エジプト雑貨のアリババ

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エジプト雑貨のアリババ

2011年開業時には広告を活用してスムーズに売り上げが出るようになったが、広告配信を停止後徐々に売り上げが落ちてしまった。 最近また大口の受注を受けるようになり、この方向で売り上げを伸ばしたい。 ただしそれだけでは頻度が少ないので、小売りも伸ばしたいと考える。

今年=2023年は兎年です。ではひと回り前の兎年であった2011年はどんな年だったでしょうか?
日本人なら多くの方は、東日本大震災のあった年として強く記憶に残っているかと思いますが…
その印象が強すぎて、その他のことはあまり覚えていないかもしれません。

2011年にあった出来事をいくつか。

日本では民主党・菅直人政権下、震災後1ドル75円31銭 の超円高!
九州新幹線全線開通やFIFA女子ワールドカップ優勝など明るいニュースもありましたが、皆さんの記憶には残っているでしょうか?

Appleのスティーブ・ジョブス氏が亡くなった年でもありますが、iPhoneはまだ4〜4S、3G回線でした。テレビはアナログ放送停止、地デジ放送が開始。スマホやデジタルの黎明期です。

世界人口が70億人を超え、世界の携帯電話契約数が50億件を超えた年でもあるようです。

世界では、アメリカは民主党オバマ大統領政権下。
キューバのカストロ議長退任、北朝鮮 金正日氏死去。

チュニジアでジャスミン革命、エジプト革命、リビア内戦など、いわゆる「アラブの春」で、北アフリカ〜中東のアラブ国家で民衆による反体制デモが広がり、ムバラク大統領辞任、カダフィー大佐死去など独裁的な政権が次々と崩壊しました。

世界が大きく動いた年でもありました。

さて本日のお店は、なんとその2011年、アラブの春、エジプト革命のまっただ中に、観光客激減の逆風の中、エジプトはカイロの実店舗から起死回生を図り、日本のネット市場に向けてオープンしたエジプト雑貨の専門店さんです!

第一印象:エジプト香水瓶を中心にしたエジプト雑貨専門店


EC仙人 太田

店名ロゴも単刀直入シンプルに「エジプト雑貨のアリババ」で、エジプト香水瓶を中心にしたエジプト雑貨専門店ということがすぐにわかるのはとても良いのですが…

後のインタビューでわかる、「当店はエジプトのカイロに実店舗がある本物・本格的なエジプト専門店」ということが、残念ながらトップページ上部の店舗看板やバナーなどのいわゆる「お店の顔」の部分に、その最大の強みともいえる部分がないのがとても残念です。

特定商取引法表示を見ると、販売主は「エジプト雑貨のアリババ アブデルガファ恵子」さん(個人事業)で、所在地は東京都国立市。なんとなくエジプト人の夫を持つ日本人の奥様が趣味で副業的にやっている(程度の)お店かなー?

といった「プロフェッショナルで専門店」という感じを受けない第一印象です。→非常にもったいない!

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

上に書いたように、実はアリババさんはエジプトの首都カイロはギザ地区(スフィンクスや三大ピラミッドのあるエリアから徒歩5分)の、主に日本人観光客をターゲットにした専門店(お土産店)だそうです。

エジプトでは商慣習上、あれこれといろいろ扱う店はNGだそうで、この実店舗はガラス細工の香水瓶をメインにしたお店だそうです。

ネット店では香水瓶をメインに、香油、ガラス器具、食器、その他インテリアやTシャツ、エジプト綿の布物なども扱っておられます。

店長のアブデルガファ恵子さんは、生まれは日本ですがすでにエジプト在住歴20年。1989年にビジネスで来日中のエジプト人のダンナ様と出会いご結婚、2003年にエジプトへ移住され、2006年にカイロ市の観光中心地ギザ地区で、おもに日本人観光客をターゲットにしたガラス香水瓶の実店舗をオープン。現地のガラス工房とのコラボで、オリジナルのガラス瓶も販売可能なお店だそうです。

