桃花 365 vege・fru

カテゴリ:食品、飲料

桃花 365 vege・fru

(1)集客力が低いこと
(2)売り上げが伸びないこと

いよいよ気温も下がり、秋も深まって来ましたね〜 (^-^)
「スポーツの秋」「芸術の秋」「行楽の秋」「読書の秋」…
いろいろとありますが…

私はもっぱら「食欲の秋」です!
(毎年、このシーズンには言ってるような気がしますが…)

特に、国産のさまざまなフルーツが旬を迎え、
リンゴ、梨、柿、桃、栗、ブドウ、イチジクなどなど
スーパーの店頭も色鮮やかなフルーツコーナーが目と食欲を惹きつけますね。

日本の果物の甘さや大きさ、色・形などクオリティの高さはインバウンドの外国人の方々もビックリされるそうです。
高級品種の値段の高さもビックリされるようですが(^^;)

ただ、生鮮品なので何週間もは日持ちがせず、海外へのお土産物やギフトとして送るのはちょっと悩ましいですね。

また季節が違う果物が無性に食べたいって時には、缶詰やドライフルーツに加工したものも良いですね。

ただ、加工品となると、外国産のちょっと安心・安全に不安のものが多く、安心できる国産フルーツのものはコンビニやスーパーではなかなか売っていませんし、百貨店や高級食材店では価格もお高いですね。

「フルーツ缶はヨーグルトやアイスクリームなどのトッピングに」と言う人は少なからずいらっしゃると思いますが、

そもそも、ドライフルーツってせいぜいレーズンをそのまま食べるか、パンや焼き菓子やケーキに入っていたら口にするくらいで、
ドライフルーツを買ってそのまま食べるニーズって、かなり少ないような気がします。

皆さんはいかがですか? ドライフルーツお好きですか?

でも昨今はフードロス(食品廃棄)を減らそうという機運もあって、傷もの、わけありや収穫過多の際に廃棄せず、加工品にして消費期限を延ばし、大切に消費していくことも求められていますよね。

さて、今回のお店はドライフルーツやドライ野菜の製造加工品の直販ショップさんです。さてさて、どんな強みをお持ちでしょうか。

それでは「ダメ出し!道場」始まりです!

第一印象:タイトル・写真・看板などから無添加のドライフルーツとドライ野菜の専門店とはわかるが、強みや特長がいまいち不明


EC仙人 太田

トップページのタイトルは
「添加物を使用しない国産・無添加のフルーツティー365vege/fru桃花 トウカ」

看板画像やキャッチ、あいさつ文すべてに
「自然素材、食品添加物を一切使用しない無添加、ドライフルーツとドライ野菜」のキーワードが散りばめられているので、ドライフルーツ、ドライ野菜の専門店であるところまでは十分にわかりますが…

そこから一歩踏み込んだ「特徴・強み・こだわり・思い」となると、見受けられず…

ドライフルーツやドライ野菜に最初から強いニーズのある方には良いですが、興味、関心はあるけどまだよく特徴がわかっていない、スーパーに売っている安い海外産ドライフルーツと何が違うのかわからない、そんなに食べたい! 買いたい! までの強い知識や見識がない人には、いまいち押しが弱いお店の印象です。

そもそも、嗜好品・おやつ・甘味・スイーツとしてのドライフルーツが大好きで頻繁にリピートする! といった人はあまり見かけません。消費者の中でも少数派かと思われます。

でも、ダイエットや健康、美容などなんらかの意図や目的を持って、単なる嗜好品ではなくヘルシーフードとしてドライフルーツを探していたり、お菓子作りの材料や、小動物などペットのおやつとして無添加のドライフルーツを求めている人は少数派でもニーズとマッチすれば購入確率やリピーターになってくれる確率が高いと思われます。

せっかく自社で製造しているのに、そのアピールも説明も弱いですし、食の安心・安全の一つとして「無添加」はアピールしているのに、果物や野菜そのものの安全性・信頼性はほとんど触れられていません。(産地、生産者、農薬・化学肥料の使用・未使用など)

強み・コンセプトの作り込み不足、説明・アピール不足を感じます。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

