付けイメージはなし。
これらは中古・リサイクル着物店では、まぁ当たり前の仕方ないことと常識化してはいますが…

洋服屋であればモデルさんが着用して当たり前の「服」を、マネキンや置き撮り写真と「丈表示」だけで「買える」客層は…

中・上級者のお客様しか買えないお店だなー。

「実際にこのサイズで自分が着れそうか?」
「着たら絵柄はどこにどうなるか?」
「他に何が必要か?(小物や下着や履物など)」
などの想像ができるレベルじゃないと買えないですよね?

初心者や未経験者には敷居が高く、特に初心者向けコンテンツやガイド・案内も見当たらないですし、店主やスタッフの顔も見えず…
「相談もしづらいお店だなー」という印象です。

残念ながら「中古きもの自販機」としか見えていないのが現状です。

きものに限らず「中古品販売店」「リサイクル店」のネットショップは一点物がゆえ、1ページの稼ぎ出す売り上げは商品単価のみ。

例えば…
新品販売なら1,000円のTシャツページでも在庫が50枚あれば、最大で5万円の売り上げが期待でき、再入荷すればもっと売上を作れますが…
中古品店では2万円の中古商品1ページは2万円の注文1回でそのページの売上は終了です。

それゆえ中古店ではとにかく効率よく、流れ作業で次々と多くの商品ページをアップ(登録)していかなければ売り上げは伸びません。

1ページ1ページ、1商品1商品に手間と時間をかけてはいられない宿命なのですよね。

和總さんでも同じだと思います。

楽天店やYahoo店ではデータベース化されたシステムで一括統合管理され、ある程度自動化されているようですが、そのシステムがおちゃのこネットには対応していないため、おちゃのこ店では1商品ずつ手作業で商品登録されているので、これだけ多くの商品アップには時間も労力もかなりかけられていると思います。

にも関わらずあまり売れていないおちゃのこ店の現状はかなりしんどいのではないでしょうか。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

和總さんは昭和48年(1973年)創業で49年目。もうすぐで50周年を迎える横浜は綱島の商店街のきもの屋さんです。先代であるご両親から引き継いだ二代目のご夫婦がお二人で切り盛りされています。

以前は1階でお店、2階で着付け教室をされていたそうですが、コロナで実店舗の来店も減り、今は2階はネット販売のためのリサイクル品の倉庫や撮影場所として使われるようになったそうです。

既に売り切れページも多いですが、4,000アイテムを超える商品数は、お二人でやっておらるオンラインショップとしてはかなり大変だと思います。

それでも楽天店とYahoo店はモールのセールやキャンペーンに乗っかって費用をかければそれなりに売れているようですが…
おちゃのこ店ではこれといった集客手段もなく、ネット広告も採算に合いそうにないのでやってないし、SNSもまだなさっていないとのことです。

ネット上にはもっと大規模なリサイクルきものの有力店の存在もありますし、TVでCMを流すような大手さんの存在もあって、リサイクル着物業界は買取競争と安売り競争が激しく、小規模店にはかなり厳しくしんどい業種のようです。

実店舗は歴史もあって、年配のリピーターのお客様もいらっしゃるようですが、ネットでは安い掘り出し物を探している一見さんを、とにかく数多くさばく日々で、ちょっとお疲れのご様子です。

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中古着物自販機として見た時には、それなりにコストをかければ集客しやすい楽天やYahooで薄利多売で日銭を稼ぐのは悪くはないと思いますが、とにかく大手さんとの価格競争、品揃え競争にあけくれます。

人通りの多い大通りではないおちゃのこ店では、広告費をかけるか、SNSなど集客の仕組みを持っていないと、多集客→低確率薄利多売の戦略は向いていないと言わざるを得ません。

もっと自社の強みを生かして、高付加価値で高利益率の消耗・疲弊しない戦略を目指していかれるのが和總さんにとっては良いと思います。

具体的なダメ出し


EC仙人 太田

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左メニューの 「身長から検索」の所で「160cm〜165cm」 が2つあります。一つ削除しましょう。