ちょっと脱線…
「スフィンクスから徒歩5分!」←これをキャッチコピーに!
日本で言えば「ハチ公から徒歩5分」的ですが、スケールと歴史が桁違い!(^^;)
一発でエジプトに本店のあるエジプト専門店だと印象付けられます。
ちょっと話が横道に逸れました。

冒頭に書きましたが、2011年、通称「アラブの春」のエジプト革命を受け観光客がストップし、日本のエジプト好きに向けて当おちゃのこネット店をオープン。以来、普段はエジプトにいらっしゃり、年に2回程度エジプトと日本を行き来して運営されているそうです。

現在は息子さんが日本在住なので、一部の業務を手伝ってくれているそうですが、オンラインショップの運営はほぼ店長お一人でなさっているとのこと。

おちゃのこ店は現状は個人向け通販店ですが、日本各地での博物館やイベントでの「エジプト展」に絡んで、ミュージアムショップ系の引き合いも多く、まとまった大口注文も入るようになったそうで、これを伸ばしていきたいとのことです。

おちゃのこ店以外に下記サイトも運営されています。
自社サイト
https://alibabaeg.com/

Yahoo!店
https://store.shopping.yahoo.co.jp/alibabaeg/

Instagram
https://www.instagram.com/alibabaegypt_jp/

具体的なダメ出し


EC仙人 太田

まずは基本的な点。商品の写真が少ない。細部が確認できない。
かゆいところに手が届いていない。

12年ものベテラン店舗さんに今さら言うことでもないのでしょうが、オンラインショップは商品を手に取って確認できないので、できるだけ詳細な写真を用意して、お客様が手に取って確認するのと同等以上に細部を見ていただけるようにするのが当たり前です。

残念ながら多くの商品写真は、距離感で言えば1m以上離れて眺めている程度のものが多く、細かな質感が見えません。

例)ツタンカーメンのバスタオル
https://alibabaeg.ocnk.net/product/58
全体写真のみで、生地感やプリント細部、縫製などまったく見えず。

例)ランチョンマット
https://alibabaeg.ocnk.net/product/31
肝心の刺繍の細部が確認できません。

例)エジプト製 メタルシェードランプ
https://alibabaeg.ocnk.net/product/183
写真1枚だけで灯りを消したノーマルな外観写真や細部、中身などが確認できません。
「穴も機械で開けたものと手で開けたものがあり、温かみを感じるのは真鍮製でハンドメイドの加工品です」と言うなら、そこを細部写真で見せないと!

その他、主力の香水瓶も外観・遠映だけで、細かな凹凸の細工など目の前30cm位のクローズアップ写真もほしいところです。
撮影が難しいガラス瓶をここまでキレイに撮影されている技術は◎で素晴らしいですが、芸術写真を撮っているわけではなく、通販用の買いたくなる写真を細かく撮らないと、せっかく興味を持ってくれたお客様が、「うーん細かいところが確認できないから不安で買えない」と逃げてしまっているケースも多いと思われます。

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エジプトの香油 カテゴリーページ
https://alibabaeg.ocnk.net/product-list/8

「初めてご注文される方には、3 ml、5本入りのお試しセットがおススメです!」とありますが「お試しセット」という商品は見当たらず、商品検索しても出てきません。
下記のことを言っているのかとは思いますが。
↓↓↓↓↓
エジプトの香油 5本セット [p-001]
https://alibabaeg.ocnk.net/product/282

本当にオススメするのであれば、お客様をちゃんと誘導できる導線を作るためにも商品名を「エジプトの香油 5本 お試しセット」のように修正して、トップページやSNS、検索からもリンク誘導できるように仕組み化しておきましょう。

また上記5本セットのページは「問い合わせボタン」のみで注文ができません。香油リストを別ページで掲載されていますが、このお試しセットはある意味戦略的な新規客獲得ページで重要な商品ページです。ページを移動させず、このページ内で全種類から5種選んで注文できるように設定しましょう。

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その他、店長さんにとっては当たり前の常識なのかもしれませんが、エジプトの神話、物語、エピソードなどに関する解説、説明が皆無です。

