とんぼ玉工房 いちの家

カテゴリ:ファッション

とんぼ玉工房 いちの家

ネットショップをどうかまっていいのかがわからない。
展示方法等手探りでやってるためにサイトがバラバラで手直しをどこからどうしていいのかわからない。

「三種の神器」と言えば?

昭和では「冷蔵庫」「洗濯機」「カラーテレビ」だったのが、
令和ではなんと、「全自動洗濯乾燥機」「食洗機」「ロボット掃除機」
だそうです。

って、それは家電の「三種の神器」ですね(^^;)

今日のお話は本物の「三種の神器」のことです。
神話の時代から天皇家が代々受け継いできた三つの宝物のことですね。

「八咫鏡(やたのかがみ)」
「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」別名「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」
「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」

の3つのことです。
古事記や日本書紀の神話に詳しくない方でも、
「三種の神器」が鏡、剣、勾玉ということくらいは、アニメやゲームのストーリーなどでもなんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか。

神話の中で、「八咫鏡」は天の安川という天界にある河原で作られ、「天叢雲剣」はスサノオ神がヤマタノオロチという8つの頭と8つの尾を持った大蛇を退治した際に、尾の中から出てきたとされています。
「八尺瓊勾玉」はアマテラス神の岩戸隠れの際に、知恵の神様であるオモイカネが玉祖命(たまのおやのみこと)=別名 櫛明玉命(くしあかるたまのみこと)という玉造の一族の祖とされる神様に作らせたとされています。

残念ながら戦後の日本では、これら日本の成り立ちにまつわる神話を学校で教えなくなったので、興味のある方は本やネットで調べてみてください。

ヤマタノオロチや三種の神器以外の神話にも、「因幡の白兎」「国譲り」など島根県出雲地方から鳥取県にかけての山陰地方が舞台となっている神話は多く、これら神話の神々を祀(まつ)っている神社や観光スポットもこの地方には多いです。

さて今回のお店は、そんな山陰は島根県松江市の玉造温泉で有名な玉湯町の温泉街にある「とんぼ玉」というガラス工芸品を製造販売されているお店→「とんぼ玉工房 いちの家」さんです。

玉造温泉の公式Youtubeで紹介動画がありましたので、まずはご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=F9KuVISfWIY
現地の実店舗ではガラス細工でのとんぼ玉作り体験もできるようですね!

玉造温泉の「玉造」には、先の神話に出てくるような勾玉などの玉造の一族の祖とされる神様を祀った玉作湯神社があり、また周辺からは勾玉・管玉・丸玉などの玉類が多く出土した遺跡もあったりと、正に「玉造」のルーツといえる地なんですね。

温泉としても日本三名泉の一つに挙げられ、その泉質は製薬会社の分析で「高級化粧水並み」と評されるほどの「美肌の湯」としても注目されています。

「とんぼ玉」はこれら玉造とは直接は関係ありませんが、ルーツは古代エジプトともメソポタミアともいわれ、日本でも古い物は古墳時代にシルクロードから大陸〜朝鮮半島〜と渡ってきたものが各地の古墳から出土したりしています。

正倉院の奈良時代の書物の中には(とんぼ玉とは呼ばれてはいませんが)同様の宝飾用のガラス玉製法が書いてあるそうで、古くからガラス玉の工芸は日本に定着していたようですね。

今回のお店を含め、現代の日本各地で作られているとんぼ玉は古代からの製法が伝承されたものというわけではありませんが、古(いにしえ)よりガラスを加工して色彩や模様をこらしたガラス玉は、美しい工芸品であるとともに人々の心を惹きつける魅力的なな力を持っているのかもしれませんね(^-^)

ではでは今回の「ダメ出し!道場」始まりです!

第一印象:良くも悪くもキレイなとんぼ玉自販機ショップ


EC仙人 太田

店舗名「とんぼ玉工房 いちの家」からも、トップページの大きな商品画像からも、「あぁキレイなとんぼ玉を売ってるお店なんだなぁ」
とまではすぐわかるのですが…

「いったいどこのどんなお店?」
「作ってるの? 仕入れて売ってるの?」
「どんな人が作ってるの?」
「日本製? 輸入品?」
などなど…

お店のプロフィールやバックグラウンド(背景)、ひとけ(人気)がまったく感じられませんし、「島根県の玉造温泉の地にある」という個性や特徴を一切アピールされておらず、味気なく感じます。
そういう意味でも「無味乾燥な自販機的なお店」に見えます。
(もったいない)

単に、とんぼ玉の色柄デザインなど仕様と価格だけで商品探しをしているようなお客様ならそれでも良いかもしれませんが、きっと多くのお客様はそうではないでしょう。

「どんな人(職人・アーティスト)がどんな思いで、どんなこだわりを持って、どんなセンスで、どんな技法や製法で作っているのか?」
「お店はどこにあって、どんな地域性や文化的背景があって、どんなエピソードや物語があるのか?」