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上部の 分類バナー ですが…
「七五三特集」 は特集なので意図的にサイズを変えているのかと思いますが、「長襦袢」だけが大きいサイズのために、全体のレイアウトがいびつに崩れてしまっています。些細なことですが、できるだけ揃えてスッキリさせておきましょう。

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全体的に 「売り切れました」表示の商品が多いのですが、再入荷の見込みのない一点物を多く出していてもお客様の邪魔になるだけです。

商品数・在庫数の少ないお店では、意図的に残して商品を多く見せるために残すこともありますが、一点物で入れ替わりが多い和總さんでは、売切れたら早く削除して、より多くの在庫品を少しでも露出させる方が良いと思います。

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競争の激しいリサイクルきもの業界で長くネットでご商売されているので、基本スキルや全体的に細やかな点まで情報や通販業としてのサービスのクオリティは十分に高いと思います。

お支払方法や梱包方法の案内を各ページに置くとか、商品説明の項目(状態、コンディション、どんな用途に向いてるかなどの配慮まで)

あえて言えば、生地の質感まで感じられるような写真画質がないのはちょっと気になります。業歴が長いので、カメラが古いのか?
回線速度が遅いころの習慣に合わせて画像加工で画質を落とし過ぎなのか? 時代と共に回線速度やお客様のスマホやパソコンの性能も高まっていますので、できるだけ実物に近い情報を提供できるように、特に画像・映像はより良いものを心掛けましょう。

全ての写真を高画質にしなくても良いので、生地の質感だけは写真クオリティを上げて、少しでも生地の柔らかさや厚みや織の立体感、透け感などを写真だけで感じさせるようにするのは、「現物を触れない」通販業では重要です。

総評

ここからは、細かなダメ出しではなく、きもの和總さんにおける楽天店、Yahoo店とおちゃのこ店の住み分けや、今後の経営戦略についてのダメ出しというよりはご提案です。

きもの和總さんについて、地元である横浜市綱島のタウン情報サイトにあった実店舗紹介の中に、
https://www.tsunashima.com/shops/wasou/
↓↓↓↓↓ 下記のような説明がありました↓↓↓↓↓

●お仕立て替えのご案内
お仕立て替え、着付け教室も行っております。
お嬢様等にお渡ししたい着物のお仕立て直しや、着られなくなった着物の染め替えを行っております。

●リフレッシュ
洗い張りすることで生地の光沢がでて、風合いがしなやかに蘇ります。胴裏や裾回しを新しくされますと、新品同様に生まれ変わります。

●染め替え
色無地の染め替えはもちろんのこと、シミがあり着られなかった着物に色を掛けて、目立たなくさせることもできます。諦めないでご相談ください。

●着物を帯にリフレッシュ

●丈の短い着物胴足し仕立て替え

●着物をコートにリフレッシュ

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これらは冒頭コラムに紹介した「悉皆屋さん」にほかなりません。

和總さんは単なるきものリサイクルショップではなく、着物のことはなんでも相談できるきもののコンシェルジュ、アドバイザーだと思います。

楽天やYahoo で薄利多売で、ある程度わかっているお客様に良い着物を安く提供するのも良いですが、これらの客層は、常に安い掘り出し物を探していて、多くのお店を渡り歩いている「商品と価格だけ優先」な方々なので、なかなか和總さんだけのリピーターにはなってくれません。

おちゃのこ店では、いっそリサイクル品の商品アップは止めて、きもののいろは、きもののなんでも相談を切り口に押し立て、直しやリフォーム、染め替えなどを取り次いだり、この「悉皆」の看板を掲げてみてはいかがでしょうか?

