龍岡商店 やさしいキムチ

カテゴリ:食品、飲料

龍岡商店 やさしいキムチ

商品をリニューアルして、にんにく不使用キムチという、今までにない商品をリリースしたにも関わらず、注文が伸びないので、悩んでいます。

唐突ですが…皆さん、好きなお漬物は何ですか〜!?

私は、おばあちゃん子だったのもあって、祖母が漬けてくれていたぬか漬けの茄子のお漬物が大好物で、今でも自分でぬか漬けは漬けています。
でも広島出身なので広島菜漬け(広島菜と言う青菜と昆布の浅漬け)も大好きですし、京都のすぐきやしば漬け、かぶらの千枚漬け、信州の野沢菜漬け、九州の壺付けや高菜漬けも美味しいですねぇ〜。

日本の漬物だけでなく、ピクルスやザワークラウトなど西洋の酢漬けも好きですし、ザーサイやメンマなど中華の漬物も。
そして何と言っても冷蔵庫に絶対切らさないのは白菜キムチ!
お肉にも魚にも合いますし、そのままでも火を入れても、とろけるチーズなんかとも相性が良いですよね〜

世界中(特に冬のある地域)で生の野菜の収穫できない冬場の保存食として野菜を塩や酢で漬け込んで乳酸菌発酵させた「漬物」は、大昔から家庭の味として作られ食べられてきました。

野菜は自然にその葉や茎の表面に天然由来の植物性乳酸菌を持っていて、それを若干の塩分とともに漬け込むと、雑菌は塩分で繁殖できないが、乳酸菌は塩分濃度が多少高くても死なず、無酸素で繁殖し、いわゆる乳酸発酵していく。
この仕組みを利用したものが「漬物」で、長く漬け込めば乳酸菌が増え、酸味が増して酸っぱくなります。

でもその酸っぱさ(酸度)のおかげで、他の菌の繁殖を防ぎ、腐敗させず長期保存ができ、野菜が収穫できない冬の間でも野菜を食べ続けることができるのです。
世界共通の人間の知恵ですよねぇ〜

この植物性乳酸菌を学名ではラクトバチルス属と言うのですが、これは人間の腸内にもたくさん住んでいて、食物の分解を助けたり、栄養素の吸収効率を高めてくれたり、悪玉の雑菌などをやっつける免疫の働きも高めてくれる、健康にもとっても重要な奴なのです。

そしてコイツら元々は土の中にいて、野菜の成長とともに野菜に移り、塩で漬け込むだけで、野菜の水分と合わさった塩水の中で酸素を使わず繁殖していくのですが、そこにアミノ酸が加わると、それを栄養にして格段に繁殖力がアップ!
つまり漬物を漬ける際にアミノ酸や、その元になるたんぱく質を含む昆布や魚介類などを加えると、乳酸菌がグーンと増えて旨味も栄養価も増えるのです。

日本のお漬物はほとんど塩漬けメインで、昆布を加える程度のものが多いのですが、キムチは野菜と塩だけでなく、アミエビや魚介のダシなど動物性たんぱく質を一緒に漬け込みます。
そのたんぱく質がアミノ酸に分解されることで旨味成分やミネラル類が増え、それを栄養にして乳酸菌も爆発的に増え、そこに唐辛子やニンニクやショウガ、ニラ、ネギなど血行を良くして体温を上げる成分も多く含まれるので、キムチは非常に栄養価が高いスーパーフードになるのです。

最近では、「免疫は腸にあり!」と言われる時代ですので、健康のために「腸活!」と称して腸内細菌(腸内フローラ)を健全に増やし保とうと言われています。乳酸菌類を積極的に摂ろうと、ヨーグルトや乳製品も多く売られていますね。でも乳製品はお腹がゴロゴロしてどうも苦手という方もおられると思います。
そんな方にはお漬物、特にキムチがオススメ!なのです。

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さてさて、つい食べ物のことになると熱く語ってしまう食道楽の私なのですが、漬物トークはこの辺にして…(^^;)