佐藤泰彦専務と、奥様で社長の佐藤和子さまにTELにてインタビューさせていただきました。

最初はお店のコンセプト・テーマは何ですか? という質問に、ページに書いてあるように、

「海と山と自然の恵みたっぷりな山口県下関市で自然素材に余計な手を加えず、食品添加物を一切使用しない無添加のドライフルーツとドライ野菜のブランド"365vege・fru”として一つ一つ手作業で自分たちが本当に納得できるものを妥協せずに作っている」

「素材の持つ深い甘みと風味が出るように、低温でじっくり乾燥させたドライフルーツを使ったフルーツティーやスイーツ。ドライ野菜を使った野菜のスープ等を製造・直売している」

ということをおっしゃっていました。

創業のきっかけにさかのぼってご質問してみると、
当初は中国茶器や雑貨などのオンラインショップとしてスタートされたそうですが、もともとは社長が個人的に中国茶や漢方や薬膳に興味を持ち、勉強なさっていて、そんな中でいろいろな素材をブレンドした中国の健康茶(八宝茶)にヒントを得て、何か健康に良いものを自分たちで作って販売できないか? と国産のフルーツや野菜をできるだけ風味や栄養を失わないように低温でじっくり乾燥させてドライフルーツ、ドライ野菜を製造し、フルーツティーやドライ野菜スープにして直販するお店になったそうです。

ただ、それだけではなかなか思ったように売れず、ドライフルーツにチョコレートをコーティングしたり、ドライフルーツを使ったマカロンビスケットなどスイーツの開発もされるようになり、商品を広げてこられたそうです。

そのおかげもあり、ネットショップ以外では山口県内の空港売店などの土産物店やこだわりの自然食品店、食品問屋さん経由で全国の食品店などへの卸売りで市場も広げておられるようです。

アールグレイ紅茶とドライフルーツをブレンドし、英国紳士風のハットをかぶった可愛い猫のキャラクターのパッケージで「ねこ紳士の長州紅茶」のように、山口県の特産土産として人気商品もできたようです。

商品作りの基本方針は 「無添加」、「国産」でしたが、チョコレートは大豆由来とはいえ、「乳化剤」を添加物として使わざるを得なかったり、キウイやパイン、紅茶など国産では調達が難しいフルーツ素材もあったりと、「無添加」「国産」縛りの自己矛盾が発生してきているようです。

よくよく聞いていくと、当店の根本の強み・特徴は、単なる「無添加ドライフルーツ」ではなく、そもそもの社長の薬膳や漢方の知識をベースに「 健康に良いものを自ら作って提供したい!」という思いにあると感じてきました。

具体的なダメ出し&改善策


EC仙人 太田

まずは当店「桃花」とはどんな人がどんな思いで始めたのか?
どんなお店でどんな商品をどんな風に作っているのか?

無添加ドライフルーツ以外に本質的にどんなコンセプトでどんな特長・強みがあるのか?どんな方々にどんな風に楽しんでいただきたいのか?

という「基本」について今一度見直してみることが必要だと感じました。「無添加」の背景にあるのは?→「身体・健康に良い」ですよね。

であれば、素材の産地や生産者、栽培方法(減農薬、無農薬、オーガニックなど)や洗浄、加工における洗剤や水やプロセスなど、どこまで気を使って考えてこだわっているのか?

これは、すべて無農薬やオーガニックにしましょうと言っているわけではありません。「無添加」にだけこだわって、それ以外を曖昧、不明確にしていては結局お客様の「不安」「心配」「懸念」「気がかり」などは拭えませんので、「特長」が「強み」になり切れません。

例)メニューの「桃花のドライ加工」のページにおいて、
https://touka-tea.ocnk.net/page/14

かんきつ類(みかん?)を洗ってカットして乾燥機に並べている写真がありますが、左の洗っている写真ではスポンジで泡立っている様子が見えます。

皮ごと食べるドライフルーツなので、この泡立ちは洗剤?→どんな洗剤? 合成洗剤? 自然派洗剤? 安全なもの? 浸透や残留などは大丈夫?
などなど、この写真を見て不安を感じる方もいるかもしれませんよね。

「この写真がダメ!」 と言っているのではなく、この写真についての説明文がまったくないのが「ダメ!」です。

例えば…
「一つ一つ丁寧に洗って汚れや雑菌をキレイに洗浄しています。野菜・果物専用の自然派洗剤を使用し、流水で充分に洗い流しておりますので、安心してお召し上がりいただけます」のようなキャプションを付ければ、不安を安心に変えて写真を見ていただけるようになります。