「全くのきもの初心者にも『いろは の い』からお教えします!」とか、親から子に、祖父母から孫に着物を受け継ぐお手伝いをしたり(身長や体格も違う母や祖母の着物を孫が着れるようにするリフォームや、着付け小物類のセット売り、親子着付け教室、友達とペアで着付け教室、カップルで着付け教室、レンタル、動画の教材化など)

着物を通じた和装・和の文化・教養を学べるお店 として、お客様とご縁を作り、きもの初心者を取り込んでいくような綱島実店舗との相乗協業するネットショップ兼情報発信サイトにおちゃのこショップを変えていくのはいかがでしょうか?

ただ、そのためには単なる商品情報発信ではなく、和總さんにある着物に関する知識や技術、経験や職人さん達とのネットワークもフル活用しないといけません。でも業歴50年ですから、ご自身では当たり前と思っている知識や見識は、きもの初心者の方々にとってはきっと「教養」と言えるレベルの高いものだと思います。

きもの と言えば和で京都のイメージも強いですが、現代の着物の元はほとんど江戸文化だと思います。
和總さんは東京ではないですが首都圏のお店なので、江戸文化や江戸着物に絡めたり、昨今ブームの時代劇や時代劇アニメなどに絡めたコーディネートや情報発信などもできるのではないでしょうか?

SNS(Instagram や twitter)上では、きものをファッションとしてアレンジしたり、コスプレや着くずしてオリジナルのコーデを楽しむインフルエンサー的な方も少なくありません。

twitter で「#着物コーデ」で検索
https://bit.ly/3Ogfywq

Instagram で「着物アレンジ」で検索
https://bit.ly/3Nd4T4k

数多くの今風の着物ファッションを楽しむ若い方々が写真をSNSにアップしています。トラディショナルな着物だけでなく、洋風アイテムと組み合わせたり、靴やブーツと合わせたり…

この方々も数年前には中高生だったり着物初心者であったはずです。
またこうしたSNSの影響や、時代物のアニメや映画などの影響で、着物ファッションに新たに興味を持ってくれる若い世代も次々と生まれてきているはずです。

こうした人達が、気軽に相談できてアドバイスを聞けたり、伝統的な部分やアイテムやメンテナンスに関して相談できる「着物のなんでも先生」に和總さんがなることで、着実にファンや生徒さん、リピーターになるお客様、上客が増えていくのではないでしょうか?

コーディネートの相談に乗れば、いろいろなアイテムも欲しくなり、メンテナンスの機会も増え、おのずと客単価も上がっていくと思います。また一人のお客様がお店に落としてくれる金額(ライフタイムバリュー)もかなり高まるはずです。

お金や人材にモノを言わせる大手さんと薄利多売で勝負するより、サービスの魅力、接客の魅力、ソフトの魅力で付加価値を高めましょう。

まずは、和總さんでも twitter やInstagram をユーザーとして使ってみて、着物好きな人たちのライフスタイルを感じてみたり、ファンを多く持つ着物屋さんや、登録者数や再生回数の多い着物系Youtuberの方々がどんな情報発信をしているのかなどを感じてみることから始めてください。

とにかく、和總さんがネットショップを始めたころと比べると、ファッションに関してSNSの影響力がとても大きくなっていると思います。雑誌やテレビよりも、発信力の高いSNSアカウントがインフルエンサーとなってそれぞれの業界で小さなトレンド・流行・ブームを作って行く流れはもう常識化してきています。

お店が意図してこれを行うのはかなり難しいですが、そういうトレンドや流れを感じ取って、自社の商品やサービスに生かすのは比較的簡単ですし、特に難しい技術も知識も必要ありません。

これを機会に、自由度の高いおちゃのこ店で新しいチャレンジを!

今後の展開などで悩まれましたらいつでもお気軽にご相談ください。(^-^)

以上、「ダメ出し!道場」でした。

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【あとがき】
実は時代劇が大好きな私は、着物姿に弱いんですよねー。
往年の昭和の名女優さん達の日本髪での着物姿はため息が出るほど麗しい…(*^-^*)
日本髪はともかく、着物はもっともっと着る人が増えるといいなー。
あ、もちろん男性の着物姿も良いですが、現代では刀を差して歩くわけにはいかないですからねー、通報されます(笑)。

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。