ハンガリアンピアツ 小さな木の実

カテゴリ:住まい、インテリア

ハンガリアンピアツ 小さな木の実

コロナ禍で売り上げがダウン。

現代は日本で普通に暮らしていても、テレビやネットを通じて海外のニュースや情報が飛び込んできます。戦争や揉め事、事故や事件など暗いニュースも多いですが、映画や音楽やドラマなどエンタメの話題や珍しい製品・商品・サービス・観光地などショッピングや旅行の情報もたくさん入ってきますよね。

そんないろいろな情報を通じて、皆さんも日本以外の外国で「好きな国」や「ハマった国」もあるのではないでしょうか?

海外ドラマがきっかけで舞台となった国や街、食に興味を持った。アメコミ映画をきっかけにグッズをネットで探して買った。好きなサッカー選手・チームをきっかけにその国に興味を持った。TikTokのBGM曲が気になって調べ、海外アーティストにハマった。日本への留学生の友人と仲良くなりその国のことも好きになった。Instagramでインフルエンサーが行ってた国に興味を持った。クラシック音楽の作曲家にハマり生まれ育った国へ旅行に行った。
などなど…

興味を持って好きになった人・モノ・場所・食・エンタメなどを知ったことをきっかけにその国や都市の事に興味を持って調べ、知るにつれてどんどんハマり、ますます好きになってとうとう旅行に、留学に、現地在住に! なんて方も少なくありませんよね。

おちゃのこネットにもいろいろな「海外セレクトショップ」がありますが、そのオーナーや店長さんの多くがその国にハマって現地に行ったり、現地に住んでできた人脈を通じて商品を仕入れたり作らせたりというお店です。

世界には約200か国前後の国・地域があります(国連193か国、日本が認める国197か国、オリンピック参加206国地域など)。

日本人もその多くの国や国の人と交流がありますから、どこかの国や街に興味を持って好きになり、旅行に行ったり、その国のモノを欲しく(買いたく)なることはありますよね。

さて、今日のお店もそんなある海外の国にハマった店長さんが経営するお店! 例えば人気商品は…
ディアンドル、マチョーやカロチャの刺繍、ハプサルレース。
さて、どこの国のものかわかりましたか?

私は1つも知りませんでした。
わかった方は相当な海外通、情報通、クイズ王!?(^^;)

では、今回の「ダメ出し!道場」始まりです!

第一印象:店名からハンガリー専門店と思いきや…"


EC仙人 太田

店舗名が「ハンガリアンピアツ 小さな木の実」で、トップページ(PC用)を見ると…
右上部には「合唱団・お店のコスチューム ダンス衣装」
の大きな見出し。
中央には「ハンガリアンピアツ(ハンガリーの市場という意味)小さな木の実(このみ)へようこそ!」 の挨拶。
なるほど「ハンガリー」の専門店なのね。

と思いきや…
よく見ると左上部には小さく「ハンガリー・ヨーロッパ・世界の雑貨」
少しずつ下にスクロールしていくと、

「ハンガリー雑貨、エストニア雑貨、ドイツ雑貨、東欧雑貨、北欧雑貨、Vegeta、北欧人形」

バナーや左メニューにも、
北欧雑貨、チロルワンピース、エストニア製品、フィンランド製品、バルト三国製品、ロシア製、ドイツ製、英国製、オーストリア製、トルコ製…

ん? いろいろな国の名前が。もはや東欧でも北欧でもなく、ヨーロッパ全域の国々の名前が。

実は冒頭クイズの商品名
「ディアンドル、マチョーやカロチャの刺繍、ハプサルレース」も、
ディアンドル は ドイツの民族衣装。
マチョーやカロチャの刺繍はハンガリーの工芸品。
ハプサルレースはエストニアの工芸品と、いろいろな国の製品名でした。(^^;)

店名こそ「ハンガリーの市場」なのですが、現在実際に販売されているのはヨーロッパ各地のもので、「ヨーロッパセレクトショップ」になっているようです。

長年のリピーター・常連さんには理解できても、初来店の方にとっては
「ん? ハンガリーの専門店ではないの?」と混乱しそうですね。

私は残念ながら「いったい何の専門店? 何屋さん?」と、店名とのギャップからすっかり混乱してしまいました(^^;)

ヨーロッパの地理や国々の位置関係や違いなどあまりよく知らないし気にしない、なーんとなく漠然とヨーロッパの物が好き、かわいければいいじゃん! 気に入ればどこの国のものでもいいわ!

