パターンショップ ichica

カテゴリ:ホビー、カルチャー

パターンショップ ichica

いつも楽しみに拝見しております。
ダメ出し道場の募集がありましたので、恥ずかしながら応募させていただきます。
よろしくお願いします。

パターンショップ ichica
小林めぐみ

ようやく桜が終わり若葉が見えて来たのにまた寒さが戻りましたね。
こういった気候を、俳句の季語では「若葉寒」(わかばさむ)と言うそうです。
春から夏にかけて、ふと寒さが戻り冷え込む日を表す季語には、花冷え、若葉寒、青葉寒、梅雨寒 などがあるようです。

春や夏の季語なのに「寒」と言う文字が入っている。
四季の変わりゆく日本では、このように進んだ季節が、また少し後戻りなんてことはよくあります。それゆえ、こんな不思議な季語ができたんでしょうね。
ようやく上向きの兆しが見えて来た景気の方の寒さだけは戻ってほしくないですね(^^;)

今回は、まだ店長さんお一人でご苦労されているようですが、そんな上向き、前向きの日本経済を象徴するようなベンチャースピリット溢れる新しいタイプのお店です。

洋服のデザイン、パターンを型紙とレシピ(作り方)として販売されているという、私も初めて見る業態のお店です。
それでは「ダメ出し!道場」第58弾スタートです!(^-^)

ターゲットはかなり狭いと思われる店


EC仙人 太田

まず、洋裁を学んだ経験のある方やファッション業界で働いたことのある方なら、「パターン」「型紙」と言われたら、すぐに何の事かわかるのでしょう。一方でそれ以外の方は、何屋さん? かもよくわからないのでターゲットにもなりません。

では「パターン」や「型紙」の意味はわかる方でも、洋裁経験や技術を持っていない方には、これまた買いたい物があるお店にはなりませんね。

良い悪いは別にして、それくらい、対象がはっきり分かれるお店ですね。
つまり、ichica さんは、相当に対象となる見込み客が狭く、かなりお客様を選ぶお店と言えそうです。

「マニアック」という言葉は適切ではないかも知れませんが、あえて特定の趣味、知識、スキルをお持ちのお客様しか買い物できないお店というニュアンスで、マニアックな専門店と呼ばせていただきます。

毎回、マニアックな専門店さんの場合には述べていることですが…
お店の想定している一定レベル以上のお客様層だけでお店が成り立つだけの市場規模があり、十分な売上げが期待できる場合は良いのですが…、そうではなく、少しでも客数を増やしたい、客層を広げたいという場合は、お店側がその創意工夫を見せなければなりません。

ichicaさんが市場戦略をどのように考えておられるかは不明ですが…、一般論として「客数を増やしたい、客層を広げたい」前提でダメ出しさせていただくことにします。

<補足>
少数派ではありますが、あえて知識やスキルレベル・ハードルの高いお店を演出し、初心者を排除して、煩雑な問合せや手間のかかる商談を減らす意図の市場戦略をとるお店もあるということです。

何をウリにしているお店か?わかりにくい


EC仙人 太田

洋服のパターン、型紙、言い換えれば洋服の形状、デザインを作り込むための設計図を売っているお店なわけですよね。
お料理やカクテルで言えばレシピ、建物で言えば建築設計図、医療で言えばお薬の処方箋のようなものですね。

その商品価値は「図面」という紙キレではなく、それを書き上げたり作り上げるベースとなる「知識・経験・センス」という「ソフトウェア」を販売されているんですよね!

食べてさえいただければ美味しさがわかるだろう料理人であっても、まずはお店に来ていただくために、ホームページなどで、どんな勉強をしてどんな有名店で何年修行したとアピールするように…、洋服のデザイナー、パタンナーもその経歴やスキルを客観的にアピールしてまずは見ていただくことは大切だと思います。

まずは…
ichicaさんの場合も小林さんのキャリアをもう少し前面に出して、「アパレルメーカーでデザイナーとして活躍した店主自らデザインしたパターンを分かりやすいレシピとともに販売!」といった、一目でわかるキャッチコピーを店頭に掲示され、お客様の関心を一瞬で掴む必要があると思います。

パターンさえあれば作れる人、パターンだけでは作れない人


EC仙人 太田

ichicaさんのターゲットとされるお客様は前者だけでしょうか?

それであれば良いのですが、後者の、パターンだけでは作れない人、言い換えれば、「洋裁の基礎知識や基本スキルくらいはあるけどパターンだけで簡単に作れる自信はない人」は注文するのをためらうはずです。

「自信はないのだけれど、これなら私でもできそうかな?」
「これならチャレンジしてみようかな?」
こんな風に考えていただければ、客層は広がり注文数も増えて行くと思います。しかしながら、現状、商品ページを見ても完成品サンプルの洋服写真はあれど、肝心の商品であるパターンはチラリとも写っていませんし、レシピと呼ばれる作り方の「さわり」さえ見せておられません。

「無料パターン」として三角巾と帽子が2点ばかりPDFで無料ダウンロードできるようにはなっていますが、このような簡単なものではなく、難しそうな洋服のパターンとレシピを見ても本当に自分に作れるのだろうか? がお客様は気になり、不安に思われるのではないでしょうか?

商品がデザインやノウハウなので、買わずして盗まれるリスクを懸念されているのかも知れませんが、ほんの少し「さわり」や概要を見せて「あぁ、なるほど、簡単そう! これなら作れそう! やってみよう!」
そんな心理変化を起こさせてこそ、初めて注文ボタンを押してもらえる商品だと思います。
つまり、商品ページでの見せ方にもう少し創意工夫が必要でしょう。

一覧画像、商品画像でもっとひき付けろ!


