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自家製酵母パン パン工房 稔

・ショップを見る人が少ない(あまりいない)
・ほとんど売れない
・サンプルみたいにきれいにしたい
(パソコンが苦手だからいろいろな設定の意味がわからないが、売れるようにしたい)
よろしくお願いいたします。

暑い夏が去ったと思ったとたんに気温がぐっと下がり、私の家のあたりはセミの声から一気にキリギリスの鳴き声に変わりました。

秋らしい虫の音はいいのですが…私のお腹の虫も秋らしく活発になってきております。食欲が〜♪止まらな〜い〜♪

私はいつもこの「ダメ出し!道場」の原稿は夜に書いていることが多いのですが、夜になるとやたらお腹がすいて、ラーメンが恋しくなります(^^;)

そういえばしばらく前に見たバラエティ番組で、こんな話題がありました。 男性の多くはお気に入りのラーメン屋があったり、美味しいラーメン屋さんを求めてかなり遠方まで食べに出かけたりするが、女性にはそれが理解できないとか。

一方で多くの女性は美味しいパン屋さんがあると聞けば、電車を乗り継いで、開店前の行列に並んででも買いに行き、男性にはそれが理解できないとか。

確かにうちの会社でも、男性陣は美味しいラーメン屋さん情報で盛り上がるし、女性陣はパン屋さんの話題でキャッキャとかしましくしているシーンをよく見かけます。

そういう視点から、パンのネットショップは通販属性の高い女性向けの業種として、期待できるといえるかもしれませんね。 でも「電車賃をかけてでも!」に相当する「送料をかけてでも食べてみたい! 買ってみたい」パン屋さんかどうかは、それなりの強みや特徴をしっかりアピールできているかどうかが条件になりますね。

さて、今回は山梨県の自家製酵母のパン屋さんです。パン好きなお客様のおメガネにかなうでしょうか!?

それでは「ダメ出し!道場」第104回の始まりです!

当店の強み、特徴は?しっかりアピール出来ている?


EC仙人 太田

「そもそも論」になりますが、お客様が近所のパン屋さんでなく、わざわざ山梨県都留市にある「パン工房 稔」さんでパンを注文して食べてみたくなるほどの強み、特徴、魅力とは何でしょうか?

トップページを見るとまず最上部には、
「無添加、乳製品・卵不使用 アレルギーの方もOK!」
とあります。そして中央に、
「当店のパンたちはレーズンから種を起こした自家製酵母パンです。山梨県の田舎で富士山からの伏流水を使い、自家製酵母、無添加、まごころを込めてパンを作っています」
とあります。

ざっと拝見する限り、この2つが唯一の自己アピールですね。
まったく貴店のことを知らない、実店舗には行ったことがない、食べたことがないお客様が、この2つの文と商品写真、説明文だけで、
「わぁ、美味しそう! ぜひ食べてみたい! 買ってみたい!」
と思うかどうか…ということです。

店長日記に「日本テレビの『ヒルナンデス!!』で放送されました!」とありますので、テレビをご覧になった方は放送の内容や演出、映像や音声などの記憶から、大した説明はなくとも、
「わぁ、美味しそう! ぜひ食べてみたい! 買ってみたい!」
という気持ちになることはあったでしょうし、注文も相当数は来たのではないでしょうか。

でも、その放映をご覧になっていないこれからのお客様にとっては、「テレビが取材に来るのだから.まぁそれなりに美味しいのかな? 何か特徴があるのかもね」という想像はできても、「どんな点が注目されて取材されたのか? 紹介されたのか?」が書いてないですし、そもそも論として当店の強み、特徴についての説明・アピールが弱すぎると思います。

見出しとしては、
「無添加、乳製品・卵不使用、アレルギーの方もOK !」
「当店のパンたちはレーズンから種を起こした自家製酵母パンです。山梨県の田舎で富士山からの伏流水を使い、自家製酵母、無添加、まごころを込めてパンを作っています」
は良いのですが、その中身に関してはもっともっと具体的に詳細に説明を用意して、お客様の興味を引き付け、好奇心を刺激して、理解、納得させる必要があります。そうでないと、送料をかけてまで遠隔地のパン屋さんからお取り寄せしていただくのはむずかしいでしょう。

「アレルギー対応のパン」としての特徴や強みも、もっと詳しく説明すべきですし、逆に制約事項(小麦アレルギーやゴマ、レーズンなどの他のアレルギーについての説明)も必要でしょう。

