鳥山海苔店

カテゴリ:食品、飲料

鳥山海苔店

この度は当店のHPのダメ出しをおもいっきりしていただきたくお願い申し上げます。

おちゃのこ様にお世話になって3年ほど経過しましたが、その間の売り上げは微々たるもの……

実店舗の仕事にかまけて、最近は更新もままならず放置状態……

年間使用料が安いからまあいいやなんて気もあったのですが、初心を振り返ればそんな気持ちではなかったのも事実です。

やはりここは一念発起!
売り上げに結び付けられるホームページにしたいです!

商品には自信があります!

どうかよろしくお願い申し上げます。

鳥山海苔店 鳥山浩司

皆さんはオンラインショップを経営されているわけですが…
ではご自身はどのくらいネットでお買い物をされているでしょうか?

セミナーなどで挙手していただくと…「自分はほとんどネットで買い物しない!」って店長さん、実は少なくないんです。(^^;)

「自分はネットで買い物しないけど、ネットで売ろう」とは、かなり虫のいい話ですねぇ〜。かく言う私は、そうですねぇ…結構なネットショッピングフリークだとは思いますが…

週に1件〜2件、月に4〜10件程度のネットショッピングはするでしょうか。でも決して多いほうでもないでしょうし、贅沢品をお取り寄せしているわけでもありません。

おもに、本と、重たい飲料や、近所の店では売ってない、買い置きしておきたいレトルトなどの食品類、絶対的に安く価格比較して買いたい家電品などが主で、いわゆる必需品類がネット購入のメインです。

逆に服や靴などサイズがあるもの、お茶やコーヒー、酒類など比較的近所でどこでも買える種類の軽い物、肉・魚や野菜などの生鮮品は産直で、よほど美味しそうなモノを2〜3日待ってでも欲しい時以外はめったに買いません。(食べ物は買ってすぐ食べたい、せっかちなので)

最近では、ネットで売ってないものはないのでは? という位に、ちょっと検索すれば何でもがネット通販で販売しているお店を見つけられます。 自動車なんて当たり前、ログハウスや飛行機、船、墓石まで売ってる店があります。

先日の、サンキャッチャーやスキムボード、爬虫類の専門店さんのように、誰もが知っているわけではなく、需要も限られる商品の場合は、ネットでの市場規模は小さく、購入対象者も少ないであろうことは想像できますよね。でもそれだけに競合店も少なく、広く薄く全国に散らばっている見込み客を掴まえるには、ネット販売は向いていると言えます。

一方で、今回の「海苔」のように、日本人ならば、ほとんどの人が買うだろうし食べるだろう商品だけど、逆に近所のスーパーや食品店など、日本中どこででも買える商品だと、また違った難しさがあるのです。

さて、そんなお店はどんなことを考えれば良いのか?
今回は、ページがどうとか写真がどうとかではなく、少しビジネスの考え方、組み立て方の側面からダメ出ししてみます!

それでは「ダメ出し!道場」第38弾スタートです!(^-^)

誰もが知っている、どこででも買える商品、だからこそ必要な事


EC仙人 太田

海苔、焼きのり、味付け海苔は、日本人ならほぼ100%に近い人が食べたことがあるだろうし、日常的にも食す食品ですね。でもそれだけに近所のスーパーマーケットやコンビニにでも行けば当日中(数十分以内に)口にすることができる食品でもあるわけですね。

つまり、「ここじゃないと買えないから、ネットでわざわざ買う!」という商品では決してないわけです。

もちろん海苔のグレードや品質にも色々あるのでしょうし、鳥山海苔店さんでは江戸前の千葉産の海苔にこだわっていらっしゃるようで、それには、鳥山海苔店ならではの【強み】もあるのだとは思います。

しかしながら、一消費者として貴店を拝見したときに、近所のスーパーではなくて、わざわざネット通販で、そして鳥山海苔店さんで海苔を買うだけの理由や動機が、正直沸き起こってはきません。

誰もが知ってる、どこででも買える商品だからこそ、必要なことは鳥山海苔店で海苔を買う理由、動機です!

言い換えれば、

「あぁ!この店で海苔を買ってみたい!」
「あぁ!この店の海苔を食べてみたい!」
「あぁ!この店の海苔を贈りたい!」

と思わせることです。

ここまで読んで、
「あぁ、太田はわかってないなぁ、ウチの海苔はね!…」と、反論や セールストークが、もしスラスラと出てくるのであれば…

今の貴店のページに足りないのは「それ!」です。
「それ!」が瞬時に、端的に、お客様に伝わるお店になっていないのです。

逆に、反論やセールストークが出てこないのなら、ネットでわざわざ貴店で買うだけの理由がない! ということになります。まずは【強み】や【動機】を作ることから始めましょう!

