人々の記憶からかなり薄れつつありますが、コロナ禍収束から2年。
報道の中で8万人とひとことで言うと、あまりピンと来ない方もいらっしゃるかと思いますが、満員の東京ドーム(約4万5,000人)で言えば約1.8倍。都市で言えば千葉県君津市や大分県中津市、京都府舞鶴市、新潟県柏崎市などが約8万人規模の都市のようですが、こうした規模の都市の人々が丸ごと消えてしまった程の人数です。
今の小学校の1クラスが30人として、2,700クラス相当の人が亡くなったということです。
お一人お一人に人生があり、ご家族があり、その悲しみと苦しみは決して忘れてはいけません。心からご冥福をお祈り申し上げます。
その上で、私たち商売人は商売のことを考えなければなりません。
コロナ禍で人々の生活スタイルが変わり、飲食店や旅行関連など売れなくなって沈んだ商品や商売もあれば、マスクや体温計、食品類など売れた物もあります。
コロナ禍が収束するとマスクや消毒用アルコールなど売れ行きが激減したものもあれば、家庭用フィットネス機器や調理家電、UberEatsや出前館などのフードデリバリーのように、定着してそのまま売れ行きが続いている物もあります。
いわゆる「巣ごもり需要」で、家で料理をしたり家でフィットネスしたり家で過ごす時間が増えて、そのままその生活スタイルが定着した層が一定数いるおかげで、今も需要が続いているということでしょう。
そんな中で売れた意外な物があります。これは「巣ごもり需要」ではない用途なのに良く売れて、その後も売れ行きが好調なようです。
なんだかお分かりでしょうか?
そう、自転車やバイクやスクーターなどの、いわゆる二輪車なんです!
なぜ?
思い出して下さい。コロナ禍では閉ざされた空間で蜜になることを、皆、極端に恐れました。どうしても通勤や外出をせざるを得ない人たちは密になる可能性が高い電車やバスを避け、近い人は自転車や原付で、ちょっと遠い人は少し大きいスクーターやバイクで通勤通学に、という選択をする方が増えたようなのです。
そして、その便利さに加え快適さや解放感、爽快感から通勤以外でもすっかり二輪車の魅力にハマり、コロナ収束後もドレスアップやカスタム(改造)、買い替え需要も好調なようです。
さて、今回のお店は大阪南部のバイクの専門店さん、会社としては3店舗を経営し、それぞれのお店で特定の車種に特化して新車、中古の車両本体も販売しつつドレスアップパーツやカスタム(チューンアップ)パーツを扱うお店。その中でも今回のネットショップはヤマハの人気スクーター「シグナス」に特化した専門店です。
では「ダメ出し道場!」始まりです!
「ややマニアックで初心者には敷居の高いお店」というのが率直な第一印象です。
最も目立つトップページの大きなスライドショーでも、それぞれがいったい何なのか?
左から1、2、3、4、5とすると…
1.SCRK日本上陸 →SCRKって何? 写ってる丸い物は何? 名詞がない
「トラックのために生まれた」「常に変更」変な日本語で意味不明。
2.「CCDコーナーで差を付けろ」写真からサスペンション? ショック?
3.「HEDGEHOG HS1」マフラーのワードもないし素材や特長も書いてない。
4.「UNLEASHING CYGNUS POTENTIAL解き放っている」シグナスの潜在能力? 英語が苦手なお客様には何が言いたいか不明。
5.「全てを置き去りにする HS1」で漢字(中国語?)の文字。ターゲットは中国人のお客様? 日本のお客様には意味不明。
すべて説明不足や翻訳不足で、見た目のカッコ良さだけで意味も意図も不明。客導線にもなっていないし、お客様にとっては不親切極まりないバナーとなっていてもったいない。
何のためにここに大きな画像を配置しているのか?