「レーズンから種を起こした自家製酵母パン」ですが、そういわれても、パンの素人には「種を起こすってどういうこと? レーズンに酵母があるの? そのレーズンはどこのぶどうでどこで作ったものなの? 小麦やその他の材料はどこ産なの? こだわりがあったりするの?」と、かえって疑問が膨らみます。

また、「富士山からの伏流水ってどういうこと? どんな水なの? 普通の水と何がどう違うの?」という疑問も出てくるでしょうし、「無添加? 稔さんでいう無添加って定義は? 材料、原料一品一品、すべて無添加と言い切れるの?」と思うお客様もいるかもしれません。

もしその疑問に対する答えがYesなら、そこも説明すればより大きな魅力となると思います。そうでないならば、正確に添加物についての当店のポリシーや原則を明記しておきましょう。

食品業界において「無添加」は魅力的なキーワードではありますが、それだけに詳しいお客様も多く、無添加表示をする際には細心の注意としっかりとしたアピールが必要です。

これらを含めて、あらためて1ページフリーページを作ってでも、「自家製酵母パン パン工房 稔 のこだわり」のようなお店の自己紹介ページを作るべきではないでしょうか?

また、できればそのページには店長さんのパンを作っているスナップ写真や工房の様子、店内の様子、近所の自然や水の美しさを伝えられるような景色など、「田舎の職人のパン屋さん」の良さを伝えるコンテンツも必要だと思います。

ただのパン屋ではなくパン通販ショップだと言う自覚が必要


EC仙人 太田

上記の「ダメ出し!道場」申し込み文の内容からしても初心者店舗さんだとお見受けしますが…、
とここまで書いて、店長日記を拝見すると2009年からもう6年目の店舗さんのようですね。決して初心者店舗さんとはいえない年数ですが…

内容的にはパン屋さんとしてはプロでも、ネットショップとしてはもう一度基礎の基礎から学んでいただく必要のある初歩段階のお店だと思います。

読者の他の初心者店舗さんはもちろんですが、経験豊富な先輩店舗さんも、初心に返って自店を見直す機会になれば幸いです。

実店舗を営まれるお店が、宅配便を使って商品を遠隔地にお届けする、いわゆる典型的なオンラインショップを始めるにあたって、最初に意識しなければならない点は、
「通信販売業」(通販)を始めたんだ!
ということです。

いまさらですが、「通信販売とは?」 はWikipedia によれば、
https://goo.gl/v6eocO
「メディアを利用して商品を展示し、メディアにアクセスした消費者から通信手段で注文を受け、商品を販売する方法」です。

ネットの場合はメディアの部分がホームページになるわけですが、ネットができるよりはるか昔から、紙メディア(新聞、雑誌、カタログ)や電波メディア(テレビ、ラジオ)の通販業はありましたよね。

そして、それらすべての通信販売業態に共通するノウハウ、HowToに関しては、私たちオンラインショップ、ネットショップも基本は学んで習得しておかなければなりません。

宅配便会社との契約、送り状作成(印刷)、梱包、集荷の段取りといった物流面や、カード決済、代引き決済、銀行振込み口座の用意、コンビニ決済やその他便利な決済手段の契約と準備などもそうですが、ネットショップだからというよりも、通販業だから準備しておく当たり前レベルのノウハウがあるわけです。

ネット通販が始まって20年近くが経った現在では、これらの基本通販業ノウハウは、本屋に行けばハウツー本もたくさんありますし、本を買うまでもなく、一般の個人でさえフリマアプリやオークションサイトを使って注文を受け、宅配便や決済システムで容易に配送、代金回収できる時代になりました。

つまりは、物流や決済はもはや当たり前品質で、できて当たり前、あって当たり前なわけですね。
一方で、通販業として、「何を売るのか? どう見せるのか? どう売るのか?」は当たり前レベルではありながら、それぞれのお店が独自のノウハウで演出や差別化できる点ですので、基本は押さえつつ、日々努力、精進が必要な部分といえるわけですよね。

野球に例えるなら、ボール、バット、グローブ、ユニフォームは持っている。ボールは投げられる。バットは振れる。グローブでボールもキャッチできるとしても…
少年野球〜プロ野球やメジャーリーグまで、その技術も稼ぐお金も桁違いなのと同じなんです。(^^;)