また、乾燥機・低温乾燥について の説明が少なく、高温乾燥と比べて何がどう違うのか? 良いのか? 栄養素? 色合い? 香り? 風味? 実際の温度は?(企業秘密でなければ)高温乾燥との比較写真や栄養価の分析値などなど、簡単にはできないこともあるかもしれませんが、できるだけ明確に示すことができればできるほど説得力が増し、信頼できるお店になると思います。

また、安価な海外産のドライフルーツとの比較(油で揚げる、砂糖やでんぷん、保存料など良くない添加物をまぶす)など、当店以外のドライフルーツ、ドライ野菜のリスクも提示すると、より安心感の部分でブランド価値を高められると思います。

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細かなことで恐縮ですが…
商品ページでの「重量」と「内容量」表記の誤解をさせないように!

例)(国産・無添加) フルーツティー 林檎・蜜柑ミックス
https://touka-tea.ocnk.net/product/844
↑↑↑↑↑上記では、
販売価格: 918円(税込)
のすぐ下に
重量: 60g
と表記がありますが、これは実際の内容量やパッケージ込みの重量というわけではなく、送料計算用の重量帯だそうです。

実際の内容量は商品詳細の中に、
■内容量: 2パック入り(1パック/17g)とあります。

上の重量: 60g は管理画面の設定(※デザイン管理→商品詳細ページ設定で右上の全て開くをクリック。表示設定で「重量別送料適用時の重さ」欄から設定可能)で表示しないようにできるようなので、全商品誤解のないように非表示にしましょう。

またドライフルーツは重さだけでは見た目よりずっと軽く、数字の印象では「たったそれだけ?」と物足りなさを感じさせてしまいますので、ちゃんとパッケージ内のすべてをお皿に盛った「かさ」をわかりやすく写真で見せるのも必要だと思います。

例えばこの商品のお皿に盛った写真が内容量の2パック(17g×2)の写真なのか、1パック17gの写真なのかはお客様にはわかりません。キャプションを入れて説明しましょう。

同じ量の乾燥前の重量(目安)も書いておくと、「たったこれだけ感」が弱まり、乾燥前の同じ量の果物写真まで添えておけば、ドライフルーツがいかに贅沢な食品かを感じていただきやすいかと思います。

トップページや ドライ加工について のコンテンツページなどでも、
例えば
りんご1個 重量●●●g→ドライ加工で〇〇gに
みかん1個重量●●g→ドライ加工で〇〇gに
イチゴ1個重量●●g→ドライ加工で〇〇gに
のようにBefore →After の写真を添えて 重量変化を説明しておくことも必要だと思います。

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動画の活用もぜひ!

ティー、スープはいずれもドライフーズをお湯を注ぎ、温かいお湯の中に水分を吸って戻った野菜やフルーツがゆらゆらと漂い、フルーツの香りや、野菜やお出汁の風味、温かい湯気など、実際に食べる際の映像があると、各段に美味しそうなイメージが伝わる商品だと思います。

数秒〜数十秒の短い動画で良いので、ぜひ動画も添えて商品アピールをしていただきたいと思います。

総評

13年目のベテランショップとしては商品数15は少ないです。

自社の持っている調達力や加工技術の組み合わせをもっともっと活かして、商品バリエーションを増やし、いろいろなタイプのお客様に買えるアイテム数・機会を増やして欲しいです。

ドライフルーツを使った商品がフルーツティー6種類だけというのがもったいない。サイズ小でお試し●種類とかお徳用ジャンボパックとか、ミックスだけでなくりんごだけ単品、みかんだけ単品のお徳用サイズなども特定の種類の果物が好きな方には欲しいところです。ペット用や離乳食用などは単品が必要でしょう。

組合わせやサイズを変えるだけでも商品数は増やせます。
バックヤードで袋詰めして在庫されているのか?
オーダーが入ってから袋詰めされるのかにもよりますが、在庫を過剰に増やさず品種を増やす工夫ができれば良いと思います。