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その他、トップページの新着商品やオススメ商品 のサムネイル一覧は一覧性は良いのですが、個々の商品が パーツ単品の画像ばかりで、カスタムに詳しいお客様じゃないと興味すら持てません。
知ってて当たり前、知らないやつは来るな! と言わんばかりの不親切さ。初心者はなんだかよく分からないまま離脱して行く可能性が高いと思います。
当店に来る前に、外部でいろいろ勉強して、買うものが決まっている指名買いのお客様だけをターゲットにしているならば、現状のお店でも良いと思いますが、これからカスタムをしていこうかなー、いろいろ知りたい、教えて欲しいなーという初心者には実にハードルの高い不親切なお店に見えてしまっている。というのが第一印象です。
いつものようにお電話で店長の山之内さんにインタビューさせていただきました。
冒頭にも書きましたが、会社としては大阪府堺市〜岸和田市に実店舗が3店舗有り、その中で草部店という店がヤマハのシグナスというバイクの専門店だそうです。当おちゃのこショップは実は草部店ではなくGAIA店という他の車種の専門店内にいる店長とスタッフで運営しているという、ちょっと変則的な運営体制のようです。
おちゃのこ出店は今年2025年2月からと新しいお店ですが、地元ではシグナスの専門店として本体の販売実績もカスタム実績も豊富で、関西圏のかなり広いエリアから来店があるそうです。
見た目のドレスアップ系よりも、エンジンやマフラー、駆動系など性能アップのカスタムが得意で、日本国内ではGUYSさんだけしか扱ってないメーカー・ブランドのパーツも多いとのことで、シグナスカスタムの専門店としては一目置かれるお店のようです。
「シグナス カスタム専門店」「シグナス パーツ ショップ」などではSEO でも3〜6位には表示されるので、検索集客はある程度できているかと思われます。
このおちゃのこネット店では、実店舗には来られないような関東を中心に全国のお客様から問い合わせや注文が入るそうです。
今後、もっと売上UPして行ける感触は得ているようですが、何からどう手を付けて行けば良いかを現在模索中とのことです。
普段、店長の山之内さんのいらっしゃる実店舗(moto shop GAIA)はホンダの CB400 SFという車種の専門店なので、リアルではそちらの接客もこなしながら、ネットではヤマハシグナスの販売もし、シグナス専門の草部店と行き来しているという状況のようです。
その他梱包出荷などの業務は本店のスタッフが分担しているとのこと。
今後は、ホンダの CB400 SFのネット専門店も立ち上げていきたいとの意向があるようです。
まずトップページの大きな横スライドショーは、それぞれキャプション(写真の上に載せる文字説明)を加えて分かりやすくしましょう。
また、どのバナーもクリックしてもどこにもリンクされておらず、もったいない。ちゃんと該当商品やカテゴリーページにリンクしましょう。
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商品ページは全体的に説明不足、写真や動画等のビジュアル情報不足、言葉足らずで不親切。レベルの高いお客様しか買えないお店だと言えます。逆にそれでもそれなりに注文・売上があるのならば、改善すれば裾野(初心者〜中級者)はうんと増えていくと思います。
例えば… REYS レイズ ブレーキレバー標準版
https://www.guysfactoryshop.jp/product/215
パーツとしての写真はたくさんあるのですが、バイク本体に装着されたイメージカットは1枚もありません。
例えば…マフラー類も 装着されたイメージがありません。
その他、ウインカー類、ブレーキディスク、カウル類や外装類、ホイール類なども装着イメージ写真がなく、よほど想像力のあるお客様以外にはイメージしづらい状況です。
ファッションのお店でも、Tシャツやパンツ、ブレスレットやベルトなど、テーブルの上に置き撮りしかしていないお店と、ちゃんとモデルさんが着用したイメージ写真もあるお店では、どちらが親切で分かりやすくワクワクしますか?
これで分かるだろう、これでいいだろうという妥協は、ネットショップの場合「黙って客は去る」に繋がります。
接客や取り付けができるパーツショップであると同時に「通販ショップ」であることを忘れないでください。「通販業」のノウハウとは、現物を見たり触ったり、リアルタイムでQ&Aしないでも写真や動画、詳しい説明文やキャプション、イラストなどを駆使して、お客様単独でも実店舗に来店と同様かそれ以上に理解させ、興味を惹きつけ、買いたくさせることが必要なのです。
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下記に、他の車種のカスタム専門のブログサイトですが、マフラーや駆動系など各部のカスタムの説明コンテンツを写真を多用してしっかり作り込んでいる良い例を見つけましたので参考になさってください。
部位や目的ごとにカスタムする効果や違いなどが分かりやすく作られていると思います。これのシグナス版をぜひGUYS FACTORYさんのショップ内にも作り込んでいただきたいです。
例)
マフラーの種類とそれぞれの特徴
https://4-mini.net/custom/scooter-muffler
例)
駆動系ーVベルト、プーリー、クラッチの動き
https://4-mini.net/custom/scooter-drive
現状の「シグナスx研究所」も意図は同様だと思うのですが、ぶつ切りで整理されていないので、フリーのページで整理された一覧を用意して、そこから各記事に飛ばすのが良いと思います。
また各記事内の写真には、ちゃんと文字載せして写っているパーツの部位の名前や注意点などを矢印で示すなど、分かりやすさを意識してください。
