anima's WEBstore

カテゴリ:アクセサリー、時計

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正直何をどうしたらいいかわからない。よく見たり聞いたりする、オシャレなサイトに、見やすいサイトにというのが自分の商品にはあまり合わない気がして、数年前にこのフォーマットにしたきり特にアップデートせずに続けているので、そろそろ何か変化させたいと思っています。

ネットショップにもいろいろなタイプがありますよね。

個人向けのBtoCショップだけに絞って見ても、
1)量販小売店:多くの品揃え、大量仕入れ、大量販売の低価格がウリの店
2)小規模小売店:小規模だが店主の志向仕入のセレクトショップ系
3)産直店:農産物・海産物など生産直販の店
4)製造販売店:食品、服飾、アクセ、家具など製造直販できる店

あとはこれらに当てはまらない、副業で始めたようなあまり特長のない仕入れ販売だけのお店ですが、そういう店はまずあまり売れません。

最近は、1)のそれなりの事業規模や資本力を持った企業がリアルの本業の人員・体制も生かしてかなり本気で取り組む量販型のネットショップも増えましたが、

おちゃのこショップさんは2)3)4)のタイプが多いかと思います。リアルの場合は2)の小規模セレクトショップでも実際の来店客の好みに合えば衝動買いやリピート買いも期待できるので、軌道に乗ることも多いと思いますが、

ネットの場合は苦労して探してセレクトし仕入れた商品も、Google検索ひとつで他の取扱販売店やメーカーのサイトもすぐに見つけられてしまって、特にあなたのお店で買う理由がなくなったり、価格や送料が安いお店で買われてしまうなどが起こってしまいます。

3)の産直系のお店の場合は、その地域や地名と商品そのものにブランド力があれば(例:紀州の梅干し、夕張メロン、神戸牛など)ギフト需要などは拾いやすく売りやすいですが、地域・地名にブランド力がない場合はかなり努力をしないと軌道に乗せづらいです。

そこで小規模ネットショップでも比較的軌道に乗せやすく生き残りやすいのが4)の製造直販タイプのお店です。

例えば 町の小さな和菓子屋さんであっても、工房を持つなんらかの職人さんであっても、他にはないオンリーワンの商品を企画し、製造すれば同業者と安易に価格競争せずに適正な利益を得ながら販売ができるからです。

また日々創意工夫し商品改善したり、新商品を生み出せば、既存顧客に新たな売上が作れますし、新商品が新たな客層を掴まえてくることもあり得ます。

自店・自社でオリジナルの商品を開発製造できるのは、まずは何よりの強みです!

実際には1)2)3)のお店でも、自社で製造機能を持っていなくても、外注製造業者とコラボして自店のオリジナル商品を企画すれば新商品を生み出せますし、実際にそれをやっているお店は比較的生き残っていけています。

言い換えればよほどの価格競争力でもない限り、新商品開発のできないネットショップはなかなか生き残れないとも言えます。

皆さんのお店は、新商品開発できていますか?

「ウチは製造設備なんてないし」というお店でも商品開発は可能です。

「『ダメ出し!道場』見ました!」とぜひお気軽にご相談ください!

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さてさて、本日のお店はシルバーアクセサリーのお店で、最初は2)の小規模小売店かな? と思ったのですが、

インタビューしてよくよく知ると、店長さんは20年近いキャリアを持つ宝飾デザイナーでもあり、アーティストでベテランアクセサリー職人さんでもあることがわかってきました。

まずはこちらのInstagram投稿見てください!
https://www.instagram.com/animasilver/

伝統工芸士レベルの細やかな超絶技巧の作品の数々!
これ見ただけでデザインのセンスに加え技術力の高さが伺えますね。

では今回も「ダメ出し!道場」始まりです!

