みれっとファーム

カテゴリ:食品、飲料

みれっとファーム

動物性、添加物を使わずできる限りオーガニックの材料を使用した焼き菓子をメインに販売しています。元々マーケットが小さいことに加え、大手が参入してきて全盛期から売り上げが半減しております。 店舗への卸をメインに営業してまいりましたが、今後個人のお客様への直販に力を入れたいと思います。 どうぞよろしくお願い致します。

長年多くのショップさんのお手伝いをしてきて感じてきたことがあります。
それは、売れるお店の店長さんは「想像力が豊か」ということです。

どんなお店であっても、お客様はすべて店長さんと同じ性別、同じ年齢、同じような趣味嗜好であるわけはありません。

異性だったり世代が違ったり、生活環境や金銭感覚、好みやセンス、感覚などが違って当たり前ですよね。

それでも、その「違い」を乗り越えてお客様の好みや欲しいだろうものや値ごろ感などを想像し、商品開発や品揃えや値付けや提案をして、より多くのお客様とマッチさせることが上手なお店が、「売れる店」なのだと思います。

例えば誰かにプレゼントをするものをネットショップで探すとしたら?

相手が3歳の女の子なら、喜びそうなものは?
ぬいぐるみ、お人形、お絵描きグッズ…?

まだ個性や趣味嗜好が確立されていない年齢の相手なら、ある程度想像しやすいかもしれません。

では、ターゲットが14歳の野球少年だったら?
バットやグローブ、一流プロ選手のグッズなどでしょう。

同じ14歳でも 鉄道好きの少年ならば?
欲しいと思うものはまったく変わってくるでしょう。

では、20歳の女性の欲しいアイテムは? と考える場合は…
都会の会社に電車で通う事務職の女性なのか?
地方・郊外で自動車通勤している営業職の女性なのか?
地方都市で大学に自転車で通う体育会系の学生さんなのか?
専業主婦なのか、夜職のギャルか、介護職か、どんな生活環境か、インドア派かアウトドア派か、食に興味が強いか弱いか、環境問題への関心の有無、所得の多少などなど…

同じ年齢・性別であっても環境や境遇や趣味などによって、それぞれの置かれた状況によっても、欲しいものや喜ばれるものが変わってくることが想像できますよね。

ウチのこの商品がどんな環境のどんな人に求められているだろうか?
どんな人に喜んでもらえるだろうか?
どんなシチュエーションなら買いたくなるだろうか?
などを考える想像力が豊かな店長さんのお店には、それに合わせた品揃え(商品企画力・開発力・調達力)と提案力(仕様だけじゃなく用途提案・活用提案)があり、結果としてよく売れるお店になっているのだと思います。

こうした想像力には天性のものもありますが、意識して、訓練して、いろいろな立場の人の目線になって自店や自店の商品を見るクセをつけることで養われていきます。

逆に想像力のないお店は、自分の視点、思い込みや決めつけが強く、状況や環境の違うお客様のマインドの想像ができていないお店だといえます。

リアルに対面で多くのお客様と接することができないオンラインショップでは、常に意識的にいろいろなタイプのお客様を想定して、それぞれのお客様の目からはどう見えているだろうか? と想像するクセを付けておきましょう。

さて、今回のお店も新たな想像力が必要なようです。

信州は長野県諏訪郡にある農園と焼き菓子工房のお店です。

それでは「ダメ出し!道場」始まりです!

第一印象:改革リニューアル中の焼き菓子専門店…"


EC仙人 太田

実は「みれっとファーム」さん、今回の「ダメ出し!道場」のインタビュー前までは、おちゃのこネットの旧テンプレート(スマホ非対応)で作られたお店だったのですが…

インタビュー時に、「まずはスマホ対応のテンプレに変えていきましょう」と申し上げたところ、ここ数日でレスポンシブ対応のテンプレートに切り替えられた様子で、現在リニューアル中になっており、この原稿を書いている今現在はトップページにはオススメ商品など商品の一覧がまったく展示されていない状況になっております。

インタビューの感想など書いていただいているようですが…(^^;)(ありがとうございます)
お客様には関係ないことですので、早めに更新なさってください。

これから随時整理されて、オススメ商品や特集などが作りこまれていくことと思います。

とりあえず現時点での第一印象ダメ出しは、「みれっとファームとはどんなお店なのか?」が伝わりにくいことです。

「みれっとファームとはどんなお店なのか?」
「どんな人がどんな思いで、どんなコダワリやコンセプトでどんな商品をどう作ったり仕入れたり売ったりしているのか?」
「どんなお客様を想定して買っていただきたいのか?」

など、まずはお店の自己紹介を1つのページにまとめて「みれっとファームとは?」として作ってみましょう。

できれば文字だけでなく、農園の写真や工房での製造風景各種素材や商品の盛り付けやアレンジのイメージカットなどの写真やショート動画も織り交ぜて1ページにまとめると、初来店のお客様がそのページを見るだけでみれっとファームの特徴を感じてもらえるようになると思います。