本日のお店は、大阪市は生野区にあるキムチ屋さんです!
生野区は日本最大の鶴橋コリアタウンがある区で、位置的には大阪環状線で北の梅田駅を時計の12時の位置とすれば、ちょうど4時くらいの位置にあるのが鶴橋駅です。生野区はその鶴橋駅の南東に広がるエリアで、大阪の下町でもあり、在日コリアンの方々も多く住む(生野区民の約20%が在日コリアン)エリアなので、朝鮮韓国食の食文化関連の飲食店や食品会社が数多くあります。

東京の新大久保コリアタウンは、ニューカマーといわれる平成以降に来日移住された方も多いですが、鶴橋〜生野区は戦前〜戦後に日本に来られた方々の子孫で、いわゆる在日二世、三世、四世、と呼ばれる日本生まれ日本育ちの方々が多く、日本社会と融合度も高いため、東京の新大久保ほどコリア感はありません。
むしろそれも含めて人懐っこさや人情味のある「大阪下町感」の濃い町です。

生野区の在日コリアン比率は人口の20%強だそうです。実は4〜5世紀の頃から百済からの渡来人が来日して住んでいたそうで、そういう意味でも日本最古のコリアタウンですね。

現代の鶴橋界隈は、焼肉店、朝鮮食、韓国食屋さんはもちろん、和食割烹や寿司屋、居酒屋からイタリアン、フレンチ、洋食まで、とにかく安くて美味しい飲食店の宝庫! 食道楽にはたまらないエリアなんです(^^;)

今回のお店は鶴橋駅からは少し離れているので、お店に観光客が来たりすることはほとんどないようで、大阪市内の飲食店向けに卸販売業をメインにされているようです。

食道楽の私は30代〜40代の食べ盛り(?)の頃には鶴橋駅の一駅北の駅近くに勤めたことをきっかけに、在日コリアンの友人・知人も何人もできて、韓国食文化に興味を持って、ダイエットも兼ねて週イチで鶴橋界隈にキムチや食材を買い求めに行くようになりました。月に4〜5kgは消費していたほどのキムチ好きです(^^;)
そしてキムチダイエットは見事成功し、1年で10Kgくらい痩せました!

最近は歳のせいかすっかり辛いモノに弱くなって、食事の7〜8割は和食に戻り、体重もすっかり戻りましたが(苦笑)、それでも冷蔵庫にはぬか漬けと同様にキムチを切らすことはありません! 最近は月に300gくらいしか食べなくなってしまったのですが…。

でも、今回のお店を見たら…あ〜キムチ旨そう〜っ!(^^;)

ではでは今回も「ダメ出し!道場」始まりです!

第一印象:看板画像こそ美味しそうだが…商品写真は残念…


EC仙人 太田

白背景の背景に、美味しそうなキムチ類の色鮮やかな写真の看板!
そこまでは「映えて」いい感じですが、下にスクロールすると…

うんうん、こだわった質の良い素材を使ってて…

そこを通り過ぎると…

あれ? なんだかどんより暗いパッケージ写真が並ぶ…

うーん、袋入りのパッケージばっかりだし…
しかも写真は暗いし、全然「美味しそう」を感じられない…

商品名を見れば、大根キムチ、白菜キムチ、胡瓜キムチ…うんうん定番ね!

とうもろこしキムチ!?
クラウンメロンキムチ!?
りんごキムチ!?
トマトキムチ!?

おーっ!珍しいキムチがいろいろあるんだなぁ〜!

と商品名には魅力は感じられるのに、せっかくの珍しいキムチの中身の写真がトップページにはない…
袋に入っているから、ひとつひとつの見た目の違いもわからない…

そして、何より「お店のウリ!」であるはずの「にんにく不使用」のやさしいキムチのことがトップページには書かれていない!

品名の文字も途中で切れていて、肝心の「にんにく不使用」まで見えていない!

あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!もったいないわ〜〜〜〜!

そして…現代においてはアクセスの多いであろうスマホサイトも…
https://tatsuokashouten.ocnk.net/phone/

こちらはPCサイトよりもっとひどい!(泣)

店名看板と新着商品2点の写真とメニュー文字列だけ!
食品のお店としてはあまりにシズル感の「美味しそう!」が不足していますし、お店の「ウリ」や「強み」が何も書かれていない。

もったいないにも程がありますよ〜!