個人でスマホで写真を撮ってフリマで古本を売るのと、大手通販企業が巨大なデータベースシステムと連動して通販サイトで何十万アイテムもの商品を販売するのとでは、技術もそこで流通する金額も桁違いなんですよね。

でも基本は同じなんです。ボールを投げてバットを振ってボールを飛ばし、グローブでキャッチする。走る。滑り込む。投げる、打つ。これらの基本を組み合わせてこそ、野球ができるんですよね。

少し遠回りしましたが、「パン工房 稔さん」はパンのプロであることは間違いないでしょうが、通販業として見たときには、残念ながらこの基本のボールを投げてバットを振ってボールを飛ばし、グローブでキャッチする、走る、滑り込む、投げる、打つの部分でまだまだできていない点が多いようです。

他のお店さんも、ぜひ再認識してみてください。
自店は「通販業」の基本がちゃんとできているのだろうか?

通販業の基本を1から10まで説明すると、1冊の本が書けるほどのボリュームになりますので、ここではすべては説明しませんが、次項で具体的なダメ出しをしながら、押さえるべき基本を説明して行きますね。

具体的なダメ出し通販でパンを買うということ…


EC仙人 太田

実店舗で直接来店されるお客様と、ネットショップに来店するお客様とでは何が違うでしょうか?

当たり前過ぎて、「なんだ?」と思われている店舗さんも多いでしょうが…
あらためて、実店舗ではできて、通販ではできないことを考えればいいですね。

実際に手に取ってさわれない、つまり、大きさ、触感、重量感、質感、匂い、味(試食できない)がわからないということです。

特に、味や匂いは技術革新がかなり進んだ現代でもまだ当分はテレビやパソコン、スマホのネットでも当たり前には伝えられないですね。

この実際に感じられない部分を何十年もの間、「通販業」の先達は画像、映像と音声を駆使してお客様に伝え、疑似体験させ、想像させ、購買意欲を喚起してきたわけです。

小むずかしい言い方をしましたが、要するに写真、動画、演出で「買いたい!」と思わせることが通販業における商品アピールだということです。

さて、そういう観点で下記商品ページを見てみましょう。
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http://minori.ocnk.net/product/28
商品名:キューブ 販売価格: 230円(税込)

自家製酵母のイギリスパン生地にクリームチーズとオレンジピールを混ぜたクリームを巻き込み焼き上げました。
甘すぎず、爽やかなクリームとモッチリしたパンがよく合います。
原材料 小麦粉・自家製レーズン酵母・砂糖・塩・モルト・クリーム チーズ・オレンジピール
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大きさがさっぱりわからない!

私はこの立方体の見た目から、最初は食パンのサイズをイメージしたのですが…果たしてこのキューブの大きさは一辺が何cmのパンなのか? それとも食パンよりもっと小さなサイズのキューブ状のパンが写真のように4個1セットで届くのか?

正確なところは書いてありませんのでわかりません。
「わからないから不安で買わない!」という私のような客もいるかもしれませんし、勝手に食パンサイズだと思い込み、写真が4個だから4個届くと思い込んで注文するお客さんもいるかもしれませんね。

このパン以外もとにかく大きさや個数が不明な商品が多いです。
http://minori.ocnk.net/product/30
バジルチキン 260円
野球のボール大? それともソフトボールくらい? メロンくらい?

http://minori.ocnk.net/product/13
クルミチーズ 220円
コンビニおにぎりくらい? もっと大きい? 小さい? さっぱりわかりません。

大きさによっては260円でも、220円でも 安くも高くも感じますね。

http://minori.ocnk.net/product/31
酒種ゴマあんパン 300円
これは2個セットですよね?

などなど…お店にとっては当たり前のことも、明記してなければお客様にとっては????です。

実際がどうなのか? もしお客さんの思い込みのイメージと違ったものが届いたら? 期待以上の場合は満足になるかもしれませんが、期待以下だったら、きっと大きな不満となり、場合によってはクレームとなって再送や返金など赤字になってしまうかもしれませんね。

クレームにならなくても、不満だけ感じて二度と来ない、ブログやSNSでひどい店だと批評されることも起こるかもしれません。

では、なぜそんなことになっているのでしょうか!?
そう、単純なことですが、通販の基本である、商品のことをちゃんと説明しきれていないからですね。

このキューブという商品についていえば、大きさ、重量、1注文あたりの個数が不明確であるということです。

重量は、計測して平均値を1個○g位と明記すればよいですし、大きさも大体のサイズを書くと同時に、撮影時に比較となる誰もがサイズを想像できる対象物を一緒に撮影すればイメージしやすいですね。