という「ふんわり・ぼんやり」した海外雑貨好きのような顧客層がターゲットなのかな…

という第一印象でした。

でも店内をあちこち見て行くと、右メニュー下の方にある「店長プロフィール」
https://chisanakonomi.ocnk.net/profile

特定商取引法表示ページ下部の「私たちについて」
https://chisanakonomi.ocnk.net/info


左メニュー下部の「ご挨拶 Welcome!」
https://chisanakonomi.ocnk.net/page/9

などには、店長がハンガリー在住経験者(6年間)でハンガリーの製品のすばらしさ、また、ハンガリーの魅力を何とかして日本のみなさまに伝えたい、がきっかけで始めたお店であること(2011年2月現在)や、2014年2月現在で80%はハンガリーとドイツの商品であることが書かれています。(オープンは2009年末)

ただ、ヨーロッパの地図を見ると、ハンガリーとドイツは隣国でもありませんし、出てきた国(フィンランド、エストニア、トルコ、ロシア)などもそれぞれ離れた国で、その関係性も近そうには見えないので、第一印象としては「???」がたくさん出てきてしまいます。

つい理由や根拠を求めてしまう私の印象からは「???」ですが、「なんとなくヨーロッパが好き」な客層にはOK? なのでしょうか。

これは、欧米の「なんとなく東アジア文化が好き」という層が日本と中国と韓国の商品や料理を一緒に売ってるお店で買い物や飲食するような感じかもしれません。

回鍋肉や四川鍋もキムチもチゲも寿司も天ぷらもある店。欧米人からは人気でも、あなたは留学生をこの店に連れて行くか?

そんな印象を持たれるのは果たしてOKなの?

「それで充分、それでいいや」、という客層もいれば、「そんなのおかしい、本物じゃない」と感じる客層もいると思います。

商売としてはどちらが正解というモノではありませんが、どちらが自社の経営的にプラスなのか? それとも、たとえ商売的にはマイナスでもどちらかを目指すのか? それを判断するのは経営者です。

今現在は、「中途半端でどっちつかずで個々の国の専門性は弱そう」な印象です。

現状、売り上げが芳しくないのであれば、これらは原因の一つかもしれません。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

今回もオーナー店長の長田美紀子さんにお電話でじっくりとお話を聞きました。

遡ること三十数年前、当時長田さんが働いていた職場に大手企業を定年退職したシニアの方(日本人男性)が来られ、その方が元々ハンガリーと交流があり、文化交流の団体を立ち上げるというお話があったそうです。長田さんは学生時代から好きだった演劇・オペラやオペレッタ、クラシック音楽を通じてヨーロッパに興味や造詣があったので、ハンガリーのことも好きで意気投合。その方に強く勧められ(請われ?)現地スタッフとしてなんと当時小学生だったお子様を連れて現地ハンガリーへ移住! 現地で日本人向けの宿舎の運営とツアーガイドとして6年間を過ごされたそうです。

帰国後、この時の知識・経験・人脈を通じ、好きになったハンガリーのことをもっと日本の方に知ってもらいたいという思いで、満を持して2009年末におちゃのこネットで当初はハンガリー専門店としてオープン。

その後、ご本人の好奇心、ご興味や趣味、いろいろな人とのつながりを経て、ドイツのビール祭りで有名なオクトーバーフェストの衣装(チロルワンピース→チロルはドイツ南部バイエルン〜隣国オーストリア、イタリア北部の地方・文化圏)を取り扱うようになり、日本でもフォークダンスのサークルや、ドイツビール祭り(オクトーバーフェスト)など、イベント衣装としてチロルワンピース=ディアンドルのニーズがあるとわかり、商品を充実させてきたりしました。

ハンガリーの主要民族のルーツである「フィン・ウゴル族」が住むエストニアやフィンランドにも興味が広がり商品を扱うことに。

など、いろいろなつながりから興味や仕入先が必然的に広がってしまい、現在のような良い意味でも悪い意味でも「雑多な」ヨーロッパ雑貨のお店になっていったようです。

近年(コロナ前)は特に、フォークダンス衣装やドイツイベント衣装としてのチロルワンピース=ディアンドルが人気商品で、チームや団体、法人からの数量のまとまった注文もあったようですが、コロナ禍で全国から