例)エジプトのアクセサリー カテゴリー
https://alibabaeg.ocnk.net/product-list/11

ホルスの目、ハムサの手、アンクとスカラベ、カルトゥーシュ、ネフェルティなど、神様や女王、アイテムなどの名称は聞いたことはあっても、詳しいことは知らない人も多いでしょう。

日本で言われていることも、エジプト人から見たら正しいのか間違っているのかなど、エジプト本国の専門店だからこその情報や伝説、エピソードなどを「付加価値」として解説してほしいところです。

わざわざエジプトのモチーフのアクセを身に着けたい、買いたい方は、単にファッションのデザインとしてだけではなく、そこにエジプト神話や古代の王族のエピソードにあやかりたい心理があるかと思います。(素材やデザイン以上に重要視される方も少なくないはずです)

知りたいことは知りたいだけ教え、見たいところは見たいだけ見せないと、「よし、買おう!」の気持ちにさせられません。

「エジプト好きなら知ってて当たり前!」ではなく、初心者にも優しいエジプト入門店として情報を充実させ、ファンを増やしていきましょう。

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パピルス画 死者の書
https://alibabaeg.ocnk.net/product/276
商品説明が「パピルス画 ホルスの目」のものと同じです。修正してください。

また「死者の書」についての解説もほしいところです。

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キャンドルランプ アラバスター製
https://alibabaeg.ocnk.net/product/304
「アラバスターとは?」の解説を各商品ページにもちゃんと入れましょう。大理石というだけでなく、どんな大理石をアラバスターと言うのか?

アラバスター製とだけ書かれた商品と、エジプトアラバスター製と書かれたものがありますが、エジプト産ではないものもあるのでしょうか?

エジプトのアラバスターと他国のアラバスターや大理石は何が違うのか? 何かスピリチュアルなパワーストーン的なエピソードなどがあるのか? 色や模様によってグレードなどがあるのか? など、お客様が興味を持ちそうな要素があれば、できるだけ詳しく調べて解説しましょう。

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エジプトグッズ のカテゴリー
https://alibabaeg.ocnk.net/product-list/19

エジプト文化や古代の神話などに興味はなく、なんとなくエジプトのデザインモチーフがほしいという方には現状でも良いのでしょうが、カノポスの商品説明のように、
「古代エジプトで死後、臓器を保存していたカノプス壺のレプリカ」
「イムセティと呼ばれる人間の頭部を有する壺:肝臓を保存」
「ハピと呼ばれるヒヒの頭部を有する壺:肺を保存」
「ドゥアムトェフと呼ばれる山犬の頭部を有する壺:胃を保存」
「ケベフセヌエフと呼ばれる隼(ハヤブサ)の頭部を有する壺:腸を保存」

などはかなりオカルト的で怖さを感じさせる説明文でもあります。
「これを買ってミイラを作ろう!」なんて思う方はいないと思いますが(笑)、もう少し詳しい解説を加えないと、お店自体がかなり不気味でオカルトチックな印象に見えかねません。

その他ネフェルティの置物、ツタンカーメンの置物、アヌビスや猫の置物も単なるアートオブジェとしてではなく、それぞれにエピソードやお守り的な意味がある(それを期待しているお客様もいる)のであれば、ちゃんと解説しましょう。

単に雑貨、モノとして自販機的に売れる類の商品ではないと思います。古代の物語に思いを馳せる人が買いたくなるのではないでしょうか。

総評

まずは第一印象にも書きましたが、アリババさんの最大の強みであり特長は、エジプト現地にあるエジプト人経営の実店舗を持つ本物のエジプト商品の目利きや、現地でのネットワーク、工房でのオリジナル品製造ができるなど本格的なエジプト雑貨店である点のはずです。

しかしながら、それをトップページでもまったく感じられないし、「お店紹介」や「会社概要」などに簡潔にまとめてアピールするようなコンテンツも皆無。オーナーご夫妻のプロフィールや自己紹介、顔写真などもなく、人気(ひとけ)も感じられません。

厳しい言い方をすれば、「素性を知られたくない趣味的な個人の自販機的なショップ」に見えてしまっています。

実にもったいない!

