鳶TOBI-net

カテゴリ:ファッション

鳶TOBI-net

2016年にいったん会社を整理して、新たな会社として事業縮小して再スタートしてやってきたが、2017年をピークに近年の売り上げの落ち込みを回復してさらに伸ばしたい。 国産作業服という他社製品との金額のハンデと、作業服の中でも市場規模が縮小している鳶服に特化した商品をどうやって伸ばすか。 会社規模縮小の後、私一人で企画、撮影、編集、をやっているので、動画や写真の撮り方など、いろいろとやるべきことはあると思いますが、他の業務(生産管理、販売等)も兼務しているため、SHOP作成が片手間になっており勉強及び実行ができていません。

NHK大河ドラマが「鎌倉殿の13人」から「どうする家康」へと変わりました。見てない方にはどーでもよい話でしょうが(歴史モノや時代劇が大好きなので ご容赦ください(^^;))。

鎌倉殿とは鎌倉幕府の初代征夷大将軍 源頼朝のことですし、家康とは江戸幕府の初代征夷大将軍、徳川家康のことですね。

この征夷大将軍とは一般的に 武家の「とうりょう」と言われ、要するに武士の中の一番頂点に君臨する一番偉い人! という意味です。

ではここで問題です!(^^;)
この 武家の「とうりょう」ってどんな漢字?

1)棟梁
2)頭領
3)統領

はい! 正解は 1)棟梁でした。

ん? 1)は大工の棟梁っぽいので、一瞬2)の頭領かな? とも思うかもしれませんが、 武家の棟梁はこの字が正しいようです。

でも、気になって辞書で調べてみると、語源は建物・家の重要な構造である棟(むね)=屋根の合わさる最も高い稜線部分と、梁(はり)=柱と柱をつなぐ水平部分、横木。屋根の荷重を支え、柱に伝える役目という建築用語から転じて、棟梁=「国家や集団の中心となり支える」という意味で、統領、頭領 と同意であるようです。

文献などでは、最も古くは日本書紀に「棟梁」、次に平安時代に「統領」という役職が記録されているようです。アメリカ合衆国の国家元首であり行政の長であるPresident を統領の中の統領=「大統領」と訳したのは絶妙ですね。(中国語では「大統領」→「総統」)

「大棟梁」だったら、めっちゃいい家建ててくれそうですけど…(^^;)

「頭領」は江戸時代に武家組織や大工、鳶職、町火消、盗賊などの集団の「長」を「お頭(おかしら)」と呼んでいたことなどから、棟梁→頭領の用法が一般的になって行ったのかもしれませんね。(私の勝手な推測ですが)

いずれも「とうりょう」と読め、意味も組織や集団の「長」「頭」「トップ」であることから、長い歴史の中で混同され置き換わって使われてきたのかもしれません。(興味のある方はぜひ調べてみてください)

さて、本日のお店は、現代においても、そんな「棟梁」が率いる鳶職(とび職)のお客さんに特化したお店です!

鳶職 とは、現代風に言えば、「建設・建築における高所作業特殊技能者」となるのでしょうか。

Wikipediaには、「作業の種類や職業などによって「足場鳶」「重量鳶」「鉄骨鳶」「橋梁鳶」「機械鳶」など多岐にわたり、それらを総合的もしくは専門に行う者がいる。建築現場では、高所を華麗に動き回ることから「現場の華」とも称される」とありました。

江戸時代は鳶職は町火消しと兼務で、新年の出初式の際は高い梯子(はしご)の上で曲芸をする「梯子乗り」として町祭りの花形でもあったようです。時代劇ではよく見かけます。

現代でも消防士さんや鳶職さんがお正月のお祭りやイベントで伝統芸能として受け継いで披露する地域もあるようです。

さてさて、建設・建築関係には無縁の私ですが、鳶職人さん目線で本日の「ダメ出し!道場」始まりです!

第一印象:鳶職人さん専門店と言うよりベテラン鳶職人専門店


EC仙人 太田

店名からも、トップページからもひと目で「鳶職人さん専門店」とわかるのですが、一方で「ベテラン鳶職人さんやヘビーユーザーに限る」といった制約も感じます。要するに初心者や初来店の方にはわかりにくい状況です。

「〇〇シリーズ」とか「手甲シャツ」、「ワークシャツ」、「サマーシャツ」とか分れているし、パンツだけでも「鳶七分」、「八分」、「鳶ロング」、「ブッシュパンツ」、「鳶匠」、「ジョッパーズ」、「ボンタン・ニッカ」、と分類が多く、うーん違いがよくわからない!

何がどう違うの?

クリックしては、「あ、違う」と戻り、クリックしては、「ここも違う」、と戻りというように、無駄なクリックをさせ続けると客は面倒くさくなって「この店わかりにくい!」と退出していきます。
初心者でも迷わずわかりやすい分類とナビゲーションを!