よほど暇で、時間があって、好奇心旺盛なお客様なら、それでも店舗内をあちこちクリックして、どんなお店か、どんな商品があるのかを知るために、個々の商品のページに行って説明を読んでは戻ってをしてくれるかもしれませんが、そんなお客様はめったにいません。

現状では恐らくほとんどの新規のお客様が、なんとか運よくアクセスしてくれても、ざっと眺めて「おっウマそ〜っ!」「おいしそう!」とはならずに、「なんだかなぁ〜」「びみょ〜」「イマイチ…」と興味を持つ前にあきらめて出て行っていると思います。

要するにインパクトや強い「アイキャッチ」も「キャッチコピー」もなく、せっかくの来店客を1歩目で退店させている印象です。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

今回は店長の龍岡弘満さんにお電話にてインタビューさせていただきました。

龍岡商店さんは弘満さんの生まれる8年前の1960年に、在日コリアン2世のお婆様がご自身のレシピでキムチ作りを始めて、その後、お母様〜弘満さんと受け継ぎ今年で63年。

2010年にお父様がされていた別事業(魚屋さん)と統合して法人化し、株式会社龍岡商店として大阪市内の飲食店への卸を中心に営業されてきたそうです。

コロナ禍で多くの飲食店が業績悪化や閉店となり、龍岡商店さんへの影響も甚大だったようです。

コロナ以前から開発していた「にんにく不使用」のキムチをようやく昨年完成させて新発売し、それをウリに回復を目指されていましたが、お父様が病気で要介護に、「ダメ出し!道場」お申し込み後にはキムチづくりを一緒にやってきたお母さまも倒れて入院というお辛い状況。

現在は妹さんが子育ての合間にお手伝いには来て下さるようですが、仕入、仕込み、製造、パッケージ、梱包、卸先への配達、ネット対応、出荷〜資金繰りと、ほとんどの仕事をお一人でこなしておられ、寝る間も惜しんで回しておられるとのこと。

現状、新パッケージ(袋)へのキムチ詰め作業がかなり手間と慎重さなど細かい注意が必要なようで、大きなストレスになっているご様子。(小さく、狭く、入れにくい、汁が垂れてラベルを汚しがち)

ネットはおちゃのこショップと自社サイト、InstagramとFacebookを運用されていますが、ショップとサイトの作り込みは外注で、更新、運用は妹さんの知人のデザイナーさんに助けてもらいながらされているとのことで、龍岡さんご自身での撮影や画像加工、ページ編集などはあまり思うようにできないようです。
写真の質の悪さは、どうやらそこら辺に理由があるようです。

一方、商品そのものについては(味見したわけではないですが)トップページ下部にあるように新聞、雑誌、テレビの取材なども(立地が悪いにも関わらず)結構あるところから想像しても、商品の味、質はかなり高いことが感じられます。

実際、循環型農法の青森産にんにく、高知の特別栽培の生姜、胡麻、オーガニックの砂糖、国産無添加のりんごジュース、伝統製法のみりんやコールドプレスのごま油、鹿児島さん最上級の本枯節のカツオ節、無添加有機醤油、無添加スルメや干しアミエビなど原材料、素材にはコストが高くとも良いものにこだわって厳選しておられるので、他社のキムチに比べ相当に原価率が高いようです。

商品販売価格もグラム当たりで見ても、スーパーの輸入キムチなどと比べると2〜3倍、鶴橋の他の一般的なキムチ屋さんと比べても1.5倍くらいしていますが、その材料やこだわりがちゃんと伝われば、納得してもらえる範囲の価格帯だと思います。

ただ、現状はそのこだわりや素材の良さが十分に伝わっていないので、ただ高いキムチ屋だと思って逃げている客も少なくないと思われます。(もったいない!)

具体的なダメ出し


EC仙人 太田

まずは何より、商品写真の撮り直しと画像加工スキルの習得!