イベントが消えて注文が激減。その後も環境や習慣の変化、客層の高齢化やフォークダンスブームの衰退など、いろいろな原因が考えられそうですが、ディアンドル注文の復活には至っていないようです。

3年以上に渡るコロナ禍の影響で、長田さん自身もハンガリーやヨーロッパに行けず、鮮度の高いリアルな商品や体験、情報も不足しているようでした。(年明けにはまた行かれるようです)

具体的なダメ出し&改善策


EC仙人 太田

まずはスマホ対応。
おちゃのこショップはまだ古いテンプレートで、レスポンシブ対応(スマホ対応)できておらず、
https://chisanakonomi.ocnk.net/phone/
携帯用のサイト↑↑↑↑↑は、まだガラケー仕様で、スマホ用には十分に作り込まれてはいません。

早めにレスポンシブ対応テンプレートに切り替えたいところですが、せめてトップページに陳列する商品の数を増やして一覧性を良くし たり、オススメ商品陳列を増やしたいところです…

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細かな点、リンク切れ

トップページ右下の店長プロフィール内の
「東欧ハンガリーの魅力ってなにかしら? それはどうぞ【こちら】をごらんください」

の【こちら】への外部リンク先ページがなくなっているようです。

同様に「♪私が店長です♪ページ」でも【こちら】への外部リンクがなくなっています。
https://chisanakonomi.ocnk.net/profile

店舗内に代替えページを作ってリンクするなどして修正してください。

「セレクトショップ」にとって商品をセレクトする店長こそが最大の【魅力・強み】です。(そうでなければなりません)

店長の信念、経歴、経験、知識、思い、ライフスタイル、商品への造詣・専門知識・使用・活用ノウハウなどなどがモノ以外のソフトウェア&ユースウェアとしてお店の魅力や付加価値となっている「セレクトショップ」には、ファン(固定客)がたくさん付き繁盛しています。
店長プロフィールやお店紹介の情報は、常に最新の情報とメッセージを更新・発信するように意識しましょう。
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全体的には各カテゴリーページでのサムネイル(一覧写真)のサイズが小さいので、大きくして一覧性を上げたほうが良いと思いますが、現状の古いテンプレで部分的に改善するよりは、全体をレスポンシブテンプレでリニューアルするほうが効果的だと思います。
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左メニューにある「商品グループ」は、いろいろな商品を特定の切り口でまとめ、提案するコーナー(売り場)でもあるので、実に良い施策だと思うのですが、現状の古いサイト構成ではなかなか各グループページに誘客できないと思いますので、SNSで日替わりや週替わりで紹介したり、トップページに「今週のオススメ→楽しいキッチン」「特集→メルヘンに囲まれて」「音楽好きなあなたに」などとバナーを増やして配置していくと、お客様の動きが出てくると思います。

SNS(外部)からの集客 & 特集バナーで店舗内誘導 です。
おちゃのこ店舗外の話ですが、現状SNSがFacebookのみ。
個人Instagram、個人Youtubeチャンネル、個人ブログはお持ちですが、更新も稀で、お店の集客にはつながっていないようです。

現状 Instagram でも Youtube でも「ハンガリアンピアツ」で検索したところ1件もヒットしません。お店からの発信がないのはともかく、過去のお客様も1件も店名付きで投稿がないのは、SNSが全く活用されていないということ。現代のネットショップとしては致命的です。