━━━━━━━━━━
また、後のインタビューでわかったことですが、当店は国産デニム生地で定評のある岡山県にある、自社縫製・製造のできる作業着メーカーの直営店なのですが、現状では残念ながら、トップページにその辺の「強み」や「中核能力」(コアコンピタンス)のアピールがまったくありません。
アパレルには疎い鳶職の方々からみれば、そこらの作業着の小売店や量販店との違いが感じられません。ただ「商品が良さそうだけど高い小売店」に見えてしまっているかもしれません。

「じっくり見て、聞いて、高くてもこだわりのある良いお店!」
「オーダーメイドや修理までしてくれるメーカー直営の専門店!」
「ベテラン鳶職が選ぶ素材や縫製のクオリティも機能性も高いホンモノの鳶服のプロショップ!」
といった「強み」のキャチコピーや、それを説明する自己紹介コンテンツをキチンと用意しておきましょう!

せっかくの強みをアピールしないともったいないですよ!

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

今回は、オンラインショップの担当でもあり、服のデザイナーで共同経営者の忰山(かせやま)さんに、いつものようにお電話でインタビューさせていただきました。

鳶TOBI-netさんは岡山市の合同会社TOBIのオンラインショップで、鳶職の作業着に特化したデザインから縫製まで自社国内製造できるメーカーさんだそうで、おちゃのこ当店での直販以外に、全国の作業服小売店さんへの卸売りもされています。

以前は株式会社として営業されていましたが、2016年に会社を整理して、新たな会社として事業縮小して再スタートされたとのこと。
国産素材や自社国内縫製製造にこだわって高品質の鳶服を提供してこられ、ベテラン鳶職のリピーターさんたちに支持されているようです。

しかし、昨今の作業服量販店の台頭や、中国・東南アジア産の安価品の流通でなかなか新規顧客獲得がうまくいっておらず、ジリ貧状態の様子です。

現在はスタッフが12名いらっしゃるとのことですが、ネットに関してはほぼ忰山さんお1人で運営のため、なかなかやりたいことが実行できず、もどかしい思いをされているようです。

また、当店以外にも同じくおちゃのこネットで「鳶黒田」というお店も運営されています。
https://www.tobikuroda.com/
こちらは岡山県倉敷市水島の鳶服の専門小売店として定評の高い老舗ショップを、経営者の高齢化もあって引き継ぎ、「鳶黒田」ブランドに特化したお店だそうです。

その他、Facebook、Instagramも運営されています。

具体的なダメ出し


EC仙人 太田

お店の主軸である「〇〇シリーズ」の展開ですが、左メニューでもバナーと特集の両方で掲載されているものの、問題はそれぞれのシリーズの特徴が初見・初心者のお客様にはパッとわからないことです。自分たちの常識はお客様の常識ではありません。

まずは、初来店のお客様でも、それぞれのシリーズがどんな特徴があるのかパッと比較できるページへの誘導を最優先にした、わかりやすいトップページレイアウトにしましょう。(主導線を明確に!)

「TOBIブランド作業服 定番シリーズ一覧」
https://www.tobi-net.jp/page/42

がそれに当たるのだとは思いますが、トップページバナーの位置は下の方ですし、キャッチコピータイトルがわかりにくい…

初見の方でもわかるように
「まずはコチラであなたの好みを見つけて! 当店定番シリーズ 比較一覧表」
のような表現にして、トップページのど真ん中に他のバナーとは瞬時に区別できる色や大きさで配置しましょう。

もしくは、トップページに個々のシリーズの「特長・違い」がひと言でわかる比較一覧表を作ってダイレクトにシリーズページに誘導してもよい(ワンクリック減らせる)かと思います。

現状は主軸の〇〇シリーズと他の雑貨や特集などが同じレベルで混在しているので、ごちゃごちゃしていて売り場がわかりにくい状況です。お客様を迷わせる不要な左メニューは削除や非表示にして、「主たる客導線」を意識したトップページやメニュー構成にしましょう。

━━━━━━━━━━
自社縫製・製造が出来る 鳶TOBI-netさんではオーダーメイドも実は大きな強みなはずですが、残念ながら下記オーダーメイドのページがわかりにくい!
https://www.tobi-net.jp/page/46

3種類の特注タイプがあるようですが、
1)パターン指定特注品
2)カスタムデザイン特注品
3)寸法合わせ&デザイン特注品

いずれも図面だけです。まずは何より、カスタム事例の写真を載せて、どこがどう変わるか「百聞は一見にしかず」でわかるように!

事例を見せて、「自分もこんなのやってみたい!こんなの欲しい!」と思わせないと、お客さんはややこしい発注をしようとは思ってくれません。まずは事例をたくさん掲載しましょう!

その上で、
→1)は鳶職の方に「パターン指定」と服飾用語を言ってもわかりにくい!
「既存デザインの服をお好みの生地を選んで作れます!」とか、
「既成品を丈や布生地を変えられます!」のようなわかりやすい表現に!

→2)は「カスタム」が何を意味するかわかりにくいので、「部分パーツを西陣織・和柄に変更(カスタム)で粋に!」のように具体化した表現にしましょう。

→3)は「採寸、フルオーダー」という方がわかりやすいと思いますが、それ以前に、現状やっていないサービスならゴチャついているのでいったん削除しましょう!