そもそも、海苔はネットで売れるのか?


EC仙人 太田

さて…そもそも… 海苔という一般的な商品はネットで売れるのでしょうか?

まずは、ネット上での海苔の「需要」を調べてみましょう。
ネットでどのくらい、海苔が購入されているか? 購入したい人がいるのか? がわかれば言うことはないのですが…
残念ながらそんな数字はどこにも公表されてはいませんね(^^;)

そこで…「海苔」がどのくらい検索されているか? で考えてみましょう。
オンラインショップを経営されていれば、ご存知の方も多いかと思いますが、Yahoo!で検索した際に、右や上の部分に「スポンサードサーチ」という枠で表示される広告=Yahoo!リスティング広告があります。

試しに「海苔」で検索してみると…こんな感じです。何件もの海苔専門店の広告が上部、右部に表示されますね!
http://bit.ly/L2KpcO

このリスティング広告を正式に申し込んで利用すると、専用の管理画面の中に、「キーワード アドバイスツール」というシステムを使えるようになるのですが、これを使うと、Yahoo!における月間検索数の予想値(1カ月に大体何件くらい検索されているか? の予想値)が調べられます。

鳥山海苔店さんに関連する「海苔」等のキーワードと、その他一般的な食品ジャンルの代表的なキーワードの月間検索件数をいくつか調べてみました。

海苔

16,000件

焼き海苔

3,000件

焼海苔

800件

焼きのり

400件

やきのり

100件

─────────────
全部合わせても 20,300件 ですが…

では、ネット通販で流通量の多い主な食品ではどうでしょう?

ワイン

360,000件

ステーキ

210,000件

日本酒

160,000件

かに

110,000件

カニ

60,000件

27,000件

マグロ

70,000件

まぐろ

28,000件

コーヒー

230,000件

紅茶

130,000件

お茶

120,000件

日本茶

24,000件

メロン

55,000件

キムチ

46,000件

こんな感じです(2012年6/12日現在)。格段に検索回数が多いですね!

もちろん、一般的な情報を得るための検索数も含まれますので、必ずしも全部が通販ショップを検索する目的での検索数ではありません。
それでも世の中の需要の数の規模をある程度は反映していると思います。

「海苔」関連キーワードは全部合わせても月間2万件ほどしか検索されませんが、通販食品の横綱級と言われる、「カニ」関連や「ステーキ」では20万件ほどで、「海苔」の約 10倍。「ワイン」は月間36万件で実に18倍の検索数があります。

単純な発想で、きっちり比例とはいかないまでも、「需要」の大きさもその差に近いものがあると思います。

では、「供給」の方はどうでしょうか?
これも単純比較ですが…

楽天市場だけですが 検索して 「供給」の目安として 商品数と販売店舗数を調べてみました。

ワイン

83万商品

3910店

カニ

44万商品

2180店

ステーキ

5万商品

1500店

海苔

6万商品

1507店

販売商品数でいえば楽天内だけでも「ワイン」は「海苔」の14倍、「カニ」は7倍ですが、販売店舗数でいえば「ワイン」は2.6倍、「カニ」は1.5倍、「ステーキ」販売店より「海苔」販売店は多いのです。

つまり、「海苔」のネット市場は需要・ニーズとしての潜在市場規模はそんなに大きくないのに、競争はそれに比較すると 供給店舗過多で、小さな市場で競争は激しい! という推測ができるわけです。

意外や、海苔を売ってる店は楽天だけでも1500店超え! ライバルは多いんですね!

ちょっと乱暴ですが、えいやぁっ! でワインショップと海苔店を比較・概算すれば、18倍の市場で2.6倍の店舗数ですから、ワインショップは1店舗あたり海苔店の 約7倍のニーズ(注文数)があると計算できます。

これまた客単価が違いますので単純計算はできないかもしれませんが、ワインショップほどは売れないだろうけど…平均的なワインショップの7分の1くらいの注文数はあってもおかしくないという計算にはなるわけです。

これはあくまでざっくりとした数字の机上論に過ぎませんし、概算や仮定が多いので正解とは言えないでしょうが、まったく見当違いということでもないでしょう。ざっくりとした目安として目標設定の参考にはなるでしょう。