個人では使われているのでやり方はわかっておられるはずです。
まずは至急 お店のアカウントを作って、Instagram と Youtubeを始めましょう。

総評

0)今となっては「ハンガリアン」が足枷になっていないか?
→欧州雑貨セレクトショップ「ピアツ」など改名も検討
1)レスポンシブテンプレートに切り替えスマホ客対応
2)お店の【強み】を再度洗い出し整理する
3)初見のお客様の目線で再度お店を客観視してみて初心者を取り込みやすくする(敷居を下げる)
「●●とは?」の解説コンテンツを充実
例)
・ディアンドルとは?
・オクトーバーフェストとは?
・□□刺繍とは?
・ハンガリー・エストニアの共通点とは?
4)文化面から攻める
漠然とハンガリー雑貨、エストニア雑貨といわれても興味を持てない方が多いと思います。私たちも日本雑貨と言われてもピンとこないですよね。アニメグッズ、忍者グッズ、日本料理キッチンウェアなどと具体化すればそれぞれ興味がある客層に響きますよね。
個々の国の音楽、映画、小説、作曲家、作家、ドラマやアニメなどの切り口から情報を集め、和訳して紹介しつつそこに出てくる地名や衣装や雑貨などを紹介していくと理想的です。商品に関連付けられなくても、ニッチな現地情報は検索対策、集客効果につながりますし、興味を持っていただくきっかけになると思います。
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発想の転換、基本戦略の見直し。
根本的な話ですが、20年以上前にハンガリーのコンセプトで始められたお店も今やヨーロッパ各国の品々を扱うお店になっています。
その経緯には日本の需要だけでハンガリー1国だけに絞るとお店の経営が十分に成り立つだけの市場規模がないことを感じられたからだと思います。

特定のテーマに絞り込むことは専門性が高まり、信頼されやすく、中小零細規模のオンラインショップとしては常道なのですが、絞り過ぎると、見込み客・市場も小さくなり過ぎてお店が成り立たなくなってしまうことがよくあります。

元々の本質的強みを1丁目1番地だとすると、そこから関連性のあるものや関連性のある市場を探って2丁目1番地や1丁目2番地と少しずつ広げていくのが失敗するリスクを避けるやり方です。

今のピアツさんが例えばいきなり韓国コスメを販売するとか、国産無農薬野菜を販売するなど、国もテーマも極端に変えることは8丁目7番地とか9丁目6番地のように本質から遠く離れてしまい、お客様にも「???」がいっぱい浮かぶでしょう。

そこまで極端ではありませんが、「ハンガリーの市場」と名乗るお店がドイツの〇〇、エストニアのXXを売っているのは3〜4丁目あたりにジャンプした感じです。

ひと目で理由や脈絡がわかるように説明できれば良いですが、説明しにくいようであれば、ハンガリアンの縛り(店名)を解くか、いっそお店を分けるほうが専門店としての整合性やお客様の理解度、検索エンジンからの評価なども高まると思います。

ただどうしてもコストや労力的に無理であれば、店名とお店のテーマをヨーロッパとか海外セレクトとかに広げて行くか、経営的判断です。(広げればいろいろ扱えるようにはなるが第一印象としての専門性は弱くなる)

例えるなら…
フレンチレストランとしてフランス料理専門店をやるか、洋食レストランとしていろいろな国の料理を出すか。

タイ料理、韓国料理、インドネシア料理、中華料理など専門店か、アジアレストラン と名乗ってトムヤムクン(タイ料理)もナシゴレン(インドネシア料理)もベトナム生春巻きも、チゲ(韓国料理)や水餃子(中華料理)も出すか?

いずれも前者はそれぞれの専門の修業をしたシェフがやっていそうでレベルも高そうですが、後者はいろいろなんでもあるけど、本格的ではなさそうですよね。値段も前者は高く、後者は安そう。

戦略としても前者は個人経営や小規模で高粗利高付加価値経営。後者は企業経営で多店舗展開して薄利多売大規模経営。
というのが一般的ですね。

広げれば広げるほど、仕入資金(在庫)や保管費用もかかります。資本力が必要になってきます。

できるだけ専門性を高めたまま在庫を増やさずに市場(見込み客)だけ広げて回転率を高める戦略をとることをオススメします。

ハンガリーや特定の国、地域に人脈がおありなので、「商品探し&製造元探し承ります!」と法人向けの卸売り、輸入代理など BtoBへのアピールやアプローチを検討されたりするのも良いのではないでしょうか。

また発想の転換で、日本の良いものをハンガリーや知人のいる国に向けて売り込むというのも、ビジネスチャンスが作りやすいのではないでしょうか?

長田店長の経験・人脈にはまだまだ「強み」がありそうです。
会社全体としては今後〜将来に渡って成長の可能性、ポテンシャルはまだまだ大きいと思います。

これからの戦略、具体化のアイデア出し・ブレストなど必要な際はお気軽にご相談ください。

以上。「ダメ出し!道場」でした!

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。