オーダー、セミオーダーができるのは貴社ならではの強みです!
できるだけビジュアルで事例を多く見せましょう!

またターゲットを個人向けだけでなく、全国の小売店さんに、「貴店のオリジナルOEM、貴店だけのカスタム仕様も可能です!」のように、BtoBの引き合いもくるようにアピールしましょう!

総評

自社でデザインから縫製・製造までできる点、ブランド力のある岡山デニム生地他、高品質国産生地、ベテラン鳶職さんたちからの支持の高いTOBI-netブランド、鳶黒田ブランド保有といった強みがありますが、それが「新規客獲得」にはつながらず「既存客維持」にしかなっていません。

このままでは既存客の高齢化による引退・退職でどんどんジリ貧になってしまいます。

これを打開するには、新規客層の開拓・獲得が必須です。
a)若い鳶職人客層をいかに捕まえるか?
b)鳶職以外の客層に売れるものはできないか?

a)に関しては、昔より減っているとはいえ、毎年新たな若い鳶職さんも着実に就業しているでしょうし、彼らも仕事を覚えるにあたり棟梁や先輩職人さんからいろいろなことを教わって知識や技術や情報を得ていると思います。その中には仕事のスキルそのものだけでなく、道具やウェアの選び方や入手の仕方も含まれるでしょう。

また、今の若い人の中には、「見て聞いて、先輩の背中を見て技を盗んで」なんてことが苦手な方も多いかもしれません。
スマホ世代、ネット世代の彼らは棟梁や先輩から聞きかじったキーワードを元に、スマホでネット検索してYoutubeやSNSなどでも仕事の情報収集をしています。

鳶TOBI-netさんが ベテラン鳶職さんのノウハウやウンチクやスキル、道具やウェア選びまで、初心者や若手鳶職のための「いろは」的なコンテンツをSNSや Youtubeで発信すれば、フォロワーが増え、やがてお客様になってくれるチャンスも得られると思います。

問題はそれを誰がどうやって実行(動画撮影やコンテンツ作成)するかですが、まずはご自身でスマホで撮影、動画編集などやってみることが重要です。ただ今のように「お1人で何もかも!」は継続の観点から、なかなか厳しいでしょう。

拡散性の高いtwitter や Youtubeの ショート動画やInstagramのストーリー動画なども取り組みたいところですが、Cloudworks やココナラなどクラウド系の人材探しで、そうした作業の外注(バイト)できる人を探したり、社内や社員の家族や友人でSNSやYoutubeをやっている人に協力してもらえないかなども検討しましょう。

また、ベテラン鳶職のお客様に声をかけて、インタビューさせてもらえないか、情報提供や読者モデルや商品モニターなどに協力してもらえる方はいないかなど、費用をできるだけかけずに有益な情報コンテンツを集めて作っていくことは必要だと思います。

━━━━━━━━━━
b)鳶職以外の客層に売れるものはできないか? に関して。

手甲
https://www.tobi-net.jp/product-list/298
https://www.tobikuroda.com/product-list/18

などは、鳶職の作業着グッズとしてだけでなく、お祭りや、和太鼓奏者などの間でもニーズがあるとお聞きしました。
「和柄」「和の小物」という側面もあると思いますので、和雑貨のお店や和太鼓の販売店、和太鼓楽団やサークル、お祭り用品の問屋や小売店などは見込み客ターゲットになるかもしれません。

また、インバウンド向けの土産物店やコスプレ店、海外に和雑貨を販売しているネットショップや小売店、英語ページでの海外への販売なども新販路としては検討の価値ありだと思います。

━━━━━━━━━━
自社での洋服デザイン+縫製技術 を活かせば、鳶職服だけでなく岡山デニム生地を使った Gジャン、Gパン、オーバーオールなどの個人向けプロクオリティのアウトドア・DIYウェアとか、アウトドアグッズ収納向けの超大型デニムバッグ、ストーブや炭火コンロの耐火敷物、テーブルクロスなど、ありそうでなかなかないアウトドアアイテムといった新たなニーズの新商品開発の可能性は大いにあるのではないかと思います。

自社で新商品が生み出せる鳶TOBI-netさんは、ポテンシャルは大きい会社さんだと思います。突破口を求めてぜひチャレンジしてみてください。

今後の新戦略のアイデア出し、人材・組織体制作り、新企画、広報・宣伝・集客、SNSの活用 など悩まれた際には、ぜひお気軽にご相談ください。
以上、「ダメ出し!道場」でした!

━━━━━━━━━━
おまけアイデア

忍者の服「忍び装束」は、手甲、脚絆、おこそ頭巾など和の服飾雑貨があれこれありますので、布物の忍者グッズは研究・アレンジすれば黒装束だけでなく裏地を柄物にするなどオシャレでハイクオリティなものが作れるのではないでしょうか?
京都や浅草などの土産物店などでNinja好きな外国人に売れそう!(^^;)

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。