EC仙人 太田

ちょっと話が前後してしまいますが、パターンショップだからといって、わかりやすいパターンやレシピさえあれば売れるというものではないでしょう。むしろ、重要なのは「素敵!」「カッコイイ!」「カワイイ!」と思ってもらえる洋服のデザインですね。
洋服が「素敵!」「カッコイイ!」「カワイイ!」と思うからこそ「作ってみたい!」に繋がるんですよね!

では、それを一瞬でお客様に感じていただくためには?
はい、通常の洋服屋さんと同じですね! 写真がとても重要です。

1)まずは一覧写真(サムネイル画像)で数多い洋服の中からお客様の好みに合うものを見つけていただく段階。

2)次にサムネイル画像をクリックして商品ページに入っていただき商品サンプルの全体や細部を見ていただく段階。

3)その上で、その洋服のパターンやレシピがどんな内容なのか、自分でも作れそうなのか? 概要を知っていただく段階。

少なくともこの三段階がうまく機能してお客様の心理は
関心→興味→欲求 へと変化していくのです。
ichicaさんに限らず、オンラインショップとは…実物の商品を見せず、触らせず(匂わせず、食べさせず)して写真と文字だけでお客様の心理を上記のように変化させて行くことが求められる業態なのです。

このプロセスのどこかに手抜きがあればそれだけ購入確率は下がり、売上げが上がらないことになってしまいます。

具体的に改善ダメ出し!


EC仙人 太田

このエプロン一覧でキッズサマンサという商品の写真…
http://www.patternshop-ichica.com/product-list/12

恐らく開店初期からある商品かなとは思いますが、フローリングの床に置き撮りでしかも影が多く商品がよくわかりません。

これでは、第一段階の関心すら持ってもらいにくいですね。
早急に写真を撮り直しされることをおすすめします。

商品ページに入ると…
http://www.patternshop-ichica.com/product/61
違う柄の生地を使ったサンプル写真もありますが、このように同じパターンでも柄や生地が変わるとイメージも変わるといった事例や説明ももっと多ければ、より多くのお客様の趣味や嗜好に合う(琴線に触れる)ことが可能だと思います。

↓↓↓↓↓ このベストなどは、黒だけでなくストライプやカラーのボーダー生地のパターンもあったりと良い例ですが、残念ながらサムネイルでは黒だけなので一覧の段階ではお客様に気付いてもらえませんね。
http://www.patternshop-ichica.com/product/56

サムネイル画像に3種写す工夫をするか、いっそのこと、商品登録を3パターンして別々の商品として見せるのも一案ですね。 何がなんでも1商品1登録と決め付けず、柔軟な発想で、少しでも多くのケースを見ていただき、一人でも多くのお客様の好みにヒットさせてクリックさせることを優先しましょう。

また、例えばこのパンツでは…
http://www.patternshop-ichica.com/product/39
メインのサムネイル画像は紺色のパンツの置き撮り写真ですが、商品ページには色違いや柄違いのハーフパンツのモノもあります。
こんな場合は、サムネイル画像を下記のように合成して1枚で複数のパターンを見せるような工夫が欲しいところですね。(合成してみました)
http://bit.ly/13USniP

また、全体的に一覧サムネイル画像もクリックした際の商品画像も小さいと思います。できるだけ大きく見やすくしましょう。

Facebookやブログでの取り組みをショップ内にも!


EC仙人 太田

おちゃのこショップの外ではありますが、ichicaさんで取り組まれているブログやFacebookを拝見すると、実は先ほどご指摘したようなことを徐々に取り組まれているようです。
パターンの概要説明や写真、デザインを作り込んだり、パターンを制作して行くプロセスなども垣間見えます。

しかしながら、Facebookを見てよ!、ブログを読んでよ! は一部のお客様には反応が期待できるかもしれませんが、あちこちクリックさせられてドメインまで変わって移動させられるのはお客様にはわかりにくいですし、その度に客様のせっかくの興味や関心が気をそらされ、「ま、いいか」「めんどくさい!」に変化するリスクもあるのです。

Facebookやブログはファンとなったお客様への情報提供や読み物、交流の場としてであったり、お店の外から店長の人柄や知識により集客をする場合には有効ですが、商品情報の補足として使うにはオススメしません。
できるだけ商品の事は商品ページの中だけで完結させるようにしましょう。

その他、工夫アイデア


EC仙人 太田

私自身は洋裁の心得もなく、裁縫もやったことがないのですが、デザイン・パターンによって製作の難易度は容易なものから難しいものまでさまざまだということは予想できます。

そこで、個々の商品ごとに、製作難易度の表示などされてはいかがでしょうか? もちろん作るお客様のスキルにもよるとは思いますが…。

大まかに、初心者向け(易しい)、中難易度、上級者向け(難しい)のように、3段階〜5段階位で一目でわかる表示をすると、お客様の目安になるだけでなく、チャレンジしたい気持ちを刺激して、徐々に難しいパターンへの誘導もできるようになると思います。

総評

持っている知識やノウハウという無形のソフトウェアを型紙・パターンとして商品化しパターンショップという大変ユニークで個性的な業態を立ち上げられたそのご苦労には感心・敬服いたします。

在庫投資、リスクも少ないとは思いますが、店長さんのキャパがお店のキャパ(限界)にもなってしまうとも思いますので、今後の展開にはなんらかの発想の転換、ブレークスルー(打破)が必要かと思います。

今一度、自店やご自身の何が【強み】で何ができるか? できそうか? 見直し、考え直す機会になれば幸いです。

また、自分だけでできることと、他の力を上手に借りたり使うことも経営者として考えてみてください。

いつでもご相談お待ちしております!(^^;)

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。