まずはA4用紙1〜2枚に 「みれっとファームとは?」というチラシを作るイメージで書いてみてください。

ある程度まとまったら、それをページに作りこんでメニューの最上部に載せましょう。

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商品の第一印象(全商品一覧より)
https://milletfarm.ocnk.net/product-list

現状はほとんど 袋詰めされた茶色系統の焼き菓子の一覧ですので、品名とラベルが違うことくらいしかわかりません。

また商品名が「三郎君」「太郎君」「花子さん」など名前だけなので、中身がどんな素材のどんなお菓子なのか? 甘いのかしょっぱいのか? 甘じょっぱいのか? 洋風なのか和風なのかさえわからず、ひとつずつクリックして商品ページの詳細を見ないと何も伝わりません。

時間があって好奇心が強い気長なお客様でないと、ひとつずつ見てくれません。まずは商品名を見ただけで特長がわかり、興味が沸くような素材名などキーワードを埋め込んで欲しいですね。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

2代目の現店長、吉田匠未さんにお電話でインタビューしました。
みれっとファームおちゃのこ店は2014年1月〜で現在10年目ですが、創業は1988年、先代である匠未さんのお父様とお母さまが福島県で開業。最初はネットショップはなく、地元の日曜市などマルシェ出店でお弁当などの製造販売からのスタートだったとか。

その後オーガニックの食品加工業を立ち上げましたが、2011年の東日本大震災で原発25Km圏内からの避難を余儀なくされ、現在の長野県諏訪郡の八ヶ岳山麓へ移住し農地と家と工房を手に入れ再スタート。2014年におちゃのこ出店しネット販売も始めました。

2017年にお父様は食品加工業を引退し農業に専念。息子の匠未さんが2代目店長として食品製造加工と販売を引き継ぎ、現在はスタッフ1名と2人で奮闘中です。

コロナ禍やオーガニック食品市場の成長などもあって、大手メーカーなどの参入でオーガニック加工品の競合商品が増え、一般のスーパーやコンビニでもオーガニック食品が入手しやすくなったり、ライバルネットショップの増加など逆風が強くなり苦戦中とのこと。

先代店長が長年独学で構築してきた自社サイトやブログ、関連ホームページもありますが、現店長はHTMLなどページ制作スキルは持たず、おちゃのこ以外のサイトは閉鎖の方向です。

おちゃのこショップもまだ思うように更新できず、お悩み中という状況とのことです。

ただ、若い新店長は、新商品開発や、商品パッケージ含め商品のリニューアルなど改革・改善には意欲的で、今後に期待できそうです。

長年築いてきたリアルの小売店さん、特に東京方面の自然食品ショップさんなどへの卸売りルートがあるそうなので、リアルの都市部の市場のニーズは入ってくるようです。

具体的なダメ出し&改善策


EC仙人 太田

トップページのテキストを読んでいくと…
「砂糖、卵、乳製品(牛乳、バター)、保存料、着色料、化学調味料を一切使用せず、できる限り安心して食べることができる材料にこだわった食品の製造と販売」

がコンセプト・特長 だとわかるのですが、まずはこれを大きく目立つように入れた看板画像にして欲しいところです。

「できる限り安心して食べることができる材料」に関しては、1ページ設けて、多くの商品に共通して使われているものだけでもひとつずつ箇条書きで説明して欲しいです。

例…
小麦粉や全粒粉:どんな品種や産地からどんな基準で選んでいるかなど複数あっても良い。逆にどんな小麦は決して使わないなど、もっと良さのアピールできる情報が欲しいです。もったいない。

塩:自然塩とはどこ産のどんな製法の塩なのかなど、固有名称は出さなくてもお客様が安心できるようなもう少し詳しい情報が欲しいです。

麦芽米飴:麦芽水飴とはそもそも何なのか? どこ産でどんな製法でとか精製砂糖の代わりに使っているとか、砂糖を使わない理由とか、肝心のこだわりの部分の説明がなく、良さが伝わっていません。

菜種油:抽出ではなく熱をかけないコールドプレス圧搾など、せっかくのこだわりの説明がなく、良さが伝わっていません。

カレンズ:干しブドウの一種のことのようですが、カレンズという言葉は一般人にはなじみがないので補足説明が必要です。レーズンとの違いや産地、製法の情報も欲しいところです。

その他フルーツ類:産地や加工法、製法などできる範囲で説明が欲しいです。

オーガニックや無添加を謳う際は、できるだけ詳しい情報があればあるほどお店の信頼性は高まります。

国内で製造または加工されるすべての加工食品に原材料の原産地の表示を義務付ける「新たな加工食品の原料原産地表示制度」が平成29年(2017年)9月からスタートしており、既に2022年3月までの経過措置期間も終了して、現時点では義務化されていますので、早めの対応をしていきましょう。

参考:政府広報オンラインより
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201709/1.html

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商品名について:現状は商品名が「三郎君」「太郎君」「花子さん」など名前だけなので、中身がどんな素材のどんなお菓子なのか、甘いのかしょっぱいのかさえわからず、ネットショップでは興味を引きにくい状況です。

まずは商品名を「三郎君 野ぶどうクラッカー」とか、「太郎君 有機カレンズ入りクッキー」とか、「花子さん 有機アーモンドクッキー」のように、中身と特徴がわかるキーワードを入れた名前に変更していきましょう。(1日でできる改善!)