お客様は製品・商品を取り巻くこういった情報やストーリーやメッセージも含めて、興味・好奇心・知識・ウンチクを求めているものです。

残念ながら今のショップにはこうした情報がまったくありません(>_<)

 

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

今回は店長の角(すみ)和幸さんにお電話でお話を伺いました。
おちゃのこ出店は2013年ですが、創業は2008年。
元々は角さんは他県の建設関係の会社で働いていたそうですが、重いご病気で闘病生活を経験され、観光関係のお仕事をされていた弟さんの誘いもあって、地元である島根県松江市に帰り、観光地である玉造温泉で起業しようと奥様ともう一人の弟さんと3人で「いちの家」を創業されたとのこと。
とんぼ玉やガラス細工にはどなたか経験があったのかとお聞きしたところ、なんとまったく何もなかったが、なんとなく3人とも気に入ってゼロから独学でスタートしたとのこと。

当初は温泉街の観光客をターゲットに「とんぼ玉作り体験」を主要商品にしようと目論んでいたそうですが、体験客は思ったようには増えず、ただ土産物としての購入客は多く、作る端から売れて行ったそうです。
数年後には島根県最大の観光地である出雲大社の近くにも支店を出し、業績は順調であったそうです。

おちゃのこ出店以前にも知り合いのデザイナーさんに依頼して、自社ホームページやブログでの告知など積極的にされていたそうですが、そのデザイナーさんが突如行方知れず、音信不通になってしまい、サイトやブログも勝手に削除されてしまったとのことです。

2013年からはおちゃのこに出店し、実店舗が手すきの時を利用して人気・定番デザインのとんぼ玉を販売するようになったものの、ショップ制作・更新の作業スキルは不得手で、商品登録以外のコンテンツはなかなか思うように制作・更新できていないのが最ももどかしく悩ましい点とのこと。

コロナ禍で観光客の激減があってスタッフも減らし、製造キャパが低くなったり、出雲大社店への往復も負担になって、そちらは一旦閉店されたとのこと。

コロナも明けて、次の策に向けてまずは客観的にお店を見つめ直そうと、今回「ダメ出し!道場」へご応募いただいたそうです。

実店舗は玉造温泉街の中心を流れる玉湯川沿いのメインストリートにあり、旅館やホテルが立ち並ぶ好立地で集客には事欠かないようです。

 

具体的なダメ出し&改善策


EC仙人 太田

店舗紹介
https://ichinoya.ocnk.net/page/3
狭義に実店舗の紹介のページのようですが、外観写真があるだけでどんなお店なのかさっぱりわかりません。

広義に実店舗もネットショップも含めた「いちの家」紹介のページとして、
・とんぼ玉工房「いちの家」とは?
(創業の思い、こだわり、強み、得意なこと、できること、スタッフ)

・とんぼ玉 とは?
(歴史や製法)

・島根県、出雲地方、玉造温泉や周辺情報、神話や神社、物語エピソード、縁結びなど願かけなどパワーストーン的要素、付加情報コンテンツ

などなど、単なるガラス工房、とんぼ玉ショップとしてだけでなく、いちの家さんの他店とは異なる個性や環境やこだわりをしっかりと用意して掲載していきましょう。

写真も、汚れたりひび割れた看板で天気もどんよりした日の外観写真ではなく、晴れて明るい日の外観と店内や工房の写真など、印象の良いものを大きく用意して掲載しましょう。
https://bit.ly/3WTPrk8
↑↑↑↑↑ちょっと修正してみましたが、できれば撮り直ししましょう。

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いちの家さんにとってはもはや当たり前の地元情報も、遠方の方からすれば魅力となるコンテンツ、キーワードが目白押しです。

出雲大社、神楽、神話の国、美肌の湯・神の湯と呼ばれる玉造温泉。数多くある創建の古い神社、古墳、遺跡、日本刀の源である玉鋼(たまはがね)を作る「たたら製鉄」の里→奥出雲、世界遺産石見銀山、宍道湖、山陰〜中国地方と少し範囲を広げればまだまだネタは尽きません。

アイデア次第で商品のモチーフやアレンジなど、他のとんぼ玉屋との差別化ポイントも山ほどあるのではないでしょうか。
例えば「神話シリーズ」とか「島根の季節の花シリーズ」など。
https://www.kankou-shimane.com/model-course/course03.html
https://www.kankou-shimane.com/pickup/29045.html

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インタビューでおっしゃっていた、
「地元神楽の団体から、ヤマタノオロチ退治の演目で使うオロチの目をとんぼ玉で作って欲しいとのご依頼があった」
とのエピソードを聞かせて頂きましたが、「ヤマタノオロチの目」なんて、とんぼ玉があったら何か強い魔除けのようなパワーを感じそうですね!