第一印象:ヘビメタバンド系アクセのお店? と思いきや…


EC仙人 太田

黒背景、金色ロゴのトップページの横スクロール画像(スマホでは 黒リップで鼻ピアス、顎ピアスの牙のある女性)のかなり強烈な印象で、いわゆるヘビメタバンド系のファッションに特化したアクセサリーのお店かな? という印象ですが、

仕入販売の小売店なのか、製造直販のメーカー直営ショップなのかは第一印象では不明でした。

縦スクロールして商品やバナー類を見ていっても、主張の強いデザインが次々と目に飛び込んでくるので大きく印象は変わりません。かなりターゲットとなる客層を絞り込んだお店だと感じました。

強い個性の商品を売るお店でありながら、お店についてや店長の自己紹介、コンセプトなども見当たらず、お店についてはあまり個性や人気(ひとけ)を感じられません。

また左メニューのBLOGの記事が2017年と古かったり、中央のNEWSの日付が2200年1月13日とか79年3月14日とか。年がメチャクチャで、何かワザとやってるのか? いいかげんなのか?(^^;) ちょっとよくわかりません。

商品の特性や価格帯(数万円〜)からすると、ふらっと来た新規客が衝動買いするタイプのお店ではなく、SNSやBLOGなどでファンを獲得、醸成してからおちゃのこ店はショップ機能として注文しにくる感じなのかもしれません。

そんな、ぼんやりと不明確な感じの第一印象ですが、(中身がわかると全然違う! もったいない!)

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

今回も店長の江原正朗さんにお電話にてインタビューさせていただきました。

江原さんは現在44歳。26歳から4年間、東京のアクセサリー専門学校でデザインや製作技術などを学び、卒業後、同校の大阪校で講師の職に就き、10年間教えながらご自身でもオリジナルアクセサリーのデザインと製作の技を磨かれてこられました。

2014年頃からは作ったものをネット販売され始めたそうですが、ちゃんと拠点となるお店を構えようと、2016年末におちゃのこネットに出店されたそうです。おちゃのこを選んだ理由は、テンプレ中心の他社のサービスに比べてショップデザインの自由度が高く、「ただキレイでおしゃれなお店」ではなく、「独自の個性的なイメージのお店」ができそうだからとのことです。

実際、かなり個性的な印象のお店になっていますね。

4年前、コロナ禍が始まった頃に、奥様とのご結婚を機に大阪の専門学校を退職し、奥様のご出身地でもあった岐阜県中津川に移住し、当店を軸にデザイン・製作・ネット直販で頑張ろう! と決意。製作ペースを上げて現在に至るということです。

商品数はおちゃのこ登録ベースで375アイテムですが、Instagram の投稿数はすべてが商品ではないにしても2,763件を数え、かなりの作品を生み出されておられます。

商品は一部Tシャツなど外部委託品もありますが、アクセサリーはすべてご自身のオリジナルデザイン&オリジナル製作。

「ロストワックス製法でキャスティング」とアクセ業界用語では他業種の方にはわかりにくいので、解説します。

まずワックス(ろう)を彫刻刀ややすりなどの工具で削って造形し、大元の原型を作ります。

これを木枠などに入れて熱に強い石膏などを流して固めます。次に流し込んで固めた石膏を電気炉に入れて焼くと、中のワックス部分だけが溶けて流れ、空洞のメス型ができます

ここに溶かした銀や真鍮などの金属を流し入れ(鋳造=キャスト)、冷めて固まったら外部の石膏を割って、鋳造された金属部分がマスターの金属型です。

これをそのまま磨いたり削ったり加工すればアクセサリーになりますが、それだと1点物になり量産はできませんので、マスターの金属型として保管しておき、必要に応じてこれを枠に入れ、シリコンゴムを流し込んでゴムでメス型を作り、これに毎回ワックスを流し込んで成形し、ワックスのオス型を必要なだけ複製し、それで石膏型を複数再製造し、鋳造を繰り返します。