まずはこの根本的戦略を見直して、
1)現地店舗本店の日本法人という体制をしっかり作る(法人化も)

2)自分たちはどこの何者で何ができる・得意なのかをアピール

3)エジプト好きな個人客だけでなく、ミュージアムショップや百貨店催事、テーマパークやイベント業者、広告代理店などの大口法人需要を意識したコンテンツ(フリーページ)をちゃんと用意して、「エジプト雑貨・グッズのことなら何でもご相談ください!」と、まずは引き合い、問い合わせ Welcome! な姿勢をアピールする

4)その上で、既存商品も初見の日本人でもわかりやすい解説に変え、商品写真はどうあるべきか? をお客様目線で見直して商品情報修正

5)エジプト情報のプロとして、少なくとも売っている商品にまつわるエジプト神話や文明、文化、人物やモチーフなどに関する解説コンテンツを用意して、検索対策・ランディングページ(店舗の入り口)を作り、増やす(ネタはたくさんあるはず)

エジプト現地に行って買う心の状態(観光地でハイテンション)と、日本に居ながら冷静に商品を吟味している心理ではかなりの差があると思います。

パソコンやスマホの画面で通販商品を見ている心理は、「欲しい!」と「いや、ちょっと待って!」がせめぎ合っている状態です。細部の情報不足や、マイナス情報があるとすぐに「ちょっと待って」が優位になって→「やめとくかぁ〜」になってしまいます。

アリババさんは本来もっとエジプト本国での商品情報(原料、材料、工房での製造過程など)や写真などを用意できるだけの知識や人脈、能力やスキルをお持ちのはずですが、それらをWEB上に表現することが全然足りていません。(おちゃのこ店だけでなくSNSやブログでも、もっと現地情報を写真や動画を添えて。実店舗や工房や職人さん、観光地や穴場、ウンチクなどいくらでもネタはあるはず)

「あぁ、さすがアリババさんはエジプトのプロなんだなぁ〜」
「エジプトのことならまずはアリババさんにアクセスしよう!」
と思わせることが最重要です。

例えば Instagram で #エジプト雑貨 とか #エジプト好き のハッシュタグで検索しても、アリババさんの投稿は全然ヒットしません。
#エジプト雑貨 の投稿は1150件あります。
#エジプト好き の投稿は1654件あります。

商品写真の投稿だけでなく、エジプト情報(料理や観光の穴場や音楽や芸能、現地ライフスタイルなど)を幅広く投稿していけば、エジプト好きさんたちともつながれるのではないでしょうか。

また逆に #エジプト雑貨 #エジプト好き でヒットする個人さんらしきアカウントには、何かエジプト情報やウンチクなどを絡めてコメントしてあげると、フォローしてもらえる確率は高いと思いますよ。

ポテンシャルはもっともっとあるお店だと思います。

今後の新戦略のアイデア出し、人材・組織体制作り、新企画、広報・宣伝・集客、SNSの活用 など悩まれた際には、ぜひお気軽にご相談ください。以上「ダメ出し!道場」でした!

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おまけ アイデア
twitter で アリババさんの口コミを調べていたら、取り扱いされている香油の中に「エジプトの惚れ薬」のような香り「Secret of the Desert」という香油があるとか。

あくまで香油なのでもちろん薬機法で「惚れますよ!」なんて効果効能は謳えませんが(^^;)、夢のある商品としてSNS向きで、メディアにも注目されやすいと思います。

これが効き目があるのかないのか? 遊び心を持った企画としてモニターキャンペーンとか、これ付けてモテたとか恋が成就したエピソード募集! などをInstagram やtwitterで告知して話題性(バズリ)を狙ってみるのはいかがでしょうか?

ただし誤解のないよう、「薬機法上の効果効能はございません。あくまでエジプトでのそういう逸話のある香りです」と明記しておくこと。

予算があるならインフルエンサーさんや広告を使って仕掛けてみるのも面白いと思います。(^-^)

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。