素直に「定規」を置いてサイズを見せるのも家具や部品ショップなどではOKですが、食品店ではあまりに無骨で味気ない演出ですので、例えば演出がてら卵を2〜3個横に置いて撮影するとか、標準的なサイズのパン屋さんのトングとかバターナイフなどを一緒に写せば、大体のサイズはイメージできるようになると思います。

スタバやローソン、セブンイレブンなどのテイクアウト用のコーヒー紙コップなども大きさが伝わりやすく、カジュアルながらおしゃれなイメージで伝わりやすいかもしれませんね。

間違ってもタバコの箱や500円玉などを置くような無粋な演出は、いくらサイズはわかりやすくてもNGですよ。(^^;)

また演出上2〜3個で撮影した場合も、1個の値段なのか2個セット3個セットの値段なのかも全商品明記しておきましょう。

そして商品写真のクオリティですが…ほとんどの商品写真がどんより背景がグレーで暗く、せっかくのパンが美味しくなさそうに見えているのも通販業の基本としてできていませんね。

特に食品は「いかに明るく色鮮やかに美味しそうに見せるか」は基本中の基本です。撮影スキルはぜひ向上させましょう!

http://goo.gl/LhCAUe
↑↑↑↑↑
ちょっと明るさ、コントラストを変えただけでも印象はずいぶん違うと思います。できれば、撮影の時点から照明や食器などの演出も工夫すれば、もっともっと美味しそうに感じさせられるようになると思います。
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http://minori.ocnk.net/product-list/2
商品名 看板
注文で作るかも。ひまを見ての作業なのでしばらく待てる方。文字のデザインが決まっている方。文句を言わない方。返品ききませ ん。精一杯作らせていただきます。
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こちらはパンではないですが、店長さんが手作りで天然木の看板を作るのでしょう。本業のメイン商品ではないので、
「ひまを見ての作業なのでしばらく待てる方」
「文句を言わない方。返品ききません」
なのでしょうが…(^^;)

私はこの商品と一文だけで、店長の朴とつなお人柄がイメージできましたし、職人気質でアナログ人間、顔を見て声や雰囲気を感じ合える実店舗なら、きっと「いい感じ」だと思います。

でも文字と画像だけで伝えるネットにおいては、言葉足らずでぶっきらぼうで無愛想、ともすればいいかげんな印象を与えることもあり得ます。

「行間を読め。なんとなく感じ取れ!」とお客様に期待しすぎてはいけません。わかるだろう、伝わるだろうではなく、できるだけていねいに、細かな点をキチンと明記して伝える努力をしましょう。

ネットでは、
「知りたい人には知りたいだけ伝える情報量」が基本です。

知りたくない人、忙しい人は勝手に読み飛ばし割愛してくれるので、
「見出し」を上手に大文字、太文字で入れておくと良いでしょう。

私が特に気になったのは、
「文句を言わない方」という表現です。

お客様にそんな都合の良いことを求めてはいけません。
お客様はお金を払うわけですから、期待する物ができなければ文句を言われても仕方ありません。もちろんそんな無愛想な意味で書かれているのではないと思いますが、この表現は通販ショップとしてお店の姿勢を誤解されかねないマズイ表現だと思うので、ダメ出ししておきます。

誤解されない表現は、
「納期に余裕があって、細かな点はこちらにお任せして下さる、大らかな気持ちで待てる方」
といったところでしょうか(^^;)

いずれにせよ、
「詳しくはメールにてお問い合わせください。お電話でご相談の上、納期、内容、お見積もりさせていただきます」

としておくべきでしょう。

総評

ネット店もオープンから6年ということを考えると、もっともっとお客様目線で改善して、お店や商品の魅力を伝えられるネットショップになっているべきでしょう。

今までお客様目線でダメ出ししてくれる方がいなかったのかと思いますが、これを機会に1日1商品ページでも良いので商品撮影からやり直して、通販ショップとして購入に必要な情報を盛り込んで改善して行ってほしいと思います。

伸びしろのたくさんある、将来が楽しみなお店という意味で、辛口の30点評価とさせていただきました。

撮影や演出に関してなど、ぜひ一度お時間を作ってご相談いただければと思います。

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。