これは商品ページの検索対策にもなると思います。

また、一覧の時点で 中身の姿形がわかるように、サムネイル画像はパッケージのみではなく、半分がパッケージで半分は中身のような画像に変えたり、クッキー、クラッカー、タルト、かりんとう など文字入れして味や食感がイメージしやすくするような改善があると、初見のお客様にもイメージしやすくなると思います。

また、大容量で割安なお買い得パッケージや、10袋とか20袋とか箱買い数量割引のような商品登録もあると、リピーター様の大口注文による客単価アップも期待できると思います。

食品ショップの場合、購入総額に対して送料比率が高いと損した気分になったり、注文をためらうことにもなりかねないので、おまとめ注文で総額を高めて送料比率を下げたり、6,000円以上とか8,000円以上送料無料など、少し頑張ればなんとか超えたくなるような送料無料ラインの最適化で、客単価UP、利益UPにつながります。

原稿では5,400円以上送料無料となっていますが、昨今の運送会社の運賃UPなども考慮して適正なラインを見直す機会かもしれません。

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あっぷるぱい フルサイズ
https://milletfarm.ocnk.net/product/25
↑↑↑↑↑だけ箱の写真なのですが、茶色い箱だけ見せられても「美味しそう!」とか「食べたい!」とか感じられませんよね。

商品名を「あっぷるぱい 箱入り 21cm ホールフルサイズ」にして、商品写真は皿にホールで載せてナイフで切り分けているシーンにするなど工夫が欲しいところです。ギフト向きなどの表示も入れたいですね。

食品店である以上「買いたい!」の前に「美味しそう!」「食べたい!」と感じさせることが肝要です。

また、このあっぷるぱいは、よく見ると箱に「要冷蔵」の青いシールが貼ってありますが、この商品は「クール便」発送ではないですか?

ご利用案内ページに特にクール便について送料別料金などの説明はないようですが、大丈夫ですか?
今後クール便の商品が増えることを想定して、早めに対応をしておきましょう。

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私が作っています のページ
https://milletfarm.ocnk.net/profile
名前と星座だけではかえって怪しいです(^^;)

お客様が安心できるような自己紹介、経歴や、特技や、食や商品開発へのこだわりや、なんらかの「宣言」とか「思い」や「メッセージ」など、ぜひ個性をしっかりとアピールしてください。

顔写真は出したくなければ出さずとも良いですが、商品を作っている白衣の後姿や農作業している畑での顔はわからないくらいの遠景など、地元の風景なども踏まえてイメージカットがあると、印象が良くなると思います。

総評

直接お電話でお話を聞けば明確なお店の特徴「オーガニック、動物性の原材料や添加物を使わない、ナチュラルで安心の原材料」はあるのに、その最大の強みやこだわりを端的にアピールするページやバナーがないことが、今回の最優先のダメ出しです。初来店のお客様の目線の想像力を持って、お店のページを準備しましょう。

こだわりの食品ショップ においては、何をおいてもまずはそこのアピールからです。

厳格なベジタリアンやビーガンというような少数派の方から見れば、まだまだゆるいお店かもしれませんが、一般的な無添加、オーガニック、減農薬、マクロビなどいわゆる自然食品志向の多数派の方を広く取り込む上で必要最小限の素材や原産地や製法などの説明は必須です。

それがあってこそ、スーパーで売っている普通のクッキーやパンや焼き菓子よりお値段の高いみれっとファームさんの食品を買う理由になるのです。

原点に立ち返り、お店トータルで必要な説明アピールと、個々の商品に必要な説明アピールを整理して、リニューアルしていきましょう。

ページ作成、更新については何がなんでも自前で独学でやろうとせず、うまくフリーランスの外注デザイナーさんを見つけて依頼したりしながら、費用を抑えつつも時間も節約して、早めに優先度の高いことからリニューアルしていきましょう。

撮影と画像加工や簡単な動画撮影や編集、バナー作りなどは、SNS発信も含めて店長の仕事ですので、少しずつ勉強して覚えていきましょう。

その辺りも含めて、今後の具体的な改善計画をお気軽にご相談いただければと思います。

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また、店長も感じられている世の中のオーガニック食品の普及で、ネットショップで買いたい物(特別感)も変化してきていると思います。より付加価値の高い近所のスーパーでは買えないような新商品開発は必須だと思います。

長野や諏訪という自然あふれる地域性ブランドを活かして、地元のフルーツや野菜、キノコや木の実などを上手く活用した新商品開発や話題作りも重要だと思います。

農業に専念された先代社長の作る新たな農作物(素材)やそれを使った新たな加工品などにも期待したいところです。
あんこ、ハチミツ、ハーブなど量や種類を増やしていきたいですね。

もろもろのアイデア出し・ブレスト・壁打ちなど必要でしたら、お気軽にご相談ください。

以上。「ダメ出し!道場」でした!

 

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。