さて「そもそも海苔はネットで売れるのか?」の結論を申し上げれば、海苔のネット販売での成功は決して容易ではないということです。

でも、月商で500万円〜1000万円売ってるワインショップはざらにあります。同じように月商500万円〜1000万円の海苔店を目指すのはかなり難易度が高いといえますが、7分の1の月商 70万円〜140万円くらいの海苔店なら、目標にしても決して夢物語ではないといえます。(※客単価は通販の平均値としてほぼ同じと仮定した場合)

本当に大雑把な概算のシミュレーションかも知れませんし、正確な基礎データは得ることができないので間違っているかもしれませんが、このように知りえる数字や情報から少しでも根拠を持って市場規模や販売予測、目標設定を立てることは大切なことです。

ただ、やみくもに月商100万円超え! 500万円超え! 1000万円突破! などという目標設定をされる店舗さんも多いのですが、それでは絵に描いた餅、根拠のない ただの夢に過ぎません。

少しでも根拠を持って数字を捉え、適切な目標設定をし、それを超えることを狙うなら、次にそれを達成するために、どんなプラスαの商品や仕掛け、戦術、戦略をとるか!? を考えるようにしましょう!

よく知らない店でいきなりギフト(贈答)を贈ることは少ない


EC仙人 太田

さて鳥山海苔店さんの商品は ほとんどがギフト品ばかりのようですが…
私も、お中元やお歳暮などの贈答として海苔を贈った経験はありますが、その際は、先様も知っているだろう有名なブランドや、海苔のブランドは有名でなくとも、有名な販売店(百貨店)から贈ることが多いと思います。

それを超えて、有名ではないお店から、贈答の品 を贈る場合は、産地やメーカーが有名な場合や、もしくは普段自分が購入し食べている美味しくて安心できる商品だからこそ、贈り物に選ぶ! というのが一般的ではないでしょうか。

しかしながら、貴店にはまず

●ブランドがない

鳥山海苔店がまず知られていない。
海がなく、海苔との縁が 想像しにくい群馬県前橋市の店
ほとんどのお客様は 鳥山海苔店の海苔を食べていない

●個性や強みがない

スーパーや百貨店で買えるような商品ばかり
品数も少ない
価格競争力もない

●シズル感(食欲をそそる演出)がない

食欲をそそる写真やキャプション(写真コメント)がない
キャッチコピーや説明文、お客様の感動の声が少ない

はっきり言って食品店としての基本がないないづくしで、まして、大切な贈り物を任せるには、それ以前の、満足感や信用ができていないのです。

おそらく、大きく勘違いされているのは…
実店舗では66年間もの長きに渡って商売をしてきていらっしゃるので、「売れている商品を並べれば、ある程度は売れるはず!」と思われたのでしょうが、それは信用と実績のある、限られた群馬県前橋市でのことです。

長年の実績や、地元でのお客様、飲食店さんなどとの取引で培った評判や信用があってのことですし、競合するお店も恐らくそんなにないでしょう。

しかしながらネットに一歩踏み出したとたんに、全国の海苔店がライバルになるわけですし、そこには東京の一流の海苔専門店もあれば、全国規模の百貨店や食品店など、海苔を販売するすべてのお店がライバルになるのです。

実店舗と同じ商品、価格、販売方法で簡単に成り立つほど甘い世界でもありません。ネットにはネットに合わせた戦略構築が必要です。

まずは自家需要商品で固定客を掴まえリピーターに育てよう!


EC仙人 太田

上記でも述べましたように、いきなり知らない店で贈答に使うギフト商品を買うお客様も少ないですし、割高感のあるギフト用商品を自家用に買うお客様もあまりいらっしゃらないものです。

創業66年の貴社の実店舗でも きっとそうであったように、1件1件、お1人お1人と、お得意様、リピート客様が増えていった筈です。

これは勝手な憶測ですが、百貨店での催事・物産展、食に関するイベントへの出店、大きな広告費をかけたチラシやCM等、過去にチャレンジして、一度に多くのお客様を掴まえたご経験がおありかもしれません。

でも、一気に何百何千人のお客様を掴まえるような画期的なイベントはそんなに低コストで簡単にできるものではありませんよね。

むしろ、ほとんどの会社、お店は普段はコツコツと1件1件、お1人お1人とお得意様、リピート客様を得ていったはずですね。

ネットでも同じです。
大きな広告出稿をチャレンジして、一か八か大勢の集客をして一気に大量のお客様を獲得するようなお店もありますが、多くはコツコツと商品の良さを伝え、買い物経験、使用や試食をしていただいて、気に入ったお客様に1人1人リピーターになっていただくものなのです。(大企業はこれにあらず)