上のサイトも今の時代から見れば静止画だけで文字が多く長く、若いスマホ世代のお客様には分かりにくいかもしれません。
幸い、今の時代はスマホで簡単に動画も撮れますので、各写真を短い動画に変えて、パーツの動きを見せたり、バイクのどの部分にどんな風に装着されるのか? なども動きと音声解説付きで見せていくのが良いと思います。Youtubeほど長い動画を撮って編集して、と考えるとおっくうになりますが、数秒のショート動画や数コマ写真+矢印+キャプションといった見せ方をすれば、経験値の低いお客様にも分かりやすくなると思います。
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また、実店舗での多くのお客様を相手にして来た経験を活かし、ノーマル仕様の初心者のお客様がカスタムをしていくよくあるパターンをロードマップ化して…
A)まずはちょこっとパワーアップ
低コスト →〇〇を交換 予算 ●万円〜
中コスト →◇◇を交換 予算 ◆万円〜
高コスト →△△を交換 予算 ▲万円〜
B)ブレーキ強化
低コスト →〇〇を交換 予算 ●万円〜
中コスト →◇◇を交換 予算 ◆万円〜
高コスト →△△を交換 予算 ▲万円〜
C)駆動系チューンで加速アップ
低コスト →〇〇を交換 予算 ●万円〜
中コスト →◇◇を交換 予算 ◆万円〜
高コスト →△△を交換 予算 ▲万円〜
のように大まかなメニュー化していくと、お客様もどこをカスタムするのか? どの順番でやるか? などが理解しやすく選びやすくなると思います。
例えるなら、今はカウンターの高級寿司店のようなお店で、何からどの順番で選んでオーダーするかは客任せで、初心者にはオーダーしにくい(そもそも店に入りにくい)状態。
これを回転寿司屋やセットメニューオーダー化すれば、初心者さんも選びやすく注文しやすくなるイメージです。
ビジネスの中身的にはプロショップ・専門店で、商品も技術力もきっと高いお店なのだと思います。
でも残念ながら、Web上にはその【強み】の部分のアピールが十分にできておらず、ただただとっつきにくく使いにくい(聞きにくいし買いにくい)お店になってしまっています。
繰り返しになりますが、上級者の指名買いだけで十分に成り立つなら、今のままでも品揃えを増やしていけば売上も上がるでしょうが、初心者〜中級者を取り込んでいきたいなら、シグナスについてのイロハから学んでいけるようなコンテンツを少しずつでも良いので作り込んでいって、初心者にも敷居の低い問合せや質問相談しやすいお店にしていきましょう。
また購入→交換取り付け もお客様のDIY前提のようですが、購入→お客様の近所のショップへ持ち込み交換取り付けもしやすいように、お店探しや事前に持ち込み店に確認しておく内容などもアドバイスしておけば、DIYできない顧客も増えていくと思います。そういったお店からの購入相談や取り付け提携なども一店舗ずつでも増やしていけば良いと思います。
最近では家庭用のエアコンやカーナビ、タイヤなどネットで購入→近所の店に持ち込みで取り付けも当たり前になっており、バイクショップの場合でも結構増えているようです。
https://www.goobike.com/web/search/shop_search.php?menu_cd=4&data_from=after
GUYSさんにしかないパーツ、価格競争力があるパーツなら、取り付け店を紹介しても良いと思います。
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また、お客様のDIY支援のために、人気商品から順にYoutubeで取り付け解説動画を撮って1つずつでも増やしていけば、徐々に売りやすく(買いやすく)なってきますので、動画作成も頑張って下さい。
Youtube と言えば、GUYSさんの過去動画ですが…
https://www.youtube.com/watch?v=WM2eUGgAbgk&t=25s
説明欄からのリンク先が メルカリショップスの既に消えているリンクになっていて、クリックしても来店していただけないのでもったいない!
その他動画でも 説明欄にリンクのない物もあったり…
https://www.youtube.com/watch?v=aP4m3FB0waU
もったいない!
過去動画の説明欄はすべて見直して、ちゃんとおちゃのこ店に向けてリンクを張り直しましょう!
Youtube過去動画はお店の財産です!
またYoutube 以外の TikTok、X、Instagramなど SNS でもショート動画でカスタム事例をどんどん見せて行くのは効果大だと思います。動画アップ頻度も上げていきましょう。
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今後ネット店の販売を実店舗並みかそれ以上にとお考えならば、ぜひ、もっと社長や経営陣を巻き込み、全社的にネット販売の効率化も考えながら、経営・運営体制の改革→実店舗とネット店の運営スタッフや場所を統一化する、ネット事業用にコンテンツの撮影や更新などの担当育成・ノウハウ確立、物流体制なども行っていかねばなりません。
実店舗の片手間でと考えている間は、片手間なりの売上にしかなりませんし、本気のライバルが現れれば一気に持っていかれます。
それくらい、まだパーツ専門のネットショップとしては完成度が低い「自販機ショップ」という状況です。
ネットでもカスタムのプロショップという「頼れる」お店にしていくことができれば、本当にシグナスカスタムのネットショップでは日本一になるのはそれほど難しくないと思います。
そのためには、今よりも大きな経営的視野・視点で今後の事業戦略を考えていってください。体制作りやアイデア出しなど、必要な際にはお気軽にご相談ください。(^-^)
今年の2月から運営を開始して売り上げがぼちぼち上がってきていますが、もっと劇的にアクセスや購入へ誘導したいので、改善点がありましたら教えてください。