無味乾燥なパッケージ写真をメインにするのではなく、商品写真のメインはあくまで「盛り付け写真」にして「美味しそう!」を感じられるようにしましょう。盛り付けの見せ方もただ白背景に盛っていればよいというものではなく、飲食店でプロの料理人がするような、正に今、「食べたーーーい!」「ウマそ〜う!」と思えるように。
購買欲の前に「食欲」という人間の本能を刺激するような盛り付け写真に変更しましょう。

一度に全種類撮り直しと考えると、時間がない、今度時間ができたらやろうとズルズルと先延ばしになりがちですが、1日1アイテムずつで良いので自分の食事の際に1種類ずつ撮影すれば、10種類あっても10日でできます。

今のスマホはカメラ性能が良いので、撮影機材はスマホで十分です。
画像加工(明るさや色合い調整、トリミングなど)もスマホ標準の写真アプリで十分可能です。

お箸で持ち上げるような数秒のショート動画などもあればなお良しですが、まずは基本のメイン写真だけでも1品ずつ撮り直しましょう。

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次に、お店の強み・特徴・こだわりなどを示す大見出し「キャッチコピー」をスマホサイト、PCサイトともトップページに掲載し、初見のお客様が3秒でわかるようにしましょう!

例)
・本場大阪コリアタウン発「プロの料理人たちが選ぶキムチ!」
・厳選素材で丁寧に作るちょっと高いのも納得のキムチ!
・開発に8年もかかった「にんにく不使用」キムチの秘密とは!?
・ニンニク抜けばいいだけじゃない? そんなに甘くはなかった!
・臭くないのにコクはある! その秘密は〇〇にあった!?
・え? ウソ! ワインにも合うキムチ!?
・甘〜く濃厚なアイコで作ったトマトキムチはもはやイタリアン!?
・イタリアンやフレンチのシェフが絶賛するキムチとは!?
・六本木や麻布の高級割烹からオーダーされるキムチはこれ!

こんなキャッチコピーはいかがでしょうか?
初見のお客様の興味・好奇心を惹きつけるのではないでしょうか。

興味を惹きつけ、しっかり説明を読んでもらって、
好奇心→理解→納得→食べてみた〜い!→注文
という心理変化を起こすのです。

総評

せっかく良い商品を作っておられるのに、見せ方、売り方がなってない。
上でダメ出ししましたように、食品オンラインショップとしての基本中の基本「美味しそう!」「食べたい!」を感じさせることを最優先課題に始めてみてください。

ただ、これらはあくまでテクニック論、戦術に過ぎませんが、龍岡商店さんの根本課題は「人手不足」です。
店長一人の負担が大きすぎて、完全にキャパオーバー。

物理的にも手が回らないですし、疲労が過労になれば、いずれ精神的にも心折れますし、その前に身体を壊す可能性も高いです。

そうなる前に、ご自身の仕事をしっかりと整理分析して、店長ご自身でしかできないことと他人に任せられることに仕分けし、任せられる部分はパートさんで良いのでなんとか雇ってしっかり教え育て、少しでも早く、少しでも身軽になって、その分できた時間でプラスの売上を作ることに時間と労力を回していきましょう。

具体策としては、細かな作業・手間が必要な個人向け小袋商品の袋詰め作業を減らすように、パッケージ包材の詰めやすい袋への変更や、大袋パッケージ商品を割安価格で設定し、そちらへの誘導や、客単価の高い大袋オーダーが増えるような業務卸販促策として、トップページで「業務卸販売のアピール」を行っていきましょう!

・レストラン、飲食店、小売店様! 卸売りお見積りします! お気軽にご相談ください! で中袋、大袋品を設定し、誘導する。効率を上げ、注文単価を上げる!

しかしながら根本的に悪循環から脱却するには、人を雇うか、外注するか、機械化して時短で作業効率を上げるか。

龍岡さん自身の身体と心と時間に余裕を作る策しかありません。

ショップページを直す前に、今の龍岡商店さんの最優先課題はそこにあると思います。

幸い、兵庫〜大阪とお近くですし、撮影〜画像加工の研修ならたった1日、すぐにお手伝いもできると思いますが、人材雇用や資金繰りは龍岡さんしかできない重要事項です。

それでもお一人で悩んでループから抜け出せない時は、お気軽にご相談ください。

以上、「ダメ出し!道場」でした!

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。