石膏は金属が溶ける高温まで耐えられますが、割らなければ中身を取り出せませんので、1個作るのに1個の石膏型が必要です。
一方シリコンゴムは金属が溶ける高温までは耐えられませんが、割らなくても2つに切って合わせることで、1型あればワックスを何回も成形できます。

このシリコン型を保管しておいて何個もワックスを成形し、そこから石膏型を何個も作り、必要な数の鋳造ができるということです。

シリコン型はある程度の回数と年数は持つそうですが、劣化してきた場合はマスターの金属型から再度シリコン型も作れるので、長年にわたってシルバーアクセサリーも再生産(量産)できるそうです。

anima's さんでは、この元の彫刻デザインから、キャスト(鋳造)〜磨き〜パッケージ梱包〜小売販売までのすべてを一貫して江原さんお一人でされているそうです。

アクセデザイナーであり、アクセ彫刻作家であり、鋳造・加工の職人・技術者であり、オンラインショップの店長でもあり、と大忙しのご様子です。

ご本人としてはやはりクリエイターとして新しいデザインのアクセサリーを考え、彫刻し創り出していく部分が一番楽しく、一番やりたいお仕事だそうですが、

その分、ショップ更新や運営部分がどうしても疎かになってしまい、そこが悩みどころのようです。

今回の私からのダメ出しもその辺になりそうです。(^^;)

現状、おちゃのこ店以外の活動は…
Twitter 4,200 フォロワー
https://twitter.com/animacreation

Facebook 648 フォロワー
https://www.facebook.com/animasilver/

Instagram 投稿2,765件 フォロワー3,136人
https://www.instagram.com/animasilver/

Twitter,Instagram はかなり頻繁に投稿し、写真や動画投稿も多くあり、フォロワー数もそこそこいてかなりの財産です。ですが説明コメントやハッシュタグなどがなく、とにかく「言葉足らず」で検索ヒットしにくいと思います。もったいない!

Youtube は一応2015年にチャンネル開設されていますが、一部商品の説明に2件の動画のみで実質休眠状態。
https://www.youtube.com/@animaexistsinallcreation4438/videos

短い動画で立体的なアクセサリーの造形や光沢感・質感はより伝わると思います! 製作過程のタイムラプスや紹介動画など活用法はたくさんあるはずです! 動画編集などは外注化できる点かと思います。

具体的なダメ出し


EC仙人 太田

まずはトップページの始めで、当店はアクセサリークリエイター江原正朗のオリジナルデザインアクセサリーの直販アートショップで、すべてがオリジナル品で、自社工房でのMade in JAPANであること。故に、オーダーメイドで石の変更、形状のアレンジ、カスタマイズも可能。アパレルのブランド名など名入れコラボ商品製作なども可能。個人・法人を問わずとにかくお気軽にご相談ください!

といった特長を目立つように、しっかりとアピールしましょう。

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また、上部画像のヘビメタ系写真がショップ全体の印象を偏らせているので、それ以外の猫とかアニマル系とかテイストの違うシリーズの写真も散りばめて、いろいろな作風やシリーズがあることを第一印象で(数秒で)認知させる必要があると思います。

まずはヘビメタ系? こわそう! 問い合わせや相談しにくそう…と思われないようにしましょう。

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2016年からの古い商品もあるせいか、全体的に商品写真の解像度が今の時代としては低く、やや細部がぼやけていたり確認しづらい部分もあります。(Instagramの最近の投稿画像は画質が良いので)

随時、再撮影や再加工で画質を上げていきましょう。

例)AncientDragon(エンシェントドラゴン)  [APT-52]
の裏面の文字がぼやけて読めない。
https://www.anima-store.com/data/anima-silver/product/pendant/apt52-3.jpg

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シルバー中心のアクセなので、全体的にどの商品写真も銀、白、灰色、黒系統の色合いに陰影が重なり、暗い部分がよく見えない写真が少なくありません。石が入っているものも石が暗く黒く見えてしまっているものも多く、質感の印象が良くありません。