そして貴社の商品、対応、サービスに満足したお客様の中から、「貴社商品を贈答に使おう!」「鳥山海苔店ならギフトを任せて安心!」と思っていただいて、ギフト品の注文が増えていくものです。

そのためにはまず【自家用の商品】【お試し(試食)商品】が必要です!
商品と品質、価格のバランスに自信がおありならば、ぜひお客様が試しやすい価格設定で(赤字にならない範囲で)儲けは度外視の「お試し商品」や、ヘビーユーザーを囲い込みやすい、「お徳用セット」、「業務用セット」、見切り品やB品をお買い得にした「訳有りセット」などの企画は必要でしょう。

老舗の専門店さんは、こういった安売りを嫌がる傾向がありますが、ネット通販で見込み客を掴まえるには、これらの企画は常套手段ですし、避けていてもライバルに客を奪われていくだけです。

安易な安売りで利益を削るのではなく、利益を確保する賢い安売りを


EC仙人 太田

絶対的な 付加価値商品、他社には絶対真似できない高級品や高品質商品があったり、貴社に素晴らしい認知度やブランド力でもあれば少数でもしっかり利益も得られる上客を獲得できるのですが、そうでなければ、同等品、類似品が多い商品ジャンルでは「価格競争」は避けては通れません。

ただ、安易に利益を削った安売り合戦をする「価格競争」ではなく、スケールメリットで割安だけど、客単価を上げて、まとめ買いをしていただき、相対的な受注業務コスト(1件の注文を処理するのにかかるコスト)を下げてトータルで見たときの利益率を上げることで利益を確保し、ヘビーユーザー・上客を確保するのが生き残る店舗の賢い「安売り」です。

つまり、
2000円 粗利率40% の注文客5名= 10000円 粗利 4000円 より
10000円 粗利率30% の注文客1名= 10000円 粗利 3000円 でも
受注対応&梱包出荷コストが 1件300円かかれば
営業利益は
上が 4000円-1500円=2500円
下が 3000円- 300円=2700円 で 200円 利益が多い! ということです!

それでも安売りはしたくない!なら新商品開発を!


EC仙人 太田

まずは売上げを上げていき、顧客を増やすためにはぜひ上記も取り組んでいただきたいのですが、それでも安売りはしたくないし、商品で差別化したい! とおっしゃる場合は、「新商品開発」が重要です。

「新商品開発」なんて言うと、専門の知識や研究開発が必要!? なんて難しく考えられる方も多いのですが、そんなことはありません。

例えば…
昔からある 天津甘栗を剥いただけで「甘栗むいちゃいました」なんて商品がヒットしたのは有名ですね。

もちろん、どう低コストで剥くのか? 剥いた栗を乾燥させたり変質変色させずにどうパッケージ化するか? などの工夫はあったと思います。

でも、ハイテクで専門的な優秀な人材がいなければ絶対にできない商品でもないはずですね。

「海苔」という大昔から日本人の食文化に当たり前にある商品だからこそ、皆が当たり前だと思って改良や改革をしないままに、仕方なく不便に思っているようなこともあるのではないでしょうか?

また、例えば、おにぎり の海苔ひとつとっても東日本では「焼き海苔」が常識ですが、関西や西日本の一部では「味付け海苔」が常識です。(コンビニおにぎりも味付け海苔バージョンが売られています)

全国を相手にするネット通販なら、全国の食文化の違いや特徴を知れば、商品のヒントは まだまだあるはずです。

ざっと考えるだけでも、まだまだいろいろとアイデアが浮かびます(^-^)
(続きはぜひ相談会へお越しください!(笑))

では、本日はここまで!

総評

とりあえず、実店舗の商品を並べただけの「自販機」ショップと言わざるを得ません。海苔の自販機がないように、自販機で経営が成り立つほど容易に売れる商品ではないのだということでしょう。

売り方の工夫、商品企画の工夫、そして事業として成功させ他社より一歩抜きん出るには、商品開発も必要となってくると思います。

ホームページの改善というレベルではなく、ネットを活用した新たな海苔ビジネス経営の観点があれば、ぜひお気軽に相談会にお越しください。

古き確立された業界にこそ革新や改革のチャンス、ヒントがあるものです。(^-^)

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。