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商品パッケージのデザイン性も良く、色もキレイですのでギフトに向いている商品だと思います。
ギフト向けに1,000円、3,000円、5,000円など価格帯別のセット商品を作り、ギフト包装、熨斗(のし)などちゃんと撮影して、ギフト用途のお客様を逃さないようにしましょう。

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ギフトも含め、小売店、百貨店などのBtoBバイヤーさん向けに、「オリジナルのセット商品、アレンジ、OEMなどニーズに合わせてお作り、お見積りします!お気軽にお問合せを!」とアピールして、引き合いを得られるようにして行きましょう。

現状では個人向けのみの小売店に見えますので、こうした引き合いは来にくいです。メーカー直営店だから商品を作れるんだ!というアピールはいたるところに仕込んでおきましょう。

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そのまま食べるしか思いつきにくいドライフルーツという食品を、いろいろなアイデア、いろいろな目的で使えるように、用途やターゲット、レシピなどの例を具体的に示し提案してこそのメーカー専門店です。

例)離乳食時期の乳幼児のおやつに!
例)育ち盛り子供さんの栄養補助おやつに!
例)ダイエット時のおやつに!ドライフルーツ+水!
例)不足しがちなカリウム補給でナトリウム(塩分)排出!
例)冷え性体質の方にオススメドライはコレ!
例)ハムスターにオススメなドライはコレ!(ペットおやつ)
例)チンチラにオススメなドライはコレ!(ペットおやつ)
例)サラダに+●品目! (ドライ応用レシピ)
例)スープに+●品目! (ドライ応用レシピ)
例)料理の彩りに!赤系ならりんご、パプリカ、黄色系なら●●
のように、可愛いお弁当のいろどりに使えるドライ玉子焼きや和え物、かき揚げなど色が加わり混ぜやすい
例)クッキー、ヨーグルト、アイスクリーム、ドライフルーツゼリーなどスイーツの色と栄養+に!
例)製造過程で出る端切れ、細切れ、粉末などの活用商品

などなど、いろいろなアイデアを提案すれば、「あ、それやってみよう!」
「あ、これ食べてみたい!作ってみたい!」という気持がお客様の中に生まれてきます!

こうした用途やアイデア別に専用商品にまで高めれば、商品単価を高めて高収益商品になって参ります。

こういったクセのある食材は、
「これ食べたい!コレ買いたい!」の前に、「これやってみたい!」を刺激することです。

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またこうしたアイデアは自社だけで考えるよりも、お客様を巻き込んで一緒に考えてもらうと早くたくさん広がりが生まれます。

InstagramやXやFacebookなどSNSでフォロワーに呼び掛けたり、アイデアレシピコンテストなどを開いて募集しても良いと思います。

彩りのある桃花さんの商品は「映える」のでSNS向きだと思います。

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また、今回気付いて思い出していただいた桃花さんの原点「健康に良いものを提案・提供する」をベースに、薬膳の観点から個々の素材の五味・五性を説明するコンテンツページを作っていったり、商品説明に加えるなど、お客様の「知識欲」も刺激しながら「購買欲」も高めていっていただければと思います。

薬膳、五味・五性からのアプローチをしていくと、おのずと果物や野菜の種類も商品も増えて広がっていくと思います。

また山口県には「はなっこりー」とか桃花さんでも使われている「ゆずきち」のような独自産物もありますので、その辺りももっと商品に取り入れれば、地元の土産物需要の引き合い獲得にもつながると思います。

山口県のオリジナル特産品を検索すると、野菜、果物だけでも、
長門ゆずきち、はなっこりー、岩国れんこん、美東ごぼう、岩国赤大根、萩たまげなす、武久蕪、とっくり大根、徳佐うり、あざみな、彦島春菜、白おくら、ゆめほっぺ(せとみ)など、独自のものだけでもいろいろあり、「晴るる」というブランド米などもあるようです。

一般的なものでも夏みかん、なし、りんご、温州みかん、いちご、栗などがヒットしました。山口県産にこだわる必要はないかもしれませんが、近隣で調達しやすく安全で美味しい食材があれば活用したいですね。
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とにかくこうした強みをきちんと把握し、活かしていけば、まだまだ可能性は広がると思います。

これからの戦略、アイデア出し・ブレストなど必要な際はお気軽にご相談ください。

以上。「ダメ出し!道場」でした!

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。