例)
石が暗く色がよくわからない
https://www.anima-store.com/data/anima-silver/product/concho/ac6-3.jpg
https://www.anima-store.com/data/anima-silver/product/concho/ac6-4.jpg

手のガーネットの赤が黒くくすんでいる
https://www.anima-store.com/data/anima-silver/product/ring/ar52-2.jpg

静止画で複数カット載せるのももちろん必要ですが、それに加えて数秒で商品をくるっと回転させて見せる動画があれば、商品の立体感、厚み、凹凸の程度、光沢感、石の色や輝きなどがグッと伝わりやすくなると思います。

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ショップ内ではないのですが、Twitter も Instagramも投稿時に写真だけでほとんど言葉を添えずに投稿された物が多いのですが、

もったいない! ぜひ そのアイテムを示す#ハッシュタグをいくつも付けて投稿してください。Twitterはできませんが Instagramは再編集して再投稿できるので、ぜひ過去の投稿で現在販売中の商品に関連する投稿は ハッシュタグを付け直してください。

総評

第一印象にも書きましたが、ぱっと見では単なるセレクトショップや小売店にも見えてしまうくらい【強み】や特長のアピールがないのが最大のダメ出しポイント。

anima's さんの最大の【強み】は「江原正朗」というアクセサリークリエイター自らの作品が買えるお店だということ。

その「江原正朗」の自己紹介や自己PRなくしては売れません。
SNSからのアクセスはもちろん重要ですが、おちゃのこショップは単なるカート機能だけでなく、ブランドサイトとして、

クリエイター「江原正朗」とは?
ブランド「anima exists in all creation」とは?
を紹介説明するページコンテンツは必須です→上メニューに入れる

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またSNSもそうですが、商品ページやカテゴリーページでも全体的に言葉足らず、説明不足です! 「見たらわかるだろう」は江原さんが思っている半分も伝わらないと思います。

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また、インタビュー時に、商品のカスタムやオリジナルの注文が2〜3割とおっしゃっていましたので、それ(カスタムやオーダーメイドが可能であること、相談がWelcomeであること)を明示してアピールすれば、問い合わせや引き合い相談が増えると思います。

ちゃんとアピールすればアパレル業界からのOEMの相談もあり得るのではないでしょうか?

いずれにせよどんどんと新商品が生み出せるポテンシャルは大きいと思います。ぜひいろいろとチャレンジしてみてください。

ただ、何もかもお一人でされているので、そこがボトルネックになっていることも否めません。今後は、創作デザイン・新商品開発やクリエイターとして外部とのコラボ、相談などにしっかりと時間と労力を割けるように、ショップ更新や梱包出荷や受注対応、SNSなど他人でも任せられる作業と、江原さんしかできない仕事とを切り分けて、スタッフを雇用・育成するとか、外注化するなども含めて、次のステップへの体制作りが必要だと感じます。

今後の新戦略のアイデア出し、人材・組織体制作り、新企画、広報・宣伝・集客、SNSの活用など、悩まれた際にはぜひお気軽にご相談ください。

以上。「ダメ出し!道場」でした!

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おまけアイデア

こうしたアート作品は容易に国境(言葉の壁)を越えるものです。
ぜひInstagramでは英語のハッシュタグも付けて海外へのアピールを!

海外の人にも響きやすいモチーフをテーマにわかりやすいサンプルを製作し(例、北斎とか忍者とかロボットとか、漢字とか)、海外のアパレルやミュージアムなどとのコラボも提案できるかもしれませんね。

優れたデザイン想像力と伝統工芸士レベルの彫刻造形技術をお持ちの江原さんなら、セルフプロデュースとアピール次第ではまだまだ可能性は大きいと思います! NYやパリ、ロンドンなどモダンアート盛んな海外で個展なんてのも良いのでは?

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。