地元の玉作湯神社でお祓いを受けてお守りとして販売できないか、など役所の観光課や観光協会、神社と相談してみてはいかがでしょうか? 観光地にあるメリットとして地元との繋がりを商品やサービスに生かすのも一考です。話題になりやすくマスコミ、メディアの興味も引きやすいので認知度アップのチャンスも増えます。

「神楽のヤマタノオロチの目を地元のとんぼ玉工房が製作」
なんてプレスリリースすれば、メディアが取り上げそうなネタですよ!

こうしたエピソードを持つ神話の国の「とんぼ玉工房」と都会にあるガラス工房とでは印象はかなり違うはずですね。

また、だいぶ以前のこととおっしゃっていた全国ネットのテレビ番組での紹介なども、お店の信頼度・ブランド力のためには掲載して良いと思います。

まだ番組サイトに載ってました。
↓↓↓↓↓
https://www.tv-asahi.co.jp/rakuen_2016/contents/past/0082/

とにかく、自己(自店)紹介、情報収集してよく考えて、しっかりと作りこんでみましょう。

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メニューに「Instagram投稿商品」がせっかく用意してあるのに、
https://ichinoya.ocnk.net/product-list/28
最近の投稿商品はここに掲載されていないようです。
Instagramからアクセスがあってもなかなか商品が見つけられないと機会損失の可能性が高くなりもったいないです。

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ブレスレット、かんざし などは不人気商品なのかもしれませんが、
https://ichinoya.ocnk.net/product-list/30
https://ichinoya.ocnk.net/product-list/31
品揃え数、幅が少なすぎる。

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修理 というメニューはあるが コンテンツがないようです。
https://ichinoya.ocnk.net/product-list/21
すぐに用意できないなら一旦メニューも削除した方が良いです。

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勾玉シリーズ
https://ichinoya.ocnk.net/product-list/18

せっかく「玉湯川の土手に咲く桜をイメージ」というのなら、その桜並木やせめて桜の花の写真などをイメージカットで入れたいところですね。

また「玉造」ともなじみの深い「勾玉」シリーズ なので、春の桜だけでなく違う絵柄、モチーフの勾玉も品揃えが欲しいですね。

和のイメージとも合いやすいとんぼ玉ですので、帯留め、根付け、草履チャームなど和装小物もあれば客層が広がるかと思います。

またストラップを携帯・スマホに付ける人は減っていますので、バッグチャームなど他の持ち物に付けるパーツや方法も提案していけば、お客様の「あ、それ欲しい!」が増えると思います。

とんぼ玉のピアス、ネックレスは男性には着けにくくても、バッグチャーム、キーチャームなら欲しくなる男性も出てくると思います。(→提案による市場客層の拡大)

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プレゼントにも向いている商品だと思いますので、プレゼント用のギフト包装(箱、ラッピング、メッセージカードなど)についての説明コンテンツはぜひ用意してほしいですね。

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商品写真は全体的には十分なクオリティだと思いますが、静止画の限界を感じます。特にガラスや金属など光る物は、動きの中で光が変化してこそ立体感や光沢や煌めきを感じます。

ぜひ自動ターンテーブル(ディスプレイ台)を使ったショート動画を全商品撮影してアップしていってください。高額なカメラや機材は不要です。スマホとスマホアプリを駆使しましょう!
100枚の静止画より、30秒の動画の方が伝わることも多いと思います。

 

総評

「いちの家」さんは観光地である島根県、出雲〜松江の玉造温泉にあるという長所をほとんど活かさず、アピールもせずもったいない限りです。観光地にあるがゆえの多くの旅行関連サイト、観光案内サイトにも掲載され、リンクされているだけでも大きなメリットですが、旅先の土産物店としてだけではなく、事業も15年を超え、地元の工芸品工房として技術力もレベルアップされたでしょうし、一定のブランド力が築かれてきたはずです。

ネットは苦手、ネットはいつまで経っても素人、ではなく、適時、タイムリーに情報発信、編集、更新できるようにしていきましょう。
店舗ページで分からないことはおちゃのこサポートにどんどん質問して教えてもらいましょう。また自分でできなくても、できるスタッフを雇うか、頼みやすい外注さんを見つけておくのも方法です。

商品スペックと価格だけで全国に数多くあるとんぼ玉ショップと差別化して行くのはしんどいです。

単にお客様の「物欲」を満たすだけではなく、「知識欲」(ウンチク欲)も満たしてあげられるお店を目指しましょう。
それがお店の付加価値となり、いずれはブランドとなっていきます。

これを機会にあらためて島根や山陰、神話や伝統工芸など、地元の価値ある情報・知識・教養を磨いて商品開発に生かしましょう!

いちの家さんは、技術力も、商品開発力も将来的なポテンシャルは十分にあるお店だと思います! 今後の戦略や方針など進むべき方向について相談したい! などありましたら、またいつでもご相談ください。
玉造温泉に呼んでいただければ喜んで参ります!(^^;)

以上。「ダメ出し!道場」でした!

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。