ワールドラバーマーケット

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「独自のメディア作り」で卓球市場を深掘りし続けるワールドラバーマーケット

「勝てるニッチ市場」を探し、卓球にフォーカスして開業したワールドラバーマーケットさん。
大量のYouTubeコンテンツで集客し、メール便後払いでリピーターをつかむ独特の手法に加えて、最近では月刊の紙媒体も発行して売上を伸ばしています。
千葉県市原市の本社で、社長の長部繁幸さんにお話をうかがいました。

ネットショップ開業のきっかけは?

私はもともとウェブコンサルタントでして、自分でも仲間とネットショップをやっていました。1台十何万もする高額の健康器具の販売です。うまくいっていたのですが、大手さんが機能アップしたものを半額で売り始めて店じまい。
それで新しいことをやらないとと「ネットショップで勝てる業種」を探したところ、昔自分がやっていた卓球にたどり着いたというわけです。

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学生時代、卓球選手だったんですか?

高校までですけど。それで、ビジネスにしようと卓球を再開してみたら、中学生や高校生にまったく勝てないんです。「おかしいなあ、こんなはずではないのに」と悔しい思いをしました。
そこで「大人の力」で海外から誰も知らない怪しいラバーを個人輸入してラケットに張り、リベンジマッチを挑んだら、あっさり勝っちゃった。大人が財力にものをいわせて道具で勝つと。中学生相手に大人げないですね(笑)。

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なかなかユニークなスタートですね。

子どもたちは何が起こっているかよくわからないわけです。「このオヤジ、急にうまくなったぞ」みたいな認識。そんなわけで、15年ぶりくらいで卓球を再開し、4カ月後にはおちゃのこで店をオープンしていましたね。
おちゃのこさんのことは、2006年にアフィリエイトの「電脳卸」の展示会で知りました。

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ビジネスとしては卓球用のラバーを輸入してサイトで販売していくというものですね?

それなら1人2人なら食べていけるだろうと思ったのですが、開店当初から順調でした。
競合店はみな国内で売られている商品しか扱っていないので差別化とかもしてなくて、メーカーからの説明をそのまま掲載するだけの自動販売機型でした。
だから、「誰も知らないラバーを張って魔球を操り、ライバルに勝ちたい」というような向上心のある人は、みなうちに来ます。

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コンテンツによる集客は、最初から?

うちは中国から誰も知らない商品を入れていますから、国内では当然知名度がないわけです。そこで、オープンの時にレビューサイトを立ち上げました。
うちの商品だけじゃなくて、普通に国内で売っている商品もなんでも載せるという方針です。その当時は、卓球用品のレビューサイトもなかったので、最初からたくさんの方が見に来てくれました。
そのサイトは今も続いていて、毎月1回レビューコンテストをやっています。レビューを応募してくれた人には3000円から1万円のクーポンをプレゼントしています。

YouTubeを使った集客がユニークですね。

その次の集客手段がYouTubeです。イケメン卓球選手の「ぐっちい」以下、うちのスタッフが実際に動画でラバーの性能を解説するものですが、これが大ヒット。今では月に250万回の再生回数を誇っています。
動画のいいところは、言葉がわからなくてもある程度のことが伝わるところ。おかげで英語版のサイトは作ってないのですが、月に10件くらいのペースで海外からの注文があります。
本当は英語版サイトを作って本格的に海外対応すればいいのでしょうが、そうなると社内体制を考えなくてはならないので、まだ手つかずです。

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お客さんはリピーターが多いのですか?

昔は6割くらいでしたが、今では8割くらいですかね。
5年ほど前から紙媒体のフリーマガジンを月刊で発行し始めたのですが、そこからの集客もかなりあります。

紙媒体の月刊誌を自社で作っているのですか?

社内で作った月刊の卓球専門誌を、過去半年以内に購入されたお客様にクーポンをつけて発送しているんです。
アクティブなユーザーが5000人から6000人いますので、その人たちをメインに送っています。
すると、雑誌を受け取ったお客様が同封のクーポンを使って新商品を注文してくると。発送したクーポンに対して15%くらいの購入がありますので、なかなか効率いいですよ。

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といっても、月刊誌を作るのは大変ではないですか?

大変ですが、全部内製でやっています。
うちのスタッフは今、社員で10人いますが、私以外はみなコンテンツ要員です。動画を撮ったり、雑誌を制作したり。
月刊誌は1万部印刷していて、印刷費と発送費で合わせて100万円くらいかかっていますが、クーポンを使っての購入で十分に採算が取れています。

オフィスはここ市原が商品倉庫で、蘇我と高田馬場にショップがありますね?

市原の本社で商品を発送したり、コンテンツを作ったり。実店舗のほうはショールーム機能も持っていますし、お客様が試し打ちをしたりすることもできます。

メール便後払いというシステムは最初から変わらないですか?

同じです。代引きと後払い。子どもたちはカードが使えませんからね。
といっても、クレジットカードはそのうち導入しようとは考えています。
メール便に関しては、みなさん事故を心配されますが、実際のところほとんど事故はないです。年に5件もないと思います。

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商品の入れ替えとかはどのように?

新しい商品が出てくると、まずみんなに打ってもらって、どう売るかを相談し、コンセプトを作ります。
あとはその商品とポジションのかぶったものを廃番にしていきます。やみくもに商品を増やしていくのではなく、商品のポジションをきちんと決めて、より良い商品に入れ替えていくというイメージです。
そうすることで、お客様が迷わないで商品を選ぶことができます。

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フリーマガジンを作って反響は?

まず売上が安定しましたね。
ネットよりもアナログのほうが競争が少ないのと、やはり直接手に取れるメディアは強いです。
紙媒体は余裕がある時に時間をとって見てくれるので、ひとつの記事を最後まで読んでくれます。
うちの特集はだいたい4ページなので、それを読み終わる5分くらいはつき合ってくれるんです。すると、新製品のどういうところがいいかをおおよそ理解してもらえる。
同じことをネットできちんとやろうとすると、大変です。商品の訴求という点では、ネットよりは紙のほうがいいかなと思っています。

おちゃのこネットのいいところは?

あの価格で、しっかりと中身があるところです。欲しい機能がしっかり入っていると思います。といっても、よそに浮気をしていないので、ほかと比較することができないのですが。うちは最初からおちゃのこ1本なんです。

クーポン機能はすごく重宝しています。
クーポンの利用期間が設定できるので、配布方法に合わせて期間を設定したり割引を調整したりと様々な工夫することができています。利用率はかなり高いです。

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今後の展開は?

去年の10月に財団法人を作りました。卓球指導者を養成するための「卓球インストラクター認定」を発行する財団です。
今、日本では「卓球をやりたいのに先生がいないから」という人が結構多いので、それを解消するために家庭の主婦のみなさんを先生にしようという考えです。
やる気のある方にきちんと教育して先生になってもらい、今までラケットを握ったことのない人に卓球を教えてもらう。
そうなれば卓球人口が多くなって、うちの商品を買ってくれればいいなと。

6年前にもお話をうかがっているんですが、基本的にビジネスが変わっていませんね。ということは、あの時点ですでにビジネスモデルが完成していたということですね。

まあそうです。ニッチなマーケットですから。
あとはコンテンツにアナログを付け加えたくらいですね。

ワールドラバーマーケットサイト
※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。